臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
体内に長期留置される医用材料には、無菌で安全に導入され、体内環境で所期の働きを安定して発揮することが不可欠である。具体的には、(1)滅菌可能であること(可滅菌性:高圧蒸気・エチレンオキサイド・放射線など妥当な方法で滅菌でき、滅菌過程で劣化しにくいこと)、(2)生体に有害作用を示さないこと(非毒性:細胞毒性・感作性・発がん性・過度な炎症誘発などがないこと、血液・組織適合性を含む)、(3)目的とする医用機能を使用期間にわたり満たすこと(機能性:機械的強度・耐摩耗・耐腐食・電気的特性などの必要性能を維持)といった条件が中核である。一方、体内はおよそ37℃で火炎にさらされる状況も想定されないため、耐熱性や難燃性そのものは不可欠条件ではない(滅菌法の選択により耐熱性が低い材料でも対応可能)。したがって本問の正答は「可滅菌性」「機能性」「非毒性」である。
選択肢別解説
正しい。体内に埋め込む前に無菌化できることは必須であり、オートクレーブ、エチレンオキサイド、放射線など妥当な滅菌法に適合することが求められる。滅菌過程で著しく劣化しないことも含意される。
正しい。材料は医療上の目的(支持・置換・導電・薬物徐放など)に必要な機能を体内環境下で所定期間安定して発揮しなければならない。機械的・化学的・電気的などの要求性能を満たすことが不可欠である。
正しい。生体に対して毒性や感作性、発がん性、過度な炎症惹起などを示さないことが必須であり、血液・組織に対する適合性を含めた安全性が求められる。
誤り。体内使用は約37℃で行われるため高い耐熱性自体は不可欠ではない。高温滅菌が必要なら材料選択で対応するが、放射線やエチレンオキサイドなど耐熱性を要さない滅菌法もあるため、不可欠条件とはいえない。
誤り。体内で火炎暴露は想定されず、難燃性は埋植材料の不可欠条件ではない。難燃性の有無は体内安全性や機能発現に直結しない。
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解説
血液に直接触れる材料(体外循環回路、カテーテル、人工血管など)では、血液適合性として血栓形成性、溶血性、補体系活性化などの血液学的・血栓止血学的反応を最小化できるかが重要である。材料表面へのタンパク質吸着を端緒として血小板活性化や内因系凝固が進み血栓形成を招きうる。また溶出物や表面特性により赤血球膜が損傷すれば溶血が起こる。さらに材料表面は補体の古典経路・代替経路・レクチン経路を介した補体活性化を誘発し炎症反応を増強する。一方、被包化や肉芽形成は主に埋植材料に対する組織(間質)側の異物反応であり、血液と接触した際の血液適合性とは評価領域が異なる。以上より、血液適合性に関係するのは「溶血」「血栓形成」「補体活性化」である。
選択肢別解説
正しい。溶出物(可塑剤・残留モノマーなど)や表面粗さ・親水疎水性・帯電などにより赤血球膜が損傷すると溶血が生じる。血液適合性評価では溶血性試験(ヘモリシス率など)が実施され、溶血の有無は重要な判定項目である。
正しい。材料表面へのタンパク質吸着と変性を契機に血小板の付着・活性化が進み、内因系凝固カスケードが作動して血栓形成に至る。血栓形成性(抗血栓性)は血液適合性の中心的評価項目であり、血管内留置デバイスや体外循環回路では特に重要となる。
誤り。被包化(線維性被膜形成)は埋植材料に対する慢性の異物反応で、周囲組織に肉芽・線維化が進んで材料を被膜で囲む現象である。これは主として組織適合性(組織反応)の領域であり、血液と接触した際の血液適合性の評価項目とは異なる。
誤り。肉芽形成は炎症や創傷治癒過程で線維芽細胞や新生血管を含む肉芽組織が形成される現象で、埋植材料に対する組織側の反応を示す。血液適合性の直接的な評価項目ではない。
正しい。材料表面は補体の古典経路・代替経路・レクチン経路の活性化を誘発しうる。補体活性化は発熱・炎症・白血球活性化や血小板機能へも波及し、血液適合性評価で確認すべき重要な反応である。
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解説
医療機器は薬機法でリスクに応じて一般(クラスI)、管理(クラスII)、高度管理(クラスIII・IV)に分類される。高度管理医療機器は体内に植込む、生命維持に関わる、あるいは重大な有害事象につながりうる機器が該当する。ペースメーカ、冠動脈ステント、粒子線治療装置、中心静脈カテーテルはいずれも重大リスクのため高度管理に分類される。一方、血液ガス分析装置は体外で検体(血液)を分析する体外診断用の機器であり、一般にクラスI~IIに位置づけられ高度管理には該当しない。したがって「高度管理医療機器に該当しない」は血液ガス分析装置である。
