Loading...

臨床工学技士問題表示

臨床工学技士国家試験

検索元問題
第28回 午前 第46問
20件の類似問題
ISM (Industrial, Scientific and Medical) 周波数帯のエネルギーを使用しているのはどれか。...
広告
32
臨床工学技士国家試験 - 第31回 午後
重要度:低 正答率:71% 類似度 81.7% 解説あり
マイクロ波手術装置で正しいのはどれか。(医用治療機器学)
a
ISM 周波数を使用する。
b
同軸ケーブルを使用する。
c
渦電流損で発熱する。
d
対極板を使用する。
e
組織を凝固する。
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

マイクロ波手術装置は、医療用に割り当てられたISM周波数帯の2.45 GHzを用いて、組織内での誘電損失(主に水分子の双極子回転やイオン伝導)による加熱で凝固・止血・アブレーションを行う。エネルギーは発振器(マグネトロンや固体発振器)から手術電極(アンテナ)まで同軸ケーブルで伝送されるのが一般的である。マイクロ波は電極周囲で局所的に減衰するため、高周波電気メスのような対極板(帰路電極)は不要である。渦電流損は金属など導体中での誘導加熱の損失概念であり、マイクロ波手術装置の主たる加熱機序ではない。

選択肢別解説

a
正解

正しい。医療用マイクロ波手術装置は、国際的にISM(Industry, Science, Medical)用途に割り当てられた2.45 GHz帯を使用する。国内でもこの帯域が用いられるのが一般的で、他無線への干渉管理の観点でも妥当である。

b
正解

正しい。発振器から手術電極(アンテナ)までの電力伝送には50 Ω系の同軸ケーブルが一般に用いられる。内部で導波管を用いる機種もあるが、患者側に接続される可撓な伝送路としては同軸ケーブルが標準的である。

c
不正解

誤り。マイクロ波手術装置の発熱は組織の誘電損失(誘電加熱:水分子の双極子回転やイオン伝導によるジュール熱)による。渦電流損は主として金属導体中の磁場変化で生じる誘導加熱の損失概念であり、軟部組織加熱の主機序ではない。

d
不正解

誤り。マイクロ波は電極(アンテナ)近傍で局所的にエネルギーを沈着させるため、単極高周波電気メスのような対極板(帰路電極)は不要である。

e
正解

正しい。マイクロ波による誘電加熱で組織を凝固・止血し、肝など実質臓器の表在出血の制御やアブレーション(部分切除・焼灼)に用いられる。

33
臨床工学技士国家試験 - 第30回 午後
重要度:低 正答率:97% 類似度 76.7% 解説あり
治療機器について正しい組合せはどれか。
1
心臓ペースメーカ ―― マイクロ波
2
電気メス ―― 高周波電流
3
レーザメス ―― 電子線
4
ESWL ―― 赤外線
5
IABP ―― 音波

解説

治療機器が利用する物理エネルギーの対応関係を問う問題。電気メスは300 kHz〜数MHzの高周波電流を患部に流し、そのジュール熱で切開・凝固を行うため「電気メス―高周波電流」が正しい。心臓ペースメーカは心筋へ低周波の電気刺激(パルス電流)を与える装置であり、マイクロ波(電磁波の一種)は用いない。レーザメスはレーザ光(光エネルギー)を照射して熱作用などを利用するため、電子線ではない。ESWLは体外から音響衝撃波(音波の一種)を結石に収束させて破砕するため、赤外線ではない。IABPはヘリウムなどで駆動するバルーンの拡張・収縮という機械的力(圧補助)を用いるため、音波ではない。

選択肢別解説

1
不正解

誤り。心臓ペースメーカは心筋に低周波の電気刺激(パルス電流)を与えて捕捉・ペーシングを行う装置であり、マイクロ波(電磁波の高周波域)を治療エネルギーとして用いない。

2
正解

正しい。電気メスは約300 kHz〜5 MHzの高周波電流を組織に流し、ジュール熱により切開・凝固・止血を行う。高周波化により神経・筋刺激を回避しつつ熱作用を得る。

3
不正解

誤り。レーザメスはレーザ光(可視・赤外などの光、電磁波の一部)を照射して熱・光化学作用で切開・凝固する。電子線(荷電粒子線)は放射線治療などで用いられ、レーザメスのエネルギーではない。

4
不正解

誤り。ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は体外で発生させた音響衝撃波(音波)を焦点に収束して結石を破砕する。赤外線(電磁波)は用いない。

