臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
体外式除細動器の二相性波形は、Hブリッジ構成の半導体スイッチ(IGBTやMOSFET)で通電途中に極性を反転させて生成する。これにより必要エネルギーが低減し、心筋障害のリスクも軽減される。除細動パルスの時間幅はミリ秒オーダーで、単相性ではおおむね2〜5 ms、二相性切断指数波形では各相が数ms(総和で約5〜20 ms)とされ、$\mu$s(マイクロ秒)ではない。出力端子は感電防止と他機器への影響低減のためフローティング(非接地)である。通電テストは人体インピーダンスの代表値を模擬する50 $\Omega$の無誘導抵抗(ディフibrillatorアナライザ内蔵負荷など)を用いて行う。心房細動の治療では同期カルディオバージョンを行い、R波同期で放電してR-on-Tによる心室細動誘発を避ける。以上より、1・4・5が正しい。
選択肢別解説
正しい。二相性除細動波形はHブリッジ(半導体スイッチ:IGBT/MOSFET)で通電中に極性を反転させて生成する。これにより心筋への負担が軽減され、必要エネルギーも低くできる。
誤り。除細動の出力パルス幅はミリ秒オーダーであり、単相性で約2〜5 ms、二相性でも各相が数ms(総計で約5〜20 ms)が一般的である。2〜5 $\mu$s(マイクロ秒)は桁違いに短く不適切。
誤り。除細動器の患者回路は高電圧であり感電防止のためフローティング設計とし、いずれの出力端子も接地しない(非接地)。接地すると漏れ電流経路が生じ危険となる。
正しい。通電テストには人体インピーダンスの代表値を模擬する50 $\Omega$の無誘導抵抗を用いる。無誘導とすることで波形評価に影響するインダクタンス成分を排除できる。
正しい。心房細動の除細動(カルディオバージョン)はR波同期で実施する。T波上の通電(R-on-T)を避け、心室細動の誘発リスクを低減するためである。
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解説
腹腔鏡外科手術では、腹壁に小切開を置いてトラカール(ポート)を挿入し、その内腔を通じて腹腔鏡や鉗子・エネルギーデバイスを出し入れするのが基本である。視野確保は通常CO₂気腹で行い、CO₂は血中溶解度が高く体内吸収性があり、かつ不燃性のため電気・レーザ機器使用時も比較的安全性が高い。止血・結紮にはクリップをはじめ各種器具が用いられる。腹腔鏡は一般に硬性鏡が標準であり、レーザメスの使用は禁忌ではなく、適切な安全管理下で用いられる。
選択肢別解説
正しい。トラカール(ポート)は腹壁に作成した小切開から挿入し、体外と腹腔内を連絡する作業通路を提供する。バルブ機構により気腹圧を保ちながら腹腔鏡や鉗子・エネルギーデバイスの出し入れを行う。
正しい。腹腔鏡手術では血管や管腔構造の止血・結紮にクリップ(クリップアプライヤ)を用いる場面が多く、事前準備が必要である。胆嚢摘出術などで胆嚢管・動脈の処理にも一般的に用いられる。
誤り。レーザメスは禁忌ではない。CO₂気腹下でNd:YAGやCO₂レーザ等を用いた切開・凝固・蒸散が行われる。使用時は防護眼鏡や煙霧対策などの安全管理を徹底する。
誤り。腹腔鏡は通常、硬性内視鏡(リジッドスコープ)を使用するのが標準であり、禁忌ではない。
誤り。気腹ガスはCO₂を用いるのが標準である。CO₂は不燃性で血中溶解度が高く体内で速やかに吸収されるため、ガス塞栓や燃焼リスクの観点から窒素より安全性が高い。窒素は体内吸収性が低く塞栓リスクが高まるため使用しない。
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解説
がん温熱療法(ハイパーサーミア)は腫瘍部を主に42〜43℃程度に30〜60分維持して腫瘍細胞の熱感受性を高め、放射線・化学療法の効果増強(放射線増感、薬剤感受性上昇)を狙う治療である。皮膚熱傷などの合併症を避けるため、アプリケータと皮膚の間に循環水入りのボーラス(水袋)を介在させて体表面を冷却・保護する。加温原理の違いにも注意が必要で、RF容量結合型では電界分布と血流冷却の影響から皮下脂肪が過熱しやすく、筋層より脂肪層が相対的に加温されやすい。一方、マイクロ波(915 MHz、2.45 GHzなど)は生体内での減衰が大きく外部照射では浅在性腫瘍向きで、深部腫瘍の加温には適さない。以上より、体表面の冷却にボーラスを用いるという記述が正しい。
選択肢別解説
誤り。温熱療法の標的は非凝固域である約42〜43℃(概ね40〜45℃)の維持であり、65℃以上は蛋白凝固・組織壊死を起こす高温域(アブレーションの領域)で、ハイパーサーミアの目標温度ではない。
誤り。放射線療法との併用は禁忌ではなく、むしろ一般的な併用法である。温熱は腫瘍の放射線感受性を高め(DNA損傷修復の阻害、腫瘍酸素化の改善など)、相乗効果が期待される。
正しい。アプリケータと皮膚の間に循環水入りボーラス(水袋)を介在させ、皮膚表面を冷却・保護しつつ結合を安定化させることで、表在組織の過熱を防ぎ病巣部への加温を狙う。
