臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
誤りは1と2である。脈波伝搬速度(PWV)は血管壁の硬さに比例して増加し、Moens–Kortewegの関係式 PWV = $\sqrt{\frac{E\,h}{\rho\,D}}$(E:ヤング率, h:壁厚, D:内径, $\rho$:血液密度)から、エラスチン増加により血管が柔らかくなる(Eが低下)とPWVは低下するため、1は誤り。立位では重力による静水圧差($\Delta P=\rho g h$)のため、心臓レベルからの高さにより平均動脈圧は異なり、下肢ほど高く、頭部ほど低いので2も誤り。3はヘマトクリット上昇で血液粘性が増すことを述べており正しい。4はポアズイユ則 $R=\frac{8\mu L}{\pi r^4}$ により半径(内径)減少で抵抗が急増するので正しい。5は平均動脈圧(MAP)がおおむね MAP $\approx$ CO $\times$ TPR(中心静脈圧は小さいとして無視)で与えられるため、TPR一定ならCO増加でMAPは上昇し正しい。
選択肢別解説
誤り。エラスチンの割合増加は血管をより弾性(柔らかい)にし、ヤング率Eが低下する。PWVはおおよそ PWV = $\sqrt{\frac{E\,h}{\rho\,D}}$ に従いEの平方根に比例するため、E低下でPWVは低下する。従って「速くなる」は不適切。
誤り。安静立位では重力の静水圧差($\Delta P=\rho g h$)により、同一個体でも測定部位の高さで平均動脈圧は異なる。心臓レベルを基準に、下肢では高く、頭部では低く測定される。
正しい。ヘマトクリット値(血球容積比)が上昇すると血液中の形成要素割合が増え、非ニュートン性であっても一般に有効粘性係数$\mu$は増加する。結果として流れにくくなる。
正しい。ハーゲン・ポアズイユの法則より血管抵抗は $R=\frac{8\mu L}{\pi r^4}$ に従い、半径r(内径)がわずかに小さくなるだけで抵抗は大きく上昇する。
正しい。平均動脈圧は近似的に MAP $\approx$ CO $\times$ TPR(中心静脈圧は小さいとして無視)で表される。末梢血管抵抗が一定なら、心拍出量COの増加に伴ってMAPは上昇する。
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解説
正答は1と2。赤血球(直径約7–8\,\mu m)は毛細血管(内径約3–8\,\mu m)を通過する際、膜・細胞骨格の変形能によって扁平化しながら通過するため1は正しい。脈波伝播速度(PWV)は血管壁の硬さに依存し、Moens–Kortewegの近似式 $v=\sqrt{Eh/(\rho d)}$ から弾性率 $E$ が上がると $v$ は増加する。加齢や動脈硬化でコラーゲンが増えると壁は硬くなるため2も正しい。大動脈の動圧は $p_d=\tfrac{1}{2}\rho v^2$ で、流速 $v\approx1\,\text{m/s}$、血液密度 $\rho\approx1060\,\text{kg/m}^3$ とすると約500\,Pa程度で、平均動脈圧(約13,000\,Pa)より十分小さいため3は誤り。微小血管では集軸効果により血球は流れの中心部に集まり、壁近傍は血漿層が形成されるので4は誤り。立位では重力による静水圧差 $\Delta p=\rho g h$ が生じ、心臓より低位の部位ほど圧が高くなるため、測定部位に依存せず同じとはいえず5は誤り。
選択肢別解説
$正しい。赤血球(約7–8\,\mu m)は毛細血管(最狭部で3–5\,\mu m程度)を通過する際、膜 \cdot 細胞骨格(スペクトリンなど)の変形能により可逆的に形態を変えて狭窄部を通過する。これが失われると微小循環障害を来す。$
正しい。脈波伝播速度は血管壁の剛性に比例して増加する。Moens–Kortewegの近似式 $v=\sqrt{Eh/(\rho d)}$($E$:弾性率、$h$:壁厚、$d$:内径、$\rho$:血液密度)より、コラーゲン増加は弾性率 $E$ を高めてPWVを速くする。動脈硬化でPWVが上がる実臨床所見とも整合する。
誤り。動圧は $p_d=\tfrac{1}{2}\rho v^2$ で、$\rho\approx1060\,\text{kg/m}^3$、$v\approx1\,\text{m/s}$ とすると約530\,Pa程度。大動脈の平均動脈圧(静圧)は約13,000\,Pa(100\,mmHg前後)であり、動圧は静圧よりはるかに小さい。
