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臨床工学技士国家試験
解説
体外循環の血液希釈は、プライミング液(多くは晶質液やコロイド液)により血液粘性と膠質浸透圧を低下させる手法である。主な利点は、血液粘性低下による末梢血管抵抗の低下と微小循環の改善、ポンプ・回路で受ける剪断応力の低減による溶血軽減である。一方、膠質浸透圧が低下すると血管内から間質への水移動が促進され、組織浮腫の原因となり得る。血液希釈では赤血球が減少するため酸素運搬能が低下する点に留意が必要で、酸素含量は $\mathrm{CaO_2}=1.34\times Hb\times SaO_2+0.003\times PaO_2$、酸素供給は $\mathrm{DO_2}=Q\times CaO_2$ で表される。過度の希釈は避け、成人では一般に Hb 7 g/dL以上(Hct 20%程度以上)を下限の目安とする。代謝面では、希釈により末梢循環が改善し組織の酸素負債が軽減されることで、代謝性“アシドーシス”の改善が期待されるのであって、代謝性アルカローシスを軽減するという説明は不適切である。
選択肢別解説
正しい。血液希釈により血液粘性が低下し、流体抵抗が減少するため、全身(末梢)血管抵抗は低下する。一定拍出量での灌流圧低下や血流再分配にも影響する点に留意する。
誤り。希釈による末梢循環の改善で軽減が期待されるのは代謝性アシドーシスであり、代謝性アルカローシスを軽減するという表現は不適切である。過度の希釈は緩衝能低下も招き得るため、酸塩基平衡の管理は別途必要である。
誤り。Hct 30%を“下限”とするのは高すぎる。一般的な成人の許容下限の目安は Hb 7 g/dL以上、Hct 20%前後以上とされる(年齢、温度、合併症、冠動脈疾患の有無などで個別調整する)。
正しい。血液希釈、とくに晶質液主体のプライミングでは膠質浸透圧が低下し、毛細血管から間質への水移動が促進されるため、組織浮腫の原因となり得る。体外循環に伴う炎症性透過性亢進も浮腫に拍車をかける。
正しい。希釈で血液粘性が低下すると回路・ポンプ内での剪断応力や乱流が減少し、赤血球の機械的損傷(溶血)が軽減されやすい。適正流量・陰圧管理と併せることで溶血リスク低減に寄与する。
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解説
人工心肺ではプライミング液(多くは晶質液)で循環血液が希釈され、ヘマトクリットとヘモグロビンが低下する。これにより血液粘性は下がり、膠質浸透圧も血漿タンパクの希釈で低下する。赤血球濃度と粘性が下がることは機械的ストレスを相対的に減らし、溶血のリスクを抑える方向に働く。一方、酸素運搬能はヘモグロビン濃度に依存するため、同一灌流量であれば希釈により低下する。人工心肺ではしばしば低体温・アルカローシスが併用され、酸素解離曲線は左方へ移動しやすい(ヘモグロビンの酸素親和性が増す)が、これは血液希釈そのものの直接効果ではない。したがって「酸素運搬能が増加する」は誤り。
選択肢別解説
正しい。血液希釈によりヘマトクリットが下がると、全血粘性は低下する。粘性低下は末梢循環抵抗の低下や灌流性の改善に寄与するが、極端な希釈では酸素運搬が不足し得る。
正しい。血漿タンパク(主にアルブミン)が希釈されるため膠質浸透圧は低下し、組織浮腫のリスクが上がる。必要に応じてアルブミンや人工膠質で補正することがある。
誤り。酸素運搬能は主にヘモグロビン量に依存し、血液希釈でヘモグロビンが低下するため減少する。動脈酸素含量は概ね CaO2 $= 1.34\times Hb\times SaO2 + 0.003\times PaO2$ で表され、Hb低下はCaO2低下を招く。一定灌流量(血流)なら酸素供給量 DO2 $= CaO2\times Q$ も低下する。
正しい。希釈により赤血球濃度と血液粘性が下がり、回路・ポンプで受ける機械的せん断や赤血球同士の衝突が相対的に減少するため、溶血は抑制されやすい。ただし過度の陰圧吸引や高回転など他要因があれば溶血は起こり得る。
正しい(人工心肺臨床で一般にみられる現象)。人工心肺では低体温や相対的アルカローシスが併用されやすく、これらは酸素解離曲線を左方移動させてヘモグロビンの酸素親和性を高める。なお、左方移動は血液希釈そのものの直接効果ではない点に留意する。
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解説
