臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
$エネルギーの安全限界は、作用機序(電撃、熱、超音波など)と影響を受けやすい臓器 \cdot 組織に応じて規定される。商用交流(50/60 Hz)の離脱限界電流は成人でおおむね約10 mAで、1 mAは感知閾値に近い。高周波電流や超音波では主に熱作用が問題となり、眼や生殖細胞の安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安とされる。漏れ電流の許容値は周波数依存で、1 kHzを超えると人体の電撃感受性が低下するため許容値は周波数に比例して緩和される(規格では周波数範囲により係数が定められる)。また、加熱を意図しない患者装着部の温度は熱傷予防の観点から41℃以下に抑えることが求められる。以上より、正しいのは4と5である。$
選択肢別解説
誤り。商用交流(50/60 Hz)での離脱限界電流(let-go current)は成人でおおむね約10 mA程度とされ、1 mAは感知閾値に近い値である。したがって「1 mA」は過小で正しくない。
$誤り。高周波電流の主作用は組織加熱であり、眼は血流が少なく熱が逃げにくいため低出力でも障害を受けやすい。眼障害の安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安で、1 W/cm^2は過大である。$
$誤り。超音波の生体影響は主に熱作用と機械作用であり、生殖細胞は感受性が高い。安全限界はおおむね0.1 W/cm^2程度が目安で、1 W/cm^2は過大である。$
正しい。人体は商用周波数帯で電撃感受性が最大で、1 kHzを超えると感受性が低下するため、規格(IEC 60601-1/JIS T 0601-1)では漏れ電流の許容値を周波数に比例して緩和する取り扱いがある。すなわち1 kHzに対して周波数の倍数に応じて許容値が増える(注:実際の規格は周波数範囲ごとの係数・上限が定められる)。
正しい。加熱を意図しない患者装着部については、長時間接触でも熱傷を生じさせないための安全限界温度が41℃とされる。従って記述は妥当である。
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解説
カテーテルアブレーションは、心筋内の不整脈起源(異常自動能、トリガー、リエントリー回路など)をカテーテル先端電極から通電して熱変性させ、病的伝導を遮断・修飾する治療である。一般に約300〜700kHzの高周波(RF)電流を用い、筋・神経刺激を回避しつつ、先端周囲の組織に抵抗加熱を生じさせる。対極板(パッド)は電流帰路として用いられ、広い面積で電流密度を下げるため焼灼は生じにくく、病変はカテーテル先端周囲に形成される。適応は上室頻拍、WPW症候群、心房粗動、心房細動(肺静脈隔離など)を含む頻脈性不整脈で、心房細動に対する治療として広く実施される。一方、発作中の心室細動の中止は除細動が第一選択であり、アブレーションは再発予防や基質修飾として検討されるにとどまる。
選択肢別解説
誤り。標的は冠動脈内病変ではなく、不整脈の発生・維持に関与する心筋組織(異常伝導路やリエントリー回路、トリガー起源など)である。冠動脈内病変の治療は主にPCI(ステント留置など)が対象となる。
誤り。用いるのは約300〜700kHzの高周波電流であり、3〜7kHzの低周波ではない。高周波帯を用いることで筋・神経刺激を避けつつ、先端周囲組織に抵抗加熱を生じさせる。
誤り。病変形成(焼灼)はカテーテル先端電極に接する心筋組織で生じる。対極板は電流の帰路として体表に広く貼付され、面積が大きく電流密度が低いため焼灼は起こりにくい。
正しい。心房細動はカテーテルアブレーションの主要適応の一つであり、肺静脈隔離などの手技が標準的に行われる。
誤り。発作中の心室細動の急性停止は電気的除細動が第一選択である。アブレーションは再発予防や基質修飾として検討されることはあるが、進行中のVFの停止手段としては有用ではない。
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解説
