臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
非観血式(カフ法)血圧測定では、カフサイズ・巻きの密着度・脱気(減圧)速度・測定部位の高さが測定値に系統誤差を与える。狭すぎるカフ(アンダーカフ)や緩い巻き付けは血管閉塞により高い圧を要するため実測より高く出やすい。一方、広すぎるカフ(オーバーカフ)は逆に低く出やすい。脱気が速すぎるとコロトコフ音の出現・消失を通過して読み取りが遅れ、収縮期(最高)を低め、拡張期(最低)を高めに読みがちとなる。測定部位が心臓より低いと静水圧が加わり、収縮期・拡張期とも高く測定される(心臓より低い10 cmで約7〜8 mmHg高くなる目安)。以上より、選択肢2のみが正しい。
選択肢別解説
誤り。カフ幅が狭すぎる(アンダーカフ)と圧力が局所に集中し、動脈閉塞により高いカフ圧が必要となるため、最高・最低血圧とも実際より高く測定されやすい。「下がる」は不適切。
正しい。カフの巻き方が緩いと腕に密着せず、カフ圧が動脈へ十分伝わらない。このため動脈閉塞に必要なカフ圧が高く評価され、最高血圧は実際より高く測定されやすい。
誤り。脱気(減圧)速度が速すぎるとコロトコフ音の出現に対する読み取りが遅れ、最高血圧は低め、最低血圧は高めに出やすい。「最高血圧値は上がる」は逆の記述。
誤り。測定部位が心臓より低いと静水圧が加算され、収縮期・拡張期とも実際より高く測定される。したがって最低血圧が下がるのではなく上がる方向の誤差となる。
誤り。カフ幅が広すぎる(オーバーカフ)とカフ圧が過大に伝わり、血圧は実際より低く測定されやすい。平均血圧も低めに出る傾向であり、「上がる」は不適切。なお、文中の「平(cid:13432)血圧値」は「平均血圧値」の文字化けと考えられる。
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解説
脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差であり $PP = SBP - DBP$ と表される。主要因は一回心拍出量(SV)と動脈壁コンプライアンス(C)で、近似的に $PP \propto \frac{SV}{C}$。したがってSVが増える、またはCが低下(動脈硬化など)すると脈圧は増大する。心拍数の変化はSVと動脈の圧減衰に与える影響が相殺されやすく、単独では脈圧を一貫して増大させない。静脈還流量の低下や心筋収縮性低下はSVを減少させ脈圧を縮小させる。動脈壁コンプライアンスの増加はWindkessel効果を高め、圧変化を平滑化するため脈圧を減少させる。よって脈圧を増大させるのは「1回心拍出量増加」である。
選択肢別解説
心拍数増加は単独では脈圧を一貫して増大させない。頻脈では拡張期短縮によりSVが低下しやすく、拡張期血圧の降下も小さくなるため、脈圧はむしろ不変〜狭小化し得る。脈圧は主としてSVと動脈コンプライアンスで規定される。
(表記上は「静脈灌流量」だが、意図は静脈還流量と考えられる)静脈還流量の減少は前負荷低下を通じてSVを減少させるため、$PP \propto \frac{SV}{C}$ の関係から脈圧は増大しない。
正しい。1回心拍出量の増加は収縮期圧の上昇幅を大きくし、$PP \propto \frac{SV}{C}$ から脈圧は増大する。動脈コンプライアンスが一定ならSV増加は脈圧拡大に直結する。
心筋収縮性低下はSVを減少させる方向に働くため、脈圧はむしろ縮小する。脈圧増大には寄与しない。
動脈壁コンプライアンス増加は弾性貯蔵能が高まり圧変動を緩和する(Windkessel効果の増大)。その結果、同じSVでも圧の振幅は小さくなり、脈圧は減少する。
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解説
聴診法では、カフは心臓(右心房)と同じ高さに保ち、適正幅のカフを用い、一定の速度で減圧しながらコロトコフ音の出現(収縮期)と消失(拡張期)を読む。心臓より高い位置で測ると静水圧差により実際より低く表示される(約0.77 mmHg/cmの低下)。カフ幅が狭いと動脈閉塞により高い圧力を要するため測定値は高めになる。減圧速度が速すぎると拍ごとの圧読み取りが粗くなり、初発音を見落として収縮期を低く、また拡張期を高く見積もりやすい。水銀柱は必ず鉛直にし、傾けると実高さより長く読んでしまい過大評価となる。平均血圧はコロトコフ音の大きさでは決めず、近似的に Pmean ≈ Pdia + (Psys − Pdia)/3 で評価する。以上より正しいのは「カフの位置が心臓より高いと低く測定される」。
選択肢別解説
