臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
各医用機器が取り扱う物理エネルギーの組合せを吟味する問題。超短波治療器は高周波電磁波(短波:おおむね30〜300 MHz、代表周波数27.12 MHzなど)を用いて深部加温するため「高周波」で適合。筋刺激装置は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり「光」は不適合。X線装置が出力するX線は電磁波であって粒子線ではないため「粒子線」は不適合。ネブライザは方式により圧縮空気(ジェット)または超音波を利用し、超音波ネブライザという分類が確立しているので「超音波」は適合。除細動器は単相性または二相性の高電圧パルス(短時間の電流パルス波形)を出力するため「パルス波」で適合。したがって誤っている組合せは2と3である。
選択肢別解説
適切。超短波治療器(短波・極超短波治療器)は高周波の電磁波を用いて生体組織を加温する。代表周波数として27.12 MHzなどが用いられ、高周波電磁エネルギーに分類される。
不適切。筋刺激装置(TENS、NMESなど)は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり、用いるエネルギーは電気である。光エネルギーは光線療法やレーザ治療器に該当し、筋刺激装置の原理とは一致しない。
不適切。X線装置が患者に照射するのはX線(電磁波)であり粒子線ではない。X線は管内で加速した電子(粒子)をターゲットに衝突させて二次的に発生させるが、患者に与えるエネルギーは電磁波である。粒子線治療は陽子線・炭素イオン線など別種の装置に該当する。
適切。ネブライザは薬液を微粒化して吸入させる機器で、方式としてジェット(圧縮空気)と超音波があり、超音波ネブライザは実在する分類であるため「超音波」の組合せは妥当。
適切。除細動器は致死性不整脈に対し、単相性または二相性の短時間高電圧パルス(パルス波形)を出力して心筋を同時再分極させる機器であり、「パルス波」の組合せは妥当である。
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解説
ハイパーサーミアは腫瘍組織を選択的に約42〜43℃へ加温し一定時間維持して殺細胞効果と治療感受性増強を狙う治療である。加温方式には、RF容量結合型(対向する2枚の電極で生体を挟みジュール熱で加温し、深在性腫瘍に適用しやすい)や、マイクロ波加温法(透過深度が浅く浅在性腫瘍に適する)などがある。放射線治療との併用でDNA修復阻害・腫瘍血流改善・低酸素細胞の感受性増強などの相乗効果が期待できる。全身加温は体外循環と熱交換器で血液を加温して戻す方法が代表的である。50℃は熱凝固の域で正常組織傷害が大きく、ハイパーサーミアの目標としては不適切である。
選択肢別解説
誤り。RF容量結合型は対向する2枚(1対)の電極で生体を挟み、高周波電流によるジュール熱で加温する方式であり、1枚の電極では行わない。なお文言中の「加湿」は文脈上「加温/加熱」の誤記である。
誤り。マイクロ波加温法(代表周波数 430MHz、915MHz、2450MHz)は透過深度が浅く、浅在性腫瘍の加温に適する。深在性腫瘍に適するのは一般にRF容量結合型などである。文言中の「マイクロ波加湿法」は「マイクロ波加温法」の誤記。
誤り。ハイパーサーミアの目標温度は概ね42〜43℃で、50℃は熱凝固・組織壊死を招く温度域であり、温熱療法の目標としては高すぎる。
正しい。温熱はDNA損傷修復の抑制や腫瘍内血流・酸素化の改善、S期細胞・低酸素細胞の感受性増強などを通じて放射線治療と相乗効果を示し、臨床的にも併用が行われる。
正しい。全身加温法では体外循環(例:人工心肺やECMO等)により血液を熱交換器で加温し、全身の温度を上げる方法が用いられる。
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解説
電磁障害(EMI)対策と医用機器の安全運用に関する基礎問題。静電シールドは電界(静電誘導)を遮断するもので、遮へい導体を接地して基準電位に保持し、流入した変位電流を大地へ逃がすことで効果が最大化される。心電計リード線のシールドは商用周波数50/60 Hzの低周波電界ノイズに対しても有効であり、「高周波に限る」は誤り。心電図モニタ中に電気毛布を使う場合は医療用ノイズレス毛布(3極プラグ、シールドヒータ等)やフィルタ・テレメータ等で対策し、患者直下に導電性シーツを敷くのは漏れ電流経路や熱傷リスクを高め不適切。ペースメーカ装着患者のMRIは(MRI条件付き機器を除き)誤作動やリード加熱等の危険から原則禁忌。電気メス併用中はECGが高周波ノイズで汚染されやすいため、IABPのトリガは動脈圧波形を用いるのが安全で確実。
選択肢別解説
正しい。静電シールドは電界遮へいが目的であり、遮へい導体を接地して外郭を基準電位に保つことで、内部の電磁障害源からの静電誘導を効果的に抑える。接地しない浮遊シールドでは遮へい効果が低下する。
誤り。心電計の主要な外来ノイズは商用交流50/60 Hzなどの低周波電界であり、シールド線は低周波電界に対しても有効である。「高周波に限りシールド効果がある」という断定は不適切。磁界成分については別途ツイストや配置・材質対策が必要だが、電界ノイズはシールドで低減できる。
誤り。患者の下に導電性シーツを敷くと、漏れ電流の経路を形成し感電・熱傷リスクを高めるため不適切。適切な対策は、医療用ノイズレス電気毛布(シールドヒータ線・3極プラグ)や機器の接地・アイソレーション、ハムフィルタやテレメータの利用などである。
誤り。ペースメーカ装着患者のMRIは静磁場・勾配磁場・RFにより誤作動やリード加熱を生じ得るため、(MRI条件付きデバイスを除き)原則禁忌である。よって「受けられる」とする一般的記載は不適切。
正しい。電気メス使用時はECGが高周波ノイズで飽和・誤検出しやすい。IABPのトリガにはノイズの影響を受けにくい動脈圧波形(圧波形の立ち上がり等)を用いるのが安全で確実である。
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