臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
a. 出血の回収 — 血液吸引ポンプ
b. 静脈血の酸素加 — 人工肺
c. 肺循環の維持 — 血液ポンプ
d. 余剰水分の排出 — ベントポンプ
e. 貯血槽内の微小気泡除去 — 動脈フィルタ
1. a, b 2. a, e 3. b, c 4. c, d 5. d, e
解説
人工心肺(体外循環)では、各構成機器が明確な役割を担う。出血の回収は手術野の血液をサクション回路で吸引し、血液吸引ポンプ(多くはローラポンプ)で貯血槽へ戻すのが目的・手段の一致で正しい。静脈血の酸素加(酸素化)は人工肺の本質的機能で、同時に二酸化炭素除去も担うため正しい。一方、血液ポンプの目的は全身循環(体循環)維持であり、完全体外循環中は肺循環はほぼ途絶するので「肺循環の維持」との組合せは不適切。余剰水分の排出(除水)は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)で行うのが適切で、ベントポンプは左心系の減圧・心腔内血液や気泡の排出が目的であるため不適切。貯血槽内の微小気泡は貯血槽の除泡機構(除泡網・消泡材)で除去され、動脈フィルタは送血ライン中で患者送血直前の微小気泡・微小異物を捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。よって正しいのは1と2である。
選択肢別解説
正しい。手術野の出血回収はサクション回路で行い、血液吸引ポンプ(通常はローラポンプ)が陰圧で吸引して貯血槽へ戻す。目的(出血回収)と構成機器(血液吸引ポンプ)が一致する。
正しい。人工肺は静脈血の酸素化(酸素加)と二酸化炭素除去を担う中核機器であり、記載の組合せは適切。
誤り。血液ポンプは体循環(全身送血)を維持する装置であり、完全体外循環では肺循環はほぼ途絶する。したがって「肺循環の維持」との組合せは不適切。
誤り。余剰水分(体液)の除去は血液濃縮器(ヘモコンセントレータ)による限外濾過で行う。ベントポンプの主目的は左心室などの減圧・心腔内血液や気泡の排出であるため、組合せが不適切。
誤り。貯血槽内の微小気泡は貯血槽に内蔵された除泡機構(除泡網・消泡材)で除去される。動脈フィルタは人工肺出口から送血ラインを流れる血液中の微小気泡・微小異物を患者送血直前で捕捉する装置であり、「貯血槽内」との組合せは不適切。
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解説
人工心肺による体外循環では、血液が非生体表面(回路・酸素atorなど)に接触することで補体系(主に副経路)が活性化し、C3a・C5a などのアナフィラトキシンが産生され炎症反応が惹起される。接触系の賦活(XII因子→プレカリクレイン→カリクレイン)によりキニン系が動員され、ブラジキニンは増加する。血液成分では、希釈、回路表面への付着・活性化、消費、機械的損傷などにより血小板が減少し、白血球ではリンパ球が著明に減少して好中球優位となる。内分泌反応としては、手術侵襲・ストレス、非拍動流、体液変動などの影響で抗利尿ホルモン(バソプレシン)はむしろ上昇傾向を示す。以上より、1・2・3は正しく、4・5は記載が逆で誤りである。
選択肢別解説
正しい。血液が人工物に接触すると補体系が主に副経路で活性化し、C3a・C5a などのアナフィラトキシン生成、好中球活性化、炎症反応の増強が起こる。体外循環に特有の非生体表面接触が誘因である。
正しい。体外循環では血液希釈、回路・人工肺表面への付着、活性化に伴う消費、機械的破壊や剪断応力などにより血小板数は低下する(一般に30〜50%程度の減少がみられることが多い)。機能低下(活性化・脱顆粒)も併発する。
正しい。体外循環中はリンパ球が相対的・絶対的に減少し、白血球分画は好中球優位となる。原因としては希釈、再分布(margination)、アポトーシスやサイトカイン環境の変化などが挙げられる。
誤り。抗利尿ホルモン(バソプレシン)は手術侵襲やストレス、非拍動流、相対的低灌流・体液変動などの影響でむしろ上昇傾向を示すため、「減少する」は不適切である。
誤り。接触系(カリクレイン-キニン系)が賦活化され、キニノーゲンからブラジキニンが産生・遊離されるため、血中ブラジキニンは増加する。「減少する」は逆である。
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解説
血液透析回路に空気が混入した場合は、まず患者への空気流入を直ちに止めることが最優先であり、返血(静脈側)回路を遮断し血液ポンプを停止する。そのうえで、右心系に入った空気が肺動脈流出路へ移動しないよう左側臥位+頭低位(トレンデレンブルグ体位、Durant体位)をとらせて右心室前壁側に空気をトラップさせる。呼吸管理として高濃度酸素投与を行い、低酸素血症の改善と窒素洗い出しによる気泡縮小を図る。抗凝固薬の増量や血液回路の冷却は空気塞栓対策としては無効・不適切であり推奨されない。重症例では専門的判断の下で高圧酸素療法等が検討されるが、本設問の対応としては前述の遮断・体位管理・酸素投与が基本である。
選択肢別解説
正しい。空気塞栓が疑われる場面では高濃度酸素投与により低酸素血症を是正し、体内窒素分圧を低下させることで気泡から窒素を拡散させ、気泡の縮小・再吸収を促す(窒素洗い出し効果)。
正しい。左側臥位かつ頭低位(トレンデレンブルグ体位、Durant体位)は、右心室前壁側に空気をトラップさせて肺動脈流出路への移動を抑制し、致死的不整脈や肺循環障害を防ぐ目的で用いられる。
誤り。抗凝固薬を増量しても空気塞栓の除去・進展防止には寄与しない。むしろ出血リスクを高め得るため不適切であり、空気混入時の初期対応には含まれない。
誤り。血液回路の冷却は空気塞栓の本質的対処にならず、患者低体温や血液への有害影響の懸念がある。優先すべきは空気の流入遮断、体位管理、酸素投与である。
正しい。患者への空気流入を直ちに止めるため、返血(静脈)側回路を遮断し、血液ポンプも停止する。これにより患者体内への追加空気侵入を防ぐ。
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