誤り。RF容量結合型では皮下脂肪は導電率が低く血流冷却も乏しいため局所に電界・熱が集中しやすく、脂肪層のほうが筋肉より過熱されやすいことが知られている。
誤り。外部照射のマイクロ波(例:915 MHz、2.45 GHz)は生体内での減衰が大きく、主に浅在性腫瘍の加温に用いられる。深部腫瘍の加温には適さない(深部はRFやアレイ照射などが用いられる)。
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解説
電気メス起因が疑われる熱傷が術直後に判明した場合、臨床工学技士の初動は「患者安全の確保」「証拠保全」「機器点検」「記録化」の4点が基本となる。具体的には、使用したディスポーザブル対極板(コードやコネクタを含む)の回収・保管によって貼付状態や導通、ジェル状態、ロット情報等を後日検証できるようにする。さらに電気メス本体は高周波漏れ電流など安全性能を専用アナライザで点検し、機器側要因(異常な分流・漏れ)の有無を評価する。熱傷部は患者の同意を得たうえで写真撮影し、部位・大きさ・周囲皮膚の状態などを記録して経時的観察と原因究明に資する。一方、原因究明のために患者を手術室へ不必要に留め置くことは有害であり、必要な処置を行ったうえで適切な場所へ速やかに移送する。心電図モニタの「低周波」患者漏れ電流測定は電気メスによる高周波熱傷の原因解析としては不適切で、求められるのは高周波側の評価である。
選択肢別解説
正しい。事故対応では証拠保全が重要であり、使用済みディスポーザブル対極板(貼付部位・剥離状況・ジェル状態、コードやコネクタの接触不良の有無等)を回収・保管して後日の検証に備える。廃棄すると貼付不良や分流の手掛かりが失われる。
正しい。電気メス本体の高周波漏れ電流などの安全性能を専用アナライザで測定し、異常な分流や機器故障の有無を確認する。高周波領域の評価は高周波熱傷の原因究明に直結する。
誤り。心電図モニタの患者漏れ電流測定は主として低周波(商用周波数帯)評価であり、高周波電流が関与する電気メス熱傷の原因解析としては適切でない。必要なのは高周波側の分流・漏れの評価である。
誤り。原因究明が終わるまで患者を手術室に留め置くのは不適切。患者の安全と術後管理を優先し、必要な処置と記録を行ったうえで速やかに適切な病棟等へ移送し、原因調査は別途進める。
正しい。患者の同意を得たうえで熱傷部位を写真記録しておくことは、経過観察と原因究明に有用である(部位・大きさ・周囲皮膚の状態、スケール併記等)。個人情報保護と同意取得を徹底する。
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解説
植込み型心臓ペースメーカは外部電磁環境の影響(EMI)を受けると、自己心電位と誤検出して抑制される(オーバーセンシングによる一時的な非ペーシング)・不適切なモード遷移・リセットなどの不具合が起こり得る。医療機器の中では高周波電流を用いる電気メス、強力な静磁場・時間変化磁場・RFを用いるMRI、X線CT装置の高電圧スイッチングや散乱電磁ノイズ・高線量照射などが影響源となり得るため注意が必要である。一方、一般的な出力・距離条件で用いられる無線LANや医用テレメータは、機器側のEMC対策や低出力運用により影響は通常軽微で、適切な距離・運用を守れば臨床的影響はほぼ生じないと考えられる。
選択肢別解説
無線LANは低出力で運用され、機器・インプラント双方にEMC対策が施されている。適切な距離を保つ一般環境では、ペースメーカの動作に臨床的な影響を与える可能性は極めて低い。したがって本設問の趣旨(影響する可能性があるもの)には該当しない。
医用テレメータは医療施設内での使用を前提に設計され、周波数・出力管理や機器側のEMC対策が講じられている。患者近傍で使用されるが、通常の運用ではペースメーカへの影響は小さいため、影響する可能性が高い機器とはいえない。
電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流を用い、大電流が流れるため強い電磁ノイズや漏れ電流が発生する。これをペースメーカが心電信号と誤認してオーバーセンシング・抑制やノイズ抑制モード移行を起こすことがある。電気メスは影響する可能性があるため該当する。
X線CTは回転ガントリ内のX線管高電圧スイッチングやモータ駆動に伴う電磁ノイズ、さらには高線量照射による一過性のデバイス反応などにより、稀にオーバーセンシングや動作不整を来すことが報告されている。よって影響する可能性がある。
MRIは強力な静磁場、時間変化磁場(傾斜磁場)、RFパルスによる電磁環境を伴い、リードへの誘導加熱、オーバー/アンダーセンシング、リセット・モード変更等の重大な影響を及ぼし得る。MR対応機種で適切に条件管理しない限り、影響する可能性が高い。
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