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臨床工学技士国家試験
解説
清浄化(ウルトラピュア化)した透析液を機器内で最終ろ過し、そのまま置換補充液として用いるのはオンライン血液透析濾過(online HDF)である。HDFは拡散(HD)と対流(HF)を併用し、中〜高分子量物質の除去能を高めるが、その際に多量の置換液が必要となる。online HDFでは透析装置内で透析液を二重のエンドトキシンリテンティブフィルタ等で最終精製して無菌・無発熱性を担保し、置換液として供給する。一方、HDは置換液を用いず、HFや持続的血液透析濾過(CRRTの一種)では通常は市販の滅菌補液(バッグ製剤)を用い、透析液を直接置換液としては使用しない。腹膜透析は体外循環を用いず、腹膜透析液を腹腔に注入して拡散・対流を行う療法である。
選択肢別解説
誤り。血液透析(HD)は拡散が主体であり、置換補充液は使用しない。ダイアライザを介して透析液と血液の濃度勾配により物質交換を行う。
誤り。血液濾過(HF)は対流により溶質を除去し、その分の体液を滅菌の補液(ろ過型人工腎臓用補液など)で置換するが、透析液をそのまま置換液として利用しない。
正しい。オンライン血液透析濾過(online HDF)はHDとHFを併用し、清浄化(ウルトラピュア化)した透析液を装置内で最終ろ過して無菌・無発熱性を確保したうえで置換補充液として用いる療法である。
誤り。持続的血液透析濾過(CVVHDFなどのCRRT)は低流量で長時間行うが、置換液や透析液には通常、滅菌済みの市販補液・透析液(バッグ製剤)を用い、透析装置の透析液を直接置換液として使用しない。
誤り。持続的腹膜透析(CAPD/CCPD)は患者の腹膜を半透膜として用い、腹腔内の腹膜透析液と血液との間で物質交換を行う。透析液を「置換補充液」として血液側に補充する手技ではない。
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解説
血液ガス分析用の代表的電極は、測定対象ごとに「何を信号として取り出すか」が異なる。pHはガラス膜の内外で生じる膜電位差(ネルンスト応答)を測る。$P_{\mathrm{O}_2}$ はClark電極(ポーラログラフ法)で電極間に直流電圧を印加して得られる拡散律速の還元電流を測る。$P_{\mathrm{CO}_2}$ はSeveringhaus電極で、CO2透過膜を通過したCO2が内部の緩衝液に溶解して生じるpH変化をpH電極で測る。経皮的分圧測定では皮膚を加温し局所血流を増やして動脈化させる。一方、ISFETはイオン感応膜によってゲート表面電位(しきい値電圧)を変化させ、その電位変化(あるいはそれに伴うトランジスタのチャネル電流変化)を電気的に読み出すデバイスであり、イオン感応膜を“透過したイオン電流”そのものを計測するわけではない。したがって誤りは選択肢5。
選択肢別解説
正しい。pHガラス電極はガラス膜の内外面で生じる水素イオン活量差に対応した膜電位差を測定する(ネルンストの式に従い、25℃で約59 mV/pHの感度)。よって記述は妥当。
正しい。$P_{\mathrm{O}_2}$ 測定はClark電極(白金陰極・Ag/AgCl陽極)を用い、約0.6 Vの直流電圧を印加して、膜を透過して拡散・還元される酸素に比例する定常電流(ポーラログラフ電流)を計測する。
正しい。$P_{\mathrm{CO}_2}$ 測定のSeveringhaus電極では、CO2透過膜(テフロン等)を通って内部の緩衝液に溶けたCO2が $CO_2+H_2O \rightleftharpoons H_2CO_3 \rightleftharpoons H^+ + HCO_3^-$ を生じ、その結果のpH変化を内蔵のpH電極で検出する。
正しい。経皮的血液ガス分圧(tcPO2/tcPCO2)では、プローブで皮膚を加温(一般に約40〜43℃)し血管拡張・血流増加を起こして局所を動脈化させ、動脈血に近い分圧を得る。
