臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
生体組織の導電率は主に水分含有量と電解質濃度、温度に依存する。血液のように水・電解質が豊富なものは温度上昇でイオン移動度が増し、血漿粘度も低下するため導電率は上がる。一方、皮下脂肪は水・電解質が少なく疎水性であるため導電率が低く、実質臓器で水分の多い肝臓より明らかに小さい。生体の電気特性は周波数によって変化(分散)し、$\beta$分散は細胞膜による界面分極(Maxwell–Wagner効果)に由来してkHz〜MHz帯に現れる。$\gamma$分散は水分子の誘電緩和に起因し、数十GHz帯(約20 GHz付近)で顕著である。静止電位は細胞内外のイオン濃度差と膜の選択的透過性によって生じ、Na\+/K\+-ATPアーゼなどの能動輸送がその濃度勾配を維持している。したがって誤りは「皮下脂肪の導電率は肝臓より高い」である。
選択肢別解説
正しい。血液は電解質を多く含み、温度が上がるとイオン移動度の増加と粘度低下により電気抵抗が減少し、導電率は上昇するため温度依存性がある。
誤り。脂肪組織は水・電解質含有が少ないため導電率が低い。水分が多い実質臓器である肝臓の方が皮下脂肪より導電率は高い。
正しい。$\beta$分散は細胞膜と細胞内外液の層状構造に起因する界面分極(Maxwell–Wagner型分極)で、数kHz〜十数MHz帯で顕著に現れるため、細胞の組織構造に依存する。
正しい。$\gamma$分散は水分子の誘電緩和(外部電場への配向が追従できなくなる緩和現象)に起因し、数十GHz帯(およそ20 GHz付近)で見られる。
正しい。静止電位は細胞内外のイオン濃度差と膜の選択的透過性により生じる。Na\+/K\+-ATPアーゼなどの能動輸送はその濃度勾配を維持し、結果として静止電位が保たれる。
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解説
血液は非ニュートン流体であり、せん断速度に依存して見かけ粘性率が変化する(せん断速度依存性:せん断薄化)。一般に温度が上がると分子運動が活発化し、赤血球膜や血漿の内部摩擦が低下して粘性率は下がる。せん断速度が上がると赤血球の連銭形成が解離し配向が進むうえ、赤血球が管中心へ移動して血管壁近傍に血漿層(セルフリー層)が形成され、見かけ粘性率は低下する。一方、ヘマトクリット値やタンパク質(特にフィブリノーゲン)濃度の上昇は血球量増加・連銭形成促進・血漿粘度上昇を通じて粘性率を上げる。電解質濃度が高い環境では浸透圧により赤血球が脱水・硬化して変形能が下がり、粘性率は上昇しやすい。
選択肢別解説
温度が上昇すると分子運動が活発化し、血漿の内部摩擦や赤血球膜の粘弾性抵抗が低下するため、血液の粘性率は低下する。したがって「粘性率が低下する」は正しい。
電解質濃度が上昇すると浸透圧が高まり赤血球から水が出て脱水・硬化し、赤血球の変形能が低下して流動抵抗は増えるため、粘性率は上昇しやすい。よって「低下する」は誤り。
タンパク質濃度(とくにフィブリノーゲン)の上昇は血漿粘度を高め、赤血球の連銭形成を促進して流動抵抗を増やすため、粘性率は上昇する。したがって「低下する」は誤り。
ヘマトクリット値の上昇は単位体積当たりの赤血球数増加を意味し、相互干渉と内部摩擦が増すため粘性率は上昇する。よって「低下する」は誤り。
血流のせん断速度が上昇すると、赤血球の連銭形成が解離し配向が進み、さらに中心軸へ集まることで血管壁付近に血漿層(セルフリー層)が形成されるため、見かけ粘性率は低下する(せん断薄化)。したがって正しい。
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解説
正答は2と3。立位では血液に重力による水頭圧が加わるため、同一人でも測定部位の高さ差で平均動脈圧は変化する(1は誤り)。動脈圧のピーク(主に収縮期圧)は、脈波の反射とパルス圧増幅の影響で部位により異なり、一般に中心から末梢に向かって収縮期ピークは高くなる傾向がある(2は正しい)。脈波伝搬速度は血管壁の硬さに依存し、Moens–Kortewegの近似式 $\text{PWV} \approx \sqrt{\frac{E\,h}{\rho\,D}}$ より弾性率Eが大きい(硬い)ほどPWVは大きくなる(3は正しい)。四肢静脈の流れは筋ポンプ、呼吸性変動、静脈弁の作用で時間的に変動する非定常流であり(4は誤り)、収縮期血圧は拍出で動脈が最も拡張した時点の最大血圧で、動脈径が最小となる拡張期末の圧ではない(5は誤り)。
選択肢別解説
誤り。安静立位では重力の影響で測定高さが心臓より低ければ水頭圧 $\Delta P=\rho g h$ だけ高く、高ければ低くなる。よって平均動脈圧は測定部位(高さ)に依存して同じにはならない。
正しい。脈波は血管分岐や末梢抵抗で反射し、入射波と干渉して収縮期ピーク(パルス圧)が変化する。一般に末梢(橈骨動脈など)では中心(大動脈)より収縮期ピークが高くなる傾向があり、部位によりピーク値は異なる。
正しい。Moens–Kortewegの式 $\text{PWV} \approx \sqrt{\frac{E\,h}{\rho\,D}}$ より、血管壁の弾性率E(硬さ)が大きいほどPWVは増加する。動脈硬化などで壁が硬くなると脈波は速く伝わる。
誤り。四肢静脈の血流は筋ポンプ、呼吸性変動、静脈弁の開閉による間欠的・位相的変動を受ける非定常流であり、時間的に一定の定常流ではない。
誤り。収縮期血圧は心室収縮で血液が拍出され動脈が最も拡張した時点の最大血圧を指す。動脈径が最小となるのは拡張期末であり、それに対応するのは拡張期血圧である。
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