臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波凝固切開装置(いわゆるハーモニックスカルペル等)は、おおむね45〜55 kHz程度の機械的超音波振動をブレードに与え、組織との摩擦・圧縮によりコラーゲンなどのタンパク質を変性・収縮させてシール(凝固)しつつ切開する装置である。電気メスのように患者体内へ高周波電流を流さないため対極板は不要であり、基本的に洗浄液の持続灌流も必要としない(灌流を要するのは超音波吸引装置など別装置)。本装置は安定した止血能により比較的太い血管(一般的に数mm径まで)をシールしながら切離できる。一方、作動時の組織温度は概ね60〜100℃程度で、レーザメスが生体内で発生し得る温度(条件により高温化し得る)と比較して常に高温というわけではない。
選択肢別解説
誤り。超音波凝固切開装置の作動周波数は通常おおむね45〜55 kHz(数十kHz帯)であり、1 MHz(=1,000 kHz)は桁違いに高い。
誤り。高周波電流を患者に流して加熱する電気メスと異なり、機械的振動による摩擦・圧縮熱で凝固切開するため対極板は不要である。
誤り。超音波凝固切開装置は原理上、持続的な洗浄液灌流は必要としない。生理食塩液の灌流を用いるのは主に超音波吸引(粉砕・吸引)装置である。灌流はむしろ熱を奪いシール性能を阻害し得る。
正しい。ブレード振動による摩擦・圧縮でコラーゲンが変性・収縮し、凝固塊が形成されて血管断端がシールされるため、比較的太い血管(一般に数mm径まで)の凝固切開が可能である。ただし非常に大きな動脈にはクリップ・結紮・ステープル等が選択される。
誤り。超音波凝固切開装置の作動時温度は概ね60〜100℃程度で、レーザメスの組織加熱(条件により高温化)より常に高いとはいえない。凝固はどちらもおおむね60〜70℃付近から生じるため、「超音波の方が高温」と断定はできない。
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解説
小電力医用テレメータは、医療用に割り当てられた特定の周波数帯(例: 400MHz帯やバンド3[機器では3000番台と表記されることが多い]など)を用いる。混信・受信障害が起こりやすいのは、同一または隣接の「テレメータ/テレコントロール用」周波数を用いる機器であり、工事用クレーンの無線リモコンはまさにその共用対象でチャンネル衝突の可能性がある。一方、携帯電話、無線LAN、Bluetooth、電子レンジは主に2.4GHz帯や5GHz帯、携帯電話の各セルラー帯など、医用テレメータの運用帯と離れているため、直接の混信は起こりにくい。従って、受信に影響を及ぼす可能性が高いのは工事用クレーンのリモコンである。
選択肢別解説
携帯電話は主に700~900MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯、3.5GHz帯、4.5GHz帯などのセルラー帯を用いることが多く、医用テレメータの運用帯(400MHz帯や機器で3000番台とされるバンドなど)とは分離されている。したがって同一チャンネルによる直接の混信は生じにくく、本問の意図する「受信に影響を及ぼす」対象とは言い難い。
無線LANは主に2.4GHz帯および5GHz帯を用いる。これらは医用テレメータの運用帯から離れており、直接の周波数重複による混信は基本的に起こりにくい。従って本問では該当しない。
工事用クレーンのリモコンは、テレコントロール用の無線として医用テレメータのバンド(機器表示で3000番台=バンド3に相当)と共用される帯域を用いる場合がある。チャンネルが重なると混信が発生し、医用テレメータ受信に実害を及ぼす可能性があるため、本選択肢が該当する。
電子レンジは2.45GHzのISM帯を用い漏洩電磁ノイズを出し得るが、医用テレメータの運用帯とは大きく離れているため、直接の周波数重複による混信は起こりにくい。よって本問の該当とはしない。
