臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
腹膜透析の除水は、血液と透析液の間に生じる浸透圧較差によって水が血管側から透析液側へ移動することで達成される。透析液にはこの浸透圧差を作る浸透圧物質が必要で、代表はブドウ糖である。ブドウ糖濃度(例: 1.5%、2.5%、4.25%)を変えることで除水量を調整する。長時間滞留やブドウ糖の吸収で浸透圧差が早期に失われやすい状況では、ブドウ糖に代わる高分子浸透圧物質としてイコデキストリンが用いられ、持続的な除水を得やすい。一方、カリウムは通常カリウムフリーであり除水物質ではない。アルブミンやクレアチニンはそれぞれ体内に保持すべき(アルブミン)・除去すべき(クレアチニン)物質で、透析液に含めるものではなく、除水にも寄与しない。
選択肢別解説
正しい。ブドウ糖は腹膜透析液の主要な浸透圧物質で、血液との浸透圧較差を作り水分を透析液側へ移動させる。濃度を上げると浸透圧差が大きくなり除水量が増える。
誤り。カリウムは通常の腹膜透析液では含まれない(カリウムフリー)設定であり、除水を生じさせる浸透圧物質でもない。低カリウム血症対策で例外的に添加する場合はあるが、除水目的の必須成分ではない。
誤り。アルブミンは高分子タンパクで透析液には含めない。むしろ腹膜透析中に患者側から透析液へ漏出しうる物質であり、除水を生じさせる浸透圧物質としては用いられない。
誤り。クレアチニンは尿毒素であり腹膜透析により血液側から除去されるべき対象。透析液に含めるものではなく、除水にも関与しない。
正しい。イコデキストリンは長時間滞留時に用いられる高分子の浸透圧物質で、ブドウ糖に代わって浸透圧較差を維持し、持続的な除水を得るために使用される。
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解説
浸透圧濃度(osmolarity)は溶液中で存在する粒子数に比例し、各溶質のモル濃度に解離粒子数(van’t Hoff 係数 i)を掛けて総和した値で表される($\text{Osm} = \sum c_i i_i$)。1 mmol/L の非解離性溶質は 1 mOsm/L に等しい。電解質は理想的には完全解離すると仮定し、NaCl は $\mathrm{Na}^+$ と $\mathrm{Cl}^-$ に解離して粒子数は 2、CaCl$_2$ は $\mathrm{Ca}^{2+}$ と 2 個の $\mathrm{Cl}^-$ に解離して粒子数は 3、ブドウ糖は非電解質なので 1 のままである。よって 1 mmol/L ずつ加えた場合の浸透圧濃度は $2 + 3 + 1 = 6\,\mathrm{mOsm/L}$ となる。
選択肢別解説
不正解。2 mOsm/L は NaCl を 1 mmol/L だけ加えた場合(2 粒子に解離)に相当する値であり、本問では NaCl・CaCl$_2$・ブドウ糖の寄与を合計するため 2 にはならない。
不正解。3 mOsm/L は CaCl$_2$ を 1 mmol/L だけ加えた場合(3 粒子に解離)に相当する値であり、他の溶質(NaCl とブドウ糖)も含まれる本問の合計値ではない。
不正解。計算上の合計は 6 mOsm/L(NaCl 由来 2、CaCl$_2$ 由来 3、ブドウ糖由来 1)であり、4 mOsm/L にはならない。
不正解。計算上の合計は 6 mOsm/L であり、5 mOsm/L とは一致しない。
正解。NaCl は 2 粒子、CaCl$_2$ は 3 粒子、ブドウ糖は 1 粒子として寄与するため、1 mmol/L ずつでは合計 6 粒子相当となり、浸透圧濃度は 6 mOsm/L となる。
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