臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
治療機器が利用する物理エネルギーの対応関係を問う問題。電気メスは300 kHz〜数MHzの高周波電流を患部に流し、そのジュール熱で切開・凝固を行うため「電気メス―高周波電流」が正しい。心臓ペースメーカは心筋へ低周波の電気刺激(パルス電流)を与える装置であり、マイクロ波(電磁波の一種)は用いない。レーザメスはレーザ光(光エネルギー)を照射して熱作用などを利用するため、電子線ではない。ESWLは体外から音響衝撃波(音波の一種)を結石に収束させて破砕するため、赤外線ではない。IABPはヘリウムなどで駆動するバルーンの拡張・収縮という機械的力(圧補助)を用いるため、音波ではない。
選択肢別解説
誤り。心臓ペースメーカは心筋に低周波の電気刺激(パルス電流)を与えて捕捉・ペーシングを行う装置であり、マイクロ波(電磁波の高周波域)を治療エネルギーとして用いない。
正しい。電気メスは約300 kHz〜5 MHzの高周波電流を組織に流し、ジュール熱により切開・凝固・止血を行う。高周波化により神経・筋刺激を回避しつつ熱作用を得る。
誤り。レーザメスはレーザ光(可視・赤外などの光、電磁波の一部)を照射して熱・光化学作用で切開・凝固する。電子線(荷電粒子線)は放射線治療などで用いられ、レーザメスのエネルギーではない。
誤り。ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は体外で発生させた音響衝撃波(音波)を焦点に収束して結石を破砕する。赤外線(電磁波)は用いない。
誤り。IABP(大動脈内バルーンパンピング)は駆動ガスによりバルーンを拡張・収縮させる機械的圧補助で冠動脈灌流の増加と後負荷軽減を図る。音波は治療エネルギーとして用いない。
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解説
適切でない組合せは「マイクロ波加溫(加温)装置—キャビテーション」。マイクロ波加温装置は2.45GHzなどの電磁波による誘電加熱で組織を加温するハイパーサーミア機器であり、主なリスクは熱傷・過加温などである。キャビテーション(空洞現象)は超音波の負圧で微小気泡が生成・崩壊して生じる現象で、超音波治療・診断で問題となるため、この組合せは不適切。一方、熱希釈式心拍出量計ではカテーテル刺激による不整脈、経皮的酸素分圧モニタではセンサ加温による水疱(熱傷)、電気メスでは高周波電流による熱傷、レーザメスでは波長に応じた眼障害(網膜・角膜)が典型的な有害事象であり、いずれも妥当な組合せである。
選択肢別解説
不適切な組合せ。キャビテーションは超音波による負圧場で気泡が生成・崩壊する現象で、超音波機器に関連する。マイクロ波加温装置は電磁波による誘電加熱で温度上昇を生じさせるため、キャビテーションとは機序が異なる。想定される有害事象は主に熱傷や過加温である。
適切な組合せ。熱希釈式心拍出量計(スワン・ガンツカテーテル)は右心系を通過・留置する過程で心筋を機械的に刺激し、期外収縮や心室性不整脈などを誘発し得る。挿入時の心電図監視や適切な操作でリスク低減が重要である。
適切な組合せ。経皮的酸素分圧モニタは測定部位の皮膚を約43℃前後に加温して血流を増やし動脈化して測定するため、長時間の連続装着で紅斑・水疱などの熱傷が生じ得る。部位のローテーションや設定温度・装着時間の管理が必要。
適切な組合せ。電気メス(高周波電気手術装置)は高周波電流によって組織を切開・凝固するが、対極板の装着不良、接触面積の不足、分流・接触不良などにより熱傷が発生し得る。機器点検と適切な対極板管理が必須。
適切な組合せ。レーザメスは直接光・反射光によって眼障害を起こし得る。波長により障害部位は異なり、可視〜近赤外では主に網膜、CO2レーザ(10.6μm)では角膜が主な障害部位となる。適切な波長対応の保護眼鏡などの対策が必要である。
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解説
カテーテルアブレーションは、通常300〜750kHzの高周波(RF)電流を用い、カテーテル先端と体表の対極板(単極方式)間に電流を流して先端が接触した心筋を加熱し、約50〜70℃で凝固壊死させて異常伝導を遮断する治療である。したがって、目的部位への確実な接触が前提であり、低周波電流は用いない。300℃のような極端高温は炭化やスチームポップの危険が高い。適切に不整脈が制御されれば、頻拍誘発性心筋症の改善などにより心機能はむしろ改善傾向が期待できる。
選択肢別解説
誤り。RFアブレーションでの目標は心筋温度およそ50〜70℃で、これにより凝固壊死を生じさせる。300℃では組織が炭化しスチームポップの危険も高く、臨床的設定として不適切。