Bluetooth機器は2.4GHz帯を用いる周波数ホッピング通信であり、医用テレメータの運用帯とは分離している。したがって直接の混信は生じにくく、本問の該当ではない。
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解説
電気メス(高周波電気手術装置)は高周波電流によるジュール熱で組織を処理する。切開は組織を急速・連続的に加熱して細胞内水分を瞬時に蒸散させ切断するため、連続正弦波(切開波形)を用いる。一方、凝固は断続的(デューティ比の低い)波形でピーク電力を与えつつ平均加熱を抑え、蛋白変性・乾固により止血する。対極板は電流を広い面積で回収し電流密度を下げて熱傷を防ぐ装置であり、面積が大きいほど安全である。スプリット型対極板は2分割電極で接触状態(接触インピーダンス)を監視し、異常時に警報・出力停止で熱傷を予防する。出力回路は直流・低周波成分による神経筋刺激を避けるためコンデンサで患者回路を交流結合させるのが要点で、「抵抗を挿入する」という表現は誤りである。バイポーラ電極は2本の先端間だけに電流を流し、挟持部位を局所的に凝固する用途が主である。以上より、1・4・5が正しく、2・3は不正確である。
選択肢別解説
正しい。切開は連続正弦波(切開波形)により連続的な加熱で細胞内水分を蒸発させ、組織を滑らかに切断する。
誤り。対極板の役割は電流を低電流密度で回収して熱傷を防ぐこと。接触面積が増えるほど電流密度は低下し安全性は高まる。熱傷の原因はむしろ面積の減少や密着不良である。
誤り。患者回路には直流・低周波成分を遮断して神経・筋刺激を防ぐためコンデンサによる交流結合が用いられる。抵抗を直列挿入するのが本質的な安全機構という説明は不適切である(不要な電力損失や加熱を生む)。
正しい。スプリット型対極板は2分割電極に微小信号を用いて接触インピーダンス(バランス)を監視し、接触不良によるインピーダンス上昇時に警報・出力遮断で熱傷を予防する。
正しい。バイポーラ電極は2本の電極間だけに電流が流れるため、挟持した組織を局所的に凝固(止血)する用途に適している。
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解説
誤りの組合せは「心臓ペースメーカ — 熱傷」。ペースメーカの出力はパルス電圧が数V、電流が数mA、パルス幅が数百µs〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーは極めて小さく、組織に臨床的な熱傷を生じさせる水準ではない。これに対し、超音波凝固切開装置では先端周囲でキャビテーションが生じ得る、電気メスは高周波電流による電磁障害を引き起こし得る、人工呼吸器は過大な圧や容量により圧損傷(気胸など)を来し得る、高気圧治療装置は減圧を急ぐと減圧症を誘発し得る、いずれも妥当なリスクである。
選択肢別解説
超音波凝固切開装置は数十kHzの機械振動で組織を凝固・切開する。高い音響エネルギーが液体中で作用すると先端周囲でキャビテーション(気泡の生成・崩壊)が生じ、組織損傷や微小出血の一因となり得るため、組合せは適切。
電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流を用い、機器・配線・空間結合を通じて電磁ノイズを発生させる。心電図モニタの飽和やアラーム誤作動、植込み機器の誤作動など電磁障害の原因となるため、組合せは適切。
人工呼吸器で過大な一回換気量や高い気道内圧、低い呼気終末陽圧管理不良などは肺胞の過伸展を招き、気胸や縦隔気腫などの圧損傷(バロトラウマ)を起こし得る。したがって組合せは適切。
心臓ペースメーカの刺激出力はパルス電圧がおおむね1〜10V、電流が数mA、パルス幅が約0.2〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーはごく小さい。通常の作動で組織の熱傷を生じることは想定されないため、「熱傷」との組合せは不適切(本問の誤り)。なお電気メスやMRIなど外部エネルギー併用時にリード先端の加熱が問題となるのは別の事象である。
