臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
維持透析患者では腎での排泄が障害されるため、食事中のリン・ナトリウム(食塩)・カリウムの摂取が過剰になると高リン血症、体液量増加や高血圧、そして高カリウム血症を招き、骨・血管石灰化や心不全、致死性不整脈など重大な合併症につながる。このため、これら3成分は特に摂取制限に留意する。一方、脂質や炭水化物はエネルギー・栄養確保の観点から個別の合併症(脂質異常症や糖尿病)がない限り透析特異的な厳格制限の対象ではない。一般的な目安として、食塩は6g/日以下、カリウムは約2,000mg/日以下、リンは総量を抑えつつ食品中のリン/たんぱく質比を低く選ぶなどの工夫が推奨される。
選択肢別解説
脂質は透析特異的に厳格な一律制限の対象ではない。エネルギー源として必要であり、脂質異常症や動脈硬化リスクなど個別因子で質・量を調整するにとどまるため、設問の「特に留意すべき摂取制限」には当たらない。
リンは腎からの排泄が低下し高リン血症になりやすく、二次性副甲状腺機能亢進症や骨・血管石灰化を招くため食事での制限が必須。総リン摂取量を抑え、加工食品など高リン含有食品を避け、リン/たんぱく質比の低い食品を選ぶことが推奨される。よって「特に留意すべき」成分で正解。
塩分(ナトリウム)は体液貯留や高血圧、心不全の増悪要因となるため、透析患者では厳格に制限する。一般に食塩6g/日以下が目安とされる。したがって摂取制限に特に留意すべき成分で正解。
カリウムは腎での排泄が低下するため高カリウム血症を来し、致死性不整脈の危険がある。果物・野菜・いも類・果汁など高カリウム食品に注意し、調理でのカリウム除去も行う。目安は約2,000mg/日以下。よって摂取制限に特に留意すべき成分で正解。
炭水化物は主要なエネルギー源であり、透析特異的に一律の厳格制限は設けられていない。糖尿病合併などで個別調整は必要だが、設問の趣旨である透析患者一般の「特に留意すべき摂取制限」には該当しない。
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解説
血液透析の老廃物(溶質)除去は、半透膜を介した受動輸送が原理である。主軸は2つで、(1)血液と透析液の濃度勾配を駆動力とする拡散(尿素・クレアチニンなど小分子の主たる除去機構)と、(2)膜間圧(TMP)を駆動力とする限外濾過(主に除水の機構だが、対流に伴う溶媒曳送により溶質も除去し得る)である。臨床では、拡散による小分子除去と、限外濾過による除水(+対流性溶質除去)を併用して治療目的を達成する。浸透圧差は溶媒移動の概念であり透析器での溶質除去の直接原理ではない。能動輸送はATPエネルギーを要する生体膜での機構で、人工膜を介する血液透析では起こらない。逆浸透は透析用水製造(RO装置)に用いる水処理技術であり、患者血液中老廃物の除去原理ではない。
選択肢別解説
浸透圧差は主として溶媒(水)の移動を規定する概念であり、透析器における老廃物(溶質)除去の直接の駆動原理ではない。血液透析では血液・透析液は等張に調整され、溶質除去は主に拡散と限外濾過(対流)で行うため、不適切。
拡散は血液と透析液の溶質濃度差を駆動力に、半透膜を介して高濃度側から低濃度側へ溶質が移動する現象で、尿素・クレアチニンなど小分子除去の主たる原理である。血液透析の基本原理として正しい。
限外濾過は膜間圧(TMP)を駆動力に溶媒が透過し、それに伴い膜細孔を通過できる溶質が対流(溶媒曳送)で移動する現象で、主に除水に用いられつつ溶質除去にも寄与する。血液透析で用いられる原理として正しい。
能動輸送は生体膜でATP由来のエネルギーを用いて濃度勾配に逆らって行われる輸送機構で、人工半透膜を介する血液透析は受動過程(拡散・限外濾過)が原理であり該当しない。
逆浸透は高圧を加えて浸透圧に逆らい水を透過させる水処理技術で、透析用水の製造(RO装置)には用いられるが、透析器で患者血液から老廃物を除去する原理ではない。
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解説
血液透析は主として拡散(小分子の濃度勾配による移動)、限外濾過・対流(膜を介した溶質の溶媒移動に伴う運ばれ)、および吸着により、腎不全で体内に蓄積する老廃物や過剰水分を取り除く治療である。積極的に除去すべき代表は、尿素(分子量約60)とクレアチニン(約113)などの小分子の尿毒素、さらにβ2-ミクログロブリン(約11,800)などの中分子で、特にβ2-ミクログロブリンは透析アミロイドーシスの原因物質であるため高性能膜や対流成分を活用して除去が重視される。一方、重炭酸(HCO3−)は腎不全で不足しがちで、透析液から体内へ補充して代謝性アシドーシスを是正する物質であり、除去対象ではない。ヘモグロビンは赤血球内の高分子タンパクで透析膜を通過せず、除去対象ではない。
選択肢別解説
正しい。クレアチニンは小分子の尿毒素で、腎機能低下時に上昇し、血液透析で主に拡散により効率よく除去する代表的対象物質である。血中蓄積を防ぐため積極的に除去すべきである。
正しい。尿素(BUN)は最も代表的な小分子尿毒素で、拡散で除去される。透析充分性(Kt/Vなど)の指標としても評価され、積極的な除去対象である。
正しい。β2-ミクログロブリンは中分子で、長期透析患者の透析アミロイドーシスの原因物質。高透過性膜や対流(HDFなど)・吸着を活用して積極的に除去が図られる。
誤り。重炭酸(HCO3−)は腎不全で不足し代謝性アシドーシスを来すため、透析液から体内へ補充して酸塩基平衡を是正する物質であり、除去対象ではない。
誤り。ヘモグロビンは赤血球内の高分子タンパクで透析膜を通過しない。老廃物として除去すべき対象ではなく、むしろ維持・改善(腎性貧血の管理)が必要な指標である。
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