臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
慢性腎不全で維持透析中の患者は、動脈硬化や高血圧を合併しやすく末梢血管抵抗が高いことが多いため、人工心肺中は適切な臓器灌流を確保する目的で灌流圧が相対的に高めに推移・設定されることが多い。高カリウム血症は致死的不整脈の主要因であり、術前透析や希釈液のK管理、(必要に応じて)術中の血液浄化で正常域へ補正するのが基本で「高めに」維持することはない。維持透析患者は希釈に脆弱で貧血も多く、プライミングによるヘマトクリット低下を考えると無輸血体外循環は一般に容易ではない。利尿薬による尿量確保は無効なことが多く、水分・溶質管理は透析や限外濾過で行う。術中透析を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内の循環に組み込まれており、原則としてその流量分だけ送血量(全身灌流量)を上乗せする必要はない。
選択肢別解説
誤り。維持透析患者は貧血が多く、プライミングによる希釈でヘマトクリットが下がりやすい。さらに体液管理も厳密で、無輸血体外循環の成立は一般に難しい。必要に応じて濃厚赤血球で酸素運搬能を確保する。
誤り。高カリウム血症は致死的不整脈のリスクとなるため、術前透析や低Kのプライミング、術中の血液浄化などでKは正常~やや低めへ補正するのが基本であり、「高めに」維持することはない。
正しい。維持透析患者では動脈硬化・高血圧などにより末梢血管抵抗が高い症例が多く、腎・脳など臓器灌流を確保する目的で体外循環中の灌流圧は相対的に高めに設定・維持されることが多い。
誤り。維持透析患者は無尿または乏尿が多く、利尿薬の効果は乏しい。術中の体液・溶質管理は透析や限外濾過で行うのが適切で、利尿薬大量投与で自尿確保を図る方針は不適切。
誤り。術中透析(またはHF/HD)を人工心肺回路に併設する場合、その血液流量は回路内で循環させる構成が一般的で、全身への送血量(適正灌流量)に透析流量分を単純加算する必要はない。加算すると過灌流や過剰希釈の危険がある。
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解説
医療過誤は、医療機関・医療従事者が通常求められる注意義務を怠った過失によって患者に損害を与えることを指すため、医療機関・医療従事者の過失に起因するという整理は正しい。臨床工学技士も医療専門職として注意義務違反があれば、民事(不法行為・債務不履行)、刑事(業務上過失致死傷等)、職業倫理上の責任を問われ得る。製造物責任(PL)は製造物の「欠陥」によって損害が生じた場合に製造業者等が負う無過失責任であり、ユーザーの不適切な使用そのものは直ちにPLの対象とはならない。欠陥の有無にかかわらずPLが生じるわけではない点にも注意する。リスクマネジメントは医療事故の未然防止と、発生時の被害最小化を目的とする組織的取り組みである。
選択肢別解説
正しい。医療過誤は医療機関・医療従事者の注意義務違反(過失)により患者に損害が生じた場合をいう。標準的医療水準からの逸脱や確認不足、手順違反などが典型であり、この定義は妥当である。
誤り。臨床工学技士も医療専門職として独自の注意義務を負い、設定ミス、点検不備、監視義務懈怠などの過失があれば過誤責任を問われ得る。民事(不法行為・債務不履行)、刑事(業務上過失致死傷等)、勤務先の使用者責任と併存することもある。
誤り。製造物責任(PL)は製造物の「欠陥」が原因で損害が生じた場合に適用される(設計・製造・警告表示上の欠陥など)。医療機器の不適切な使用(ユーザーの誤使用)による被害は原則としてPLではなく医療側の過失の問題である。なお、誤使用であっても警告表示の不備など欠陥が認められる場合に限りPLが問題となり得るが、本肢の断定は不適切。
誤り。PLは「欠陥」の存在が要件であり、欠陥の有無にかかわらず健康被害が出たというだけではPL責任は生じない。欠陥が否定されればPLの適用はない。
正しい。リスクマネジメントは医療事故を未然に防止し、発生時の被害・損失を最小化することを目的とする組織的・継続的な管理活動である。インシデント報告、原因分析、手順整備、教育訓練などが具体策となる。
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解説
災害時の人工呼吸管理では、電源と医療ガスの確保、そして即時の代替手段(用手換気)の準備が要点である。救命関連機器は平時から非常用電源コンセントに接続して常時充電・給電し、内部バッテリは停電や搬送などの非常時のバックアップとして温存するのが原則である。また、ガス供給停止や漏えいに備え、医療ガス設備・配管は委員会等と連携して点検・保守を行う。復電時にはサージ(突入)電流による機器の誤動作・故障を避けるため、UPSやサージプロテクタ、段階投入などの対策を講じる。以上より「人工呼吸器の内部バッテリを優先して使用する」は不適切であり、これが誤りの選択肢である。
選択肢別解説
適切。人工呼吸器などの生命維持装置は非常用電源コンセントへ常時接続し、停電時も自家発電や無停電電源により給電を継続できる状態にしておく。これにより内部バッテリは温存され、停電や移動時のバックアップとして有効に活用できる。
適切。停電・機器故障・ガス供給停止などの際に直ちに換気を継続するため、バッグバルブマスクなどの用手的換気装置を常備・点検し、使用手順を訓練しておくことは必須である。
適切。災害時は医療ガス供給の途絶や配管損傷が致命的となるため、医療ガス安全管理委員会等により設備・配管の定期点検と保守、非常時の供給体制(ボンベ切替、圧力監視)の確認を行うことは妥当である。
不適切。内部バッテリは容量が限られ劣化も進むため、平時から優先使用すると非常時のバックアップが失われる。通常は外部電源(非常用電源含む)を優先し、内部バッテリは停電や搬送などの緊急時に備えて温存するのが原則である。
適切。復電時はサージ(突入)電流や電圧変動で機器が誤動作・損傷する恐れがあるため、UPSやサージプロテクタの使用、機器の段階的再投入、復電前の電源スイッチオフ確認などの対策が望ましい。
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解説
特定機能病院では、医療機器安全管理責任者が年2回程度、定期的に研修を実施すべき機器の区分が厚生労働省通知等で7つ示されている。具体的には、(1)人工心肺装置および補助循環装置(PCPS等)、(2)人工呼吸器、(3)血液浄化装置、(4)除細動装置(AEDを除く)、(5)閉鎖式保育器、(6)診療用高エネルギー放射線発生装置、(7)診療用放射線照射装置である。本問の選択肢では、経皮的心肺補助装置は(1)に、閉鎖式保育器は(5)に該当し、研修対象である。一方、電気メス、消化管内視鏡、AEDはこの7区分に含まれず(AEDは「除細動装置」のうち明確に除外される)、研修対象外である。
選択肢別解説
正しい。経皮的心肺補助装置(PCPS)は「人工心肺装置および補助循環装置」に含まれ、特定機能病院では年2回程度の定期研修の対象である。操作上の安全確保やトラブル対応の知識・技能維持が求められる。
誤り。電気メスは定期研修の7区分には含まれない。安全使用や保守は重要だが、年2回程度の定期研修を義務付ける対象リスト外である。
誤り。消化管内視鏡は7区分に含まれない。内視鏡関連の衛生管理・安全は院内教育で扱われるが、本制度上の定期研修機器リストには該当しない。
誤り。除細動装置は対象区分にあるが「AEDを除く」と規定されているため、自動体外式除細動器(AED)は定期研修対象外である。
正しい。閉鎖式保育器は研修対象の7区分の一つであり、特定機能病院では年2回程度の定期研修を行うことが求められる。温度管理・アラーム・安全機構の理解が重要となる。
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