高気圧治療装置は加圧・減圧を管理するが、減圧を急ぐと体内で気泡が発生し減圧症を誘発し得る。適切なプロトコルでは緩徐な減圧を行う必要があり、減圧症は管理不良時の代表的リスクである。組合せは適切。
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解説
超音波凝固切開装置は、先端(アクティブブレード)をおよそ45〜55 kHzで機械振動させ、その摩擦熱と機械的作用で組織のタンパク質を変性(およそ70〜100℃)させて凝固しつつ切開する。小血管のシール・止血が可能で、内視鏡外科で広く用いられる。一方、電気メスより低温域で作用するため、一般に凝固・切開の速度は電気メスほど速くない。よって「電気メスに比べて短時間で凝固切開が可能」は不正確であり誤りである。
選択肢別解説
正しい。一般的な超音波凝固切開装置は先端のアクティブブレードを約45〜55 kHzで振動させ、機械エネルギーを熱(摩擦熱)と機械的せん断に変換して切開・凝固を行う。
正しい。摩擦熱により組織温度は概ね70〜100℃に達し、タンパク質が変性・凝固して止血(コアギュラム形成)が得られる。電気メスより低温で作用する点が特徴で、熱障害の広がりが比較的小さい。
正しい。小口径の血管はブレードで把持・圧迫しながらエネルギーを加えることでシールされ、出血を止めることができる(対応可能径は機種・設定に依存するが、一般的に細い血管で有効)。
誤り。超音波凝固切開は電気メスより低温域(約70〜100℃)で作用し、熱の立ち上がりや組織シール形成に要する時間が相対的に長くなる傾向があるため、一般に電気メスの方が切開・凝固は短時間で行える。従って本記述は不適切。
正しい。内視鏡外科手術(腹腔鏡手術など)で広く用いられ、把持・剥離・凝固・切開を同一器具で連続的に行えるため、器具交換の頻度を減らせる利点がある。
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解説
電気メスは生体組織の切開・凝固に高周波電流を用いる。一般的な発振周波数は約300 kHz〜数MHzで、神経・筋刺激を避けつつジュール熱で組織を処理する。切開は連続正弦波(デューティ100%)で高い電流密度を与え、凝固は断続(バースト)や振幅変調で平均出力を下げて乾燥・凝固を図る。モノポーラ使用時の対極板は電流を安全に回収する要で、広い接触面積と低い高周波インピーダンスが望ましい。出力評価の標準負荷はkΩオーダではなく数百Ω程度の無誘導抵抗が用いられる。また高周波漏れ電流には規格上の許容上限が設定され、150 mA以内とされている。以上より、4と5が正しい。
選択肢別解説
不正解。電気メスの高周波は一般に約300 kHz〜数MHzで用いられる。数10〜数100 MHzはラジオ帯に相当し、電気メスの通常の作動周波数としては高すぎる。高すぎる周波数は不要な電磁放射や機器設計上の不利が大きく、医療規格・教科書的記載とも整合しない。
不正解。電気メス出力の標準負荷はkΩオーダではなく数百Ω(例:300〜500 Ω)の無誘導抵抗が用いられる。メーカ指定範囲もおおむね数百Ω〜数kΩ未満で、5〜50 kΩといった高抵抗は想定外であり、出力評価として不適切。
不正解。切開(カット)には連続正弦波(デューティ100%)が用いられる。断続的なバースト波は平均出力を下げて組織を乾燥させる目的で用いられ、凝固モードに相当する。
正解。モノポーラ方式では対極板で患者から高周波電流を回収する。広い接触面積と良好な導電性により高周波インピーダンスを低く保つほど、電流密度が分散され熱傷リスクが低減するため、対極板は高周波インピーダンスが低いことが望ましい。
正解。電気メスの高周波漏れ電流には規格上の許容上限が設けられており、150 mA以内とされている。これは不要な高周波電流の患者回路への流入を制限し、安全性を担保する基準である。