選択肢別解説
ペースメーカは植込み型で心拍動を直接制御する生命維持関連機器であり、重大な不具合が患者の生命に直結するため高度管理医療機器(通常クラスIV)に分類される。よって「該当しない」とは言えない。
冠動脈ステントは血管内に留置する植込み型デバイスで、不具合は急性冠閉塞など重篤な有害事象に直結するため高度管理医療機器(一般にクラスIII~IV、薬剤溶出型はクラスIV)に分類される。したがって高度管理に該当する。
血液ガス分析装置は採取した血液を体外で分析する体外診断用機器で、人体への直接侵襲がなく、一般に管理医療機器(クラスII)または一般医療機器(クラスI)に分類される。高度管理医療機器には該当しないため、設問の正答である。
粒子線治療装置は高エネルギー放射線(陽子線・重粒子線等)を腫瘍に照射する治療用機器で、線量や照射位置の誤りは重大な健康被害に直結する。治療用放射線機器は高度管理医療機器(多くはクラスIII)に分類される。よって高度管理に該当する。
中心静脈カテーテルは血管内に留置し循環器系に直接作用する医療機器で、感染・血栓・誤留置などのリスクが大きい。侵襲性とリスクの観点から高度管理医療機器(一般にクラスIII)に分類されるため、高度管理に該当する。
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解説
適切でない組合せは「マイクロ波加溫(加温)装置—キャビテーション」。マイクロ波加温装置は2.45GHzなどの電磁波による誘電加熱で組織を加温するハイパーサーミア機器であり、主なリスクは熱傷・過加温などである。キャビテーション(空洞現象)は超音波の負圧で微小気泡が生成・崩壊して生じる現象で、超音波治療・診断で問題となるため、この組合せは不適切。一方、熱希釈式心拍出量計ではカテーテル刺激による不整脈、経皮的酸素分圧モニタではセンサ加温による水疱(熱傷)、電気メスでは高周波電流による熱傷、レーザメスでは波長に応じた眼障害(網膜・角膜)が典型的な有害事象であり、いずれも妥当な組合せである。
選択肢別解説
不適切な組合せ。キャビテーションは超音波による負圧場で気泡が生成・崩壊する現象で、超音波機器に関連する。マイクロ波加温装置は電磁波による誘電加熱で温度上昇を生じさせるため、キャビテーションとは機序が異なる。想定される有害事象は主に熱傷や過加温である。
適切な組合せ。熱希釈式心拍出量計(スワン・ガンツカテーテル)は右心系を通過・留置する過程で心筋を機械的に刺激し、期外収縮や心室性不整脈などを誘発し得る。挿入時の心電図監視や適切な操作でリスク低減が重要である。
適切な組合せ。経皮的酸素分圧モニタは測定部位の皮膚を約43℃前後に加温して血流を増やし動脈化して測定するため、長時間の連続装着で紅斑・水疱などの熱傷が生じ得る。部位のローテーションや設定温度・装着時間の管理が必要。
適切な組合せ。電気メス(高周波電気手術装置)は高周波電流によって組織を切開・凝固するが、対極板の装着不良、接触面積の不足、分流・接触不良などにより熱傷が発生し得る。機器点検と適切な対極板管理が必須。
適切な組合せ。レーザメスは直接光・反射光によって眼障害を起こし得る。波長により障害部位は異なり、可視〜近赤外では主に網膜、CO2レーザ(10.6μm)では角膜が主な障害部位となる。適切な波長対応の保護眼鏡などの対策が必要である。
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解説
特定機能病院では、医療機器安全管理責任者が年2回程度、定期的に研修を実施すべき機器の区分が厚生労働省通知等で7つ示されている。具体的には、(1)人工心肺装置および補助循環装置(PCPS等)、(2)人工呼吸器、(3)血液浄化装置、(4)除細動装置(AEDを除く)、(5)閉鎖式保育器、(6)診療用高エネルギー放射線発生装置、(7)診療用放射線照射装置である。本問の選択肢では、経皮的心肺補助装置は(1)に、閉鎖式保育器は(5)に該当し、研修対象である。一方、電気メス、消化管内視鏡、AEDはこの7区分に含まれず(AEDは「除細動装置」のうち明確に除外される)、研修対象外である。
選択肢別解説
正しい。経皮的心肺補助装置(PCPS)は「人工心肺装置および補助循環装置」に含まれ、特定機能病院では年2回程度の定期研修の対象である。操作上の安全確保やトラブル対応の知識・技能維持が求められる。
