臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
腹膜透析は腹膜(半透膜)を介して、溶質は濃度勾配による拡散で除去され、水分は主に透析液中のブドウ糖やイコデキストリンが作る浸透圧差によって腹腔側へ引き出される。除水は装置で直接「制御」するのではなく、透析液の浸透圧(濃度)や滞留時間などの設定によって結果的に決まる。腹膜カテーテルは先端が骨盤腔の最も低い位置(ダグラス窩)に留置されることで、注排液の効率がよい。標準的な腹膜透析液のカリウム濃度は0 mEq/Lであり、必要時に添加する運用である。酸性透析液は低pHやGDP(グルコース分解産物)などにより生体適合性の面で不利であり、より生体適合性の高い中性・低GDP液が用いられる。
選択肢別解説
誤り。腹膜透析の主な機序は、溶質は拡散、水分は透析液の浸透圧差(主にブドウ糖やイコデキストリン)による移動である。水圧差(膜を挟んだ機械的圧差)を外部から付与して限外濾過するのは血液透析の原理である。
誤り。標準的な腹膜透析液のカリウム濃度は0 mEq/Lである。低カリウム血症が懸念される場合には医師の指示でカリウムを添加して用いる。1.5〜2 mEq/Lが既定で配合されているわけではない。
誤り。自動腹膜灌流装置(APDサイクラー)は注入量・滞留時間・交換回数などの手技条件を制御できるが、除水量そのものを機械的に直接制御することはできない。除水は透析液の浸透圧や患者の腹膜輸送特性に依存する(手技条件は間接的に影響を与える)。
正しい。腹膜カテーテルは腹壁から腹腔内へ留置し、その先端は腹腔内で最も低位となる骨盤腔(ダグラス窩)に位置させるのが基本で、これにより注排液の効率が良くなる。
誤り。酸性透析液は低pHや加熱滅菌で生じるGDP(グルコース分解産物)などが腹膜中皮細胞に与える影響から、生体適合性に問題が指摘されている。中性・低GDP液の方が生体適合性は高い。
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解説
慢性血液透析では、透析液の清浄化が患者安全と長期合併症予防の要である。原水は前処理(軟水化・活性炭)を経て逆浸透(RO)で精製し、配管系の衛生管理と末端でのバリア(エンドトキシンカットフィルタ:ETRF)により、エンドトキシンや細菌を極力除去するのが標準的である。したがって、RO装置の使用(選択肢3)と透析監視装置(ベッドサイド機)へのETRF設置(選択肢4)は適切である。一方、重金属の水質検査は法令・学会基準で通常は年単位の定期検査であり、毎月実施は一般的基準から外れる(選択肢1)。エンドトキシン測定は定期的に行うが、毎日測定を必須とする基準は通常なく、週1回〜月1回程度など施設の管理計画に基づく(選択肢2)。透析液の組成に鉄分は含めず、鉄補充は通常静注や内服で行う(選択肢5)。
選択肢別解説
不適切。重金属汚染の確認(化学的水質検査)は法令・学会基準で年1回など年単位での定期検査が一般的で、毎月実施を求める基準ではない。毎月の検査は過剰であり、標準的管理としては適切といえない。
不適切。透析液のエンドトキシン(ET)測定は清浄化管理の一環として定期的に行うが、毎日測定を求める基準は通常ない。多くの施設では週1回〜月1回程度など、管理計画に基づく頻度で実施する。
適切。透析液製造の水精製工程では逆浸透(RO)装置が標準であり、イオン・有機物・細菌・エンドトキシンを高率に除去して高純度の透析用水を得る。
適切。配管ループの清浄化に加えて、透析監視装置の透析液入口(末端)にエンドトキシンカットフィルタ(ETRF)を設置し、エンドトキシンや微生物の末端侵入を低減して超純粋透析液を確保することが推奨される。
不適切。透析液の基本組成はNa、K、Cl、重炭酸(HCO3−)、Ca、Mg、ブドウ糖などであり、鉄分は含めない。鉄補充は通常、透析とは別に静注や内服で行う。
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