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解説
電気メスは高周波電流により組織を加熱して切開・凝固を行う。切開は連続波で電流密度を高くして組織を瞬時に蒸散させ、凝固は断続(バースト)波でデューティ比を下げ、ピーク電圧を高めつつ平均電力を抑えて組織を乾固・止血させる。対極板は患者側の電流密度を下げて熱傷を防ぐ役割があり、スプリット形対極板では皮膚−対極板間のインピーダンス変化を監視して接触不良を検知し、警報や出力停止で事故を防止する。静電結合型対極板は絶縁層を介した容量性結合であり、導電型と比べて結合インピーダンス(見かけの抵抗)は高い。対極板の安全性は電流密度 $J=I/A$ に依存するため、出力(流れる電流)が大きいほど必要面積も大きくなる。なお、電気メスの高周波発振は一般に固体素子等で行われ、マグネトロンのようなマイクロ波発振器は用いない。
選択肢別解説
正しい。スプリット形(分割型)対極板は導電面を2分割し、両セグメント間の電位差や皮膚−電極間インピーダンスを監視して接触不良(部分剥離や面積不足)を検知する。異常時は警報や出力停止で対極板熱傷を予防する。
正しい。凝固は断続(バースト)波形を用い、デューティ比が低く平均電力を抑えつつ高いピーク電圧で組織を乾固・炭化させ止血効果を得る。切開は連続波形(連続正弦波など)でスムーズな蒸散・切開を得る。
誤り。マグネトロンはマイクロ波帯の発振器(例:マイクロ波加温・電子レンジ等)であり、電気メスの高周波発振(数百kHz〜数MHz帯)は一般に固体素子や真空管のRF発振回路で行われ、マグネトロンは用いない。
誤り。静電結合型対極板は体表と対極板の間に絶縁層があり容量性結合で電流を流すため、見かけの接触インピーダンスは導電型より高い。従って「導電型よりも低い」は不正確。
正しい。対極板での安全性は電流密度 $J=I/A$ に依存する。出力(流れる電流)が大きいほど必要面積を増やして電流密度を下げ、熱傷閾値を超えないようにする必要があるため、面積の安全範囲は出力に依存する。
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解説
ハイパーサーミア(温熱療法)は腫瘍組織を選択的に約42〜43℃へ加温し、正常組織との熱感受性の差や併用療法(放射線・薬剤)の感受性増強を狙う治療である。加温法には電磁波(RF・マイクロ波)、超音波、組織内(侵襲的)などがあり、それぞれ物理特性に基づく適応と注意点がある。容量結合型は数MHz〜数十MHzのRF電流を用い、表在部の過熱を避けるためボーラス(水バッグ)で皮膚冷却を行う。超音波は空気層で強く反射するため、ゲルや脱気水で密着カップリングが必須。マイクロ波は周波数が高いほど生体内での減衰が増し、浸透深さが浅くなる。組織内加温では腫瘍内に針電極・アプリケータを刺入して内部から加温する。
選択肢別解説
誤り。容量結合型(RF)加温で臨床的に用いられるのは数MHz〜数十MHzのRF帯(例:13.56 MHz、27.12 MHz、40.68 MHz など)であり、記載のkHz帯では適切な深部加温が得にくく、臨床標準ではない。
誤り。超音波は空気と生体の音響インピーダンス差が大きく、空気層を介すると大部分が反射して伝搬しない。実施時は超音波用ゲルや脱気水でプローブを密着させ、空気層を排除する。
正しい。容量結合型やマイクロ波加温などで電極直下・アンテナ近傍の表面過熱(ホットスポット)を防ぐため、ボーラス(水バッグ)を用いて皮膚表面を冷却する。水ボーラスは冷却に加え、電磁界の均一化やインピーダンス整合にも寄与する。
正しい。マイクロ波は周波数が上がるほど生体内での誘電損失が増大し、減衰が大きくなるため、加温可能な浸透深さは周波数の増加に伴って減少する(例:915 MHzの方が2.45 GHzより深部到達性が高い)。
正しい。組織内加温(インタースティシャルハイパーサーミア)は腫瘍内に針状電極やアプリケータを刺入し、RFやマイクロ波などで腫瘍内部から加温する侵襲的手法である。