電気メスでは、切開は連続波(連続的に出力)で組織を素早く蒸散させ、凝固は断続波(デューティ比を下げた変調波)で組織を乾燥・止血させる。点検で用いるダミー負荷は高周波でのインダクタンス影響を避けるため無誘導抵抗器を用いる。対極板の安全は電流密度(単位面積あたりの電流)で決まり、出力電流が大きいほど必要面積も大きくなる($J=I/A$)。静電結合型対極板は表面が絶縁されており、体表と電極の間に容量を形成して電流を回収する設計で、接触不良や局所高密度電流を抑える意図がある。スプレー凝固は高電圧・火花放電を伴うため高周波ノイズが発生しやすく、モニタ等に雑音障害を起こしうる。
選択肢別解説
誤り。切開出力が連続波で、凝固出力は断続波(低デューティ比の変調波)である。凝固は加熱時間を間欠的にして炭化・止血を得る方式であり、連続波ではない。
正しい。電気メスの点検では高周波電流を負荷に流すため、インダクタンスを持つ巻線抵抗は誤差や発振の原因となる。したがってコイル成分を極小化した無誘導抵抗器を負荷抵抗として用いる。
正しい。対極板での熱傷は高い電流密度が原因となるため、出力電流が増えるほど対極板面積を広くして$J=I/A$を安全域に保つ必要がある。一般に安全電流密度は概ね数十 mA/cm^2 以下が目安とされ、出力に依存して必要面積が変わる。
正しい。静電結合型対極板は表面が絶縁され、患者皮膚との間にコンデンサを形成して容量結合で電流を回収する。これにより直流や低周波成分の直接流入を避け、局所的な高電流密度の発生を抑える設計である。
誤り。スプレー凝固は高電圧で非接触の火花放電を用いるため、高周波ノイズ(EMI)が発生しやすく、ECGなどのモニタに雑音障害を生じやすい。
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解説
$各種エネルギーの人体安全限界についての設問で、正答は3と4である。ミクロショックの最小誘発電流は心腔内経路で約0.1 mA(100 µA)程度とされ、1 mAはマクロショックの最小感知電流の代表値であるため1は不正確。高周波暴露による睾丸(生殖腺)障害の限界は代表的記載で約0.01 W/cm^2とされ、0.1 W/cm^2は過大であるため2は誤り。超音波の生殖細胞への安全限界0.1 W/cm^2は教科書的記載と整合し3は正しい。感電閾値はダルジールの実験で1 kHz超では周波数に概ね比例して上昇するため4は正しい。患者に対する短時間の接触限界温度は医用電気機器の規格(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)で50 ℃程度が用いられ、41 ℃は低すぎるため5は誤り。$
選択肢別解説
誤り。ミクロショック(心腔内経路)の心室細動最小誘発電流は代表値で約0.1 mA(100 µA)であり、1 mAはマクロショックの最小感知電流の目安である。したがって「1 mA」は過大。
$誤り。高周波暴露による睾丸障害の限界は文献的に約0.01 W/cm^2とされる。設問は0.1 W/cm^2であり、1桁大きく過大評価。また単位W/cm^2はエネルギーではなく出力密度(パワー密度)である。$
$正しい。超音波の生殖細胞への安全限界は0.1 W/cm^2が標準的な教科書記載と整合する。これより高い強度では熱作用 \cdot 機械作用(キャビテーション)による影響が問題となりうる。$
正しい。ダルジールの実験に基づき、1 kHzを超えると人体の感電閾値は周波数に概ね比例して増加する(例として10 kHzで約10 mA程度へ上昇)。
誤り。患者への短時間接触に関する限界温度は規格(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)でおおむね50 ℃程度が用いられる。41 ℃は長時間暴露での生体影響の目安であり、短時間接触の規格値としては低すぎる。
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解説
ESWL(体外衝撃波結石破砕装置)の代表的な衝撃波発生法は、水中放電式、圧電式、電磁式(電磁振動式)の3方式である。いずれも体外で発生させた高圧力のパルス波(衝撃波)を音響学的に集束し、結石にエネルギーを集中させて破砕する。一方、レーザ(例:Ho:YAG)や圧縮空気を用いるニューマティック砕石は、内視鏡下で体内側からプローブ先端にエネルギーを伝えて結石を砕く“体内砕石”であり、ESWLの衝撃波発生法には該当しない。したがって本問で『誤っている』のはレーザと圧縮空気である。
