臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
医用治療機器が主として利用する物理エネルギーの対応を問う問題。ESWLは体外から収束させた衝撃波(音波の一種)で結石を破砕するため「音波」で正しい。除細動器はコンデンサに蓄えた直流エネルギーを短時間のパルスとして心筋に印加する機器であり、「パルス状の直流(パルス波)」に該当して正しい。電気メスは数百kHz〜数MHzの高周波電流によるジュール熱を利用するため「高周波」で正しい。電気焼灼器は抵抗加熱体を通電(多くは直流や低周波)して先端を高温にし焼灼する機器であり、電磁波(極超短波=マイクロ波)を用いるわけではないため誤り。IABPはヘリウムガスでバルーンを拡張・収縮させて冠灌流の増加と後負荷軽減を図る機械的補助であり、超音波は用いないため誤り。
選択肢別解説
正しい。ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は衝撃波を体内の結石に集束させ破砕する。衝撃波は媒体中を伝搬する音響波の一種であり、「音波」の分類に含まれる。
正しい。除細動器はコンデンサに蓄えた直流を短時間に放電して心筋にパルス状の電流を流す(単相性・二相性パルス、台形/指数減衰波形など)。したがって「パルス波」の表現は適切である。
正しい。電気メス(電気手術装置)は約0.3~5 MHzの高周波電流を生体に流し、組織のジュール熱で切開・凝固・止血を行うため、利用エネルギーは「高周波」である。
誤り。電気焼灼器は通電で先端金属を加熱する抵抗加熱を用いる機器であり、極超短波(マイクロ波)といった電磁波は用いない。極超短波を治療に用いるのはマイクロ波凝固装置やマイクロ波治療器である。
誤り。IABP(大動脈内バルーンパンピング)はヘリウムガスによるバルーンの拡張・収縮で機械的に循環補助を行う。超音波エネルギーは使用しない。
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解説
ハイパーサーミアは腫瘍を主として42〜43℃程度に加温し、腫瘍選択的に障害を与える治療である。腫瘍は異常で脆弱な血管網のため温度上昇に対する血流増加(熱放散)が乏しく、高温域では血流が低下して熱がこもりやすい。一方、健常組織は温度上昇で血流が増加して放熱する。加温法の原理として、マイクロ波は減衰が大きく浅部加温向き、深部加温には一般にRF帯(容量結合や磁界結合)が用いられる。容量結合(誘電型)では高インピーダンスの皮下脂肪層に電界が集中しやすく脂肪が過熱されやすい。この皮膚・脂肪の過熱を抑え、整合をとるために電極パッド(ボーラス)へ冷却水を循環させる。超音波は空気・骨との界面で強く反射し、ガス含有臓器には不適である。
選択肢別解説
誤り。腫瘍血管は構造が未熟で自律的血流調節が乏しく、温度上昇に比例して血流が増えるとはいえない。むしろ高温域では微小循環が障害され血流が低下し、熱がこもりやすい。健常組織は温度上昇で血流が増加して放熱する。
誤り。マイクロ波は周波数が高く組織内での減衰が大きいため、主に浅部加温に適する。深部加温には一般にRF帯の容量結合(誘電型)や磁界結合(誘導型)などが用いられる。
誤り。超音波は空気(ガス)との音響インピーダンス差が大きく、強い反射や散乱が生じるため、肺や消化管などガスの多い臓器には適さない。
正しい。誘電型(容量結合)では電界による誘電損失・ジュール損失で加熱されるが、電気抵抗の高い皮下脂肪層に電界が集中しやすく、脂肪層の発熱が大きくなり過熱が問題となる。
正しい。誘電型装置では皮膚表面や電極近傍の過熱を防ぎ、電磁界の整合を改善する目的で、電極パッド(ボーラス)に冷却水を循環(灌流)させる。
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解説
CO2レーザは気体レーザで、一般に放電(直流・高周波・パルス放電)励起で発振する。医用の代表波長は $10.6\mu\text{m}$(遠赤外)で、水に極めて強く吸収されるため、組織表面でエネルギーが急峻に減衰し、切開・蒸散に優れる一方、深部への凝固は弱い。シリカ系光ファイバはこの波長をほぼ透過できないため、導光は多関節ミラーアーム(マニピュレータ)が基本である。従って波長・吸収特性・伝送方式に関する選択肢は正しいが、太い動脈(内径2 mm)レベルの出血制御は困難であり不適切である。
選択肢別解説
誤り。CO2レーザは気体レーザで、一般に放電励起(直流・高周波・パルス放電)を用いる。フラッシュランプ励起は主として固体レーザ(例:Nd:YAG)で用いられる方式であり、CO2レーザの標準的励起法ではない。
正しい。医用CO2レーザの主発振線は $10.6\mu\text{m}$(遠赤外)である(他に $9.6\mu\text{m}$ 付近の遷移もあるが、一般的臨床機は $10.6\mu\text{m}$ を用いる)。
正しい。CO2レーザ光は水分(液体水・組織内水分)に強く吸収され、吸収係数が大きいため表層で急速に減衰する。その結果、表面選択的に加熱・蒸散・切開作用が得られる。
正しい。 $10.6\mu\text{m}$ はシリカガラスや水で強く吸収されるため一般的な光ファイバ伝送はできず、手術装置では多関節ミラーアーム(マニピュレータ)で導光するのが基本である(特殊な中空導波路等もあるが標準ではない)。
誤り。CO2レーザは切開・蒸散に優れるが深部凝固は弱く、太い動脈(内径2 mm)の拍動性出血を確実に止血するのは困難である。一般にこのレベルの動脈出血には結紮・クリップや凝固作用の強い他レーザ(Nd:YAG 等)・電気メスなどが適する。
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解説
電気メスの分散電極(対極板)は、メス先から体内へ流れた高周波電流を広い面積で回収し、局所の電流密度を低く保つことで熱傷を防ぐ。電流密度はおおまかに $J=\frac{I}{A}$ で表され、有効接触面積Aが小さくなると局所的にJが上がり熱傷リスクが増す。したがって、対極板は皮膚に密着させて空気の介在やしわ・浮き上がりを避け、特定部位に荷重が集中しないよう均一に貼付する。装着部位は清潔・乾燥・脱毛(必要時)とし、絶縁性の残渣を残す消毒液の使用は不適切。コードはコイル状に巻かず余長は緩やかに処理し、対極板自体を切断・加工して面積を減らすことも避ける。以上より、1と5が正しい。
選択肢別解説
正しい。対極板の一点に荷重が集中すると接触面積が局所的に減少し、電流密度が高くなって熱傷の原因となる。均一に密着させ、骨突出部や凹凸を避けて装着するのが原則。
誤り。絶縁性のある消毒液(例:乾燥後に皮膜を形成するもの)の残渣は有効接触面積を減らし、電流密度を上げて熱傷の原因になる。装着部は清潔・乾燥とし、残渣を残さないことが望ましい。
誤り。高周波電流を扱うため、対極板コードをコイル状に巻くと不要なインダクタンスや発熱・誘導の要因となりうる。コードはねじれやループを作らず、可能な範囲でまっすぐ配索する。
誤り。対極板を切って小さくすると有効面積が減少し、電流密度が上昇して熱傷リスクが高まる。身体が小さい患者には小児用など適合サイズの正規製品を選択する。
正しい。対極板と皮膚の間に空気(絶縁体)が入ると有効接触面積が減り、局所の電流密度が上がって熱傷リスクが増す。しわや気泡がないように全面を密着させる。
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