5
不正解

誤り。IABP(大動脈内バルーンパンピング)は駆動ガスによりバルーンを拡張・収縮させる機械的圧補助で冠動脈灌流の増加と後負荷軽減を図る。音波は治療エネルギーとして用いない。

34
臨床工学技士国家試験 - 第33回 午前
重要度:標準 正答率:73% 類似度 76.6% 解説あり
正しい組合せはどれか。
a
ESWL — 音波
b
除細動器 — パルス波
c
電気メス — 高周波
d
電気焼灼器 — 極超短波
e
IABP — 超音波
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

医用治療機器が主として利用する物理エネルギーの対応を問う問題。ESWLは体外から収束させた衝撃波(音波の一種)で結石を破砕するため「音波」で正しい。除細動器はコンデンサに蓄えた直流エネルギーを短時間のパルスとして心筋に印加する機器であり、「パルス状の直流(パルス波)」に該当して正しい。電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流によるジュール熱を利用するため「高周波」で正しい。電気焼灼器は抵抗加熱体を通電(多くは直流や低周波)して先端を高温にし焼灼する機器であり、電磁波(極超短波=マイクロ波)を用いるわけではないため誤り。IABPはヘリウムガスでバルーンを拡張・収縮させて冠灌流の増加と後負荷軽減を図る機械的補助であり、超音波は用いないため誤り。

選択肢別解説

a
正解

正しい。ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は衝撃波を体内の結石に集束させ破砕する。衝撃波は媒体中を伝搬する音響波の一種であり、「音波」の分類に含まれる。

b
正解

正しい。除細動器はコンデンサに蓄えた直流を短時間に放電して心筋にパルス状の電流を流す(単相性・二相性パルス、台形/指数減衰波形など)。したがって「パルス波」の表現は適切である。

c
正解

正しい。電気メス(電気手術装置)は約0.3~5 MHzの高周波電流を生体に流し、組織のジュール熱で切開・凝固・止血を行うため、利用エネルギーは「高周波」である。

d
不正解

誤り。電気焼灼器は通電で先端金属を加熱する抵抗加熱を用いる機器であり、極超短波(マイクロ波)といった電磁波は用いない。極超短波を治療に用いるのはマイクロ波凝固装置やマイクロ波治療器である。

e
不正解

誤り。IABP(大動脈内バルーンパンピング)はヘリウムガスによるバルーンの拡張・収縮で機械的に循環補助を行う。超音波エネルギーは使用しない。

44
臨床工学技士国家試験 - 第30回 午前
重要度:低 正答率:73% 類似度 76.4% 解説あり
正しいのはどれか。
a
2.4 GHz の電磁波は非電離放射線である。
b
携帯電話で使用される周波数は約 500 kHz である。
c
小電力医用テレメータは出力が規定値以内であれば任意の周波数を用いてよい。
d
心電計に電磁障害が起きると患者測定電流が増加する。
e
電気メス使用時は心臓ペースメーカを固定レートにする。
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

本問は電磁環境と医用機器の基礎。2.4 GHz帯の電磁波はフォトンエネルギーが低く物質を電離させないため非電離放射線である。携帯電話は数百MHz〜数GHzの帯域を用い、500 kHzは携帯電話の帯域ではない。医用テレメータ(特定小電力無線局)は電波法で使用周波数帯が割り当てられており、出力が小さければ任意周波数でよい訳ではない。心電計の電磁障害は主に交流雑音やベースラインの乱れとして現れ、患者測定電流(患者漏れ電流)を増加させる機序ではない。電気メス使用時にはペースメーカのデマンド機能がノイズを自己脈と誤認して抑制される危険があるため、一般に一時的に固定レート(非同期)に設定して安全側に管理する。

選択肢別解説

a
正解

$正しい。2.4 GHz帯はマイクロ波領域であり、フォトンエネルギーは E=h\nu より極めて小さく(2.4 GHzで約10^{-5} eV程度)、原子 \cdot 分子を電離させない。したがって非電離放射線に分類され、無線LANやBluetooth等に用いられる。$

b
不正解

誤り。携帯電話(LTE/5Gを含む)は主に700 MHz帯、800/900 MHz帯、1.5〜2.1 GHz帯、3.4〜3.7 GHz帯などを使用する。500 kHzは中波(AM)放送帯域に相当し、携帯電話の周波数ではない。

