臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
誤りの組合せは「心臓ペースメーカ — 熱傷」。ペースメーカの出力はパルス電圧が数V、電流が数mA、パルス幅が数百µs〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーは極めて小さく、組織に臨床的な熱傷を生じさせる水準ではない。これに対し、超音波凝固切開装置では先端周囲でキャビテーションが生じ得る、電気メスは高周波電流による電磁障害を引き起こし得る、人工呼吸器は過大な圧や容量により圧損傷(気胸など)を来し得る、高気圧治療装置は減圧を急ぐと減圧症を誘発し得る、いずれも妥当なリスクである。
選択肢別解説
超音波凝固切開装置は数十kHzの機械振動で組織を凝固・切開する。高い音響エネルギーが液体中で作用すると先端周囲でキャビテーション(気泡の生成・崩壊)が生じ、組織損傷や微小出血の一因となり得るため、組合せは適切。
電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流を用い、機器・配線・空間結合を通じて電磁ノイズを発生させる。心電図モニタの飽和やアラーム誤作動、植込み機器の誤作動など電磁障害の原因となるため、組合せは適切。
人工呼吸器で過大な一回換気量や高い気道内圧、低い呼気終末陽圧管理不良などは肺胞の過伸展を招き、気胸や縦隔気腫などの圧損傷(バロトラウマ)を起こし得る。したがって組合せは適切。
心臓ペースメーカの刺激出力はパルス電圧がおおむね1〜10V、電流が数mA、パルス幅が約0.2〜1ms程度で、1拍あたりのエネルギーはごく小さい。通常の作動で組織の熱傷を生じることは想定されないため、「熱傷」との組合せは不適切(本問の誤り)。なお電気メスやMRIなど外部エネルギー併用時にリード先端の加熱が問題となるのは別の事象である。
高気圧治療装置は加圧・減圧を管理するが、減圧を急ぐと体内で気泡が発生し減圧症を誘発し得る。適切なプロトコルでは緩徐な減圧を行う必要があり、減圧症は管理不良時の代表的リスクである。組合せは適切。
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解説
ハイパーサーミア(温熱療法)は腫瘍組織を主に約42〜43℃に加温して治療効果を得る方法で、薬剤感受性や放射線感受性の増強、腫瘍血流・酸素化の変化による相乗効果が期待できるため、化学療法や放射線療法と併用されるのが標準的である。加温法には、RF容量結合型(数〜数十MHzのRF電流を体表電極で印加)やマイクロ波加温(例: 2.45 GHzの電磁波をアンテナから照射)などがある。加温後には熱ショック蛋白の誘導などにより一過性の熱耐性(サーモトレランス)が生じ、一般に12〜48時間程度持続し、その後おおむね数日(約72時間)で低下・消失する。これらの性質から、本問の正答は「化学療法と併用する」である。
選択肢別解説
誤り。RF容量結合型加温法は数〜数十MHz帯(例: 8.0、13.56、27.12、40.68 MHzなどのISM帯)の高周波を用いて体表の電極から電流を流し加温する。2.45 GHzはマイクロ波帯であり、マイクロ波加温法で用いられる代表的周波数である。
誤り。熱ショック蛋白の誘導などにより生じる細胞の熱耐性(サーモトレランス)は、加温後おおむね12〜48時間持続し、その後数日で低下・消失することが知られている。24時間で消失と断定するのは短すぎる。
誤り。ハイパーサーミアが目標とする温度は通常42〜43℃の範囲であり、60℃以上は焼灼(アブレーション)領域で組織壊死を意図する別の治療概念に相当する。
正しい。ハイパーサーミアは腫瘍細胞膜透過性の変化や腫瘍血流の変動などにより抗がん剤の送達・取り込みが高まり、化学療法との相乗効果が得られるため、併用が一般的である(放射線療法との併用も広く行われる)。
誤り。マイクロ波加温法はアンテナやアプリケータから電磁波を放射して加温するため、2枚の電極で電流を流す方式ではない。2枚の電極を用いて電流を印加するのはRF容量結合型などの電極加温である。
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