臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
小電力医用テレメータは医療用特定小電力無線としてUHF帯(約420〜450 MHz帯)を用い、空中線電力は電波法で厳しく制限される(一般にE型で10 mW以下、A〜D型で1 mW以下)。院内では混信を避けるためのゾーン配置やアンテナ系の設計(分配・増幅)が行われる。アンテナ効率は波長に対する共振長(おおむねλ/4やλ/2)で最良となるため、単純に“長いほど良い”わけではない。また送信出力が50 mW程度というのは法規制から外れ、誤りである。したがって誤りの選択肢は1と5である。
選択肢別解説
誤り。アンテナの送信効率は長さが長いほど無条件に向上するわけではない。電波の波長に対して共振する長さ(代表的にλ/4やλ/2)付近で効率が高く、過度に長くしてもマッチングが崩れ効率低下や不要放射の増加を招く。医用テレメータの周波数(約400 MHz帯、λ≒0.7〜0.75 m)ではλ/4は約18 cm程度で、携帯機器ではこの近傍を目標に設計・整合を行う。
正しい。使用する周波数帯は電波法で共通の帯域が割り当てられており(医療用特定小電力無線)、病院内の運用は共通のチャネル計画に基づいて行われる。なお、周波数帯が共通でもメーカ間の方式互換性は別問題である。
正しい。混信対策としてフロアや棟ごとにゾーンを分け、同一ゾーン内でのチャネル重複を避けるゾーン配置が用いられる。これにより同一・近接チャネルの干渉を抑え、監視の信頼性を確保する。
正しい。受信レベルが不足する場合、アンテナ分配系にブースタ(増幅器)を挿入して信号を補償する。設置時は過大増幅による混変調や飽和を避けるため、利得設定や雑音指数に配慮する。
誤り。小電力医用テレメータの空中線電力(送信出力)は電波法で小さく制限され、一般にE型で10 mW以下、A〜D型で1 mW以下である。50 mW程度という記述は上限を大きく超えており不適切。
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解説
$エネルギーの安全限界は、作用機序(電撃、熱、超音波など)と影響を受けやすい臓器 \cdot 組織に応じて規定される。商用交流(50/60 Hz)の離脱限界電流は成人でおおむね約10 mAで、1 mAは感知閾値に近い。高周波電流や超音波では主に熱作用が問題となり、眼や生殖細胞の安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安とされる。漏れ電流の許容値は周波数依存で、1 kHzを超えると人体の電撃感受性が低下するため許容値は周波数に比例して緩和される(規格では周波数範囲により係数が定められる)。また、加熱を意図しない患者装着部の温度は熱傷予防の観点から41℃以下に抑えることが求められる。以上より、正しいのは4と5である。$
選択肢別解説
誤り。商用交流(50/60 Hz)での離脱限界電流(let-go current)は成人でおおむね約10 mA程度とされ、1 mAは感知閾値に近い値である。したがって「1 mA」は過小で正しくない。
$誤り。高周波電流の主作用は組織加熱であり、眼は血流が少なく熱が逃げにくいため低出力でも障害を受けやすい。眼障害の安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安で、1 W/cm^2は過大である。$
$誤り。超音波の生体影響は主に熱作用と機械作用であり、生殖細胞は感受性が高い。安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安で、1 W/cm^2は過大である。$
正しい。人体は商用周波数帯で電撃感受性が最大で、1 kHzを超えると感受性が低下するため、規格(IEC 60601-1/JIS T 0601-1)では漏れ電流の許容値を周波数に比例して緩和する取り扱いがある。すなわち1 kHzに対して周波数の倍数に応じて許容値が増える(注:実際の規格は周波数範囲ごとの係数・上限が定められる)。
