臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき、医療機器はリスクに応じて一般医療機器(クラスI)、管理医療機器(クラスII)、高度管理医療機器(クラスIII・IV)に分類される。人工呼吸器、人工心肺装置、輸液ポンプ、除細動器はいずれも重篤な転帰に直結し得るため高度管理医療機器(多くはクラスIIIまたはIV)に位置づけられる。一方、自動電子式血圧計は管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。したがって「高度管理医療機器でない」ものは自動電子式血圧計である。
選択肢別解説
人工呼吸器は生命維持に直結する機器で、重大な危害を招き得るため高度管理医療機器(クラスIIIまたはIV)に分類される。よって設問の「高度管理医療機器でない」には該当しない。
人工心肺装置は循環・呼吸機能を代行する極めて高リスク機器であり、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
自動電子式血圧計は一般に管理医療機器(クラスII)であり、高度管理医療機器ではない。よって本問で問う「高度管理医療機器でない」に該当する。
輸液ポンプは薬液や輸液を一定速度で体内に注入する機器で、過量・過少投与が重篤な転帰につながり得るため、高度管理医療機器(多くはクラスIII)に分類される。したがって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
除細動器は致死的不整脈に対し電気ショックを与える高リスク機器で、高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。よって「高度管理医療機器でない」には該当しない。
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解説
体外循環中のトラブルでは、原因に対してリスクを速やかに除去できる対処が求められる。膜型肺の血栓形成はガス交換能低下や圧損上昇、塞栓リスクを伴うため、ACT低下があればヘパリン追加は行うが、基本は人工肺(必要に応じて回路)交換が第一選択であり「ヘパリン投与」を対応とするのは不適切。膜型肺ガス出口の血漿漏出は膜障害・プラズマリークで人工肺交換が適切。血液ポンプ停止時は手動ハンドルで循環を維持しつつ復旧・交換する。送血側への大量空気混入は直ちに送血停止し、除泡・回路再充填などを行う。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器破損(非滅菌水側への血液漏出・逆流汚染リスク)を示し、直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で温度調節では解決しない。従って誤っている組合せは1と5である。
選択肢別解説
誤りの組合せ。膜型肺で血栓形成が生じるとガス交換能低下、トランスメンブレン圧上昇、塞栓リスクが高まる。ACT低下が原因ならヘパリン追加は必要だが、既に血栓が形成された人工肺は速やかな人工肺交換が原則であり、「ヘパリン投与」を主たる対応とするのは不適切。
適切な組合せ。膜型肺ガス出口からの血漿漏出は膜障害(プラズマリーク)を示し、ガス交換不良やさらなる破綻につながるため、人工肺の交換が必要となる。
適切な組合せ。血液ポンプが停止した場合は直ちに手動式ハンドルで灌流を維持し、同時に電源復旧や代替ポンプへの切替を行う。循環維持の初期対応として妥当。
適切な組合せ。送血回路内に大量の空気が入った場合は即時に送血を停止し、回路除泡・再充填などで空気排除を行う。患者への空気塞栓回避が最優先で、送血停止は正しい初期対応。
誤りの組合せ。熱交換器の温水側への血液混入は熱交換器の破損・リークを示し、水側(非滅菌)からの汚染や逆流リスクがある。直ちに人工肺(熱交換器一体型)や熱交換器の交換・隔離が必要で、温水の温度調節では根本的対処にならない。
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解説
高気圧酸素治療装置の保守は、毎使用前後に実施する日常点検(始業・使用中・終業)と、計画的に実施する定期点検に大別される。日常点検は安全に運転開始できる状態かを短時間で確認するもので、送気系の供給源圧(元圧)やバルブ作動、接地線の接続状態、制御系(コンピュータ/手動系)の立上げと操作応答、通信系(インターフォン等)の通話確認などが含まれる。一方、電気系の絶縁抵抗測定はメガー等の試験器を用い機器を停止・隔離して行う必要があり、測定条件や判定基準を伴うため定期点検の範囲で行うのが適切である。よって日常点検項目でないのは「電気系の絶縁抵抗」である。
選択肢別解説
送気系の元圧力は日常点検で確認する。供給源(酸素等)のボンベ・中央配管の元圧、調整器の設定、圧力計表示、漏れの有無を確認し、加圧・減圧操作に支障がないことを確かめる。
