臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波吸引手術器は、超音波振動で組織を乳化・破砕し、同時に洗浄液で灌流しながら吸引で除去する手術装置である。構成は概ね、(1)装置本体(超音波振動子を駆動・制御するユニットと洗浄・吸引用のポンプ系)、(2)ハンドピース(振動子・ホーン・先端チップ等)、(3)フットスイッチなどからなる。したがって、超音波振動子制御装置、洗浄液注入部、吸引ポンプ、ハンドピースはいずれも装置を成立させる要素である。一方、切除用スネアは高周波手術装置(電気メス)で用いられる付属品であり、超音波吸引手術器の構成要素ではない。
選択肢別解説
超音波振動子を駆動・出力制御する装置(ジェネレータ/制御装置)は装置本体の中核であり、超音波吸引手術器の基本構成要素に含まれる。よって『構成要素でない』には該当しない。
組織洗浄・冷却やデブリ除去を補助するための洗浄液注入部(灌流用ポンプや流路)は一般に本体やハンドピース系に備わる。構成要素に含まれるため、『構成要素でない』には当たらない。
破砕した組織片や洗浄液を除去するために吸引源(吸引ポンプまたは吸引装置への接続)が必要であり、装置構成に含まれる要素である。したがって『構成要素でない』ではない。
超音波エネルギーを先端に伝え、実際の破砕・吸引・灌流を行うハンドピースは基本構成の一つである。従って構成要素に含まれる。
切除用スネアは高周波電流でポリープ等を切除する電気メス(高周波手術装置)の付属器具であり、超音波吸引手術器の構成要素ではない。本設問の問いに合致する。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
薬機法のリスク分類では、人体への影響の大きさに応じて一般(Class I)、管理(Class II)、高度管理(Class III/IV)に区分する。生命維持・機能代替に直接関与し、故障・誤作動が重篤な健康被害や死亡に直結しうる機器は高度管理医療機器に該当する。輸液ポンプ、除細動器、人工呼吸器はいずれも生命維持・救命に直結し、過量投与・停止、出力不良、換気停止などの不具合が重大な結果を招くため高度管理に分類される。一方、MR装置やX線CT装置は診断目的の画像装置であり、適切な管理を要するものの、機能障害が直ちに生命維持機能の喪失に直結する類の機器ではないため、一般に管理医療機器に分類される。
選択肢別解説
輸液ポンプは体内に液体・薬剤を連続投与する生命維持・治療機器であり、誤作動(過量投与・停止等)が重篤な有害事象につながるため、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
除細動器は致死的不整脈に対し心臓に電気ショックを与える救命機器で、出力不良や作動不能は死亡につながりうる。リスクが極めて高く、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
人工呼吸器は自発呼吸不全時に換気を代行・補助する生命維持装置であり、停止や設定誤りが低酸素血症など致命的転帰を招きうるため、高度管理医療機器に分類される。したがって正しい。
MR装置(MRI装置)は強磁場・RFを用いる診断装置で、適切な管理は必要だが、機能障害が直ちに生命維持の喪失に直結するタイプの機器ではないため、一般に管理医療機器に分類される。よって高度管理医療機器ではない。
X線CT装置は電離放射線を用いる診断装置で、リスク管理は必要だが生命維持・機能代替機器ではなく、一般に管理医療機器に分類される。よって高度管理医療機器ではない。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
電気メス(高周波電気手術装置)は数百kHz以上の高周波電流を用い、波形やデューティ比を変えることで「切開」と「凝固」の作用を切り替える。モノポーラ方式では手術野のアクティブ電極から患者を経て広い面積の対極板に電流が戻るため、対極板が必須である。一方、バイポーラ方式はピンセット先端の2極間で電流が完結するため対極板は不要。凝固では組織温度を約70~80℃に保ちつつ水分を蒸散させる必要があり、断続的に出力するバースト波(変調波)を用いる。また高周波分流により、身体各部の狭い接触部位などで電流密度が上がると分流熱傷が起こり得る。さらに高周波機器は電磁干渉を生じやすく、植込み型心臓ペースメーカ等の機能障害の原因となる。対極板は電流密度を下げて熱傷を防ぐ目的で十分な面積・密着が必要であり、出力が大きいほど必要面積は小さくはならない。
選択肢別解説
誤り。バイポーラ電極はピンセット先端の2本の電極間で電流が流れて完結するため、対極板は不要である。対極板が必要なのは、アクティブ電極から体表の広い面積に電流を戻すモノポーラ方式である。
正しい。凝固では組織を約70~80℃に保ち、蛋白変性・凝固を得るために断続的に通電するバースト波(断続波・変調波)を用いる。連続波の切開波形では温度上昇が急で蒸散・切開が主体になりやすい。
正しい。高周波分流により、身体の部分同士が接触した狭い面積(腋窩・膝窩・指間など)に電流が集中すると、電流密度 J=I/A が大きくなりジュール熱が増大して分流熱傷の原因となる。対策として体位・絶縁材で接触を避ける。
