臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
腹膜透析(PD)の主な合併症は、感染(腹膜炎、カテーテル出口部感染・トンネル感染)、機械的合併症(腹腔内リーク、ヘルニア、カテーテル偏位・排液不良)、代謝性合併症(高血糖・脂質異常)に加え、長期例での被嚢性腹膜硬化症(EPS)などである。血液透析(HD)に比べPDは循環動態への負荷が小さく、急速除水を行わないため「血圧の急激な低下」はHDで問題となりやすいがPDでは一般的ではない。スチール症候群や(正しくは)ソアアーム症候群は血液透析用バスキュラーアクセス(内シャント等)に関連する合併症であり、PDそのものの合併症ではない。一方、カテーテル出口部感染はPD特有の感染リスクであり、EPSは長期PDで生じうる重篤な晩期合併症である。従って正答は4・5である。
選択肢別解説
誤り。腹膜透析は緩徐な体液除去で循環動態への影響が小さく、急速除水による血圧の急激な低下は血液透析で問題となりやすい。PDでも過度の除水や脱水で低血圧は起こり得るが、一般的・代表的なPD合併症とは言い難い。
誤り。スチール症候群は動静脈シャント作成に伴う末梢虚血(盗流)による血液透析アクセス合併症であり、腹膜透析患者に特有の合併症ではない。
誤り。記載の『ソアサム症候群』は誤記と考えられ、正しくは血液透析アクセス関連の『ソアアーム症候群(sore arm syndrome)』で、上肢静脈の狭窄・高静脈圧に伴う痛み・腫脹などを呈する。PDの合併症ではない。
正しい。腹壁を貫くPDカテーテルは皮膚常在菌等による汚染リスクがあり、出口部感染やトンネル感染が生じやすい。管理不良では腹膜炎へ進展し得るため、日常の出口部ケアが重要である。
正しい。被嚢性腹膜硬化症(EPS)は長期PDで腹膜の高度線維化・硬化と腸管被覆(被嚢化)により腸閉塞様症状を呈する重篤な晚期合併症である。長期治療歴、繰り返す腹膜炎、高浸透圧液の使用歴などがリスクとされる。
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解説
高気圧酸素治療(HBO)はヘンリーの法則に基づき、加圧環境下で酸素分圧を高めて血中溶存酸素量を増やし、低酸素組織の酸素供給を改善する治療である。装置の区分では、第2種装置(多人数用・多室式)は空気でチャンバを加圧し、患者はマスクやフードで酸素を吸入するため、選択肢1は正しい。減圧症の治療は再圧(リコンプレッション)下での酸素吸入(酸素再圧法)を用いることが標準であり、選択肢4も正しい。装置内では酸素分圧上昇により火災・爆発リスクが高まるため、引火性の高いアルコールによる消毒を装置内で行うことは不適切で、選択肢2は誤り。また、使い捨てカイロは酸化反応により発熱し発火源となり得るため持ち込み禁止で、選択肢3は誤り。生体情報モニタ(心電図など)は、防爆・耐圧等の安全対策を満たす方式・機器を用いれば実施可能であり、選択肢5は正しい。
選択肢別解説
正しい。第2種装置(多人数用チャンバ)はチャンバ自体の加圧媒体として空気を用い、患者はマスクやフードで酸素を吸入する運用が原則である。
誤り。高圧・高酸素環境ではアルコールは引火・爆発リスクが高く、装置内での使用は原則として避ける。装置内の清拭・消毒は、非可燃性の薬剤や十分な換気・乾燥など安全対策下で行う必要がある。
誤り。使い捨てカイロは酸化反応で発熱し発火源となり得るため、酸素分圧が高い環境では持ち込み禁止。保温は防寒衣や毛布など非発火性の方法で行う。
正しい。減圧症は体内に過飽和となった窒素気泡が関与するため、再圧下で純酸素を吸入する酸素再圧法により窒素の再溶解・排出を促進し症状改善を図る。
正しい。心電図モニタは、高気圧環境対応・防爆対策を満たす機器または適切な隔離・貫通端子を用いるなど安全対策の下で実施可能である。
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解説
人工呼吸管理では生理的な鼻咽頭での加温加湿機能がバイパスされるため、適切な加温加湿が必要となる。人工鼻(HME)は呼気の熱と水分を回収して吸気に戻す受動加湿で、内部容積ぶん器械的死腔を増やし、分泌物で目詰まりしやすい。一方、加温加湿器は能動的に十分な温湿度を供給できるが、設定や管理によっては過加温・過加湿や回路内結露(特にヒータワイヤなし回路)を招くことがある。HMEと加温加湿器の併用は過加湿や抵抗増大などのリスクがあるため原則行わない。気道粘膜熱傷リスクは、加温加湿器の方が高く、HMEの方が低い。これらの特性から本問の正答は3、4、5である。
選択肢別解説
誤り。人工鼻(HME)を回路に挿入するとその内部容積が器械的死腔として加わるため、死腔は増加する。特に一回換気量が小さい症例では換気効率低下の原因となる。
誤り。加温加湿器と人工鼻の併用は過加湿、回路抵抗の増加、HMEの目詰まり・抵抗上昇を招くため原則禁忌である。十分な加湿は適切に管理された加温加湿器単独で達成できる。
正しい。人工鼻(HME)は呼気の熱と水分を再利用する受動加湿であり、吸気ガスを高温に加熱する機構を持たないため、加温加湿器に比べて気道粘膜熱傷のリスクは低い。
正しい。気道分泌が多いとHMEは目詰まりし抵抗が増すため不適。高い加湿能力で分泌物の粘稠性低下を期待でき、回路抵抗も増やしにくい加温加湿器を選択する。
正しい。ヒータワイヤを持たない回路では、加温加湿器からの高温高湿ガスが回路内で冷却され、飽和水蒸気量の低下により結露(いわゆる雨降り現象)が生じやすい。ヒータワイヤは回路内温度を保ち結露抑制に寄与する。
