臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
がん温熱療法は腫瘍をおおむね42~43℃程度に加温して治療効果を得る方法で、単独よりも化学療法・放射線療法との併用で相乗効果が期待される。加温により薬剤の腫瘍内移行性や放射線感受性が高まり、DNA修復抑制などが起こる。一方、亜致死的な加温の後には熱ショックたんぱく質(HSP)が誘導され、細胞は一過性の熱耐性(サーモトレランス)を示す。加温法として、RF容量結合型は体表に配置した電極間に高周波電流を流してジュール熱で加温するが、金属体は電流集中・熱傷リスクを高めるためベッド等に金属は用いない。マイクロ波加温は主として局所加温に用いられ、全身加温には適さない。皮膚の過熱を防ぐため、電極と皮膚の間に水袋(ボーラス)を介在させて表面冷却とインピーダンス整合を図る。
選択肢別解説
誤り。RF容量結合型加温では高周波電流によるジュール熱で加温するため、金属ベッド等の金属体は電流集中やアーク、熱傷の原因となる。原則として非金属のベッド・寝台を用い、患者と金属の接触を避ける。
誤り。マイクロ波加温(例:915 MHz、2450 MHz)は主として局所・表在~中等深度の加温に用いられ、全身加温には不適。全身加温は温水ブランケットや遠赤外線、体外循環加温など別方式が用いられる。
正しい。温熱は腫瘍血流や細胞膜透過性を高め、薬剤取り込み増加や放射線感受性上昇をもたらすため、化学療法(や放射線療法)との併用で相乗効果が期待できる。実臨床でも併用が一般的である。
正しい。亜致死的な加温後、細胞ではHSPが誘導されて一過性の温熱抵抗性(熱耐性、サーモトレランス)が生じる。これにより直後の再加温に対する感受性が低下する。
正しい。アプリケータ(電極・アンテナ)と皮膚の間に水袋(ボーラス)を置くことで、体表の冷却とインピーダンス整合・電界分布の平滑化を行い、表面過熱や熱傷を防止する。
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