臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
MRIは核磁気共鳴(NMR)の原理を利用し、主に体内の水素原子核(プロトン)の信号を画像化する。電離放射線(X線・γ線)を用いないため放射線被曝はなく、T1/T2緩和時間やプロトン密度の差により軟部組織のコントラストに優れる。一方、呼吸や体動などの運動には弱く、モーションアーチファクトが生じやすい。血流に関しては、TOF法・位相コントラスト法などにより造影剤なしでもMRAとして血流情報・血管形態を得ることができる。以上から、1と5が正しい。
選択肢別解説
正しい。MRIは静磁場と高周波(RF)磁場を用いる非電離放射線のモダリティであり、X線CTのような電離放射線被曝は生じない。
誤り。MRIは水分や脂肪を多く含む組織の信号差を利用でき、筋肉・脳・肝臓など軟部組織の描出に優れる(X線CTより軟部コントラストが高い)。
誤り。MRIは撮像時間が比較的長く、呼吸・脈動・体動の影響を受けやすい。これらはモーションアーチファクトとして画質を低下させる。
誤り。一般的な臨床MRIは水素原子核(プロトン)の信号を用いており、酸素原子の空間分布を測定する装置ではない。
正しい。血流は信号特性の差や流入効果を利用して評価でき、TOF法や位相コントラスト法による非造影MRAで血管形態・血流情報が得られる。
解説
MRIは強い静磁場と高周波(RF)パルスを用いて体内の水素原子核の核磁気共鳴を検出し画像化するため、X線のような電離放射線による被曝は伴わない。水分の多い軟部組織ではT1・T2緩和の差により高いコントラストが得られ、脳・脊髄・肝胆膵・筋腱靱帯などの描出に優れる。動きに弱いという制約はあるが、心電図同期や呼吸同期、cine MRI、EPIなどの高速撮像法により心臓など動きのある臓器も撮像可能である。血管はMRA(TOF法、位相コントラスト法、造影MRAなど)で造影剤非使用でも撮像できる。なお皮質骨は水素含有が少なく信号が乏しいため描出は不向きだが、骨髄や骨折周囲の浮腫など骨関連情報はMRIで評価可能である。
選択肢別解説
誤り。MRIは静磁場とRFパルスを用いるため電離放射線被曝はない。安全管理上はSAR(比吸収率)による加熱や騒音、磁性体の吸引などに注意するが、被曝という意味ではX線CT等と異なる。
誤り。皮質骨はプロトン密度が低くT2も極めて短いため信号が乏しく描出に不向きだが、骨髄、骨折に伴う骨髄浮腫、骨内病変などはMRIで描出可能であり「撮像できない」は不正確。
正しい。軟部組織は水(1H)を多く含み、T1・T2緩和や拡散などの差をコントラストとして利用できるため、軟部組織の描出に適している。
正しい。動体はアーチファクトの原因となるが、心電図同期・呼吸同期、cine MRI、bSSFP、EPIなどの高速撮像技術により心臓など動きのある臓器も撮像できる。
正しい。MRA(TOF法、位相コントラスト法、造影MRA)により血管内の流れを利用して血管像を得られる。造影剤非使用でも描出が可能な手法がある。
解説
MRIは主に水素原子核の核スピンが静磁場中で示すラーモア歳差運動をRFパルスで励起し、縦緩和(T1)・横緩和(T2)などの緩和過程で生じる信号を検出して画像化する。位置情報は傾斜磁場で空間的にラーモア周波数や位相を位置依存に変化させて符号化(スライス選択・周波数エンコード・位相エンコード)する。検査室は外来ノイズの侵入・RF漏洩を防ぐため通常シールドルームが必要であり、またMRIはX線撮影に比べ軟部組織のコントラスト分解能に優れる。
選択肢別解説
誤り。MRIは電子スピンではなく原子核(主に水素原子核)の核スピンによる核磁気共鳴を利用する。電子スピンを用いる手法はESR/EPRであり、臨床MRIとは異なる。
誤り。緩和は励起された核磁化が平衡状態へ戻る過程を指し、縦磁化の回復(T1)や横磁化の位相揃いの崩れ(T2)で表される。歳差運動そのものの回転が遅くなることを意味しない(ラーモア周波数自体が変わるわけではない)。
誤り。MRI装置は外部電波ノイズの侵入やRF漏洩を防ぐため、通常RFシールド(シールドルーム)が必要となる。「必要としない」は不適切。