c
不正解

誤り。小電力の医用テレメータは電波法に基づき使用できる周波数帯が指定されており(日本では400 MHz帯の割当てがある)、出力が規定内でも任意の周波数の使用は認められない。混信防止と医療安全の観点から周波数管理が義務付けられている。

d
不正解

誤り。心電計の電磁障害は50/60 Hzの交流雑音や高周波干渉として波形乱れ・飽和・ベースライン動揺などで現れるのが典型で、患者測定電流(患者漏れ電流)を増加させるものではない。漏れ電流は機器設計・規格で制限され、外来電磁波の印加で増やす前提にはない。

e
正解

正しい。電気メスの高周波ノイズをデマンド型ペースメーカが自己脈として過大にセンシングするとペーシング抑制による徐脈・無脈の危険がある。手術時は一時的に固定レート(VOO/DOO等の非同期)に設定する、あるいは磁石応答で非同期化するなどの対応が推奨される。併せて対極板配置や通電時間短縮等で干渉低減を図る。

45
臨床工学技士国家試験 - 第23回 午後
正答率:87% 類似度 76.3% 解説あり
正しいのはどれか。
a
2.4 GHzの電磁波は非電離放射線である。
b
携帯電話で使用される周波数は約500 kHzである。
c
小電力医用テレメータは出力が10 mW以下であれば任意の周波数を用いてよい。
d
心電計に対する電磁障害は患者測定電流の増加である。
e
電気メスの影響を抑えるために心臓ペースメーカを固定レートとする。
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

2.4 GHz帯の電磁波は周波数がきわめて低く、光子エネルギー $E=hf$ も小さいため非電離放射線に分類される。携帯電話は数百MHz〜数GHz帯を用いており、500 kHz(長波帯)は用いない。小電力医用テレメータは電波法に基づき専用の周波数帯が割り当てられており、出力が低いだけでは任意周波数の使用は認められない。心電計における電磁障害は主に交流ハムや高周波ノイズの混入として現れ、患者測定(漏れ)電流の増加ではない。電気メス使用時は、デマンド型ペースメーカがノイズを心拍と誤認して抑制される恐れがあるため、固定レート(非同期)への設定が有効な対策の一つである。以上より、正しいのは1と5である。

選択肢別解説

a
正解

正しい。2.4 GHzはマイクロ波帯で、光子エネルギーが電離に必要なレベル(一般に数eV以上、周波数でおよそ $10^{15}$ Hz 以上)に達しないため非電離放射線に分類される。人体への主な影響は熱作用であり、電離(イオン化)は生じない。

b
不正解

誤り。携帯電話の通信には一般に800 MHz帯〜数GHz帯(例:900 MHz、1.5〜2.6 GHz、5G ではさらに高い帯域)が用いられる。500 kHzは長波/中波帯であり、携帯電話の周波数としては不適切である。

c
不正解

誤り。小電力医用テレメータは電波法により周波数帯が指定されており、出力が10 mW以下でも任意の周波数は使用できない。運用できるのは医療用に割り当てられた特定の帯域に限られる。

d
不正解

誤り。心電計の電磁障害は主に交流ハム(50/60 Hz)や電気メスなどからの高周波ノイズ混入として測定波形の乱れや基線動揺、飽和などで現れる。患者測定(漏れ)電流は安全規格により上限が厳しく制限されており、電磁障害の本質は電流増加ではない。

e
正解

正しい。電気メスの高周波ノイズをデマンド型ペースメーカが心拍として誤検出すると出力が抑制されるおそれがある。対策として固定レート(非同期:VOO/DOOなど)に設定し、ノイズによる抑制を回避する方法が用いられる(他にも双極モードの使用、分散電極の配置最適化、出力最小化等)。

広告
34
臨床工学技士国家試験 - 第32回 午前
重要度:低 正答率:57% 類似度 76.1% 解説あり
誤っている組合せはどれか。
a
超短波治療器 ―― 高周波
b
筋刺激装置 ―― 光
c
X線装置 ―― 粒子線
d
ネブライザ ―― 超音波
e
除細動器 ―― パルス波
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

各医用機器が取り扱う物理エネルギーの組合せを吟味する問題。超短波治療器は高周波電磁波(短波:おおむね30〜300 MHz、代表周波数27.12 MHzなど)を用いて深部加温するため「高周波」で適合。筋刺激装置は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり「光」は不適合。X線装置が出力するX線は電磁波であって粒子線ではないため「粒子線」は不適合。ネブライザは方式により圧縮空気(ジェット)または超音波を利用し、超音波ネブライザという分類が確立しているので「超音波」は適合。除細動器は単相性または二相性の高電圧パルス(短時間の電流パルス波形)を出力するため「パルス波」で適合。したがって誤っている組合せは2と3である。

