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臨床工学技士国家試験
解説
滅菌法には高圧蒸気(湿熱)滅菌、ガス滅菌、放射線滅菌、ガスプラズマ滅菌、濾過滅菌などがあり、対象物の耐熱性・材質・形状に応じて使い分ける。高圧蒸気滅菌は121~134℃の飽和蒸気で行うため、熱・湿気に弱い材質(一般的なプラスチックや精密機器など)には不適である。酸化エチレンガス(EO)は強力だが有害・可燃であり、曝露対策やエアレーションが必須である。放射線滅菌はγ線や電子線でディスポーザブル医療材料に広く実施されている。ガスプラズマ滅菌は過酸化水素を用いる低温滅菌法で、残留毒性が少ない。濾過滅菌は膜分離(0.22 µmフィルタ、逆浸透、限外濾過など)により微生物やエンドトキシンを除去し、熱に弱い溶液や注射用水の製造工程に利用される。
選択肢別解説
誤り。高圧蒸気滅菌は121~134℃の湿熱で行うため、熱・湿潤に弱い一般的なプラスチック製品には適さない。耐熱性プラスチック(例:一部のポリプロピレン)であれば可能な場合もあるが、「プラスチック製品の滅菌に適している」と一般化するのは不正確である。
誤り。酸化エチレンガス(EO)は強い殺菌力をもつ一方で毒性・刺激性があり、発癌性の懸念もある。有害ガスで可燃・爆発性もあるため、厳格な管理と十分なエアレーション(残留ガス放散)が必要で、人体に無害ではない。
誤り。放射線滅菌は実際に広く行われている。コバルト60からのγ線や電子線を用い、ディスポーザブル医療材料などの最終滅菌に利用される。
正しい。ガスプラズマ滅菌は過酸化水素を蒸気化して高周波でプラズマ化し、生成するフリーラジカルや紫外線作用で微生物を不活化する低温滅菌法である。残留物が水と酸素に分解されやすく、残留毒性が少ないのが利点。
正しい。濾過滅菌は膜分離により微生物を物理的に除去する方法で、0.22 µm前後の除菌フィルタや、逆浸透(RO)・限外濾過(UF)などの膜処理を組み合わせ、注射用水の製造工程で微生物・エンドトキシン低減に用いられる。熱に弱い溶液の無菌化にも適する。
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解説
無機材料系の医用材料には金属とセラミックスが含まれる。ハイドロキシアパタイトは骨・歯の主成分であるリン酸カルシウム系セラミックスでカルシウムを含み、骨補填材やチタンインプラント表面コーティングに用いられる。アルミナは生体不活性で高硬度・耐摩耗性に優れるセラミックスとして人工関節部材などに用いられる。パイロリティック(熱分解)カーボンは血液適合性と耐摩耗性から人工心臓弁などに使われ、人工肝臓用の吸着剤ではない。チタンは受動態被膜(TiO2)により耐食性と生体適合性が高く、金属アレルギーの原因となる感作性は低い。ニッケルチタン合金(NiTi)は形状記憶・超弾性を示し、自己拡張型の血管ステントに広く用いられる。
選択肢別解説
正しい。ハイドロキシアパタイトはリン酸カルシウム系セラミックスであり、化学組成にカルシウムを含む。骨伝導性が高く、骨補填材やインプラント表面コーティングに利用される。
正しい。アルミナ(Al2O3)はセラミックスで、生体不活性・高硬度・耐摩耗性に優れ、人工関節の骨頭・ライナーなどに用いられる。
誤り。パイロリティック(熱分解)カーボンは機械的強度・耐摩耗性・血液適合性に優れ、人工心臓弁などの血液接触材料として用いられる。人工肝臓用の吸着剤としては活性炭やスチレン-ジビニルベンゼン系多孔質樹脂などが用いられ、パイロリティックカーボンは該当しない。
誤り。チタンは酸化被膜により耐食性・生体適合性が高く、金属アレルギーの原因となる感作性は低い。医用インプラント材料として広く使用される。
正しい。ニッケルチタン合金(NiTi)は形状記憶・超弾性により血管内で自己拡張するステント材料として一般的に用いられる。耐食性にも優れ、ガイドワイヤ等にも応用される。
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解説
高気圧酸素治療装置(HBO)は規格・安全基準で構造区分と点検区分が定められている。第1種治療装置は単人用(気積が小さく、患者のみが入る)で単室構造として定義される。第1種の加圧方式は空気加圧・酸素加圧のいずれも許容されており、酸素加圧に限定されない。保守点検は「日常点検(使用前・使用後)」と「定期点検(年1回が目安)」に区分され、定期点検では圧力計や安全弁などの安全関連機器を対象に機能確認と整備(必要に応じた分解点検を含む)を実施する。日常点検の使用前点検では、患者安全確保の観点から通話・通信装置の動作確認が必須である。以上より、1・4・5が正しく、2・3は誤りである。