正しい。傾斜磁場を印加すると位置ごとにラーモア周波数や位相が変化し、スライス選択・周波数エンコード・位相エンコードによって信号の発生位置(空間情報)を取得できる。
正しい。MRIは軟部組織間のコントラスト分解能が高く、X線撮影(主に骨の描出に優れる)よりも軟部組織の描出に優れる。
解説
MRI(核磁気共鳴画像法)は強い静磁場と高周波(RF)パルス、傾斜磁場を用いて水素核などの核磁気共鳴信号を検出・位置符号化し画像化する。電離放射線(X線・γ線)は用いないため放射線被曝はない。画像化しているのは磁力線の透過性ではなく、主にプロトン密度やT1・T2緩和時間などに由来する信号である。傾斜磁場の印加方向・シーケンス設定により任意断面(軸位・冠状・矢状)や3D撮像が可能で、一断面に限られない。空間分解能は撮像条件や機種に依存するが、一般にサブミリ〜約1 mm程度まで得られ、5 mm程度というのは不正確(古い設定のスライス厚などと混同しやすい)。撮影手法としてT2強調(T2-weighted image)は代表的で臨床で広く用いられる。
選択肢別解説
正しい。MRIは静磁場・RFパルス・傾斜磁場を用いる方式であり、X線やγ線などの電離放射線を使用しないため放射線被曝はない。
誤り。MRIが画像化するのは核磁気共鳴で得られる信号(プロトン密度やT1・T2緩和特性など)であり、磁力線の透過性を測定・画像化しているわけではない。透過性の概念はむしろX線CTに近い。
誤り。傾斜磁場の方向や撮像法を変えることで、軸位・冠状・矢状など任意断面の撮像が可能であり、3Dデータからの任意断面再構成も行える。一断面に限られない。
誤り。MRIの空間分解能は条件によりサブミリ〜約1 mm程度まで得られる。5 mm程度というのは一般的な空間分解能としては不正確で、古い設定のスライス厚などと混同した表現である。
正しい。MRIにはT1強調、T2強調、プロトン密度強調などの撮影手法(パルスシーケンス)があり、T2強調画像は代表的で広く用いられる。
解説
MRIは強磁場中で主に水素原子核(プロトン)の核磁気共鳴現象を利用して画像化する。空間位置の符号化には傾斜磁場を印加し、位置ごとにラーモア周波数が変化する性質($\omega = \gamma B$)を利用してスライス選択・周波数エンコード・位相エンコードを行う。血管描出は造影剤を用いないMRA(非造影MRA;TOF法、位相コントラスト法など)でも可能である。一方、CT値(ハウンズフィールド値)で「水=0、空気=-1000」と定義するのはX線CTであり、MRIの信号強度は撮像条件に依存し絶対スケールは定義されない。また肺は空気が多くプロトン密度が低く、磁化率差による不均一・アーチファクトも大きいため、構造観察は一般にX線CTが適する。
選択肢別解説
正しい。MRAでは血流そのものを信号源として利用でき、TOF法や位相コントラスト法により造影剤なしでも血管描出が可能である(臨床では造影MRAもあるが、非造影法も確立している)。
誤り。MRIが主に画像化しているのは体内の水分子に含まれる水素原子核(プロトン)の信号であり、炭素原子の分布を直接画像化しているわけではない。
誤り。「水=0、空気=-1000」という輝度(CT値/ハウンズフィールド値)の定義はX線CTのもので、MRIの信号強度は撮像パラメータ(T1/T2強調、プロトン密度、TR/TEなど)に依存し絶対値として規格化されない。
誤り。肺は空気含有が多くプロトン密度が低いためMRI信号が弱く、空気-組織界面の磁化率差による不均一やアーチファクトも強い。構造観察にはX線CTの方が適している。
正しい。MRIの空間位置情報は傾斜磁場により位置依存で共鳴周波数(および位相)を変化させて符号化する(スライス選択、周波数エンコード、位相エンコード)。これはラーモア周波数の関係 $\omega = \gamma B$ を利用している。
解説
MRIは主として水や脂肪中に存在する水素原子核(プロトン)の核磁気共鳴を利用して画像化する。ラーモア周波数は静磁場強度に比例($\omega_0=\gamma B_0$)し、組織コントラストには縦緩和(T1)と横緩和(T2)が関与する。静磁場は超電導磁石・常電導(抵抗)磁石・永久磁石などで発生でき、永久磁石は低〜中磁場の装置で広く用いられる。画質(特にSN比)は一般に高磁場ほど有利であり、「弱いほど画質向上」は誤りである。