誤り。細動脈〜毛細血管では集軸効果により血球は流速の大きい中心部に集まり、壁近傍には血漿のみの細胞希薄層(セルフリー層)が形成される。したがって「血管壁部に集まる」は逆。
誤り。立位では重力により静水圧差 $\Delta p=\rho g h$ が生じ、心臓より低い部位(下肢)では圧が高く、上位では低くなる。例えば身長差1.3\,mで $\Delta p\approx1060\times9.8\times1.3\approx1.35\times10^4\,\text{Pa}$(約100\,mmHg)となり、測定部位で平均動脈圧は変化する。
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解説
本問は材料力学・レオロジーの基礎事項を問う。ポアソン比$\nu$は軸方向に引張・圧縮したときの横方向ひずみと縦方向ひずみの比で、定義は$\nu=-\varepsilon_{横}/\varepsilon_{縦}$(無次元)。摩擦係数は摩擦力と垂直抗力の比で無次元。せん断応力$\tau$は単位面積当たりの力で単位はPa、せん断ひずみ$\gamma$は角変形量で無次元であり同一量ではない(線形弾性では$\tau=G\gamma$と比例するが等しいわけではない)。ヤング率$E$は変形しにくさの指標で、骨は筋肉より硬く$E$が大きい。粘性率$\mu$は$\tau=\mu\dot{\gamma}$より単位は$\mathrm{Pa\cdot s}$となる。
選択肢別解説
誤り。ポアソン比$\nu$は「横ひずみ/縦ひずみ」(符号込みでは$\nu=-\varepsilon_{横}/\varepsilon_{縦}$)で定義される無次元量であり、記載は逆である。
誤り。摩擦係数は摩擦力と垂直抗力の比であり無次元である。m/sは速度の単位で、摩擦係数の単位ではない。
誤り。せん断応力$\tau$の単位はPa、せん断ひずみ$\gamma$は無次元で物理量が異なる。線形弾性体では$\tau=G\gamma$と比例関係にあるが、同一量(等しい)ではない。
正しい。ヤング率$E$は変形のしにくさ(剛性)の指標で、骨は筋肉よりもはるかに硬いため骨のヤング率は筋肉より大きい。
正しい。ニュートン流体の関係$\tau=\mu\dot{\gamma}$より、粘性率$\mu$の単位は$\mathrm{Pa\cdot s}$である(記載の"Pa's"は表記上の誤りで、正しくは\"Pa・s\"など)。
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解説
一定の灌流圧(圧一定)の条件では、流量は総抵抗に反比例して変化する。関係式は $Q=\frac{\Delta P}{R}$($Q$: 流量、$\Delta P$: 灌流圧、$R$: 回路抵抗+末梢血管抵抗の総和)で表せる。さらにポアズイユの法則より、粘度 $\eta$ が上がるほど、またカニューレ半径 $r$ が小さいほど抵抗は増加し($R\propto \eta\cdot \frac{L}{r^4}$)、流量は低下する。したがって、血液の希釈は粘度低下を介して抵抗を下げ流量を増加させる。一方、低体温は血液粘度上昇や血管収縮により抵抗を増し流量は低下する。末梢血管抵抗の減少は流量を増加させ、小口径カニューレや粘度上昇は抵抗増加により流量を減少させる。よって正しいのは1である。
選択肢別解説
正しい。血液を希釈すると血液粘度が低下し、総抵抗(回路抵抗+末梢血管抵抗)が減少する。圧一定($Q=\frac{\Delta P}{R}$)では抵抗低下により流量が増加する。体外循環では希釈(ヘモディリューション)により同条件での到達流量が上がることが知られている。
誤り。低体温では血液粘度が上昇し、さらに血管収縮傾向で末梢血管抵抗が増えるため、圧一定では流量は低下する。よって『増加する』は不適。
誤り。末梢血管抵抗が減少すると総抵抗 $R$ が下がるため、圧一定では流量 $Q$ は増加する($Q=\frac{\Delta P}{R}$)。『減少する』は逆の記述。
誤り。小さな口径のカニューレでは半径 $r$ が小さく、ポアズイユの法則より $R\propto \frac{1}{r^4}$ と抵抗が大きくなる。圧一定では抵抗増加により流量は減少する。
誤り。血液粘度の上昇は抵抗増加をもたらし、圧一定では流量は低下する。『増加する』は逆の記述である。
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解説