正しい。加熱を意図しない患者装着部については、長時間接触でも熱傷を生じさせないための安全限界温度が41℃とされる。従って記述は妥当である。
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解説
レーザー手術装置の特性と医療応用に基づく基礎知識の確認問題。CO2レーザー(10.6 µm)はシリカ(石英)に強く吸収されるため石英ファイバー伝送は適さず、多関節ミラーアームや中空導波路が用いられる。半導体(ダイオード)レーザーは低出力では光生体調節(LLLT/光生体調節療法)として疼痛緩和に用いられる臨床実績がある。Er:YAGレーザー(2.94 µm)は水への吸収が極めて高く、硬組織・歯質の切削やう蝕除去など歯科領域で広く用いられる。Nd:YAGレーザー(1,064 nm)は近赤外域で深達性が比較的高い。組織表面の凝固・止血は照射スポットを広げてパワー密度を下げるデフォーカス照射が基本で、焦点を絞るのは切開・蒸散向けである。
選択肢別解説
誤り。CO2レーザー(波長約10.6 µm)は石英(シリカ)ガラスに強く吸収されるため、石英ファイバーでの伝送は不適。一般に多関節ミラーアームや中空導波路などで導光する。
正しい。半導体(ダイオード)レーザーの低出力機器は、疼痛緩和などの光生体調節(LLLT/フォトバイオモジュレーション)に用いられる臨床応用がある。
正しい。Er:YAGレーザー(2.94 µm)は水への吸収が高く、熱侵襲を抑えた蒸散・切削が可能で、歯科でのう蝕除去や歯質切削、歯周治療などに用いられる。
正しい。Nd:YAGレーザーの代表波長は1,064 nmで近赤外領域に属し、相対的に深達性が高く凝固用途などに用いられる。
誤り。表面の凝固・止血ではスポット径を大きくしてパワー密度を下げるデフォーカス照射を行うのが基本。焦点を絞るとパワー密度が上がり、切開・蒸散向けとなる。
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解説
医療機器ごとに典型的に注意すべき有害事象を問う問題。観血式血圧モニタは体内(血管)に導電経路を形成するため漏れ電流によるミクロショック対策が重要、パルスオキシメータは装着部の発赤(紅斑)や圧迫・発熱による皮膚トラブル、経皮的酸素分圧測定装置は電極の加温による熱傷、レーザー手術装置は強い光線による眼障害が代表的リスクであり、いずれも適切な組合せである。一方、超音波凝固切開装置はブレードの超音波振動により機械的振動と摩擦熱でタンパク質を変性・凝固させる装置で、注意すべき主作用は熱・機械的損傷であり、キャビテーションを前提としたリスクは一般的でない。したがって不適切な組合せは「超音波凝固切開装置—キャビテーション」である。
選択肢別解説
適切。観血式血圧モニタは血管内にカテーテルを留置して測定するため、体内への導電経路が形成される。微小な漏れ電流でも心筋刺激となり得るため(ミクロショック)、機器の絶縁・漏れ電流管理や等電位化が重要となる。
適切。パルスオキシメータは長時間の装着や血流不良時にセンサ部の発熱・圧迫・光照射の影響で装着部に紅斑(発赤)などの皮膚トラブルが起こり得るため、装着部位のローテーションや圧迫軽減が必要である。
適切。経皮的酸素分圧測定装置(tcPO2)は電極周囲をおおむね41〜43℃に加温して計測するため、装着条件や時間によっては局所の熱傷リスクがある。定期的な部位移動と温度・時間管理が必要である。
適切。レーザー手術装置は波長帯によっては網膜にまで到達し眼障害を生じ得る。適切な遮光・波長適合の保護眼鏡の着用やビーム管理が必須である。
不適切(正答)。超音波凝固切開装置は超音波振動子の機械的振動とそれに伴う摩擦熱で組織タンパク質を変性・凝固させ止血・切開を行う。注意すべき主なリスクは熱・機械的損傷であり、診断用超音波の高出力時に問題となるようなキャビテーションは本装置の作用機序として想定されない。従って「キャビテーション」は不適切な組合せである。
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