臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
透析中の低血圧は、過度の除水や透析に伴う血漿浸透圧低下(溶質の急速除去で細胞内へ水が移動し、血管内容量が減少)などで発生する。対処の基本は、静脈還流と循環血液量を速やかに回復・維持し、必要に応じて血管抵抗を補助すること。具体策として、下肢挙上は静脈還流を増やし即効的に心拍出量を支えるため有効。昇圧薬は適切な医師の指示下で血管トーンを高め血圧を補助できる。ECUM(isolated UF:溶質除去を伴わない除水)へ切り替えると、血漿浸透圧の低下を避けて血管内への補充(vascular refilling)を保ちやすく、透析低血圧の悪化を防ぎうる。一方、低Na透析は浸透圧をさらに下げ低血圧を助長するため不適切。透析時間短縮は所定除水量を保つ前提では除水速度を上げ、循環血液量低下を進める恐れがあるため不適切である。
選択肢別解説
正しい。下肢挙上により下肢の静脈血が中枢へ還流し、前負荷と心拍出量が一時的に改善する。透析低血圧の初期対応として妥当である。
不適切。除水目標が変わらないまま透析時間を短縮すると除水速度が上がり、循環血液量の低下を助長して低血圧が悪化しうる。実際には時間延長や除水量・除水速度の減量、あるいは一時停止などが推奨される。
不適切。低Na透析は血漿浸透圧を低下させ、細胞内への水移動を促し血管内容量を減らすため、低血圧を悪化させうる。必要ならば高Na透析や高張食塩水の少量投与など、浸透圧を保つ介入が選択される。
正しい。医師の指示のもとで昇圧薬(例:交感神経作動薬など)を用いると、末梢血管抵抗の増加や静脈還流の改善を通じて血圧維持に寄与する。原因対策(除水速度の調整等)と併用する。
正しい。ECUM(isolated ultrafiltration)は溶質除去を伴わないため血漿浸透圧の低下を避け、vascular refilling を保ちやすい。透析(溶質除去)による浸透圧低下が関与する低血圧の悪化を防ぎつつ、必要な除水を継続できる。除水速度は過度にならないよう調整する。
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解説
透析装置の「日常点検」は、始業・使用中・終業点検を含み、基本的に測定器を用いず外観・作動(安全装置・警報)の確認を行う。パトランプの点灯確認やバッテリ残量の確認は始業点検の典型であり日常点検に含まれる。使用中点検では患者安全の観点からバスキュラーアクセスの状態(穿刺部の出血・腫脹、スリルの消失、血流確保など)を継続的に確認する。一方、漏れ電流の測定は電気的安全試験、除水ポンプの精度確認は機能精度試験であり、いずれも測定器を用いる定期点検(保守点検)の範疇で、日常点検には含めない。
選択肢別解説
正しい。使用中点検として、バスキュラーアクセスの穿刺部の出血・腫脹、スリルや血流の確保などを確認することは患者安全上必須で、透析装置運用における日常点検(使用中点検)に含まれる。
誤り。漏れ電流の測定は電気的安全試験で、専用の測定器を用いる定期点検の項目である。日常点検(始業・使用中・終業)で実施する内容ではない。
誤り。除水ポンプの精度確認はメスシリンダやストップウォッチなどを用いる機能精度試験で、定期点検に分類される。日常点検には含まれない。
正しい。パトランプ(警報灯)の点灯・作動確認は警報装置の作動点検であり、始業点検としての日常点検項目に含まれる。
正しい。バッテリ残量の確認は停電時の警報維持・安全動作確保のための作動点検であり、始業時に行う日常点検項目に含まれる。
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