正しい。電気メスは高周波電流・電磁界を発生し、植込み型心臓ペースメーカや除細動器に電磁干渉(EMI)を起こして過感知や抑制、リセット等の機能障害を生じ得る。特にモノポーラ使用時はリスクが高い。
誤り。対極板の役割は電流密度を下げて熱傷を防ぐことであり、出力(電流)が増えるほど必要面積は減少ではなく、十分な面積と良好な密着が一層重要になる。面積が小さいと同じ電流で J=I/A が大きくなり熱傷リスクが増す。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
小電力医用テレメータは医療用特定小電力無線としてUHF帯(約420〜450 MHz帯)を用い、空中線電力は電波法で厳しく制限される(一般にE型で10 mW以下、A〜D型で1 mW以下)。院内では混信を避けるためのゾーン配置やアンテナ系の設計(分配・増幅)が行われる。アンテナ効率は波長に対する共振長(おおむねλ/4やλ/2)で最良となるため、単純に“長いほど良い”わけではない。また送信出力が50 mW程度というのは法規制から外れ、誤りである。したがって誤りの選択肢は1と5である。
選択肢別解説
誤り。アンテナの送信効率は長さが長いほど無条件に向上するわけではない。電波の波長に対して共振する長さ(代表的にλ/4やλ/2)付近で効率が高く、過度に長くしてもマッチングが崩れ効率低下や不要放射の増加を招く。医用テレメータの周波数(約400 MHz帯、λ≒0.7〜0.75 m)ではλ/4は約18 cm程度で、携帯機器ではこの近傍を目標に設計・整合を行う。
正しい。使用する周波数帯は電波法で共通の帯域が割り当てられており(医療用特定小電力無線)、病院内の運用は共通のチャネル計画に基づいて行われる。なお、周波数帯が共通でもメーカ間の方式互換性は別問題である。
正しい。混信対策としてフロアや棟ごとにゾーンを分け、同一ゾーン内でのチャネル重複を避けるゾーン配置が用いられる。これにより同一・近接チャネルの干渉を抑え、監視の信頼性を確保する。
正しい。受信レベルが不足する場合、アンテナ分配系にブースタ(増幅器)を挿入して信号を補償する。設置時は過大増幅による混変調や飽和を避けるため、利得設定や雑音指数に配慮する。
誤り。小電力医用テレメータの空中線電力(送信出力)は電波法で小さく制限され、一般にE型で10 mW以下、A〜D型で1 mW以下である。50 mW程度という記述は上限を大きく超えており不適切。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
カテーテルアブレーションは、通常300〜750kHzの高周波(RF)電流を用い、カテーテル先端と体表の対極板(単極方式)間に電流を流して先端が接触した心筋を加熱し、約50〜70℃で凝固壊死させて異常伝導を遮断する治療である。したがって、目的部位への確実な接触が前提であり、低周波電流は用いない。300℃のような極端高温は炭化やスチームポップの危険が高い。適切に不整脈が制御されれば、頻拍誘発性心筋症の改善などにより心機能はむしろ改善傾向が期待できる。
選択肢別解説
誤り。RFアブレーションでの目標は心筋温度およそ50〜70℃で、これにより凝固壊死を生じさせる。300℃では組織が炭化しスチームポップの危険も高く、臨床的設定として不適切。
誤り。用いるのは高周波(約300〜750kHz)の交流である。低周波電流は心筋へ過剰な刺激となり致死性不整脈を誘発する危険があるため、カテーテルアブレーションでは用いない。
誤り(一般的には必要)。単極RFアブレーションでは体表に貼付する対極板が必要で、これによりカテーテル先端から流れた電流を回収する。双極方式の例外もあるが、一般的臨床で広く用いられる単極方式では対極板は必須。
誤り。アブレーションにより不整脈が制御されると、頻拍による負荷が減少し、左室機能など心機能は改善傾向を示すことが多い。むしろ低下を常とする記載は不適切。
正しい。RFアブレーションはカテーテル先端を不整脈源や異常伝導路に接触させて通電・加熱し、局所心筋を焼灼して治療する。接触圧(コンタクトフォース)管理も重要である。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
臨床で用いられる治療エネルギーのうち、患者組織に電流を直接流して治療効果を得るものは「電気エネルギー」を利用する治療である。提示選択肢の中では、ICD(植込み型除細動器)が不整脈発作時に心筋へ高エネルギーの電気ショックを与え、心筋内に電流を流して細動を停止させるため「電流が直接作用する治療」に該当する。ECMO、IABP、PTCAはいずれも機械的手段(流体駆動・圧力・拡張)を用いる補助・治療で、組織に電流を流して治療効果を出すものではない。ESWLは体外で発生させた衝撃波(音響エネルギー)を結石に伝達して破砕するもので、患者組織に電流を直接印加しない。
選択肢別解説
ECMO(体外式膜型人工肺)は遠心ポンプ等で血液を体外循環させ、膜型人工肺で酸素化・二酸化炭素除去を行う生命維持治療であり、患者組織に電流を流して治療するものではない。したがって「電流が直接作用する治療」には該当しない。
