臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
カテーテルアブレーションは、心筋内の不整脈起源(異常自動能、トリガー、リエントリー回路など)をカテーテル先端電極から通電して熱変性させ、病的伝導を遮断・修飾する治療である。一般に約300〜700kHzの高周波(RF)電流を用い、筋・神経刺激を回避しつつ、先端周囲の組織に抵抗加熱を生じさせる。対極板(パッド)は電流帰路として用いられ、広い面積で電流密度を下げるため焼灼は生じにくく、病変はカテーテル先端周囲に形成される。適応は上室頻拍、WPW症候群、心房粗動、心房細動(肺静脈隔離など)を含む頻脈性不整脈で、心房細動に対する治療として広く実施される。一方、発作中の心室細動の中止は除細動が第一選択であり、アブレーションは再発予防や基質修飾として検討されるにとどまる。
選択肢別解説
誤り。標的は冠動脈内病変ではなく、不整脈の発生・維持に関与する心筋組織(異常伝導路やリエントリー回路、トリガー起源など)である。冠動脈内病変の治療は主にPCI(ステント留置など)が対象となる。
誤り。用いるのは約300〜700kHzの高周波電流であり、3〜7kHzの低周波ではない。高周波帯を用いることで筋・神経刺激を避けつつ、先端周囲組織に抵抗加熱を生じさせる。
誤り。病変形成(焼灼)はカテーテル先端電極に接する心筋組織で生じる。対極板は電流の帰路として体表に広く貼付され、面積が大きく電流密度が低いため焼灼は起こりにくい。
正しい。心房細動はカテーテルアブレーションの主要適応の一つであり、肺静脈隔離などの手技が標準的に行われる。
誤り。発作中の心室細動の急性停止は電気的除細動が第一選択である。アブレーションは再発予防や基質修飾として検討されることはあるが、進行中のVFの停止手段としては有用ではない。
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解説
電気メスでは、患者帰還電極(対極板)は十分な接触面積を確保して生体との接触インピーダンスを低く保つことが安全上重要である。ゲルパッド型は電解質ゲルを介して生体と直流的に導通する導電結合型であり、静電(コンデンサ)結合ではない。導電結合型は静電結合型より接触インピーダンスが低い。高周波漏れ電流の点検では、インダクタンス成分を含まない200 Ωの無誘導抵抗を用いる測定回路が規格で定められている。アクティブ電極と生体接触部のインピーダンスは500 kHz近傍で概ね300〜500 Ω、約400 Ωを想定して校正されることが多い。以上より、正しいのは4と5である。
選択肢別解説
誤り。『接触面積』の表現に対して単位が長さ(cm)になっており本来は面積(cm²)が適切である。いずれにせよ、対極板は十分な面積(成人でおおむね100 cm²以上)で設計され、10(cm²相当)前後のような小面積では接触インピーダンスが高くなり熱傷リスクが増すため不適切である。
誤り。ゲルパッド型は電解質ゲルを介して生体と電気的に導通する『導電結合型』である。『静電結合型』は電極と生体の間を誘電体で隔てコンデンサ結合で電流を流す方式で、ゲルパッド型とは異なる。
誤り。導電結合型は生体と直に導通するため接触インピーダンスを低く抑えられる。一方、静電結合型はコンデンサ結合でありリアクタンス $X_C=\frac{1}{\omega C}$ を介するため一般に接触インピーダンスは導電結合型より高くなる。
正しい。電気メスの高周波漏れ電流測定では、インダクタンスの影響を避けるため無誘導の200 Ω抵抗を用いる測定回路が用いられる。点検手順でもこの条件が前提とされる。
正しい。電気メスの動作周波数(例:500 kHz)付近でのアクティブ電極—生体接触部のインピーダンスは概ね300〜500 Ωと見なされ、機器やアナライザの校正・試験でも約400 Ωの負荷が想定される。
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解説
治療機器と、その作用に用いる物理エネルギー(電気・機械・音波・放射線など)の対応を問う問題。電気メスは高周波電流(おおむね300 kHz〜5 MHz)のジュール熱で切開・凝固を行うため「低周波」は不適。除細動器はコンデンサに蓄えた直流エネルギーを短時間に放電(単相あるいは二相のパルス)する機器であり、「高周波電流」ではない。高気圧治療装置は静圧(周囲圧の上昇)により酸素分圧・溶解量を高める。ネブライザは方式により異なるが、超音波ネブライザは超音波で霧化する。サイクロトロンは荷電粒子の加速装置で、粒子線(陽子線等)を主用途とするが、選択肢の意図としては荷電粒子ビームの生成(電子線を含む概念)に整合すると解釈できる。したがって誤りの組合せは1と2。
選択肢別解説
誤り。電気メスは高周波電流(約300 kHz〜5 MHz)を用い、メス先端の高い電流密度で生じるジュール熱により組織の切開・凝固を行う。低周波では神経・筋の興奮や感電を起こしやすく、電気メスの原理に適さない。
誤り。除細動器は直流電源(コンデンサ放電)を患者に短時間印加し、心筋を一斉脱分極させてリエントリーを途絶させる。波形は単相のダンピング波形や二相性パルスであり、高周波交流を用いるものではない。
正しい組合せ。高気圧治療装置は静圧(周囲圧力の上昇)を利用して酸素分圧および血漿中の溶解酸素量を増加させ、CO中毒や減圧症などの治療に寄与する。物理量としては機械力(静圧)に分類される。
正しい組合せ(方式を特定すれば妥当)。超音波ネブライザはピエゾ素子などで発生させた超音波により薬液を霧化する。一方でジェットネブライザは圧縮気体を用いるため、一般名の「ネブライザ」は方式により原理が異なる点に留意する。
正しい組合せとして扱われる。サイクロトロンは荷電粒子を加速してビームを得る装置であり、医療では主に陽子線・重粒子線やPET核種製造に用いられる。臨床の電子線治療は一般にリニアック由来だが、本設問の対応は「加速装置と荷電粒子ビーム(電子線を含む)」の概念対応として妥当と判断する。
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