誤り。電気メスは定期研修の7区分には含まれない。安全使用や保守は重要だが、年2回程度の定期研修を義務付ける対象リスト外である。
誤り。消化管内視鏡は7区分に含まれない。内視鏡関連の衛生管理・安全は院内教育で扱われるが、本制度上の定期研修機器リストには該当しない。
誤り。除細動装置は対象区分にあるが「AEDを除く」と規定されているため、自動体外式除細動器(AED)は定期研修対象外である。
正しい。閉鎖式保育器は研修対象の7区分の一つであり、特定機能病院では年2回程度の定期研修を行うことが求められる。温度管理・アラーム・安全機構の理解が重要となる。
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解説
不適切な組合せは「マイクロ波加温装置 — キャビテーション」。キャビテーション(空洞現象)は主として超音波により液中で微小気泡が発生・振動・崩壊する現象で、超音波治療・洗浄・体外衝撃波などで問題となる。一方、マイクロ波加温装置は2.45GHzなどの電磁波で誘電加熱を起こして生体組織を加温する機器であり、作用機序が異なるためキャビテーションは典型的な問題ではない。その他の組合せは、機器の特性から生じうる既知の問題点と整合する(熱希釈式心拍出量計—不整脈、経皮的酸素分圧モニタ—加温に伴う皮膚障害[水疱など]、電気メス—熱傷、レーザメス—眼傷害)。
選択肢別解説
不適切。マイクロ波加温装置は電磁波による誘電加熱で組織を温める機器であり、液中の気泡生成・崩壊といったキャビテーションは超音波機器で問題となる現象である。従ってこの組合せは成り立たない。
適切。熱希釈式心拍出量計では右心系に留置したカテーテルで冷指示液を急速注入し温度変化から心拍出量を算出する。不整脈(期外収縮など)があると心拍出量曲線が乱れ測定誤差が増大し、またカテーテル刺激で不整脈を誘発することもあるため、問題点として妥当である。
適切。経皮的酸素分圧モニタ(tcpO2)は電極周囲の皮膚を約42–44℃に加温して計測するため、長時間装着や皮膚の脆弱性により発赤・水疱などの熱傷様の皮膚障害が生じうる。したがって皮膚の水疱は代表的な問題点である。
適切。電気メスは高周波電流によるジュール熱で切開・凝固を行うため、出力過大・通電時間延長・対極板不良接触・金属接触などで熱傷が発生しうる。熱傷は同機器の典型的リスクである。
適切。レーザメスはレーザ光の波長に応じて眼組織に障害を及ぼす(可視〜近赤外は網膜、CO2レーザは角膜など)。防護眼鏡の未装着・散乱光管理不十分などで眼傷害の危険があるため、問題点として妥当である。
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解説
医用材料の代表的な組合せ知識を問う問題。機械式人工弁の弁葉は耐摩耗性・耐食性・生体適合性に優れたパイロリティックカーボン(パイロライトカーボン)が標準であり、ステンレス鋼ではない。膜型人工肺のガス交換膜は歴史的にシリコーン(ポリジメチルシロキサン)や多くの市販品でポリプロピレン中空糸、近年ではポリメチルペンテンが用いられる。血液透析膜はポリスルホンやポリエーテルスルホン、セルローストリアセテート、PMMA などが主流で、シリコーンは用いない。ステントには形状記憶・超弾性を有するニッケル・チタン合金(ニチノール)が広く用いられ、狭いカテーテルで挿入後に体温域で自己拡張できる特性が適合する。以上より「ステント — ニッケル・チタン合金」の組合せが正しい。
選択肢別解説
誤り。機械式人工弁の弁葉(リーフレット)にはパイロリティックカーボンが一般的に用いられる。ステンレス鋼は手術器具や一部の金属部品には用いられるが、弁葉材料としては耐摩耗性・血栓抵抗性の点で不適。
誤り。膜型人工肺のガス交換膜材料はシリコーン(ポリジメチルシロキサン)シートやポリプロピレン中空糸、近年はポリメチルペンテンが代表的である。ポリスルホンは主として血液透析膜に用いられる材料であり、この組合せは不適切。
正しい。ニッケル・チタン合金(ニチノール)は形状記憶・超弾性を有し、デリバリー時に細径へ折り畳み、留置後に自己拡張させるステントに適する。生体適合性と耐食性にも優れるため広く使用されている。
誤り。人工歯根(デンタルインプラント)は骨結合(オッセオインテグレーション)を得やすい純チタンやチタン合金が主流である。高密度ポリエチレン(特に超高分子量ポリエチレン)は人工関節の摺動面などで用いられるが、歯根としては適切でない。