選択肢別解説
レーザは内視鏡的砕石術(例:Ho:YAGレーザ)で用いる体内砕石の方法であり、ESWLの体外における衝撃波発生法には含まれない。従って、本設問の観点では誤り。
圧縮空気はニューマティック砕石(空圧式)として内視鏡下で用いる体内砕石の方式であり、ESWLの衝撃波発生法ではない。従って、本設問の観点では誤り。
圧電素子(圧電式)はESWLの正規の発生法。多数の圧電素子を球面状に配置して高出力超音波パルスを発生・集束させ、非線形効果により焦点近傍で衝撃波化して結石を破砕する。
水中放電式はESWLの正規の発生法。水中の電極間放電により強い圧力パルス(衝撃波)を発生させ、楕円体反射面などで焦点に集束して結石を破砕する。
電磁振動(電磁式)はESWLの正規の発生法。コイルと金属膜(ダイアフラム)などを用いて電磁力で膜を急激に駆動し、発生した圧力パルスを音響レンズ等で集束して衝撃波として結石に作用させる。
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解説
小電力医用テレメータは、病院内で患者の生体信号を無線で監視するための特定小電力無線であり、割り当て周波数帯域は420〜450 MHzの範囲に設定され、アマチュア無線帯を挟んで複数のサブバンド(6バンド)に分割して運用される。送信機はA〜E型の5種類に区分され、区分の本質は占有周波数帯域(チャネル間隔)に基づく。A型のチャネル間隔は12.5 kHz、B型は25 kHzであるため、「A型のチャネル間隔は25 kHz」という記述は誤りである。混信対策としては、機器やエリアごとに色ラベルでゾーンを管理し、同一・近接チャネルの混在を避ける院内運用ルールが有効である。
選択肢別解説
正しい。小電力医用テレメータの割り当て周波数帯域は420〜450 MHzで運用される。
誤り。A型のチャネル間隔は12.5 kHzであり、25 kHzはB型のチャネル間隔である。
概ね正しい。A〜E型の区分は本来、占有周波数帯域(チャネル間隔)に基づくが、許容できる同時送信信号数と対応しており、実務上は同時送信可能な信号数の違いとして5種類の送信機が用意されている。
正しい。420〜450 MHzの割り当て帯はアマチュア無線帯を挟んで6つのサブバンドに分けて運用される。
正しい。院内での混信低減策として、色ラベルによるゾーン配置・機器管理は有効であり、同一・近接チャネルの混在を避ける運用に役立つ。
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解説
各治療機器で主として用いる物理エネルギーの対応を問う。ベータトロンは電子線(および制動放射によるX線)といった電離放射線を用いるため「放射線」で正しい。人工呼吸器は陽圧・陰圧など機械的圧力によって換気を行うため「機械力」で正しい。電気焼灼器(電気メス)は高周波交流電流を組織に流してジュール熱を生じさせるため「電流」で正しい。超短波治療器は高周波の電磁波(短波・マイクロ波帯)を用いた誘電加熱による温熱療法であり「電磁波」で正しい。これらに対し、温熱治療器は熱そのもの、あるいは赤外線・マイクロ波等の非電離の電磁波や超音波などを介して温熱効果を与える装置であり、電離放射線(X線・γ線・電子線など)を意味する「放射線」は適切でない。したがって誤っている組合せは4。
選択肢別解説
ベータトロンは電子を加速し電子線として照射するほか、ターゲットで制動放射によりX線を得ることもできる。いずれも電離放射線であり「放射線」の組合せは正しい。
人工呼吸器は機械的な陽圧(あるいは陰圧)で肺にガスを送り込み換気を補助・代行する装置であり、用いる主たるエネルギーは機械力で正しい。
電気焼灼器(電気メス)は高周波交流電流を組織に流してジュール熱を発生させ、切開・凝固・止血を行う。従って「電流」の組合せは正しい。
温熱治療器はホットパックなどの熱や、赤外線・マイクロ波などの非電離の電磁波、超音波などにより温熱効果を与える。X線・γ線・電子線などの電離放射線(狭義の放射線)は通常用いないため「放射線」との組合せは誤り。
超短波治療器は高周波の電磁波による誘電加熱で体内に温熱効果を与える装置であり、「電磁波」との組合せは正しい。
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