選択肢別解説

a
不正解

適切。超短波治療器(短波・極超短波治療器)は高周波の電磁波を用いて生体組織を加温する。代表周波数として27.12 MHzなどが用いられ、高周波電磁エネルギーに分類される。

b
正解

不適切。筋刺激装置(TENS、NMESなど)は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり、用いるエネルギーは電気である。光エネルギーは光線療法やレーザ治療器に該当し、筋刺激装置の原理とは一致しない。

c
正解

不適切。X線装置が患者に照射するのはX線(電磁波)であり粒子線ではない。X線は管内で加速した電子(粒子)をターゲットに衝突させて二次的に発生させるが、患者に与えるエネルギーは電磁波である。粒子線治療は陽子線・炭素イオン線など別種の装置に該当する。

d
不正解

適切。ネブライザは薬液を微粒化して吸入させる機器で、方式としてジェット(圧縮空気)と超音波があり、超音波ネブライザは実在する分類であるため「超音波」の組合せは妥当。

e
不正解

適切。除細動器は致死性不整脈に対し、単相性または二相性の短時間高電圧パルス(パルス波形)を出力して心筋を同時再分極させる機器であり、「パルス波」の組合せは妥当である。

56
第二種ME技術認定試験 - 第37回 午後
類似度 74.9%
植込み式心臓ペースメーカに対して電磁波障害を与えるのはどれか。
1
超音波手術装置
2
光凝固装置
3
赤外線治療器
4
冷凍手術装置
5
高周波手術装置
67
臨床工学技士国家試験 - 第5回 午後
正答率:84% 類似度 74.6%
マイクロ波メスについて正しいのはどれか。
1
微細な手術に適する。
2
主に使用される電磁波は2,450MHzである。
3
対極板を必要とする。
4
出血性実質臓器の鋭利な切開に適する。
5
心電図モニタや心臓ペースメーカに電磁的影響を与えない。
55
臨床工学技士国家試験 - 第2回 午後
正答率:55% 類似度 74.1%
医用治療器に使用されるエネルギーのうち、電磁波でないのはどれか。
a
RF(ラジオ周波数)波
b
マイクロ波
c
超音波
d
機械力
e
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e
33
臨床工学技士国家試験 - 第27回 午前
重要度:低 正答率:74% 類似度 74.1% 解説あり
治療機器と利用している作用エネルギーとの組合せで正しいのはどれか。
a
低周波治療器 — 音波
b
ESWL — 電磁波
c
光線治療器 — 光
d
冷凍手術器 — 熱
e
IABP — 圧力
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

各治療機器が患者に与える主作用エネルギーを対応づける問題。低周波治療器は皮下組織へ低周波電流を流す電気刺激装置であり、音波は用いない。ESWLは体外で発生させた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)を結石に集束させて破砕するため、電磁波ではない。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射する。冷凍手術器は液体窒素や圧縮ガスの断熱膨張などで強い低温を発生させ、熱エネルギーを奪う(熱的作用)。IABPはバルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)で循環補助を行う。したがって正しい組合せは「光線治療器—光」「冷凍手術器—熱」「IABP—圧力」である。

選択肢別解説

a
不正解

誤り。低周波治療器は皮膚電極から低周波電流を流す電気刺激装置であり、主作用エネルギーは電気(電流)。音波は用いない。

b
不正解

誤り。ESWLは結石に焦点を合わせた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)で破砕する。臓器に入る主作用は電磁波ではない。

c
正解

正しい。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射し、生体に光・温熱作用を与える。

d
正解

正しい。冷凍手術器は極低温で患部から熱を奪い凍結壊死を起こす熱的作用(低温)。「熱」のカテゴリに含められる。

e
正解

正しい。IABPは大動脈内バルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)変化を利用して冠灌流と後負荷を調節する。

広告
33
臨床工学技士国家試験 - 第24回 午後
重要度:低 正答率:66% 類似度 74.0% 解説あり
マイクロ波手術装置で誤っているのはどれか。
a
電子レンジと同じ周波数のマイクロ波が用いられる。
b
マイクロ波の発生にはマグネトロンが用いられる。
c
手術電極に付着した組織を解離させるために直流電流を流す。
d
大きな面積の対極板が必要である。
e
鋭利な切開に適している。
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

