臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
生体は主として水や有機分子から成り、全体としては反磁性ないし弱い常磁性の寄与が混在するが、比透磁率 $\mu_r=\mu/\mu_0$ はほぼ1(1にごく近い値)である。よって「比透磁率が5000程度」は強磁性体にみられる桁であり、生体には当てはまらず誤り。水素原子核(陽子)はスピン1/2をもち固有の磁気モーメントを有し、MRIで利用される。神経興奮に伴うイオン電流はアンペールの法則により微小磁界を発生し、脳磁図(MEG)などで計測可能。ヘモグロビンは酸素化で不対電子が消えて反磁性、脱酸素化で不対電子をもち常磁性となる。以上から誤っているのは選択肢1である。
選択肢別解説
誤り。生体(主に水)は反磁性主体で、比透磁率 $\mu_r$ は1に極めて近い。$\mu_r$ が数千(例:$\mu_r\approx 5000$)は強磁性体(鉄やパーマロイなど)の桁であり、生体の値として不適切。
正しい。水素原子核(陽子)はスピン1/2をもち磁気モーメントを有する。この性質を外部磁場下で利用して核磁気共鳴(MRI)が行われる。
正しい。神経の活動電位に伴うイオン電流(活動電流)は周囲に微弱な磁界を生じる(アンペールの法則)。この磁界は脳磁図(MEG)などで計測される。
正しい。酸素化ヘモグロビンは鉄イオンの不対電子が消失し、反磁性を示す。従って外部磁場に対して弱く反発する性質となる。
正しい。脱酸素化ヘモグロビンは鉄イオンに不対電子が残存し常磁性を示す。これはBOLD fMRIコントラストの基礎となる性質である。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
X線CTは、多方向からの透過X線データから体内の線減弱係数(X線の通りにくさ)分布を画像再構成する装置である。画素の濃度指標であるCT値(HU)は、水の線減弱係数を基準(0 HU)、空気を約-1000 HUとして定義される相対値で、$\mathrm{HU}=1000\times\frac{\mu_{\text{組織}}-\mu_{\text{水}}}{\mu_{\text{水}}}$ で表される。検出器にはシンチレータ(例: Gd2O2S, CdWO4 など)と光検出素子を組み合わせたシンチレーション検出器が広く用いられる。ヘリカル(スパイラル)方式はスリップリングによる連続回転と寝台移動を併用してデータを螺旋状に収集するため、広範囲を短時間で撮影できる。一方、本装置は電離放射線被ばくを伴うため「無侵襲」とは言い切れず、代謝機能の画像化はPET/SPECTの領域であり、CTは主として形態評価に用いられる。
選択肢別解説
正しい。CT値は組織の線減弱係数(X線吸収係数)の相対値で、水を0 HU、空気を約-1000 HUとするスケールで表す。定義式は $\mathrm{HU}=1000\times\frac{\mu_{\text{組織}}-\mu_{\text{水}}}{\mu_{\text{水}}}$。選択肢の「吸収率」という語は厳密には「線減弱係数(吸収係数)」を指す表現と解すれば妥当。
正しい。X線CTでは入射X線をシンチレータで光に変換し、光検出素子(光電子増倍管やフォトダイオード)で電気信号として検出するシンチレーション検出器が用いられる。
正しい。ヘリカル(スパイラル)方式はガントリを連続回転させつつ寝台を移動させ、螺旋状にデータ収集するため、広範囲を短時間で撮影でき、撮影時間の短縮に寄与する。
誤り。本装置は電離放射線被ばくを伴うため、リスクゼロを含意する「無侵襲」とは言い難い。したがって「無侵襲な計測である」という断定は不適切。
誤り。CTは主として形態(解剖学的)情報の描出であり、代謝機能の画像化はPETやSPECTが担う。CT単独では代謝機能は画像化できない。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
X線撮影は、X線管から照射されたX線が被写体を透過する際の線減弱(主に吸収と散乱)の差を検出器で受け、その強度分布を画像化する方式である。反射波を利用する検査ではない。画像コントラストは組織の線減弱係数(元素・密度・厚み)差を反映し、単純X線像は軟部組織間のコントラストが乏しい。一方、X線透視やシネ撮影を用いれば臓器の動態観察が可能である。造影剤(ヨード・バリウムなど)は吸収係数差を拡大してコントラストを高める目的で用いられ、空間分解能そのものを直接高めるものではない(空間分解能は主に焦点サイズ、検出器特性、幾何学的不鮮鋭、運動ぶれ等に依存する)。
選択肢別解説
誤り。X線撮影は体内を透過してきたX線を検出して画像化する。反射X線を撮影するわけではない(反射を主に利用するのは超音波検査)。