選択肢別解説
$正しい。第1種治療装置は単人用で単室構造(患者のみが入るチャンバー)として規定される。気積は小さく(代表的に2 m^3以下)、多室ではない。$
誤り。第1種治療装置の加圧方式は酸素加圧に限定されず、空気加圧方式も認められる。患者への酸素投与は装置加圧方式にかかわらずマスク等で行い得るため、「酸素加圧に限定」は不適切。
誤り。定期点検は2年に1回ではなく、年1回(1年に1回)を基準として実施することが求められる。安全関連機器を含む系統的な点検整備が必要。
正しい。定期点検では安全弁の作動圧・気密・作動性などを確実に確認する必要があり、必要に応じて分解点検を行うことが点検整備項目として求められる(取扱説明書・安全基準に準拠)。
正しい。日常点検(使用前)では、患者との連絡手段確保のため通話・通信装置の動作確認が必須である。加圧中の急変時対応や運転指示の伝達に不可欠で、安全基準上の重要点検項目である。
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解説
滅菌・消毒・洗浄は目的と到達レベルが異なる。滅菌は芽胞を含むすべての微生物を殺滅または除去するプロセスであり、理想的には実用無菌(SALの概念)を目指す。消毒は病原体など微生物数を実用上安全なレベルまで低減する処理で、特に高水準消毒は芽胞を除くほぼすべての微生物に有効である。洗浄は血液・タンパクなど有機物や汚れを物理的に除去して、後段の消毒・滅菌の効果を高める前処理である。Spaulding分類では、粘膜に接触する器具(セミクリティカル)は高水準消毒以上が求められる。消化器内視鏡や呼吸器回路はセミクリティカルに該当し、高水準消毒が必要である。したがって正しいのは4である。
選択肢別解説
誤り。記載は消毒の説明に相当する。滅菌は芽胞を含むすべての微生物を完全に殺滅または除去するプロセスである。危険性を低減するだけでは滅菌の要件を満たさない。
誤り。記載は洗浄の定義であり、洗浄は有機物や汚染物を物理的に除去する前処理である。消毒は微生物(主に病原体)を実用上安全なレベルまで減少させる化学的または物理的処理を指す。
誤り。芽胞を含むすべての微生物を除去するのは滅菌の定義である。洗浄は汚れ(血液・タンパクなど)を物理的に除去して微生物数や有機負荷を減らし、後段の消毒・滅菌効果を高める工程である。
正しい。消化器内視鏡は粘膜に接触するセミクリティカル器具であり、洗浄(酵素洗浄など)後に高水準消毒(例:グルタラール、OPA、過酢酸など)を行うことが求められる。
誤り。呼吸器回路は粘膜に接触しうるセミクリティカル器具として扱われ、再使用する場合は高水準消毒または可能なら滅菌が推奨される。低水準消毒は無傷の皮膚のみと接触するノンクリティカル器具に適用されるレベルであり不十分である。
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解説
医用材料は材質の耐熱性・耐放射線性・化学的安定性に応じて滅菌法を選択する。乾熱滅菌は160〜180℃の高温で長時間処理するため、熱に弱い高分子膜には不適で、ガラス・金属などの耐熱性材料に適する。ポリスルホン(PSU/PSf)は熱・化学安定性が高く、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌, 121〜134℃)に耐えるため実務上用いられる。一方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は耐熱性は高いが放射線により分子鎖切断を起こしやすく、ガンマ線滅菌は不適。EOG(エチレンオキシドガス)滅菌は低温で行えるが、残留ガスの十分なエアレーションが必須であり、直ちに使用はできない。以上より正しいのは「ポリスルホン膜には高圧蒸気滅菌が用いられる」である。
選択肢別解説
誤り。乾熱滅菌は160℃以上の高温で行うため、再生セルロース膜のような高分子膜は熱劣化・脆化のおそれがあり適さない。再生セルロース膜には乾熱よりも低温法(例:ガス滅菌)などが選択されることが多い。
誤り。ガラス器具は耐熱性が高く、乾熱滅菌に適する代表的材料である。粉末・油脂など湿熱が不向きな対象物に対しても乾熱滅菌が用いられる。