体外循環では回路充填液(主に晶質液や必要に応じて膠質液)で血液を希釈し、ヘマトクリット/ヘモグロビンを低下させる。これにより血液粘性が低下して微小循環が保たれ、ポンプ・酸素ator内の剪断応力や乱流の影響が緩和されるため溶血リスクの低減が期待できる。また、希釈によって同種血輸血に頼らずに循環血液量を確保でき、輸血量の節減に資する。一方で赤血球濃度低下により酸素運搬能は下がり、晶質液主体の希釈では血漿蛋白が薄まって膠質浸透圧は低下しうる。したがって『輸血量の減少』『溶血の軽減』が目的として適切であり、『血液粘性の増加』『酸素運搬能の増加』『膠質浸透圧の上昇』は目的に反するか、起こりにくい。
選択肢別解説
誤り。血液希釈はヘマトクリット低下により血液粘性を低下させるのが目的であり、粘性の『増加』ではない。粘性低下により流動性が改善し、微小循環やポンプ送血を有利にする。
誤り。希釈でヘモグロビン濃度が下がるため単位容積当たりの酸素運搬能は低下する。体外循環中は送血量調整等で全身酸素供給を補うことはあるが、『増加させること』自体が希釈の目的ではない。
正しい。回路充填に晶質液や(必要に応じ)膠質液を用いて循環血液量を確保することで、同種血輸血に依存せずに済む場面が増え、総輸血量の節減につながる。
正しい。希釈により血液粘性と剪断応力が下がり、ポンプ・酸素ator内での機械的損傷が抑えられて溶血の発生を軽減できる。過度な希釈は別の不利益を招くが、適正範囲での希釈の狙いとして妥当。
誤り。晶質液主体の希釈では血漿蛋白が薄まり膠質浸透圧はむしろ低下し、組織浮腫のリスクとなる。膠質液を併用しても一般に『上昇させる』ことを目的とはしない。
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解説
人工心肺を用いた体外循環では、カニューレ挿入前に十分な抗凝固(ヘパリン投与)を行い、ACTをおおむね400~480秒以上に維持して血栓形成を確実に防ぐことが基本である。完全体外循環とは、全身循環が人工心肺に完全に依存し、心臓からの自発拍出が循環維持に寄与していない状態を指す。希釈の許容下限は酸素運搬能を保つ観点から一般にHb約7 g/dL(Ht約20%)程度とされ、10 g/dLは“限界”としては高すぎる。復温時は急速加温に起因するタンパク変性や気泡形成のリスクを避けるため、送血温と脱血温の温度較差を10℃以内に管理し、加温側の温水は42℃を超えないようにするのが安全管理上の要点である。
選択肢別解説
誤り。ヘパリンは送脱血カニューレ挿入前に投与し、十分な抗凝固を確立してから挿入する。一般に200~300 U/kg程度を投与し、ACTがおおむね400~480秒以上であることを確認して手技を進める。挿入後の投与では回路内やカニューレ周囲で血栓形成を招きうる。
誤り。体外循環中のACT目標は血液凝固を十分に抑制できる水準(おおむね400~480秒以上)で管理する。150~250秒は低すぎ、CPB中の抗凝固として不十分で血栓形成リスクが高い。
誤り。完全体外循環は“血液循環を人工心肺が全て担っている状態”を指す定義であり、単に目標灌流量が得られているか否かでは規定されない。心拍出が残存し人工心肺と併用で循環を維持する状態は部分体外循環である。
誤り。血液希釈の許容下限は一般にHb約7 g/dL(対応するHt約20%)程度とされる。10 g/dLは安全域としては問題ないが、“希釈限界”とする値としては高すぎる。酸素運搬能(DO2)と粘稠度のバランスを踏まえ、過度の希釈は避けつつも必要十分な範囲で管理する。
正しい。復温灌流中は送血温と脱血温の温度較差を10℃以内に制御し、急速加温を避ける。タンパク変性や微小気泡発生の抑制のため、加温側の温水温度は42℃以下、血液の出口温は概ね40℃を超えないよう管理するのが一般的である。
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解説
人工腎臓装置(血液透析/血液濾過/血液透析濾過)で血液浄化に直接用いられる主要原理は、半透膜を介した濃度勾配による拡散(小分子の除去)と、膜をまたぐ圧力差(TMP)による限外濾過(除水・対流)である。膜素材によっては中分子量物質などを膜表面・内部に吸着して除去に寄与する場合もある。一方、電気分解や沈殿はダイアライザ内の浄化機序としては用いられない。電気分解は電流で物質を化学分解する操作であり血液浄化の原理ではない(電気透析と混同しないこと)。沈殿は試薬添加などで溶質を不溶化して分離する操作で、体外循環中の血液処理としては不適切であり採用されていない。したがって誤っている原理は「電気分解」と「沈殿」である。