接地端子の接地状態は日常点検での確認対象である。接地線の接続・断線・緩み・損傷の有無など外観と接続状態を確認し、感電・漏電リスク低減を図る(抵抗値測定などの詳細試験は定期点検で実施)。
電気系の絶縁抵抗は日常点検ではなく定期点検で実施する。メガーを用いた測定は装置停止や回路切り離し、測定条件の管理が必要で、電子機器への影響にも配慮が要るため、計画的な保守点検に分類される。
制御系のコンピュータ作動状態は日常点検で確認する。電源投入後の自己診断結果、表示・警報、操作入力への応答、手動系へのバックアップ切替が可能かなどを点検し、安全に運転できることを確かめる。
通信系のインターフォンは日常点検で通話の明瞭性、双方向性、呼び出し・警報の動作などを確認する。治療中の安全確保に直結するため、始業時に必ず動作確認する。
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解説
ICUは重症患者の救命・全身管理を行う部門であり、即時の生命維持・蘇生対応に直結する機器を常時稼働できる状態で備える必要がある。連続心電図監視を含む心電計(心電図モニタ)、人工呼吸器、除細動器、体外式心臓ペースメーカ(経皮・経静脈ペーシング装置を含む)は、心肺蘇生や循環・呼吸管理に不可欠なためICUの常備機器に該当する。一方、脳波計は痙攣評価や鎮静深度の評価などで有用だが、常時全床で使用する機器ではなく、必要時に搬入・共有して運用されることが多いため、ICUに必ずしも常備する必要はない。従って、常備しなくてもよい機器は脳波計である。
選択肢別解説
心電計(心電図モニタを含む)は不整脈や虚血の早期検知に不可欠で、重症患者の連続監視に用いられるためICUの常備機器に該当する。従って「常備しなくてもよい」には当てはまらない。
人工呼吸器は呼吸不全や術後管理、気道確保後の換気補助に必須であり、ICUでは即時使用可能な状態で複数台を常備するのが一般的である。よって常備は必要である。
脳波計は痙攣の診断や非けいれん性てんかん重積の評価、鎮静深度の把握などで有用だが、全患者に常時必要な装置ではない。多くの施設では必要時に搬入・共有して運用するため、ICUに必須の常備機器とはいえない。したがって本設問における『常備しなくてもよい機器』に該当する。
除細動器は心室細動・無脈性心室頻拍への即時対応に不可欠で、ICUでは常備品として配置する必要がある。従って「常備しなくてもよい」には当たらない。
(ここでいう)心臓ペースメーカは体外式ペースメーカを指すのが一般的で、重度徐脈や伝導障害時の緊急ペーシングに必要である。ICUでは経皮・経静脈ペーシングを即時実施できるよう常備すべき装置であるため、常備不要とはいえない。
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解説
各機器と代表的な副作用・障害の対応関係を問う問題。輸液ポンプではセット不良などによりポンプ停止中でも重力で液が流出するフリーフローが起こり得る。電気メスは高周波電流を用いるため周辺機器や植込みデバイスへの電磁障害を惹起することがある。人工呼吸器は過大な気道内圧や過換気により肺の圧損傷(気胸等)を生じ得る。IABPは大動脈疾患や挿入操作を契機に大動脈解離のリスクがある。一方、超音波凝固切開装置は超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で切開・凝固を行い、患者体内に高周波電流を流さず対極板を使用しないため、対極板装着部での熱傷という事象は成立しない。ゆえに5が誤った組合せである。
選択肢別解説
輸液ポンプ — フリーフローは妥当。輸液チューブの固定不良やアンチフリーフローデバイスの不作動などで、ポンプ停止時でもバッグと患者の落差により重力で液が流れる現象が起こり得る。重大な過量投与につながるため、セット手順の確認と装置側の防止機構が重要。
電気メス — 電磁障害は妥当。電気メスは高周波電流を使用し、リード線等を介して周辺機器に電磁ノイズが混入することで、モニタのアーチファクトやペースメーカ等の誤作動を生じ得る。適切なアース、配線取り回し、間欠使用などで低減を図る。
人工呼吸器 — 圧損傷は妥当。過大な気道内圧や過膨張により肺胞破裂、縦隔気腫、気胸などのバー外傷(圧損傷)が発生し得る。適切なPplatの管理、低一回換気量戦略、PEEP最適化などで予防する。
IABP — 大動脈解離は妥当。大動脈病変の存在や不適切な挿入・留置により内膜損傷を契機として解離を生じるリスクがある。適応選択、挿入前の画像評価、抵抗感がある場合の無理な進行回避が重要。
超音波凝固切開装置 — 対極板装着部の熱傷は誤り。超音波凝固切開装置は45–55 kHz程度の超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で組織を切開・凝固し、高周波電流の回路を形成しないため対極板を使用しない。よって対極板装着部での熱傷という事象は起こり得ない(熱傷はあっても先端部の熱など局所に限られる)。