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は体外で発生させた衝撃波(音響エネルギー)を焦点に集束し、結石を破砕する。発生源に電気火花を用いる方式があっても、患者に伝達されるのは衝撃波であり、患者組織へ電流を直接印加して治療するわけではないため該当しない。
IABP(大動脈内バルーンパンピング)は大動脈内バルーンの拡張・収縮により圧補助を行う機械的補助循環で、患者組織に電流を流して治療効果を得るものではないため該当しない。
ICD(植込み型除細動器)は致死的不整脈の検出時に心筋へ高エネルギーの電気ショックを与え、心筋内に電流を直接流して除細動(再同期化)を行う。よって「電流が直接作用する治療」に該当する。
PTCA(経皮的冠動脈形成術)はバルーンやステントで狭窄部を物理的に拡張する機械的治療であり、患者組織に電流を直接印加しないため該当しない。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
$RF容量結合型加温法は、体表面に配置した一対(または多極)の電極間に数MHz〜数十MHz帯のRF電流を流し、生体の抵抗成分で生じるジュール熱により加温する方法である。代表的な使用周波数はISMバンドの13.56 MHz、27.12 MHz、40.68 MHzなどで、100 MHz以上のマイクロ波帯を用いる誘電損主体の加温とは区別される。発熱の主因は抵抗損(ジュール熱)であり、電力は概念的にP = I^2 R、体積あたりではp = \sigma E^2(\sigma:電気伝導率)と表せる。容量結合では電界分布や灌流特性の影響から、脂肪など相対的に電気抵抗が高い組織で加温されやすい傾向がある。電極直下の表在過熱を避けるために水ボーラス(水バッグ)による表面冷却 \cdot 整合が用いられる。また電極が小さいほど電流密度が集中し、電極近傍の加温が強くなる。したがって、選択肢4と5が正しい。$
選択肢別解説
誤り。RF容量結合型加温法の実用周波数は数MHz〜数十MHz(例:13.56、27.12、40.68 MHzなど)であり、100 MHz以上のマイクロ波帯を用いるのは主として誘電損加温(マイクロ波加温)の領域である。
誤り。容量結合型RF加温の主たる発熱機序は生体の抵抗成分によるジュール熱(抵抗損)である。誘電損が主体となるのはマイクロ波加温(915 MHzや2.45 GHzなど)の場合である。
$誤り。容量結合では電界分布や灌流の影響から、一般に電気抵抗の高い組織(例:脂肪)が加温されやすいとされる。ジュール熱の観点ではP = I^2 Rの関係も想起でき、低抵抗が加温されやすいとはいえない。$
正しい。電極直下の表在組織の過熱・熱傷を防ぐため、ボーラス(水バッグ)で表面冷却し、同時にインピーダンス整合を改善して電流を深部へ導く。
正しい。電極サイズが小さいほど電流密度が上昇して電流が集中し、電極近傍の加温が強くなる。臨床では過熱・熱傷リスクに留意して設定する。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
$電気メス(高周波外科用装置)は高周波電流で切開 \cdot 凝固を行い、対極板は電流を広い面積で回収して電流密度を下げ、熱傷を防ぐ役割を担う。対極板は血行がよく筋量の多い部位に密着させて装着し、面積は成人で概ね110〜200 cm^2程度が用いられる。対極板回路の抵抗が増える(接触不良 \cdot コードの異常など)と、電流が一部に集中したり高周波分流が増えて熱傷リスクが上がる。規格では高周波漏れ電流の上限が150 mA以下に定められている。また、メス先でのアーク放電時には整流作用により低周波 \cdot 直流成分が発生し、条件が重なると電撃(不整脈 \cdot VF等)の危険がある。以上より、3 \cdot 4 \cdot 5が正しい。$
選択肢別解説
$誤り。対極板の面積は成人でおおむね110〜200 cm^2程度が用いられ、電流密度を下げるため広い面積が必要である。5 cm^2では面積が小さすぎ、電流密度 j = I/A が大きくなって熱傷の危険が高い。$
誤り。対極板は血行のよい筋肉部位など電流が流れやすく熱が分散されやすい部位に装着するのが適切である。避けるべきは骨突出部、瘢痕、金属インプラント直上、体毛の多い部位、湿潤や汚染部位などである。
正しい。対極板回路の抵抗増加(接触不良、コードの断線・巻き付けによるインピーダンス上昇など)は、電流が局所に集中して温度が上がる、あるいは高周波分流が増えることで熱傷の原因となる。
正しい。電気メスの高周波漏れ電流は規格(IEC 60601-2-2/JIS T 0601-2-2 由来)で150 mA以下に制限されている。したがって記述は妥当である。
正しい。メス先のアーク放電時に電極・組織の整流作用で直流・低周波成分が生じることがあり、これが神経・心筋刺激となって電撃(感電)・不整脈の危険につながる。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。