選択肢別解説
誤り。MRIで得られるのは水や脂肪に含まれる水素原子核(プロトン)密度や緩和特性に基づく信号であり、酸塩基平衡でいう「水素イオン(H+)」の分布や濃度そのものを画像化するわけではない。従って表現として不正確。
誤り。ラーモア周波数は静磁場強度に比例する。式は $\omega_0=\gamma B_0$($\gamma$:核種のジャイロ磁気比)であり、反比例ではない。
正しい。緩和には縦緩和(T1)と横緩和(T2)がある。T1は縦磁化の回復、T2は横磁化の位相緩和を表し、組織特性の差がコントラスト形成に寄与する。
正しい。静磁場の発生には永久磁石も用いられる(主に低〜中磁場の装置)。他に常電導磁石や超電導磁石も実用化されている。
誤り。画像のSN比は一般に静磁場強度に概ね比例して向上し、高磁場ほど高画質化に有利である(ただしアーチファクトやSAR等の課題は別途ある)。
解説
MRIは、強い静磁場B0中に置かれた水素原子核(プロトン)の核スピンを対象に、巨視的磁化を形成させ、ラーモア周波数に一致するラジオ波(RF)で励起し、RF停止後の緩和過程で生じる信号を検出して画像化する。したがって、静磁場は必須であり、水や脂肪に豊富な水素原子核の分布や緩和特性(T1、T2など)を反映した画像が得られる。ラーモア周波数は核種固有の磁気回転比と静磁場強度に比例し($\omega_0=\gamma B_0$)、条件(特に磁場強度)が変われば周波数も変化する。電子スピンを利用するのはESR(電子スピン共鳴)でありMRIではない。
選択肢別解説
誤り。MRIが利用するのは核磁気共鳴であり、対象は原子核スピン(臨床では主に水素原子核 $^1$H)である。電子スピンを利用するのはESR(電子スピン共鳴)で、MRIとは原理が異なる。
正しい。静磁場B0により核スピンの配向に偏りが生じ、巨視的磁化(平衡磁化)が形成される。これがRF励起・信号検出の前提であり、静磁場はMRIに必須である。
正しい。臨床MRIの主対象は水や脂肪に含まれる水素原子核であり、プロトン密度やT1/T2といった緩和特性の違いを反映して画像化される。表現として「水素原子の分布を画像化」は概ね妥当である。
正しい。ラジオ波(RF)で核磁化を励起し、照射停止後に起こる緩和(縦緩和T1・横緩和T2など)に伴って生じる信号(FIDやエコー)を検出・再構成して画像化する。
誤り。共鳴周波数(ラーモア周波数)は核種固有の磁気回転比 $\gamma$ と静磁場強度 $B_0$ に比例し、$\omega_0=\gamma B_0$ で与えられる。磁場強度が変われば周波数も変化するため一定ではない。
解説
臨床用MRIは強磁場とRFパルスにより主に水素原子(1H:プロトン)の核磁気共鳴信号を検出して画像化する。水分(プロトン)を多く含む軟部組織では信号が得やすくコントラストに優れる。一方、水分の少ない骨皮質や含気部位はプロトン密度が低く信号が弱いため撮影に適さない。撮像法にはT1強調・T2強調・プロトン密度強調などがあり、血流を利用したMRアンギオグラフィ(MRA)により造影剤非使用でも血管描出が可能で、必要に応じてガドリニウム造影MRAも行われる。炭素原子の分布画像は臨床標準のMRIの対象ではない。
選択肢別解説
正しい。軟部組織は水分(プロトン)含有が高く、MRI信号が得られやすくコントラストも良好である。脳・肝臓・筋などの描出に適する。
誤り。臨床用MRIは主として水素原子(1H)の核磁気共鳴を用いる。炭素(13C)を直接画像化する手法は研究的には存在するが臨床標準ではない。
誤り。水分の少ない組織(骨皮質、肺の含気部など)はプロトン密度が低く信号が弱いため、撮影に適していない。
正しい。MRIの基本的な撮像コントラストにT1強調像があり、解剖学的描出や脂肪の高信号などの特徴をもつ。
正しい。MRアンギオグラフィ(MRA)により血管描出が可能で、TOF法や位相コントラスト法などの非造影MRAに加え、ガドリニウム造影MRAも用いられる。