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解説
鎖骨下静脈への透析用カテーテル挿入時は、穿刺針やガイドワイヤ、カテーテル先端による解剖学的構造の損傷が主因の即時合併症が問題となる。代表例は、胸膜・肺を誤穿刺して起こる気胸、血管損傷に伴う出血性合併症(縦隔内への出血で縦隔血腫となることがある)、ガイドワイヤやカテーテル先端が心腔を刺激して誘発される不整脈である。一方、敗血症はカテーテル関連血流感染として留置後に生じやすく、上大静脈症候群は血栓や狭窄などの慢性的変化に起因するため挿入時の合併症とは言い難い。よって挿入“時”の合併症として適切なのは、縦隔血腫、気胸、不整脈である。
選択肢別解説
正しい。穿刺やガイドワイヤ操作で鎖骨下静脈・上行胸静脈・上大静脈など縦隔内血管を損傷すると、縦隔内に出血が貯留して縦隔血腫を来しうる。刺入部の血腫や血胸として現れる場合もあるが、縦隔内への出血も挿入直後に起こり得る即時合併症である。
正しい。鎖骨下アプローチでは胸膜・肺の誤穿刺により気胸を生じやすい。呼吸困難、患側呼吸音減弱、胸部X線での含気低下などで確認する。適切な刺入点・角度の選択や超音波活用(内頸では有用)でリスク低減を図る。
誤り。カテーテル関連血流感染(CLABSI)による敗血症は不潔操作や長期留置に伴う遅発合併症であり、挿入“時”に発生する合併症とは通常みなさない。
誤り。上大静脈症候群は腫瘍や慢性的な血栓・狭窄による静脈還流障害で、中心静脈カテーテル長期留置に伴って起こりうるが、挿入直後の合併症ではない。
正しい。ガイドワイヤやカテーテル先端が右心房・右心室を機械的に刺激して期外収縮や心房頻拍などの不整脈を誘発することがある。心電図モニタ下で先端位置を適切に調整し、刺激があれば軽度牽引で改善する。
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解説
医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき、医療機器はリスクに応じて一般医療機器(クラスI)、管理医療機器(クラスII)、高度管理医療機器(クラスIII・IV)に分類される。人工呼吸器、人工心肺装置、輸液ポンプ、除細動器はいずれも重篤な転帰に直結し得るため高度管理医療機器(多くはクラスIIIまたはIV)に位置づけられる。一方、自動電子式血圧計は管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。したがって「高度管理医療機器でない」ものは自動電子式血圧計である。
選択肢別解説
人工呼吸器は生命維持に直結する機器で、重大な危害を招き得るため高度管理医療機器(クラスIIIまたはIV)に分類される。よって設問の「高度管理医療機器でない」には該当しない。
人工心肺装置は循環・呼吸機能を代行する極めて高リスク機器であり、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
自動電子式血圧計は一般に管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。よって本問で問う「高度管理医療機器でない」に該当する。
輸液ポンプは薬液や輸液を一定速度で体内に注入する機器で、過量・過少投与が重篤な転帰につながり得るため、高度管理医療機器(多くはクラスIII)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
除細動器は致死的不整脈に対し電気ショックを与える高リスク機器で、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。よって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
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解説
人工心肺の充填液・補助薬剤は、血液希釈、浸透圧・膠質浸透圧の調整、抗凝固、酸塩基平衡の補正といった目的で使い分ける。乳酸加リンゲルは晶質液として充填時の血液希釈に用いられ、マニトールは浸透圧利尿薬として浸透圧維持や利尿目的に用いられる。アルブミンは膠質浸透圧を補い血管内水分を保持し、ヘパリンは体外循環中の抗凝固に必須である。重炭酸ナトリウムは塩基負荷により代謝性アシドーシスの補正に用いる薬剤であり、アルカローシス(アルカリ血症)の補正には用いないため、『重炭酸ナトリウム—アルカローシスの補正』は誤りである。
選択肢別解説
乳酸加リンゲル液は細胞外液組成に近い晶質液で、回路充填時に血液希釈(ヘマトクリット低下)を目的として用いられる。組合せは適切である。
マニトールは浸透圧利尿薬で、浸透圧の維持・上昇による利尿促進や腎保護、組織浮腫の軽減に用いられる。『浸透圧の調整』として妥当な組合せである。
重炭酸ナトリウム(NaHCO3)は塩基の投与により代謝性アシドーシスの補正に用いる。アルカローシスの補正に用いる薬剤ではなく、むしろアルカローシスを増悪させ得るため、この組合せは誤りである。
アルブミンは血漿膠質として膠質浸透圧を保持し、血管内水分の維持や浮腫の抑制に寄与する。組合せは正しい。
ヘパリンは抗凝固薬であり、体外循環中の血液凝固を抑制して凝血塊形成を防ぐ。『血液凝固能の低下』という効果の記載は適切である。
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