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解説
慢性腎不全で維持透析中の患者は、動脈硬化や高血圧を合併しやすく末梢血管抵抗が高いことが多いため、人工心肺中は適切な臓器灌流を確保する目的で灌流圧が相対的に高めに推移・設定されることが多い。高カリウム血症は致死的不整脈の主要因であり、術前透析や希釈液のK管理、(必要に応じて)術中の血液浄化で正常域へ補正するのが基本で「高めに」維持することはない。維持透析患者は希釈に脆弱で貧血も多く、プライミングによるヘマトクリット低下を考えると無輸血体外循環は一般に容易ではない。利尿薬による尿量確保は無効なことが多く、水分・溶質管理は透析や限外濾過で行う。術中透析を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内の循環に組み込まれており、原則としてその流量分だけ送血量(全身灌流量)を上乗せする必要はない。
選択肢別解説
誤り。維持透析患者は貧血が多く、プライミングによる希釈でヘマトクリットが下がりやすい。さらに体液管理も厳密で、無輸血体外循環の成立は一般に難しい。必要に応じて濃厚赤血球で酸素運搬能を確保する。
誤り。高カリウム血症は致死的不整脈のリスクとなるため、術前透析や低Kのプライミング、術中の血液浄化などでKは正常~やや低めへ補正するのが基本であり、「高めに」維持することはない。
正しい。維持透析患者では動脈硬化・高血圧などにより末梢血管抵抗が高い症例が多く、腎・脳など臓器灌流を確保する目的で体外循環中の灌流圧は相対的に高めに設定・維持されることが多い。
誤り。維持透析患者は無尿または乏尿が多く、利尿薬の効果は乏しい。術中の体液・溶質管理は透析や限外濾過で行うのが適切で、利尿薬大量投与で自尿確保を図る方針は不適切。
誤り。術中透析(またはHF/HD)を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内で循環させる構成が一般的で、全身への送血量(適正灌流量)に透析流量分を単純加算する必要はない。加算すると過灌流や過剰希釈の危険がある。
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a. 出血の回収 — 血液吸引ポンプ
b. 静脈血の酸素加 — 人工肺
c. 肺循環の維持 — 血液ポンプ
d. 余剰水分の排出 — ベントポンプ
e. 貯血槽内の微小気泡除去 — 動脈フィルタ
1. a, b 2. a, e 3. b, c 4. c, d 5. d, e
解説
人工心肺(体外循環)では、各構成機器が明確な役割を担う。出血の回収は手術野の血液をサクション回路で吸引し、血液吸引ポンプ(多くはローラポンプ)で貯血槽へ戻すのが目的・手段の一致で正しい。静脈血の酸素加(酸素化)は人工肺の本質的機能で、同時に二酸化炭素除去も担うため正しい。一方、血液ポンプの目的は全身循環(体循環)維持であり、完全体外循環中は肺循環はほぼ途絶するので「肺循環の維持」との組合せは不適切。余剰水分の排出(除水)は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)で行うのが適切で、ベントポンプは左心系の減圧・心腔内血液や気泡の排出が目的であるため不適切。貯血槽内の微小気泡は貯血槽の除泡機構(除泡網・消泡材)で除去され、動脈フィルタは送血ライン中で患者送血直前の微小気泡・微小異物を捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。よって正しいのは1と2である。
選択肢別解説
正しい。手術野の出血回収はサクション回路で行い、血液吸引ポンプ(通常はローラポンプ)が陰圧で吸引して貯血槽へ戻す。目的(出血回収)と構成機器(血液吸引ポンプ)が一致する。
正しい。人工肺は静脈血の酸素化(酸素加)と二酸化炭素除去を担う中核機器であり、記載の組合せは適切。
誤り。血液ポンプは体循環(全身送血)を維持する装置であり、完全体外循環では肺循環はほぼ途絶する。したがって「肺循環の維持」との組合せは不適切。
誤り。余剰水分(体液)の除去は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)による限外濾過で行う。ベントポンプの主目的は左心室などの減圧・心腔内血液や気泡の排出であるため、組合せが不適切。
誤り。貯血槽内の微小気泡は貯血槽に内蔵された除泡機構(除泡網・消泡材)で除去される。動脈フィルタは人工肺出口から送血ラインを流れる血液中の微小気泡・微小異物を患者送血直前で捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。
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