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解説
超音波吸引手術装置(CUSA等)は20\sim35 kHz程度の超音波振動を先端ホーンに与え、脆弱な実質臓器などを選択的に破砕・乳化し、同時に吸引して除去する装置である。先端の実効振幅はおおむね $100\sim 300\,\mu\text{m}$(0.1\sim0.3 mm)程度と小さく、電気手術のような電流通電は行わないため対極板は不要である。使用時は滅菌生理食塩液を先端から灌流し、冷却やキャビテーション補助、吸引搬送を行う。凝固能力は電気メスほど強力ではなく、止血は主に低流量の出血の制御や併用機器で補う。したがって「生理食塩液で洗浄しながら使用する」が正しい。
選択肢別解説
誤り。先端の振幅は一般に $100\sim 300\,\mu\text{m}$(0.1\sim0.3 mm)程度であり、1\sim3 mmのような大振幅ではない。大きすぎる振幅は組織損傷が過大となり本装置の選択的破砕の特性とも合致しない。
誤り。超音波の機械的振動で組織を破砕・乳化するため電流を患者に流す必要がなく、電気メスのような対極板は不要である。
正しい。使用時は滅菌生理食塩液を先端から灌流して冷却・洗浄し、破砕組織を吸引しやすくする。灌流はキャビテーションの発生と除去の効率化にも寄与する。
誤り。超音波吸引手術装置の凝固能力は電気メスに比べて弱い。小出血の抑制は可能だが、強い凝固・止血は電気メスや他の止血法を併用するのが一般的である。
誤り。主用途は肝・膵・脳などの脆弱組織の選択的破砕・吸引であり、骨切開は本装置の主目的ではない。骨切開には専用の超音波骨手術装置(超音波骨メス)など別機器が用いられる。
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解説
電気メス(単極方式)では数百kHz以上の高周波電流を用い、波形と出力条件で「切開(連続波)」「凝固(断続波・パルス化)」の作用を切り替える。対極板は患者に広く接触して高周波電流を安全に戻す拡散(リターン)電極であり、アクティブ電極ではない。装置の出力がアイソレートされたフローティング形でも、本体や周辺機器との浮遊容量・容量結合などにより高周波分流はゼロにはできず、分流熱傷は理論上発生し得る。低周波成分や直流成分は神経・筋刺激の原因となるため、出力回路には直流・低周波を遮断し高周波のみを通すコンデンサ(ハイパス特性)が用いられる。性能確認・キャリブレーションでの負荷抵抗は通常数百Ω(代表値500Ω)が標準であり、5Ωのような極端に低い値は想定されない。以上より、正しいのは3。
選択肢別解説
誤り。切開作用は連続的な高周波(純粋切開:連続波)で電流密度を高くし、アークにより組織を瞬時に蒸散させる。断続波(デューティ比を下げたパルス・ブレンド波形)は熱の蓄積による凝固に用いられる。
誤り。対極板は拡散(リターン)電極で、患者から装置へ電流を低い電流密度で戻す受け側の電極である。アクティブ電極は手元のブレードや針電極など、組織作用を与える側を指す。
正しい。フローティング形(対極板非接地・アイソレート出力)は安全性が高いが、装置内部や周辺機器・手術台との浮遊容量・容量結合により高周波電流が別経路へ分流し得るため、代替部位熱傷(分流熱傷)の可能性は残る。
誤り。神経・筋刺激の主因となる直流・低周波成分を遮断するため、出力回路にはコンデンサが直列挿入される(高周波のみを通過)。コイル(インダクタ)は周波数が高いほどリアクタンスが増し高周波を通しにくくするため、この目的には適さない。
誤り。電気メスの出力測定・校正で用いる負荷は通常数百Ω域で、代表値は500Ω。規格類でも200〜1,000Ω程度の範囲が想定される。5Ωは極端に低く、実機の想定負荷ではない。
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