誤り。ISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)は、ゲート上のイオン感応膜で生じる界面電位変化を検出するポテンショメトリックセンサであり、イオン感応膜を“透過したイオン電流”を直接計測するものではない。実際にはゲート表面電位の変化として読み出し、電圧またはFETのチャネル電流の変化として計測する。
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解説
血液は非ニュートン流体であり、せん断速度に依存して見かけ粘性率が変化する(せん断速度依存性:せん断薄化)。一般に温度が上がると分子運動が活発化し、赤血球膜や血漿の内部摩擦が低下して粘性率は下がる。せん断速度が上がると赤血球の連銭形成が解離し配向が進むうえ、赤血球が管中心へ移動して血管壁近傍に血漿層(セルフリー層)が形成され、見かけ粘性率は低下する。一方、ヘマトクリット値やタンパク質(特にフィブリノーゲン)濃度の上昇は血球量増加・連銭形成促進・血漿粘度上昇を通じて粘性率を上げる。電解質濃度が高い環境では浸透圧により赤血球が脱水・硬化して変形能が下がり、粘性率は上昇しやすい。
選択肢別解説
温度が上昇すると分子運動が活発化し、血漿の内部摩擦や赤血球膜の粘弾性抵抗が低下するため、血液の粘性率は低下する。したがって「粘性率が低下する」は正しい。
電解質濃度が上昇すると浸透圧が高まり赤血球から水が出て脱水・硬化し、赤血球の変形能が低下して流動抵抗は増えるため、粘性率は上昇しやすい。よって「低下する」は誤り。
タンパク質濃度(とくにフィブリノーゲン)の上昇は血漿粘度を高め、赤血球の連銭形成を促進して流動抵抗を増やすため、粘性率は上昇する。したがって「低下する」は誤り。
ヘマトクリット値の上昇は単位体積当たりの赤血球数増加を意味し、相互干渉と内部摩擦が増すため粘性率は上昇する。よって「低下する」は誤り。
血流のせん断速度が上昇すると、赤血球の連銭形成が解離し配向が進み、さらに中心軸へ集まることで血管壁付近に血漿層(セルフリー層)が形成されるため、見かけ粘性率は低下する(せん断薄化)。したがって正しい。
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解説
慢性腎不全で維持透析中の患者は、動脈硬化や高血圧を合併しやすく末梢血管抵抗が高いことが多いため、人工心肺中は適切な臓器灌流を確保する目的で灌流圧が相対的に高めに推移・設定されることが多い。高カリウム血症は致死的不整脈の主要因であり、術前透析や希釈液のK管理、(必要に応じて)術中の血液浄化で正常域へ補正するのが基本で「高めに」維持することはない。維持透析患者は希釈に脆弱で貧血も多く、プライミングによるヘマトクリット低下を考えると無輸血体外循環は一般に容易ではない。利尿薬による尿量確保は無効なことが多く、水分・溶質管理は透析や限外濾過で行う。術中透析を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内の循環に組み込まれており、原則としてその流量分だけ送血量(全身灌流量)を上乗せする必要はない。
選択肢別解説
誤り。維持透析患者は貧血が多く、プライミングによる希釈でヘマトクリットが下がりやすい。さらに体液管理も厳密で、無輸血体外循環の成立は一般に難しい。必要に応じて濃厚赤血球で酸素運搬能を確保する。
誤り。高カリウム血症は致死的不整脈のリスクとなるため、術前透析や低Kのプライミング、術中の血液浄化などでKは正常~やや低めへ補正するのが基本であり、「高めに」維持することはない。
正しい。維持透析患者では動脈硬化・高血圧などにより末梢血管抵抗が高い症例が多く、腎・脳など臓器灌流を確保する目的で体外循環中の灌流圧は相対的に高めに設定・維持されることが多い。
誤り。維持透析患者は無尿または乏尿が多く、利尿薬の効果は乏しい。術中の体液・溶質管理は透析や限外濾過で行うのが適切で、利尿薬大量投与で自尿確保を図る方針は不適切。
誤り。術中透析(またはHF/HD)を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内で循環させる構成が一般的で、全身への送血量(適正灌流量)に透析流量分を単純加算する必要はない。加算すると過灌流や過剰希釈の危険がある。