誤り。血液透析膜はポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルローストリアセテート、PMMA などが一般的である。ポリジメチルシロキサン(シリコーン)は高いガス透過性を活かして膜型人工肺などで用いられるが、透析膜としては通常用いられない。
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解説
誤りの組合せは「心臓ペースメーカ — 熱傷」。ペースメーカの出力はパルス電圧が数V、電流が数mA、パルス幅が数百µs〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーは極めて小さく、組織に臨床的な熱傷を生じさせる水準ではない。これに対し、超音波凝固切開装置では先端周囲でキャビテーションが生じ得る、電気メスは高周波電流による電磁障害を引き起こし得る、人工呼吸器は過大な圧や容量により圧損傷(気胸など)を来し得る、高気圧治療装置は減圧を急ぐと減圧症を誘発し得る、いずれも妥当なリスクである。
選択肢別解説
超音波凝固切開装置は数十kHzの機械振動で組織を凝固・切開する。高い音響エネルギーが液体中で作用すると先端周囲でキャビテーション(気泡の生成・崩壊)が生じ、組織損傷や微小出血の一因となり得るため、組合せは適切。
電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流を用い、機器・配線・空間結合を通じて電磁ノイズを発生させる。心電図モニタの飽和やアラーム誤作動、植込み機器の誤作動など電磁障害の原因となるため、組合せは適切。
人工呼吸器で過大な一回換気量や高い気道内圧、低い呼気終末陽圧管理不良などは肺胞の過伸展を招き、気胸や縦隔気腫などの圧損傷(バロトラウマ)を起こし得る。したがって組合せは適切。
心臓ペースメーカの刺激出力はパルス電圧がおおむね1〜10V、電流が数mA、パルス幅が約0.2〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーはごく小さい。通常の作動で組織の熱傷を生じることは想定されないため、「熱傷」との組合せは不適切(本問の誤り)。なお電気メスやMRIなど外部エネルギー併用時にリード先端の加熱が問題となるのは別の事象である。
高気圧治療装置は加圧・減圧を管理するが、減圧を急ぐと体内で気泡が発生し減圧症を誘発し得る。適切なプロトコルでは緩徐な減圧を行う必要があり、減圧症は管理不良時の代表的リスクである。組合せは適切。
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解説
医療機器の安全操作の原則として、患者に接続する前に機器の電源を入れて自己診断・設定確認を完了しておくのが適切である(誘導コードやプローブ装着前に起動・点検)。一方、医療ガス用ホースは使用の都度接続・取り外しを行い、放置接続は漏えい・汚染・機械的損傷やつまずきリスクを高め不適切。追加保護接地は規定された接地極や等電位(ボンディング)端子を用いるべきで、テレビのアンテナ端子など不確実な経路は不可。流量計の球形(ボール)浮子は浮子中心で目盛りを読み、上端で読むのは球形以外の浮子に適用される読取り法である。複数機器を電源供給する場合は接地極付き3Pの医用電源タップ(医療用規格適合)を用い、2Pタップの使用は安全上不適切である。
選択肢別解説
不適切。ホースアセンブリは使用のたびに端末器に接続し、使用後は外してキャップ等で端部を保護するのが原則。常時接続はガス漏えい・汚染混入・誤接続・機械的損傷やつまずき事故のリスクを高める。
適切。患者への誘導コード装着前に電源を入れて自己診断・初期化・アラームや設定値の確認を済ませておくと、異常時の影響を患者に及ぼしにくく、安全かつ確実に測定・治療を開始できる。
不適切。テレビのアンテナ端子は保護接地としての連続性やインピーダンスが保証されず、アイソレータ等で大地から浮いている場合もある。追加保護接地はコンセントの接地極や医用等電位ボンディング端子など、規定の接地点を用いる必要がある。
不適切。ボール型(球形浮子)の流量計は浮子の中心で目盛りを読む。上端で読むのは球形以外の一部浮子形状に対する読取り法であり、球形には適用しない。視差を避けるため指示線やミラーに合わせて読む。
不適切。医療機器は接地極付き3Pプラグが基本であり、複数機器を用いる場合は医療用規格に適合した3Pの医用テーブルタップ(過負荷保護等付き)を使用する。2Pタップは接地が取れず、漏れ電流や感電リスクの面で不適切。