誤り。カフ幅が適正より狭いと、同じカフ圧でも動脈を十分に押さえ込むのに高い圧力が必要となり、測定血圧は高めに出やすい。したがって「低く測定される」は不正確。
誤り。減圧速度が速すぎると1拍ごとの圧の変化量が大きくなり、コロトコフ音の初発を捉え損ねて収縮期血圧は低く読みやすい(拡張期は高めに出やすい)。一般に減圧は毎秒2〜3 mmHg程度が推奨される。
正しい。カフが心臓(右心房)より高い位置にあると、静水圧差により実際より低い圧を示す。物理的には $\Delta P = \rho g h$ に従い、約0.77 mmHg/cmの割合で低下する。逆に低い位置では高めに測定される。
誤り。水銀柱が傾いていると、同じ垂直高さ $h$ に対し読み取る長さは $h/\cos\theta$ となり実際より大きく読んでしまうため、収縮期血圧は高く測定される。よって「低く測定される」は不正確。
誤り。聴診法ではコロトコフ音の最も大きい点で平均血圧を決めない。収縮期は第I相出現、拡張期は第V相消失で判定する。平均血圧は近似的に $P_{mean} \approx P_{dia} + (P_{sys} - P_{dia})/3$ で与えられる。振幅最大が平均血圧に対応するのはオシロメトリック法である。
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解説
本問は流体力学および血液レオロジーの基礎を問う。レイノルズ数は流れにおける慣性力と粘性力の相対的大きさを示す無次元数であり、定義は一般に $Re = \frac{\rho v D}{\mu}$ である。血液の粘性率は水の約3〜5倍(おおむね3〜5 cP、37℃・高ずり速度域)で、血液は非ニュートン流体としてずり速度が増すと粘性率が低下する(せん断薄化)。一方、圧差一定の円管層流における流量はハーゲン・ポアズイユの法則 $Q = \frac{\pi r^4}{8\eta L}\Delta P$ に従い半径の4乗に比例する。したがって、選択肢1・2・5が正しく、3・4は誤りである。
選択肢別解説
正しい。レイノルズ数は流れの慣性力と粘性力の比を表す無次元数で、典型的に $Re = \frac{\rho v D}{\mu}$ と表される。$Re$ が小さいほど粘性の影響が支配的で層流になりやすい。
$正しい。水の粘性率は約1 cP(1 \times 10^{-3} Pa \cdot s、37℃付近)に対し、健常人の血液は条件にもよるが一般に約3〜5 cPで、水の3〜5倍程度とされる。血液の粘性率は温度 \cdot ヘマトクリット \cdot ずり速度に依存するが、基準的条件(37℃、高ずり速度域)では本記述で妥当。$
誤り。粘性(粘性率)がずり速度(流速勾配)に依存せず一定の流体をニュートン流体という。ずり速度により粘性率が変化する流体が非ニュートン流体であり、血液は後者に属する。
誤り。圧差一定・円管層流ではハーゲン・ポアズイユの法則 $Q = \frac{\pi r^4}{8\eta L}\Delta P$ より、流量 $Q$ は半径 $r$ の4乗に比例する。2乗ではない。
$正しい。血液はせん断薄化性を示す非ニュートン流体であり、ずり速度が増加すると赤血球凝集が解け配向が進むなどして見かけの粘性率が低下する。高ずり速度域(概ね100 s^{-1}以上)ではほぼ一定値に近づく。$
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解説
一定の灌流圧(圧一定)の条件では、流量は総抵抗に反比例して変化する。関係式は $Q=\frac{\Delta P}{R}$($Q$: 流量、$\Delta P$: 灌流圧、$R$: 回路抵抗+末梢血管抵抗の総和)で表せる。さらにポアズイユの法則より、粘度 $\eta$ が上がるほど、またカニューレ半径 $r$ が小さいほど抵抗は増加し($R\propto \eta\cdot \frac{L}{r^4}$)、流量は低下する。したがって、血液の希釈は粘度低下を介して抵抗を下げ流量を増加させる。一方、低体温は血液粘度上昇や血管収縮により抵抗を増し流量は低下する。末梢血管抵抗の減少は流量を増加させ、小口径カニューレや粘度上昇は抵抗増加により流量を減少させる。よって正しいのは1である。
選択肢別解説
正しい。血液を希釈すると血液粘度が低下し、総抵抗(回路抵抗+末梢血管抵抗)が減少する。圧一定($Q=\frac{\Delta P}{R}$)では抵抗低下により流量が増加する。体外循環では希釈(ヘモディリューション)により同条件での到達流量が上がることが知られている。
誤り。低体温では血液粘度が上昇し、さらに血管収縮傾向で末梢血管抵抗が増えるため、圧一定では流量は低下する。よって『増加する』は不適。
