臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
がん温熱療法(ハイパーサーミア)は腫瘍部を主に42〜43℃程度に30〜60分維持して腫瘍細胞の熱感受性を高め、放射線・化学療法の効果増強(放射線増感、薬剤感受性上昇)を狙う治療である。皮膚熱傷などの合併症を避けるため、アプリケータと皮膚の間に循環水入りのボーラス(水袋)を介在させて体表面を冷却・保護する。加温原理の違いにも注意が必要で、RF容量結合型では電界分布と血流冷却の影響から皮下脂肪が過熱しやすく、筋層より脂肪層が相対的に加温されやすい。一方、マイクロ波(915 MHz、2.45 GHzなど)は生体内での減衰が大きく外部照射では浅在性腫瘍向きで、深部腫瘍の加温には適さない。以上より、体表面の冷却にボーラスを用いるという記述が正しい。
選択肢別解説
誤り。温熱療法の標的は非凝固域である約42〜43℃(概ね40〜45℃)の維持であり、65℃以上は蛋白凝固・組織壊死を起こす高温域(アブレーションの領域)で、ハイパーサーミアの目標温度ではない。
誤り。放射線療法との併用は禁忌ではなく、むしろ一般的な併用法である。温熱は腫瘍の放射線感受性を高め(DNA損傷修復の阻害、腫瘍酸素化の改善など)、相乗効果が期待される。
正しい。アプリケータと皮膚の間に循環水入りボーラス(水袋)を介在させ、皮膚表面を冷却・保護しつつ結合を安定化させることで、表在組織の過熱を防ぎ病巣部への加温を狙う。
誤り。RF容量結合型では皮下脂肪は導電率が低く血流冷却も乏しいため局所に電界・熱が集中しやすく、脂肪層のほうが筋肉より過熱されやすいことが知られている。
誤り。外部照射のマイクロ波(例:915 MHz、2.45 GHz)は生体内での減衰が大きく、主に浅在性腫瘍の加温に用いられる。深部腫瘍の加温には適さない(深部はRFやアレイ照射などが用いられる)。
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解説
X線画像計測は、物質中を通過するX線の強度減衰を測り、減衰度合い(線減弱係数 $\mu$)の空間分布を画像化する。減衰はビール・ランバートの法則に従い、$I=I_0 \\exp(-\\int \\mu(x)\\,dx)$で表される。CTでは物質ごとの相対的な減弱をHUで定義し、$HU=1000 \\frac{\\mu-\\mu_{water}}{\\mu_{water}-\\mu_{air}}$(実用上は \\mu_{air}\\approx0 なので $HU\\approx1000 \\frac{\\mu-\\mu_{water}}{\\mu_{water}}$)を用いる。骨は水よりも強くX線を減弱するため一般にHUは正の高値(しばしば+1000 HU前後)となり、\\mu_{bone}は水の約2倍程度以上である。よって「骨のエックス線吸収係数は水の約0.5倍」は逆の関係を述べており誤り。一方、造影剤(ヨード系など)は光電効果を強めて血管を描出し、空気の減弱はきわめて小さく(ほぼゼロとみなせる)、被写体の体動はモーションアーチファクトを生じるため、これらは正しい記述である。
選択肢別解説
正しい。X線は物質中で指数関数的に減弱し、透過後の線量(強度)を検出器で計測して画像化する。投影像(単純X線)でも、投影データを再構成するCTでも、この透過線量の計測が基盤である。
正しい。ヨード系などのX線不透過性造影剤は原子番号が高く、診断エネルギー域で光電効果が増大するため減弱が増し、血管腔のコントラストが上がって血管が描出される。
誤り。骨の線減弱係数は水より大きく、典型的には水の約2倍程度以上である。CT値でも水は0 HU、骨は概ね+1000 HU前後となるため、水の0.5倍という記述は関係を取り違えている。比は管電圧や骨の組成で変動するが、少なくとも0.5倍ではない。
正しい。空気の線減弱係数は診断エネルギー域で極めて小さく、実用上ほぼゼロとみなされる(CTスケールでは空気は約-1000 HU)。
正しい。撮影中の被写体(患者)体動はモーションアーチファクトを生じ、ぼけや重なり像などの画質低下を招く。
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