選択肢別解説
誤りの選択肢。電気分解は電流により化学種を酸化・還元して分解する操作であり、ダイアライザ内での溶質除去・除水の原理には用いられない。血液に電流を通して分解を行うことは安全上も不適切で、人工腎臓装置の原理ではない(電気透析とは別概念)。
正しい原理。限外濾過は半透膜に圧力差(TMP)を与えて溶媒(水)と一部溶質を対流的に移動させる機序で、除水や血液濾過(HF)、透析濾過(HDF)で不可欠である。人工腎臓装置で広く用いられており、誤りではない。
正しい原理。膜素材(例: PMMA、AN69 など)には吸着特性を持つものがあり、中分子量尿毒素(例: $\beta_2$MG など)の除去に寄与する。吸着はダイアライザで利用される補助的機序であり、誤りではない。
正しい原理。拡散は半透膜を介して濃度勾配に従い溶質が移動する自然現象で、尿素やカリウムなど小分子の除去に利用される。人工腎臓装置の基本原理の一つであり、誤りではない。
誤りの選択肢。沈殿は溶質を不溶化して析出・分離する操作で、ダイアライザにおける血液浄化の原理ではない。体外循環中に沈殿を起こすことは望ましくなく、人工腎臓装置では採用されていない。
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解説
遠心ポンプは非閉塞型・後負荷依存の連続流ポンプで、回転数が同じでも前負荷・後負荷(回路抵抗やカニューレ抵抗)の変化で流量が大きく変わる。そのため流量は回転数だけで精密制御せず、流量計で実測管理する。一方、正圧・陰圧の発生能力はローラポンプ(容積移送型)に比べて限定され、送血側が閉塞しても危険な高圧が生じにくく回路破裂リスクは低い。吸引側でも前負荷が低下すると流量が低下する方向に働くため、過度の陰圧は生じにくい。また停止時には非閉塞構造のため逆流が起こり得るので鉗子や逆流防止の対策が必要。血液への機械的ストレスもローラポンプより小さく、溶血は少ない。以上より、設問では3と4が正しい。
選択肢別解説
誤り。遠心ポンプは前負荷・後負荷依存性が高く、同一回転数でも回路抵抗や貯血槽液面で流量が大きく変動する。回転数だけで容易・正確に流量制御はできず、血流計による監視が必須である。
誤り。遠心ポンプは非閉塞型であり、停止時や低回転時には圧力差・高低差により逆流が生じ得る。運用上は送血・脱血ラインの鉗子や逆流防止弁で対策する。
正しい。遠心ポンプは送血側が閉塞しても高い閉塞圧を発生しにくく、ローラポンプのように危険な高圧で回路破裂に至るリスクは低い(ゼロではないが著しく小さい)。
正しい。入口側(前負荷)が不足・狭窄になると遠心ポンプは流量が低下する方向に働き、ローラポンプのような強い吸引がかかりにくい。したがって過度の陰圧(サクション)は生じにくい。
誤り。遠心ポンプはローラポンプに比べ血液へのせん断・圧迫ストレスが小さく、一般に溶血は少ない。
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解説
人工心肺中の送血流量は、患者の代謝需要(体温、酸素消費、血圧、血液ガス、乳酸動態など)に合わせて調整する。復温が進むほど代謝と酸素需要が増加するため、十分な酸素供給(DO2)を確保する目的で送血流量を上げるのが基本である。これに対して、脱血不良時は静脈還流が不足してリザーバ残量が低下するため、送血を上げると空気混入や回路空転の危険が高まるので送血は下げて還流に合わせる。大動脈遮断(クロスクランプ)や解除の場面では大動脈や心筋への負担、脱気・還流再開のコントロールのため、送血は一時的に抑えて調整する。大動脈解離の発生時は解離進展や偽腔灌流を避けるため、送血は直ちに減量または停止して対処する。従って、送血流量を積極的に上げるべき場面は復温時である。
選択肢別解説
誤り。脱血不良時は静脈還流不足でリザーバ残量が低下するため、送血を上げると回路空転・空気混入の危険が増す。送血流量は還流量に合わせて減量し、脱血カニュラ位置調整、陰圧補助、体位調整、静脈容量確保などで還流を改善する。
誤り。大動脈遮断時は大動脈への機械的負担や大動脈圧の急上昇を避けるため、遮断の瞬間は送血を一時的に抑えて調整することが多い(必要に応じて段階的に目標流量へ)。送血を上げる場面ではない。