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解説
透析監視装置は血液回路圧、ダイアライザの漏血、空気誤入、透析液の温度・電気伝導度(濃度指標)などを監視する。漏血はダイアライザの膜破損や継手不良により血液が透析液側へ漏れる事象で、排液側の光学式センサで検出される。一方、透析装置ヒータの故障は透析液温度異常(高温・低温)の原因であり、漏血の原因ではない。よって「漏血—透析装置ヒータの故障」の組合せは誤り。空気誤入は補液ラインのクランプ閉鎖忘れ等で陰圧側から空気を引き込みうる。血液側回路内圧異常は、凝固や回路閉塞で上昇し、脱血不良で低下(動脈圧がより強い陰圧化、あるいはポンプ流量維持不能)する。透析液濃度異常の監視は電気伝導度計に依存しており、その故障や電極汚染でも異常表示が発生しうる。
選択肢別解説
誤りの組合せ。漏血はダイアライザ膜破損やヘッダ部Oリング不良などで血液が透析液側へ混入する事象で、排液の光学式漏血センサで検出する。透析装置ヒータの故障は透析液温度異常(高温や低温)アラームの原因であり、漏血の原因とはならない。
妥当な組合せ。補液ラインの閉鎖(クランプ)忘れや接続不良により、陰圧がかかる回路側から空気を吸引し、空気誤入警報が作動しうる。補液バッグが空または脱落している場合は特に危険で、静脈側での気泡検出・遮断動作が求められる。
妥当な組合せ。血液凝固は回路抵抗を増大させ、特に静脈圧(ポンプ後圧)の上昇を招く。ほかにも回路の折れ曲がりや返血針閉塞でも上昇するが、血液凝固は代表的原因である。
妥当な組合せ。脱血不良(穿刺位置不良、陰圧過大、血管虚脱など)では動脈圧が低下(より強い陰圧化)して設定流量を維持できなくなり、血液側回路内圧低下の異常として検出される。
妥当な組合せ。透析液の濃度(電解質混合比)は電気伝導度で監視され、電気伝導度計の故障や電極汚染・キャリブレーション不良でも「透析液濃度異常」の警報が発生しうる(実際の濃度異常の一次原因としては原液枯渇や比例装置故障などもある)。
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解説
血液透析が代行・補助できる腎機能は主に「排泄」と「調節」である。代表例として、代謝性アシドーシスの是正(酸の排泄に相当する作用)は、血液と透析液間の拡散と重炭酸透析液によって達成される。また、過剰な体液の除去は、ダイアライザ膜を介した限外濾過(トランスメンブレン圧差を利用)で行う。一方、アミノ酸再吸収のような尿細管の選択的再吸収機能は代行できず、むしろ小分子の一部は拡散で喪失しうる。さらに、エリスロポエチン産生やビタミンDの1α水酸化など腎の内分泌機能も透析では代行できないため、貧血はESA投与、低活性型ビタミンD代謝異常は活性型ビタミンD製剤などで補う。
選択肢別解説
正しい。血液透析は拡散と重炭酸透析液により代謝性アシドーシスを是正し、酸(H+に由来する酸負荷や有機酸)の除去・緩衝を補助する。結果として腎の「酸の排泄」に相当する機能を代行する。
正しい。過剰体液は限外濾過(トランスメンブレン圧差を設定)により除去でき、循環血液量や浮腫の是正など水分調節機能を補助する。透析装置では除水量・除水速度を管理して安全に体液量を調整する。
誤り。アミノ酸の再吸収は近位尿細管の担体輸送に依存する腎固有の機能であり、血液透析では代行できない。むしろアミノ酸などの小分子は濃度勾配によりダイアライザを通って拡散し、若干喪失することがある。
誤り。腎性貧血の主因は腎でのエリスロポエチン産生低下であり、透析ではこの内分泌機能を代行できない。改善にはESA(エリスロポエシス刺激薬)や鉄補充などの薬物療法が必要で、透析自体が貧血を直接改善するわけではない。
誤り。活性型ビタミンD[1,25(OH)2D]の産生は腎近位尿細管の1α水酸化反応による内分泌機能で、血液透析では代行できない。腎不全では活性型ビタミンD製剤(例:カルシトリオール等)で補う。
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