本問は血行動態の基礎。正しいのは1・2・3、誤りは4・5である。1は、脈波反射の重畳により末梢動脈ほど収縮期のピーク(収縮期血圧)が高くなり、部位によってピーク値が異なるため正しい。2は、層流を仮定したハーゲン・ポアズイユの法則より血管抵抗は半径の4乗に反比例し、内径が小さくなると抵抗が急増するため正しい($R=\frac{8\mu L}{\pi r^4}$)。3は、Moens–Kortewegの式 $c=\sqrt{\frac{Eh}{\rho D}}$ より、石灰化で血管ヤング率 $E$ が上昇すれば脈波伝搬速度 $c$ は増加するため正しい。4は、動圧 $\rho v^2/2$ は大動脈で数百Pa程度であり、静圧(平均血圧)$\sim$13 kPa(約100 mmHg)に比べ桁違いに小さいため「ほぼ等しい」は誤り。5は、同式から $c\propto 1/\sqrt{D}$ であり、動脈径が大きいほど脈波伝搬速度は低下するため誤り。
選択肢別解説
正しい。脈波は末梢で反射し、入射波と重畳して収縮期ピークが高くなる(末梢増高)。このため大動脈と橈骨動脈などでピーク値(収縮期血圧)は異なる。平均血圧は部位間で大差ないが、ピークは部位依存で変化する。
正しい。ハーゲン・ポアズイユの法則で血管抵抗は $R=\frac{8\mu L}{\pi r^4}$。内径が小さくなり半径 $r$ が減少すると、$R$ は $r^4$ に強く依存して急増する。実血管は分岐や脈動流・非ニュートン性の影響を受けるが、この方向性は保たれる。
正しい。Moens–Kortewegの式 $c=\sqrt{\frac{Eh}{\rho D}}$ より、血管のヤング率 $E$(硬さ)が増すと脈波伝搬速度 $c$ は増加する。血管石灰化は血管壁の硬化($E$上昇)をもたらすため、PWV(脈波伝播速度)は上がる。
誤り。動圧は $\rho v^2/2$ で、大動脈の代表値($\rho\approx1060\,\mathrm{kg/m^3}$、$v\approx1\,\mathrm{m/s}$)では約 $5\times10^2\,\mathrm{Pa}$(0.5 kPa 程度)と推定される。一方、静圧(平均血圧)は約100 mmHg($\approx$13 kPa)であり、動圧は静圧より桁違いに小さいため「ほぼ等しい」ではない。
誤り。Moens–Kortewegの式 $c=\sqrt{\frac{Eh}{\rho D}}$ より、他条件が同じなら $c\propto 1/\sqrt{D}$。したがって動脈径 $D$ が大きいほど脈波伝搬速度は低下する(増加ではない)。
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解説
脈波伝播速度(PWV)は、血管と血液の力学特性で決まる。代表式である Moens–Korteweg の式 $V=\sqrt{\frac{E h}{\rho D}}$ より、血管壁の弾性係数 $E$(硬さ)が大きいほど、また壁厚 $h$ が厚いほど速くなり、内径(直径)$D$ や血液密度 $\rho$ が大きいほど遅くなる。さらに臨床で用いられる近似関係 $V\approx\sqrt{\frac{\beta P}{\rho}}$(スティフネスパラメータ $\beta$ と動脈圧 $P$ を用いた表現)から、動脈圧が高いほど PWV は増加する。したがって、正しいのは「血管壁が硬いほど速い」「血圧が高いほど速い」「血液密度が高いほど遅い」であり、「血管が太いほど速い」「血管壁が薄いほど速い」は誤りである(他条件一定の比較)。
選択肢別解説
正しい。Moens–Korteweg の式 $V=\sqrt{\frac{E h}{\rho D}}$ で $E$(硬さ)が増すと分子が大きくなり、PWV は増加する。動脈硬化で PWV が上がる臨床所見とも整合する。
正しい。近似式 $V\approx\sqrt{\frac{\beta P}{\rho}}$ から、動脈圧 $P$ が高いほど PWV は大きくなる。圧上昇は血管の有効スティフネス上昇とも相まって PWV を増加させる。
誤り。Moens–Korteweg の式 $V=\sqrt{\frac{E h}{\rho D}}$ より、他条件が一定なら内径(直径)$D$ が大きいほど分母が増え、PWV は低下する。
誤り。式 $V=\sqrt{\frac{E h}{\rho D}}$ において、他条件が一定なら壁厚 $h$ が小さいほど分子が小さくなり、PWV は低下する(薄いほど遅くなる)。
正しい。式 $V\propto 1/\sqrt{\rho}$ から、血液密度 $\rho$ が大きいほど PWV は小さくなる(遅くなる)。
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