誤り。大動脈遮断解除時は再灌流・脱気・血圧変動への対応が必要で、一般に一時的に送血を下げてコントロールし、その後段階的に調整する。急に送血を上げると大動脈や心筋への負担、脱気不十分のリスクが高まる。
正しい。復温時は体温上昇に伴い代謝・酸素需要が増大するため、十分なDO2を確保する目的で送血流量を上げて適正灌流を維持する。通常は体表面積当たりの目標流量を指標に、血圧・血液ガス・乳酸などを見ながら増量する。
誤り。大動脈解離が発生した場合は解離の進展や偽腔灌流を避けるため、送血を直ちに減量または停止し、カニュラ位置確認・再カニュレーション等の対処を行う。送血を上げることは危険である。
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解説
臓器機能代替療法は、急性期に低下・喪失した臓器機能を機器で補助・代行して全身状態を維持する治療であり、ICUで広く用いられる。代表は呼吸不全に対する人工呼吸器(呼吸・換気の代行)、腎不全に対する血液浄化装置(腎代替療法:RRT)、重篤な呼吸・循環不全に対する体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS:ガス交換と場合により循環補助)である。一方、スワンガンツカテーテルは血行動態を測定する監視(モニタリング)機器であり臓器機能を代行しない。人工知能は診療支援のためのアルゴリズム・ソフトウェアであり、生体機能を直接代行する装置ではない。よって該当するのは1、2、5である。
選択肢別解説
人工呼吸器は自発呼吸が不十分な患者に対し、換気(吸気・呼気)を機械的に提供して肺のガス交換機能を代行・補助する。集中治療での臓器機能代替療法に該当するため適切。
血液浄化装置は血液透析・持続的腎代替療法(CRRT)などにより溶質除去や除水を行い、主に腎機能を代行する(状況により肝補助の吸着療法等もある)。ICUの臓器機能代替療法に該当するため適切。
スワンガンツカテーテル(肺動脈カテーテル)は肺動脈圧・肺動脈楔入圧・心拍出量などの血行動態を測定するモニタリング機器であり、臓器機能を代行しないため不適切。
人工知能は診断支援や予測モデルなどの情報支援を提供するが、生体のガス交換・循環・ろ過などの臓器機能を直接代行する装置ではないため不適切。
体外式膜型人工肺(ECMO/ECLS)は膜型人工肺でガス交換を行い、回路とポンプにより循環補助も可能で、重篤な呼吸不全や循環不全に対する臓器機能代替療法として用いられるため適切。
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解説
体外循環中は回路内血栓形成を防ぐため、全身ヘパリン化でACTを十分高値(一般に400〜600秒程度)に維持する。ヘパリンコーティング回路は接触活性化の低減に寄与するが、体外循環中の全身ヘパリン投与量を「半減」できる根拠はなく、標準投与を基本とする。ヘパリン中和に用いるプロタミンは、急速投与で血管拡張・ヒスタミン遊離等により低血圧を起こし得るため、血圧上昇が起こるという理解は不適切である。また、プロタミン自体に軽度の抗凝固作用があるため、過量投与は出血傾向を助長し得るので避ける。さらに、プロタミン投与後は術野の血液が非ヘパリン化となるため、これを人工心肺回路に吸引・回収すると回路内凝固の危険がある。したがって、正しいのは選択肢4である。
選択肢別解説
誤り。体外循環中のACTは一般に400〜600秒程度へ維持するのが標準であり、200秒以下では凝固能が高く回路内血栓形成や酸素ator閉塞の危険が増す。
誤り。ヘパリンコーティング回路は抗血栓性の向上に寄与するが、体外循環中の全身ヘパリン投与量を一律に半減できるという根拠はない。標準的な全身ヘパリン化(十分なACT確保)が必要である。
誤り。プロタミン投与は急速投与などでヒスタミン遊離や血管拡張を介して低血圧(プロタミン反応)を来し得る。血圧上昇を期待する薬剤ではない。安全のため緩徐投与とモニタリングが必要。
正しい。プロタミンはヘパリン中和作用に加え、血小板機能やフィブリン形成に影響して軽度の抗凝固作用を示すため、過量投与は出血傾向を増悪させ得る。ゆえに中和量の過量投与は避ける。
誤り。プロタミン投与後は術野の出血は非ヘパリン化血となり、これを回路に吸引・回収すると回路内で凝固するリスクがある。プロタミン投与の段階で心腔吸引は停止し、必要ならセルセーバー等で別途処理する。
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