臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
各治療機器の主作用は次のとおり整理できる。電気メスは高周波電流を生体に流し、組織の電気抵抗で生じるジュール熱により切開・凝固を行う。マイクロ波手術装置は電磁波(2.45 GHz帯など)の電場で水分子の双極子回転やイオン運動を生じさせ、その誘電損失で発熱する誘電加熱が主作用である。CO2レーザメスは波長10.6 µmの光が水に強く吸収され光熱変換で蒸散・凝固(熱作用)を生じるため、電離を主作用とはしない。レーザ結石破砕はパルスレーザの吸収に伴う急激な加熱・キャビテーションから圧力波(衝撃波)が発生し結石を破砕する。超音波ネブライザは圧電素子で発生させた超音波で振動板を駆動し、液体を機械的振動により霧化する。したがって、誤った組合せは1(電気メス―誘電熱)、2(マイクロ波手術装置―ジュール熱)、3(CO2レーザメス―電離)で、4と5は妥当な組合せである。
選択肢別解説
誤り。電気メスは高周波電流(おおむね数百kHz〜数MHz)が組織を流れることで抵抗発熱(ジュール熱, $P=I^2R$)を生じ、切開・凝固を行う。誘電熱(誘電加熱)は主にマイクロ波やRFの電場による双極子回転・誘電損失で加熱する機序であり、電気メスの主作用ではない。
誤り。マイクロ波手術装置は水分子の双極子回転やイオン導電に伴う誘電損失で発熱する誘電加熱が主作用で、組織内を電流が直接流れて生じるジュール熱を主作用とするものではない。したがって「ジュール熱」との組合せは不適切。
誤り。CO2レーザメス(10.6 µm)は水への吸収が高く、光エネルギーが熱に変換されて蒸散・凝固(光熱作用)を生じる。電離(プラズマ化)は超高強度短パルス等で生じうるが、CO2レーザメスの主作用ではない。
正しい。レーザ結石破砕(例:Ho:YAGレーザ)はパルス照射により局所の急速加熱やキャビテーションから圧力波が発生し、これが衝撃波として結石に作用して破砕する。したがって主作用を「衝撃波」とするのは妥当。
正しい。超音波ネブライザは圧電素子で超音波を発生させ、振動板(ダイアフラム)の機械的振動で液体表面を微細化しエアロゾルを生成する。主作用は機械的「振動」である。
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解説
体外循環中は希釈や酸塩基・温度変化、薬剤投与により電解質が大きく変動する。インスリンはNa⁺/K⁺-ATPアーゼを介してK⁺を細胞内へ取り込み、血清K⁺を低下させるため低カリウム血症に傾く。低体温やアルカローシスもK⁺を細胞内へ移動させ、血清K⁺を低下させる方向に働く。保存血の大量使用では、抗凝固剤クエン酸がイオン化Ca²⁺をキレートして低カルシウム血症を来しやすい。さらに、回路充填液や心筋保護液の影響を含む希釈により、体外循環の早期には低ナトリウム血症が生じやすい。これらの典型的変動を踏まえたモニタリングと補正が重要である。
選択肢別解説
正しい。インスリンはNa⁺/K⁺-ATPアーゼ活性を高め、K⁺を細胞内へ移動させるため血清K⁺が低下し、低カリウム血症になりやすい。体外循環中の高血糖是正や高K⁺是正でインスリンを用いる際は特に注意する。
誤り。低体温ではK⁺が細胞内へシフトしやすく、血清K⁺は低下する方向(低カリウム化)に向かう。高カリウムになりやすいのは復温時に細胞外へK⁺が戻る局面でみられうるが、「低体温時」そのものは高カリウム化の方向ではない。
誤り。アルカローシスではH⁺の細胞外移動に伴いK⁺が細胞内へ移動するため、血清K⁺は低下しやすい(低カリウム化)。高カリウム化はアシドーシスで問題となる。
正しい。保存血の抗凝固剤クエン酸がイオン化Ca²⁺をキレートして低下させ、低カルシウム血症を生じやすい。大量輸血や回路充填に保存血を用いる際はイオン化Ca²⁺のモニタとカルシウム投与が必要。
正しい。回路充填液や心筋保護液の影響による希釈で体外循環初期に血清Na⁺が低下(希釈性低ナトリウム血症)しやすい。なお、その後の補液・薬剤(例:NaHCO₃)や除水の有無でNa⁺は変動しうるため連続的評価が重要。
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解説
誤っているのは「代謝性アルカローシス時には重炭酸ナトリウムを追加する。」である。重炭酸ナトリウム(NaHCO3)はアルカリ剤であり、代謝性アルカローシスをさらに増悪させる。人工心肺中の代謝性アルカローシスでは、アルカリ投与を中止し、Cl−欠乏の是正、限外濾過でのHCO3−過剰の是正、必要に応じて灌流条件を調整(循環・代謝の適正化)するなどが妥当である。その他の選択肢は、体外循環中の一般的なトラブルシューティングとして妥当である(溶血時のローラポンプ圧閉度調整、希釈性貧血時の水分バランス確認、ACT不十分時のヘパリン追加、脱血不良時のカニューレ位置確認など)。
選択肢別解説
正しい。ローラポンプの圧閉度が過大だとチューブの過度な圧迫により溶血が増える。過小でも滑りや逆流が生じ流体力学的ストレスが増え溶血の一因となる。溶血が顕著な場合は適正圧閉度に再調整し、吸引・VAVDの陰圧過多や回路屈曲など他因子も併せて点検する。
誤り(本問の解答)。重炭酸ナトリウムはアルカリ剤であり、代謝性アルカローシスに追加するとアルカリ血症を悪化させる。人工心肺中の代謝性アルカローシスでは、アルカリ投与の中止、Cl−補充(生理食塩液など)や限外濾過でのHCO3−過剰是正、原因薬剤(利尿薬など)の見直し、灌流条件の適正化を行う。
正しい。体外循環ではプライミングや補液により希釈性にヘマトクリットが低下しやすい。まず水分バランス(入出量・回路貯血量)を確認し、必要に応じて限外濾過で濃縮したり、酸素運搬能を考慮して赤血球濃厚液の追加を検討する。
正しい。ACT(活性化凝固時間)が延長せず目標(一般に400~480秒以上など施設基準)に達しない場合は抗凝固が不十分であり、ヘパリンを追加する。追加後の再測定を行い、必要に応じてATIII低下の関与(ATIII製剤やFFP)や投与ライン不具合も評価する。
正しい。脱血不良ではまず機械的要因の確認が基本で、脱血カニューレの挿入部位・深さ・向き、回路の屈曲・閉塞、静脈側陰圧のかけ過ぎ、静脈リザーバの液面などを点検する。カニューレ先端の壁吸着や位置不良は頻度が高く、位置確認・再固定が有効である。
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