正しい。ポリスルホン膜は熱・化学的に安定であり、121〜134℃の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)に耐える素材として広く用いられている。
誤り。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は耐放射線性が低く、ガンマ線照射で分子鎖切断や脆化を生じやすいため、ガンマ線滅菌は不適である。PTFEでは熱法やガス滅菌などが選択される。
誤り。EOG滅菌後はエチレンオキシドの残留を十分に除去するためのエアレーション工程が必須で、直ちに使用することはできない。
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解説
本問はJIS T 0601(=IEC 60601 系列:医用電気機器)に個別規格が用意されているかを問うのが趣旨である。JIS T 0601-2-xx は機器ごとの個別要求事項を定めており、輸液ポンプ(JIS T 0601-2-24)、電気メス(高周波外科用機器:JIS T 0601-2-2)、心電計(JIS T 0601-2-25)、観血式血圧計(JIS T 0601-2-34)はいずれも対象である。一方、植込み型心臓ペースメーカは医用電気機器(60601 系)ではなく、能動埋込み医療機器として ISO 14708 系(国内ではJIS T 14708-2 など)で規定されるため、JIS T 0601 系には含まれない。よって、JIS T 0601 で規定されていないものとして植込み型心臓ペースメーカを選ぶのが適切である。
選択肢別解説
誤り。輸液ポンプは JIS T 0601-2-24(医用電気機器−第2-24部:輸液ポンプ及び輸液コントローラに関する個別要求事項)で規定されている。従って「JISで規定されていない」には当たらない。
誤り。電気メス(高周波外科用機器)は JIS T 0601-2-2 で規定されている。したがって JIS T 0601 系に個別規格が存在する。
正しい。植込み型心臓ペースメーカは医用電気機器(JIS T 0601 系)の対象外で、能動埋込み医療機器として ISO 14708 系(国内規格では JIS T 14708-2 など)で規定される。よって JIS T 0601 系には規定がないため、本問の趣旨(JIS T 0601 で規定されない機器)に合致する。
誤り。心電計は JIS T 0601-2-25(心電計に関する個別要求事項)により規定されている。
誤り。観血式血圧計(観血式血圧測定装置)は JIS T 0601-2-34 で規定されている。したがって JIS T 0601 系に個別規格がある。
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解説
シリコーン(シロキサン骨格をもつ高分子)は、生体適合性・柔軟性・耐熱性・化学的安定性に優れ、さらに高いガス透過性をもつため、多くの医療機器で用いられる。具体例として、折りたたみ可能な眼内レンズ材、均質膜型の人工肺膜材、柔軟で生体親和的な各種カテーテル材が挙げられる。一方、透析膜は水と溶質の効率的な拡散が必須で、セルロース系やポリスルフォン、PMMA などが主流であり、疎水性で溶質拡散性が低いシリコーンは通常採用されない。縫合糸については本体材料としてはポリプロピレン、ポリエステル、PGA、PDS などが一般的で、シリコーンは潤滑化のための表面コーティングに使われる例はあるが、主要材料としての使用を問う文脈では「用いられる」とは判断しない。
選択肢別解説
正しい。眼内レンズ(IOL)にはPMMAやアクリルに加え、折りたたみ可能なシリコーン系材料が用いられてきた実績がある。柔軟性と生体適合性が利点。
正しい。人工肺の均質膜型ではシリコーンゴム膜が用いられてきた。高い酸素・二酸化炭素のガス透過性と化学的安定性が適している。
正しい。カテーテルにはシリコーンが広く用いられる。柔軟で組織刺激が少なく、長期留置にも適するため、尿道カテーテルやドレーン等で一般的。
誤り。透析膜は水と溶質の拡散性能が重要で、セルロース系やポリスルフォン、PMMAなどが主流である。疎水性で溶質拡散に不利なシリコーンは透析膜材としては一般的に用いられない。
誤り。縫合糸の本体材料はポリプロピレン、ポリエステル、PGA、PDSなどが一般的。シリコーンは滑りを良くする表面コーティングとして使われることはあるが、本体材料としては通常用いられないため、本設問の意図では不適切。
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