$正しい。X線画像は組織でのX線吸収(線減弱)差を反映した画像である。透過強度は概ね I = I0 \exp(-\mu x) に従い、線減弱係数 \mu の差がコントラストとなる。$
正しい。X線透視(パルス透視を含む)やシネ撮影を用いれば心臓・消化管などの動態をリアルタイムに観察・記録できる。
誤り。造影剤はX線吸収係数の差を大きくしコントラスト(コントラスト分解能)を向上させるために使用する。空間分解能の改善を直接の目的とするものではない。空間分解能は焦点サイズ、検出器ピクセルサイズ、幾何学的不鮮鋭、運動ぶれ等で決まる。
誤り。一般の単純X線撮影は軟部組織間の吸収差が小さくコントラストがつきにくいため適さない。軟部組織評価にはCTやMRI、超音波、あるいは軟X線を用いるマンモグラフィなどの特殊条件が用いられる。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
核医学画像(SPECT・PET)は体内に投与した放射性医薬品から放出される放射線を検出して機能画像を得る。SPECTは放出されたγ線をコリメータ付きガンマカメラで検出して断層再構成するため、X線CT(サブミリ級)に比べ空間分解能は劣るが、心筋血流など機能評価に有用である。PETは陽電子放出核種(例:18F, 11C など)を用い、陽電子と電子の対消滅で生じる2本の511 keVのγ線を同時計数して画像化する。FDG-PETは糖代謝亢進部位に集積する性質を利用し、がん診断に有用である。一方、SPECTは中性子線を検出する装置ではなく、検出対象はγ線であるため、「SPECTは中性子線を検出する」は誤りである。
選択肢別解説
正しい。核医学画像(SPECT・PET)は物理的制約(コリメータや同時計数など)により空間分解能がX線CTより低い。CTはサブミリ級の高分解能に対し、核医学では一般に数mm〜1 cm程度であり、形態描出は苦手だが機能評価に優れる。
正しい。SPECTでは201Tlや99mTc標識製剤(MIBI、Tetrofosminなど)を用いて心筋灌流(血流分布)を評価でき、虚血の有無や範囲の把握に用いられる。
正しい。FDG-PETは18F-FDGが糖代謝の高い病変(多くの悪性腫瘍)に集積する性質を利用し、がんの診断・病期評価・治療効果判定などに有用である。
誤り。SPECTは放射性医薬品から放出されるγ線をシンチレーション検出器とコリメータで検出して画像化する装置であり、中性子線は検出対象ではない。
正しい。PETは陽電子放出核種(例:18F, 11C, 13N, 15O)を用い、陽電子が電子と対消滅して生じる2本の511 keVのγ線を同時計数して画像化する。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。
解説
誤りは「PETはX線CTよりも画像の解像度が高い。」である。PETは体内で放出される放射線を検出して代謝・機能情報を画像化する装置で、空間分解能は一般に数ミリ(装置や条件によるがおおむね4〜6 mm程度)であり、サブミリメートルの分解能が得られるX線CTより低い。CT値は水を0 HUとする相対指標で、脂肪は負(約−100 HU)、筋肉は正(約30〜60 HU)を示すため、筋肉の方が高い。ディジタルX線画像は医用画像の標準規格DICOMで保存・通信されるのが一般的である。MRIではRF励起後、縦磁化の回復(T1緩和)と横磁化の減衰(T2緩和)が同時に進行する。SPECTはガンマカメラを回転させ投影像から再構成して断層像を得る。
選択肢別解説
誤り。PETの空間分解能は一般に数ミリ(おおむね4〜6 mm程度)で、サブミリメートルの高解像度が得られるX線CTより低い。したがって「PETの方が解像度が高い」は不正確。PETは形態より機能評価に強みがある。
正しい。CT値(HU)は水=0を基準とし、脂肪は約−100 HU、筋肉は30〜60 HU程度とされるため、脂肪より筋肉の方が高いCT値を示す。
正しい。DICOMは医用画像の保存・通信の標準規格であり、ディジタルX線画像もPACS等でDICOM形式として扱うのが標準的である(ベンダ独自形式が内部処理で用いられる場合はあるが、臨床運用の保存・共有はDICOM)。
正しい。MRIではRFパルスによる励起後、縦磁化の回復(T1緩和)と横磁化の減衰(T2緩和)が時間定数の異なる過程として同時に進行する。これらの組み合わせがコントラストを規定する。
正しい。SPECT(単一光子放射断層撮影)はガンマカメラを回転させて多方向の投影データを取得し、再構成によって断層像(トモグラム)を得る。
解説を表示するにはログインが必要です。ログインすると無料枠(1日5問)をご利用いただけます。
無料プランでは解説を1日5問まで表示できます。解説を表示すると残り回数が消費されます。
今日: 回 | 残り 回
本日の無料枠を使い切りました。プレミアム登録で無制限にご利用いただけます。