誤り。末梢血管抵抗が減少すると総抵抗 $R$ が下がるため、圧一定では流量 $Q$ は増加する($Q=\frac{\Delta P}{R}$)。『減少する』は逆の記述。
誤り。小さな口径のカニューレでは半径 $r$ が小さく、ポアズイユの法則より $R\propto \frac{1}{r^4}$ と抵抗が大きくなる。圧一定では抵抗増加により流量は減少する。
誤り。血液粘度の上昇は抵抗増加をもたらし、圧一定では流量は低下する。『増加する』は逆の記述である。
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解説
生体軟組織は水分に富みほぼ非圧縮性であるため、ポアソン比はおよそ0.5に近づくのが特徴で、これが正しい。弾性定数の関係式 $K=\dfrac{E}{3(1-2\nu)}$ より、$\nu\approx0.5$ では体積弾性率 $K$ はヤング率 $E$ よりはるかに大きくなる。骨は非常に硬く(皮質骨で $E\sim10^{10}$ Pa 台)、筋は受動状態で軟らかい($E\sim10^{4}\text{--}10^{6}$ Pa 程度)ため、「筋の方が骨より大きい」は誤り。筋は繊維配向により異方性を示し、受動状態・小ひずみ範囲では走行方向の方が変形しやすく、直交方向が相対的に高い剛性を示すと理解されるため、走行方向のヤング率が大きいとする記述は誤り。動脈の円周方向変形は生理的には拍動で数%〜十数%だが、最大(限界や病的状況)でははるかに大きくなり得るため「最大が10%程度」は不適切である。
選択肢別解説
誤り。骨のヤング率は筋よりはるかに大きい。代表値として皮質骨で $E\approx10\text{--}20\,\mathrm{GPa}$、筋(受動状態)で $E\approx10^{4}\text{--}10^{6}\,\mathrm{Pa}$ 程度とされ、オーダーが数桁異なる。したがって「筋組織は骨よりもヤング率が大きい」は成り立たない。
誤り。筋は繊維配向により異方性を示す。受動状態・小ひずみでは繊維走行方向は伸びやすく、繊維に直交する方向は細胞外基質や配向構造により変形しにくいとされる。このため直交方向の方が実効ヤング率が大きくなりやすく、「走行方向の方が大きい」という断定は不適切。
正しい。生体軟組織は水分を多く含み体積変化が小さい(ほぼ非圧縮性)。非圧縮性材料のポアソン比は理論上 $\nu\to0.5$ に近づくため、「およそ0.5」は妥当である。
誤り。弾性定数の関係 $K=\dfrac{E}{3(1-2\nu)}$ より、軟組織では $\nu\approx0.5$ のため分母が小さくなって $K\gg E$ となる。例えば $\nu=0.49$ なら $K\approx E/0.06\approx16.7E$。よって体積弾性率がヤング率より小さいという記述は誤り。
誤り。動脈の円周方向変形は生理的拍動で数%〜十数%だが、最大(破断近傍や動脈瘤など病的拡張)では50〜100%程度に達し得る。したがって「最大変形が10%程度」とするのは過小評価で不適切。
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解説
誤っているのは選択肢5。冠動脈は心筋内を走行するため、心筋収縮期には心筋内圧で血管が圧迫され血流が減少し、心筋が弛緩する拡張期に血流が最も増える。したがって「拡張期より収縮期の方が多い」は誤り。他の選択肢は、脳血流が左右の内頸動脈と椎骨動脈(後者は合して脳底動脈)からウィリス動脈輪を介して供給されること、圧受容体(バロレセプター)が頸動脈洞および大動脈弓に存在すること、迷走神経(副交感神経)が洞房結節・房室結節に作用して心拍数を低下させること、カテコラミンが主としてα1受容体刺激による末梢血管収縮とβ1作用による心拍出増加で血圧を上昇させることを述べており正しい。
選択肢別解説
正しい。脳血流は主に左右の内頸動脈と左右の椎骨動脈の4本から供給される。椎骨動脈は脳底動脈となり、内頸動脈系とともにウィリス動脈輪を形成して脳各部へ分配される。
正しい。圧受容体(バロレセプター)は頸動脈洞および大動脈弓に存在し、動脈圧の変化を検出して反射性に心拍数や血管抵抗を調節する。問題文は「頸動脈に存在」と簡略化しているが趣旨は妥当。
正しい。心臓迷走神経は副交感神経で、洞房結節・房室結節のM2受容体を介して自動能・伝導を抑制し、心拍数を低下させる(陰性変時・変伝導作用)。
正しい。カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)は一般に血圧上昇作用を有する。ノルアドレナリンは強いα1作用で末梢血管収縮、アドレナリンはβ1作用で心拍出増加と用量によりα1作用で血圧上昇をもたらす。