マイクロ波手術装置は、主にISM帯の2.45GHz(2,450MHz)のマイクロ波をマグネトロンで発生させ、電極周囲の組織中の水分子の誘電加熱によって凝固・止血を行う機器である。高周波電気メスのように患者体内を流れる電流回路で熱を発生させる方式ではないため、電流を回収するための大きな対極板は不要である。また切開能より凝固・止血能を重視する設計であり、鋭利な切開には適さない。さらに、凝固による組織の付着対策として、機種により直流電流を用いる組織解離装置を併用し、付着組織を解離させる運用がある。以上より、誤りは「対極板が必要」と「鋭利な切開に適する」の記述である。

選択肢別解説

a
不正解

正しい。医療用マイクロ波手術装置では、家庭用電子レンジと同じISM帯の2.45GHz(2,450MHz)が一般的に用いられる。これは誘電加熱効率と法規制(ISM帯)に適合するためである。

b
不正解

正しい。マイクロ波の発生源としてマグネトロンが広く用いられてきた。近年は半導体発振器の例もあるが、装置としてマグネトロン採用は妥当な記述である。

c
不正解

正しい。強い凝固作用により電極へ組織が付着しやすいため、機種によっては直流電流を利用する組織解離装置を併用して付着組織を解離・剥離する運用があると説明される。記述は適切である(採用の有無は機種差あり)。

d
正解

誤り。マイクロ波手術装置は電極周囲の組織を誘電加熱する方式で、電気メスのように患者を介して電流を回収する回路を必要としない。そのため大きな面積の対極板(分散電極)は不要である。

e
正解

誤り。マイクロ波手術装置は凝固・止血作用を主目的としており、鋭利な切開には適さない。切開能を重視するなら電気メスの切開モード等が適する。

68
臨床工学技士国家試験 - 第18回 午前
正答率:82% 類似度 73.9%
マイクロ波手術装置について正しいのはどれか。
a
心電図モニタに対する電磁波障害はない。
b
主に誘電加熱による作用を利用する。
c
2450MHzの周波数を使用する。
d
対極板が必要である。
e
凝固より切開に利用されることが多い。
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e
33
臨床工学技士国家試験 - 第22回 午前
正答率:72% 類似度 73.6% 解説あり
治療原理について誤っている組合せはどれか。
a
電気メス — 低周波電流
b
除細動器 — 高周波電流
c
高気圧治療装置 — 静圧
d
ネブライザ — 超音波
e
サイクロトロン — 電子線
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

治療機器と、その作用に用いる物理エネルギー(電気・機械・音波・放射線など)の対応を問う問題。電気メスは高周波電流(おおむね300 kHz〜5 MHz)のジュール熱で切開・凝固を行うため「低周波」は不適。除細動器はコンデンサに蓄えた直流エネルギーを短時間に放電(単相あるいは二相のパルス)する機器であり、「高周波電流」ではない。高気圧治療装置は静圧(周囲圧の上昇)により酸素分圧・溶解量を高める。ネブライザは方式により異なるが、超音波ネブライザは超音波で霧化する。サイクロトロンは荷電粒子の加速装置で、粒子線(陽子線等)を主用途とするが、選択肢の意図としては荷電粒子ビームの生成(電子線を含む概念)に整合すると解釈できる。したがって誤りの組合せは1と2。

選択肢別解説

a
正解

誤り。電気メスは高周波電流(約300 kHz〜5 MHz)を用い、メス先端の高い電流密度で生じるジュール熱により組織の切開・凝固を行う。低周波では神経・筋の興奮や感電を起こしやすく、電気メスの原理に適さない。

b
正解

誤り。除細動器は直流電源(コンデンサ放電)を患者に短時間印加し、心筋を一斉脱分極させてリエントリーを途絶させる。波形は単相のダンピング波形や二相性パルスであり、高周波交流を用いるものではない。

c
不正解

正しい組合せ。高気圧治療装置は静圧(周囲圧力の上昇)を利用して酸素分圧および血漿中の溶解酸素量を増加させ、CO中毒や減圧症などの治療に寄与する。物理量としては機械力(静圧)に分類される。

d
不正解

正しい組合せ(方式を特定すれば妥当)。超音波ネブライザはピエゾ素子などで発生させた超音波により薬液を霧化する。一方でジェットネブライザは圧縮気体を用いるため、一般名の「ネブライザ」は方式により原理が異なる点に留意する。

e
不正解

正しい組合せとして扱われる。サイクロトロンは荷電粒子を加速してビームを得る装置であり、医療では主に陽子線・重粒子線やPET核種製造に用いられる。臨床の電子線治療は一般にリニアック由来だが、本設問の対応は「加速装置と荷電粒子ビーム(電子線を含む)」の概念対応として妥当と判断する。

