臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
腹膜透析は腹膜(半透過性の生体膜)を利用する血液浄化法である。腹腔内に注入した透析液と腹膜毛細血管血液の間に生じる濃度勾配により小分子溶質(尿素・クレアチニンなど)が主として拡散で移動し、透析液中のグルコースによる浸透圧較差を利用して水分が腹腔内へ移動する(限外濾過)。貯留時間の経過とともに溶質の濃度勾配や浸透圧勾配は減弱するため、尿素クリアランスや限外濾過量は一定ではない。また腹腔内透析液量も、水分移動やリンパ吸収の影響で時間とともに変化し一定ではない。
選択肢別解説
正しい。腹膜(半透過性の生体膜)を介して血液と透析液の間で物質・水分移動を起こす血液浄化法であり、生体膜による血液浄化法に該当する。
正しい。尿素など小分子溶質の除去は、腹腔内透析液と血液間の濃度差に基づく分子拡散が主機序である(対流成分は存在しても主ではない)。
正しい。除水(限外濾過)は透析液中のグルコースによる浸透圧較差を利用して水を腹腔側へ移動させて得られる。
誤り。腹膜透析では透析液の貯留中に濃度勾配が低下するため、尿素クリアランスは時間とともに変化し一定ではない。腹膜機能や貯留時間、透析液条件にも依存する。
誤り。腹腔内透析液量は浸透圧による水移動やリンパ吸収により経時的に変化する。高張液では初期に増加し、その後は勾配低下や吸収で減少しうるため一定ではない。
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解説
血液透析が代替できるのは腎臓の「排泄・調整機能」であり、溶質(尿素・クレアチニンなど老廃物)、電解質(特にK+)、水分の除去と酸塩基平衡の補正を行う。一方、腎臓の内分泌機能(エリスロポエチン産生、ビタミンDの活性化)は透析では代替できない。そのため本設問では、薬物の一部除去とカリウム除去が透析で代替される機能で正答となり、重炭酸イオンはむしろ体内へ補充してアシドーシスを是正する点が重要である。
選択肢別解説
正しい。血液透析は分子量が比較的小さく、蛋白結合率が低く、水溶性で分布容積の小さい薬物を拡散(および一部対流)で除去しうる。すべての薬物ではないが、腎不全で低下した腎排泄機能の一部を代行する。
正しい。高カリウム血症に対して、透析液中K濃度(一般に2.0 mEq/L前後)との濃度勾配を利用した拡散で血清K+を除去できる。超濾過に伴う対流でも一部除去され、腎の電解質調整機能の代替となる。
誤り。エリスロポエチン産生は腎の内分泌機能(主に腎皮質間質のEPO産生細胞)であり、透析では代替不可。腎性貧血にはエリスロポエチン刺激薬(ESA)などの薬物療法を用いる。
誤り。ビタミンDの活性化(25(OH)Dから1,25(OH)2Dへの1α水酸化)は腎臓の内分泌機能で、透析で代替できない。慢性腎不全では活性型ビタミンD製剤(例:カルシトリオール等)を投与して補う。
誤り。腎不全では代謝性アシドーシスに傾くため、重炭酸イオンは除去ではなく透析液から血中へ補充して酸塩基平衡を是正する(重炭酸透析)。従って「重炭酸イオンの除去」は透析の目的・実際と逆である。
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解説
血液透析は主に拡散と限外濾過により、尿毒素・カリウムなどの小分子溶質除去、水分調整、そして重炭酸透析液による酸塩基補正を行う。そのため、透析セッション自体で速やかに改善できる病態は、高カリウム血症(Kの拡散除去)と代謝性アシドーシス(重炭酸の補充と酸性物質の除去)である。一方、腎性貧血や二次性副甲状腺機能亢進症は腎の内分泌機能低下に由来し、低栄養は多因子性で透析が直接代行できる機能ではないため、透析単独では改善しない。
選択肢別解説
低栄養は食欲不振、炎症、たんぱく異化亢進、食事制限、透析によるアミノ酸・水溶性ビタミン喪失など多因子性であり、透析自体の膜分離で直接改善する病態ではない。栄養介入や炎症是正などが必要。よって誤り。
腎性貧血の主因は腎でのエリスロポエチン産生低下であり、透析で代行できない内分泌機能に属する。透析で尿毒症環境が改善しても不十分で、エリスロポエチン製剤や鉄補充が必要。よって誤り。
高カリウム血症は透析中に低K透析液との濃度勾配によりKが血中から透析液側へ拡散し、短時間で改善する。血液透析の治療自体で改善される病態として正しい。
代謝性アシドーシスは重炭酸透析液からHCO3−が血中へ補充され、乳酸・有機酸など酸性物質が拡散除去されることで是正される。透析自体で改善される病態として正しい。
二次性副甲状腺機能亢進症は高P血症、低Ca血症、ビタミンD活性化障害などによりPTH過剰分泌・腺体過形成を来す内分泌・骨代謝異常で、透析単独では是正困難。リン管理(食事・リン吸着薬)、活性型ビタミンD、カルシミメティクス、場合により副甲状腺摘出が必要。よって誤り。
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