誤り。冠動脈血流は心筋が弛緩する拡張期に最大となり、収縮期は心筋内圧で冠血管が圧迫され血流が減少するため、拡張期より収縮期の方が多いという記述は不適切である。
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解説
観血式血圧測定では、カテーテル—延長チューブ—トランスデューサから成る流体-電気変換系の動特性を適正に保つことが重要である。加圧バッグは約300 mmHgに加圧し、フラッシュデバイス(連続フラッシュ機構)によりヘパリン加生理食塩液を1〜3 mL/h程度で持続注入して血液逆流と凝固を防ぐ。ゼロ校正はトランスデューサを右房の高さにレベリングし、大気圧(0 mmHg)を基準に実施する。チューブ内の気泡は系のダンピングを増大させ、収縮期圧は低め、拡張期圧は高めに歪む一方、平均血圧(静的成分)は原理上ほぼ維持される。以上より、フラッシュデバイスの持続注入機能に関する記述のみ正しい。
選択肢別解説
誤り。チューブ内の気泡はダンピングを増大させ、収縮期圧は低く、拡張期圧は高く測定されやすい。しかし平均血圧(静的圧成分)は原理上ほぼ不変であり、下がるとはいえない。
誤り。カテーテル内はヘパリン加生理食塩液で満たし、気泡を除去する。蒸留水は低浸透圧で溶血や血管内刺激のリスクがあり使用しない。
誤り。加圧バッグは逆流防止と持続フラッシュ確保のため通常約300 mmHgに設定する。収縮期血圧と等しくはしない。
誤り。ゼロ校正は大気開放を0 mmHg基準として行い、トランスデューサの高さを右房レベルに合わせる。中心静脈圧そのものを基準値として用いるわけではない。
正しい。フラッシュデバイスは加圧バッグ内のヘパリン加生理食塩液を少量(通常1〜3 mL/h)で自動持続注入し、カテーテル先端の血液停滞と凝固を防ぐ機能をもつ(手動の高速フラッシュ機能も併載される)。
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解説
パルスドプラ血流計では、移動体(血球)によるドプラシフト周波数は $\Delta f = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ に従う。したがってビームと血流が垂直($\theta=90^\circ$)のとき $\cos\theta=0$ となりシフトが生じず測定できない。一方、ドプラ信号はパルス繰り返し周波数(PRF)でサンプリングされるため、検出可能なシフトの上限はナイキスト周波数 $f_{\text{PRF}}/2$ であり、これを超えると周波数折り返し(エイリアシング)が発生する。血流速度 $v$ が大きいほど $\Delta f$ が増し、折り返しは起こりやすい。最大計測深度は往復時間がPRFで制限され $D_{\max} \approx \frac{c}{2 f_{\text{PRF}}}$ となるため、PRFを上げるほど浅くなる。PRFは中心周波数(送信の振動周波数)とは独立の設定であり、「振動周波数の2倍以上」とする要件はない。以上より、正しいのは選択肢2と3。
選択肢別解説
誤り。目標(血流)がプローブに近づくときはドプラ効果により受信周波数は送信周波数より高くなる。式 $\Delta f = \frac{2 f_0 v \cos\theta}{c}$ で $v\cos\theta>0$(接近)なら $\Delta f>0$ となり受信周波数は上昇する。遠ざかるときに低下する。
正しい。ドプラシフトは $\Delta f \propto \cos\theta$ に比例し、超音波ビームが血流方向に対して垂直($\theta=90^\circ$)では $\cos\theta=0$ となりシフトが得られず、実質的に測定できない。
正しい。周波数折り返し(エイリアシング)は検出可能な上限(ナイキスト周波数) $f_{\text{PRF}}/2$ を超えるドプラシフトで発生する。血流速度が速いほど $\Delta f$ が大きくなるため、折り返しは起こりやすい。
誤り。PRFは送信超音波の中心周波数(MHz帯)とは別概念で、通常kHz帯に設定される。サンプリング定理が要求するのは $f_{\text{PRF}} > 2\lvert\Delta f\rvert$(ドプラシフトに対して)であり、$f_{\text{PRF}}$ をキャリア周波数 $f_0$ の2倍以上にする要件はない。
誤り。最大計測深度は $D_{\max} \approx \frac{c}{2 f_{\text{PRF}}}$ に反比例し、PRFが高いほど音波往復時間に許される余裕が小さくなるため浅くなる。したがって「高いほど大きい」は誤り。
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