35
臨床工学技士国家試験 - 第23回 午前
正答率:79% 類似度 73.5% 解説あり
マイクロ波手術器について正しいのはどれか。
a
使用する波長は1〜2mmである。
b
組織中の水に発生するジュール熱を利用する。
c
モノポーラ型針電極を使用する。
d
凝固作用が中心である。
e
他の医療機器に対する電磁的影響は少ない。
組み合わせ: 1. a b 2. a e 3. b c 4. c d 5. d e

解説

マイクロ波手術器は主に2.45 GHz帯(ISMバンド)のマイクロ波を用い、組織中の水分子の配向運動(誘電体損失)による誘電加熱で組織を加熱する。これにより止血・凝固が中心的機能となる。臨床的にはコアキシャルケーブル先端の内導体を突出させた針状のモノポール(モノポーラ型針電極)を用いるのが一般的で、広義にはモノポーラ構成と説明される。使用周波数から求める波長は約12 cmであり、ミリ波帯の1~2 mmではない。また、強い高周波電磁波を用いるため、他医療機器への電磁的影響(EMI)には注意が必要である。

選択肢別解説

a
不正解

誤り。一般的に用いられる周波数は2.45 GHzで、波長は $\lambda = c/f$ より $3.0\times10^8/2.45\times10^9 \approx 0.12\,\text{m}$(約12 cm)となる。1~2 mmは150~300 GHz程度のミリ波帯に相当し、マイクロ波手術器の使用帯域ではない。

b
不正解

$誤り。組織加熱の主因は水分子の配向運動に伴う誘電体損失(誘電加熱)であり、狭義のジュール熱(I^2R による抵抗加熱)とは機序が異なる。したがって表現としては不適切。$

c
正解

正しい。臨床ではコアキシャルケーブルの内導体を先端で突出させた針状のモノポール(モノポーラ型針電極)が用いられ、周囲組織にマイクロ波を放射して局所的に加熱・凝固させる。

d
正解

正しい。マイクロ波は組織中の水分に誘電加熱を生じ、主に凝固・止血に用いられる。鋭利な切開を主目的とする高周波電気メスとは機能の中心が異なり、切開よりも凝固が中心である。

e
不正解

誤り。マイクロ波は強い電磁波であり、心電図の雑音混入やペースメーカ・埋込型機器への干渉など、他の医療機器への電磁的影響(EMI)の懸念がある。適切な対策が必要であり、影響は少ないとはいえない。

56
第二種ME技術認定試験 - 第35回 午後
類似度 73.5%
植込み型ペースメーカに対する電磁干渉が最も少ないのはどれか。
1
電磁調理器
2
高周波手術器
3
超音波診断装置
4
核磁気共鳴画像診断装置
5
コンピュータ断層撮影装置
広告
50
第二種ME技術認定試験 - 第29回 午前
類似度 73.4%
次の組合せで誤っているのはどれか。
1
電気メスの搬送周波数 -- 400kHz
2
マイクロ波メスの周波数 -- 300MHz
3
低温常圧型冷凍手術装置の冷却最低温度 -- -196℃
4
超音波吸引手術装置の先端チップ振動振幅 -- 150μm
5
CO2レーザメスの発振波長 -- 10.6μm
34
臨床工学技士国家試験 - 第22回 午後
正答率:81% 類似度 73.3% 解説あり
マイクロ波手術器で正しいのはどれか。
a
用いられる電磁波の標準的波長は約 1.2m である。
b
モノポーラ電極を利用する。
c
マイクロ波は電極まで同軸ケーブルで伝送する。
d
切開より凝固に適している。
e
対極板による電流の回収が必要である。
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

マイクロ波手術器は、医用ISM帯のマイクロ波(代表値 2.45GHz)を発生させ、同軸ケーブルで針状などの電極先端へ伝送し、生体内で誘電加熱(主に水分子の双極子回転)を起こして凝固・止血を行う機器である。生体を貫流させる高周波電流による加熱ではないため対極板は不要であり、鋭利な切開よりも凝固に適する。波長は $\lambda = c/f$ より約0.12mであり、1.2mではない。

