臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
悪性腫瘍の温熱療法(ハイパーサーミア)は、腫瘍局所を概ね42〜43℃(臨床的には42.5℃前後)まで一定時間(30〜60分程度)加温して腫瘍細胞に選択的障害を与える治療で、放射線・化学療法との併用で相乗効果(放射線増感、薬剤感受性増強、DNA修復阻害など)が期待される。加温法にはマイクロ波、RF(高周波)などがあり、マイクロ波は透過深度が浅く浅在性病変に適し、深部病変にはRF(容量結合型:対向電極で患部を挟んでジュール熱で加温、誘導型:コイル磁場で渦電流加温)などが用いられる。温熱の繰り返しにより生体は一過性の熱耐性(thermotolerance)を獲得し、一般に加温後24〜48時間で最大となり、その後72時間程度で減弱する。
選択肢別解説
誤り。腫瘍細胞に十分な致死的効果を与えるには一般に42〜43℃程度までの加温が必要で、39〜40℃は「軽度(ミルド)ハイパーサーミア」に相当し、単独での腫瘍壊死には不十分とされる。
誤り。マイクロ波(例:915 MHz、2.45 GHz)は生体内での減衰が比較的大きく、透過深度が浅いため浅在性腫瘍の加温に適する。深在性腫瘍の加温にはRF加温(容量結合型・誘導型)や超音波などが用いられる。
正しい。RF(高周波)加温のうち容量結合型では、患部を対向する二つの電極で挟み、高周波電流を流して体内のジュール熱(抵抗加熱)で加温する方式である。
正しい。温熱療法は放射線療法と併用されることが多く、温熱により放射線感受性が高まる(酸素化の改善、DNA損傷修復の阻害、S期細胞への効果増強など)ため、局所制御率の向上が期待できる。
誤り。熱耐性(thermotolerance)は加温後24〜48時間で最大となり、その後72時間程度で低下するのが一般的であり、「1週目で最大」は不適切である。
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解説
体外衝撃波砕石装置(ESWL)は体外で発生させた衝撃波を水中(または水等価媒質)で伝搬させ、体内の結石に集束して破砕する。発生方式は電極放電式(電気油圧式)、圧電方式、電磁方式があるが、いずれも空気ではなく水中での音響結合が前提である。心臓への影響(R-on-Tに伴う不整脈)を避けるため、心電図R波に同期させ絶対不応期に照射する心電同期を用いる。禁忌・注意には腹部大動脈瘤、妊娠、出血傾向、結石への音路に空気含有臓器(腸管・肺)が介在する状況などが含まれる。適応は主に上部尿路結石(腎・腎盂・腎杯・尿管)であり、膀胱結石は一般に経尿道的砕石術が第一選択とされる。
選択肢別解説
誤り。電極放電式(電気油圧式)は水中のスパーク放電で衝撃波を発生させ、楕円反射板などで集束する。空気中では音響インピーダンスが大きく異なりエネルギーが伝達できないため、空気中で放電させて用いることはない。
正しい。衝撃波が心刺激伝導系に悪影響を及ぼして不整脈(R-on-T誘発など)を起こすのを防ぐため、ECGのR波を検知して心臓の絶対不応期に同期照射する心電同期装置を使用する。
$誤り。腹部大動脈瘤(AAA)は衝撃波による瘤破裂リスクがあるため禁忌であり「使用できる」は不適切。設問文の「腹部大動脈癌」は用語として不自然で、意図は「腹部大動脈瘤」と考えられる(誤記の可能性はtypo_check参照)。$
誤り。腸管内ガスは水・組織と音響インピーダンス差が大きく、衝撃波が反射・減衰して効果が低下するだけでなく、腸管損傷の危険もある。音路にガスが介在する状況は避ける必要がある。
誤り。ESWLの標準的適応は上部尿路結石(腎・尿管)。膀胱結石は通常、経尿道的砕石(内視鏡)で対応するのが一般的で、ESWLは第一選択ではない。
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解説
$各種エネルギーの人体安全限界についての設問で、正答は3と4である。ミクロショックの最小誘発電流は心腔内経路で約0.1 mA(100 µA)程度とされ、1 mAはマクロショックの最小感知電流の代表値であるため1は不正確。高周波暴露による睾丸(生殖腺)障害の限界は代表的記載で約0.01 W/cm^2とされ、0.1 W/cm^2は過大であるため2は誤り。超音波の生殖細胞への安全限界0.1 W/cm^2は教科書的記載と整合し3は正しい。感電閾値はダルジールの実験で1 kHz超では周波数に概ね比例して上昇するため4は正しい。患者に対する短時間の接触限界温度は医用電気機器の規格(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)で50 ℃程度が用いられ、41 ℃は低すぎるため5は誤り。$
選択肢別解説
誤り。ミクロショック(心腔内経路)の心室細動最小誘発電流は代表値で約0.1 mA(100 µA)であり、1 mAはマクロショックの最小感知電流の目安である。したがって「1 mA」は過大。
$誤り。高周波暴露による睾丸障害の限界は文献的に約0.01 W/cm^2とされる。設問は0.1 W/cm^2であり、1桁大きく過大評価。また単位W/cm^2はエネルギーではなく出力密度(パワー密度)である。$
$正しい。超音波の生殖細胞への安全限界は0.1 W/cm^2が標準的な教科書記載と整合する。これより高い強度では熱作用 \cdot 機械作用(キャビテーション)による影響が問題となりうる。$
正しい。ダルジールの実験に基づき、1 kHzを超えると人体の感電閾値は周波数に概ね比例して増加する(例として10 kHzで約10 mA程度へ上昇)。
誤り。患者への短時間接触に関する限界温度は規格(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)でおおむね50 ℃程度が用いられる。41 ℃は長時間暴露での生体影響の目安であり、短時間接触の規格値としては低すぎる。
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