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解説
滅菌は芽胞を含む全ての微生物を死滅させる操作、消毒は病原微生物を実用上支障ないレベルまで低減する操作である。手指の消毒には速乾性擦式アルコール製剤やクロルヘキシジン、ポビドンヨードなど皮膚適合性のある製剤を用いる。一方、粘膜には刺激性の低い第4級アンモニウム塩(ベンザルコニウム塩化物液など)を適用できる。耐熱性の鋼製小物は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が標準で、芽胞を含め確実に滅菌できる。手術室壁面の環境表面消毒にホルムアルデヒドは毒性・曝露リスクのため通常用いず、表面消毒薬(次亜塩素酸ナトリウムや第4級アンモニウム塩など)を用いる。腹腔鏡は非耐熱性部材を含むため乾熱滅菌は不適で、酸化エチレンガス、低温プラズマ滅菌、または高水準消毒薬(例:グルタールアルデヒド)が選択肢となる。以上より正しい組合せは「粘膜—ベンザルコニウム塩化物液」と「鋼製小物—高圧蒸気滅菌」である。
選択肢別解説
誤り。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は皮膚刺激性・腐食性があり、手指消毒には適さない。手指衛生は速乾性アルコール製剤、クロルヘキシジン、ポビドンヨードなど皮膚に適した消毒薬を用いる。
正しい。粘膜には刺激が少ない低水準消毒薬であるベンザルコニウム塩化物液(第4級アンモニウム塩)が用いられる。アルコールは粘膜刺激となりやすいため不適な場合がある。
正しい。耐熱性の鋼製小物は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が標準で、芽胞を含めた確実な滅菌が可能である。
誤り。ホルムアルデヒドは毒性・曝露リスクが高く、手術室の壁など環境表面の日常的消毒には用いない。通常は次亜塩素酸ナトリウムや第4級アンモニウム塩などの表面消毒薬を用いる。
誤り。腹腔鏡は光学系・樹脂等を含み非耐熱であることが多く、乾熱滅菌(高温・長時間)は不適。酸化エチレンガスや低温プラズマ滅菌、あるいは高水準消毒薬(グルタールアルデヒド)など低温法を選択する。
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解説
医用材料が体内に置かれると、異物反応としてカプセル化(線維性被膜の形成)、補体活性化(C3a・C5aなどアナフィラトキシン産生)、石灰化(リン酸カルシウム沈着)、血栓形成(血小板と凝固系の活性化)、炎症(ヒスタミンなどメディエーター放出)といった生体反応が起こりうる。カプセル化は線維芽細胞が産生するコラーゲンにより異物周囲に被膜が形成される現象で妥当、補体活性化はアナフィラトキシン(C3a、C5aなど)の産生と対応、石灰化はリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイトなど)の沈着と対応、炎症はヒスタミン放出と対応する。一方、血栓形成は血小板粘着・凝集とフィブリノーゲン→フィブリン形成(凝固系)によるもので、エラスチンは血管壁の弾性線維の主要成分であり血栓形成そのものの担い手ではないため、4が誤りの組合せである。
選択肢別解説
正しい組合せ。異物の慢性局所反応であるカプセル化では、線維芽細胞が産生するコラーゲンにより線維性被膜が形成され、医用材料が周囲組織から隔離される。
正しい組合せ。補体が活性化されるとC3aやC5a(場合によりC4a)などのアナフィラトキシンが生成し、血管透過性亢進、平滑筋収縮、好中球遊走などの炎症反応を惹起する。
正しい組合せ。生体材料周囲にリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイトなど)が沈着して硬化する石灰化は、慢性反応として知られる。
誤った組合せ。血栓形成は血小板の粘着・凝集と凝固因子によりフィブリノーゲンがフィブリンへ転換して進行する。関連因子はvWF、トロンビン、フィブリノーゲンなどであり、エラスチンは血管壁の弾性線維の主要構成蛋白で血栓形成の主要因子ではない。
正しい組合せ。炎症初期には肥満細胞や好塩基球からヒスタミンが放出され、血管拡張や血管透過性の亢進を引き起こす。
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