選択肢別解説

a
不正解

誤り。医用の代表周波数は約2.45GHzで、$\lambda = c/f$ により波長は約0.12m(12cm)となる。記載の「約1.2m」は一桁大きく不正確。

b
正解

正しい。マイクロ波手術器は針状などの単一プローブ(モノポーラ電極)からマイクロ波を放射し組織を加熱する。生体全体を経由して回収電極へ電流を流す方式ではない。

c
正解

正しい。発生器から電極まではマイクロ波伝送に適した同軸ケーブルで伝送する。インピーダンス整合が取られ、損失と反射を抑えて電極先端へエネルギーを供給する。

d
正解

正しい。マイクロ波は組織内で体積的に熱を生じさせるため凝固・止血に適し、電気メスのような鋭い切開機能は主用途ではない。

e
不正解

誤り。マイクロ波は電磁波として照射され電極周囲で熱に変換・減衰するため、電気メス(高周波電気手術装置)のような対極板による電流回収は不要。

33
臨床工学技士国家試験 - 第26回 午前
重要度:低 正答率:42% 類似度 73.2% 解説あり
治療機器の出力の波長が短い順に並んでいるのはどれか。
1
マイクロ波治療器 < レーザー手術装置 < 電気メス
2
マイクロ波治療器 < 電気メス < 超短波治療器
3
レーザー手術装置 < 電気メス < 超短波治療器
4
レーザー手術装置 < 超短波治療器 < 電気メス
5
超短波治療器 < 電気メス < レーザー手術装置

解説

電磁波の波長は周波数に反比例し、$\lambda = \frac{c}{f}$($c$: 光速)で与えられる。代表的な出力帯域は、レーザー手術装置(可視・赤外:例 Nd:YAG 1,064 nm、CO2 10.6 µm)で最も短い。マイクロ波治療器は2.45 GHz($\lambda\approx0.122\,\mathrm{m}$)や0.915 GHz($\lambda\approx0.328\,\mathrm{m}$)。超短波治療器は27.12 MHz($\lambda\approx11.1\,\mathrm{m}$)。電気メスは概ね0.3~5 MHz($\lambda\approx60\text{~}1000\,\mathrm{m}$)で最も長い。よって波長の短い順は「レーザー < マイクロ波 < 超短波 < 電気メス」。提示肢の中でこの関係を満たす並びは「レーザー手術装置 < 超短波治療器 < 電気メス」(選択肢4)のみである。

選択肢別解説

1
不正解

「マイクロ波治療器 < レーザー手術装置 < 電気メス」は誤り。レーザー(可視・赤外)はマイクロ波より周波数が高く波長が短いため、正しくは「レーザー < マイクロ波」。また電気メスはMHz帯で最も波長が長い。

2
不正解

「マイクロ波治療器 < 電気メス < 超短波治療器」は誤り。電気メス(約0.3~5 MHz)は超短波治療器(27.12 MHz)より周波数が低く波長が長いので、並びは「… < 超短波 < 電気メス」となるべきで逆転している。

3
不正解

「レーザー手術装置 < 電気メス < 超短波治療器」は誤り。レーザーが最短は正しいが、電気メス(MHz帯)は超短波治療器(27.12 MHz)より周波数が低く波長が長いため、「電気メス < 超短波」は成り立たない。

4
正解

「レーザー手術装置 < 超短波治療器 < 電気メス」は正しい。レーザー(可視・赤外)≪ 超短波治療器(27.12 MHz;$\lambda\approx11\,\mathrm{m}$) ≪ 電気メス(0.3~5 MHz;$\lambda\approx60\text{~}1000\,\mathrm{m}$)の順で、波長が短い順の並びに一致する。

5
不正解

「超短波治療器 < 電気メス < レーザー手術装置」は誤り。レーザーは可視・赤外域で最も波長が短く、電気メスはMHz帯で最も長い。提示の順序は全体に逆である。

34
臨床工学技士国家試験 - 第27回 午前
重要度:低 正答率:70% 類似度 73.2% 解説あり
マイクロ波メスについて正しいのはどれか。
a
2.45GHzの周波数が使用される。
b
対極板は不要である。
c
出力エネルギーは組織の水分に吸収される。
d
組織の比誘電率が大きいほど波長が長くなる。
e
組織の凝固範囲は電極の形状で変化しない。
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

マイクロ波メスは2.45 GHz(ISMバンド)のマイクロ波を生体組織に放射し、組織中の水分子の双極子回転による誘電加熱で凝固・止血・切開を行う機器である。原理は高周波電流を体内に流す電気メス(単極)のように体内電流の帰路を必要としないため、対極板は不要である。エネルギーは主に水分に吸収され、含水率が高いほど加熱効率が高い。生体中の有効波長は比誘電率に依存し、近似的に $\lambda = \frac{c}{f\sqrt{\epsilon_r}}$ で表されるため、比誘電率が大きいほど波長は短くなる。さらに、組織へのエネルギー分布はアプリケータ(電極/アンテナ)の形状・大きさ・挿入深さなどで変化するため、凝固範囲は電極形状に依存して変化する。以上より、1・2・3は正しく、4・5は誤りである。

選択肢別解説

a
正解

正しい。医療用途のマイクロ波メスでは2.45 GHz(ISMバンド)が標準的に用いられる。医療機器の国際的運用と干渉回避の観点から広く採用されている。

b
正解

正しい。マイクロ波メスは誘電加熱(マイクロ波エネルギーの電界による双極子回転)で組織を加熱するため、電気メス(単極)のような体内電流の帰路(対極板)を必要としない。エネルギーはアンテナ(プローブ)から放射・結合される。

c
正解

正しい。マイクロ波は極性分子である水に強く吸収され、分子の配向運動を励起して誘電損失として発熱する。結果として出力エネルギーは主として組織の水分に吸収され、凝固・止血に寄与する。

d
不正解

誤り。生体組織中の有効波長は近似的に $\lambda = \frac{c}{f\sqrt{\epsilon_r}}$ で表されるため、比誘電率 $\epsilon_r$ が大きいほど波長は短くなる。「長くなる」は逆の記述で誤り。実際の組織は損失性だが、傾向は同様。

e
不正解

誤り。凝固範囲は電極(アンテナ)形状・サイズ・先端形状(ニードル、ボール、ヘラ、フック等)、挿入深さ、出力・照射時間により電界分布とSARが変わるため大きく影響を受ける。「変化しない」は不適切。

65
臨床工学技士国家試験 - 第21回 午前
正答率:68% 類似度 72.9% 解説あり
治療機器と主作用との組合せで正しいのはどれか。
a
低周波治療器 — 神経・筋刺激
b
電気メス — ジュール熱
c
赤外線コアギュレータ — キャビテーション
d
レーザメス — 電離作用
e
マイクロ波手術装置 — 誘電熱
組み合わせ: 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e

解説

各治療機器の主作用は、利用する物理エネルギーにより決まる。低周波治療器は神経・筋を通電で直接刺激して鎮痛や筋収縮を得る。電気メスは高周波電流によるジュール熱で組織を切開・凝固する。マイクロ波手術装置はマイクロ波の電場で極性分子が配向・回転し、誘電損失による発熱(誘電熱)で凝固する。一方、赤外線コアギュレータは光の熱作用(光吸収→熱)による凝固であり、キャビテーション(超音波で発生する現象)ではない。レーザメスも主として光の熱作用(蒸散・凝固)であり、X線やγ線のような電離作用は用いない。したがって、正しい組合せは「1, 2, 5」である。

選択肢別解説

a
正解

正しい。低周波治療器は数Hz〜数kHz程度の電流を用い、神経や筋を電気刺激して鎮痛(ゲートコントロール理論など)や筋収縮訓練を行う。主作用は神経・筋刺激である。

b
正解

正しい。電気メス(電気外科用高周波手術装置)は高周波電流をアクティブ電極先端に集中させ、組織の抵抗発熱(ジュール熱)を生じさせて切開・凝固を行う。

c
不正解

誤り。赤外線コアギュレータは近赤外光を組織に照射し、光吸収による熱作用でタンパク凝固を起こす機器である。キャビテーションは主に高出力超音波で生じる現象であり、赤外線照射の主作用ではない。

d
不正解

誤り。レーザメスはレーザ光の吸収による熱作用(蒸散・切開・凝固)が主である。電離作用はX線・γ線などの電離放射線に特徴的な作用で、可視〜赤外のレーザ光は通常電離作用を主作用としない。

e
正解

正しい。マイクロ波手術装置は300 MHz〜数GHz帯のマイクロ波で極性分子(主に水)が電場に追従して回転し、誘電損失により発熱(誘電熱)して組織を凝固させる。

広告