誤り。用いるのは高周波(約300〜750kHz)の交流である。低周波電流は心筋へ過剰な刺激となり致死性不整脈を誘発する危険があるため、カテーテルアブレーションでは用いない。
誤り(一般的には必要)。単極RFアブレーションでは体表に貼付する対極板が必要で、これによりカテーテル先端から流れた電流を回収する。双極方式の例外もあるが、一般的臨床で広く用いられる単極方式では対極板は必須。
誤り。アブレーションにより不整脈が制御されると、頻拍による負荷が減少し、左室機能など心機能は改善傾向を示すことが多い。むしろ低下を常とする記載は不適切。
正しい。RFアブレーションはカテーテル先端を不整脈源や異常伝導路に接触させて通電・加熱し、局所心筋を焼灼して治療する。接触圧(コンタクトフォース)管理も重要である。
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解説
電磁波の波長は周波数に反比例し、$\lambda = \frac{c}{f}$($c$: 光速)で与えられる。代表的な出力帯域は、レーザー手術装置(可視・赤外:例 Nd:YAG 1,064 nm、CO2 10.6 µm)で最も短い。マイクロ波治療器は2.45 GHz($\lambda\approx0.122\,\mathrm{m}$)や0.915 GHz($\lambda\approx0.328\,\mathrm{m}$)。超短波治療器は27.12 MHz($\lambda\approx11.1\,\mathrm{m}$)。電気メスは概ね0.3~5 MHz($\lambda\approx60\text{~}1000\,\mathrm{m}$)で最も長い。よって波長の短い順は「レーザー < マイクロ波 < 超短波 < 電気メス」。提示肢の中でこの関係を満たす並びは「レーザー手術装置 < 超短波治療器 < 電気メス」(選択肢4)のみである。
選択肢別解説
「マイクロ波治療器 < レーザー手術装置 < 電気メス」は誤り。レーザー(可視・赤外)はマイクロ波より周波数が高く波長が短いため、正しくは「レーザー < マイクロ波」。また電気メスはMHz帯で最も波長が長い。
「マイクロ波治療器 < 電気メス < 超短波治療器」は誤り。電気メス(約0.3~5 MHz)は超短波治療器(27.12 MHz)より周波数が低く波長が長いので、並びは「… < 超短波 < 電気メス」となるべきで逆転している。
「レーザー手術装置 < 電気メス < 超短波治療器」は誤り。レーザーが最短は正しいが、電気メス(MHz帯)は超短波治療器(27.12 MHz)より周波数が低く波長が長いため、「電気メス < 超短波」は成り立たない。
「レーザー手術装置 < 超短波治療器 < 電気メス」は正しい。レーザー(可視・赤外)≪ 超短波治療器(27.12 MHz;$\lambda\approx11\,\mathrm{m}$) ≪ 電気メス(0.3~5 MHz;$\lambda\approx60\text{~}1000\,\mathrm{m}$)の順で、波長が短い順の並びに一致する。
「超短波治療器 < 電気メス < レーザー手術装置」は誤り。レーザーは可視・赤外域で最も波長が短く、電気メスはMHz帯で最も長い。提示の順序は全体に逆である。
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解説
電気メス(高周波手術装置)の出力は数百kHzの高周波成分を含み、同室のモニタ(心電図、血圧、SpO2など)に容量結合・電磁誘導・伝導を介して混入しやすい。雑音対策は(1)ノイズ源の低減(出力を最小限)、(2)経路遮断・結合低減(コードの物理的分離、絶縁・アイソレーション使用)、(3)受信側の除去(高周波除去フィルタ)という三層で行う。これらは妥当な対策である。一方、フローティング型(対地から浮いた)電気メスの採用はモニタ雑音低減策としては不適切で、患者−周辺機器間の浮遊容量を介した高周波漏れ電流が相対的に回り込みやすく、雑音を助長し得る。よって『フローティング型電気メスを使用する』は誤りである。
選択肢別解説
正しい。モニタ側に高周波除去(ESU)フィルタを挿入すると、電気メス由来の数百kHz帯の干渉成分を減衰させ、測定帯域(例:ECGの0.05~150 Hz程度)への混入を低減できる。原波形への影響を最小化する設計が前提だが、一般に有効な対策である。
正しい。ノイズ源である電気メス出力を必要最小限にすると、放射・容量結合・伝導いずれの経路でも混入する高周波エネルギーが減り、モニタ雑音が軽減する。患者安全面(熱損傷低減)の観点からも推奨される。
誤り。フローティング型(対地から絶縁された)電気メスは、対地基準が不安定になり患者・配線が対地に対して浮いた状態となるため、患者−周辺機器(モニタ)間の浮遊容量を介して高周波漏れ電流が流入しやすく、モニタへの高周波回り込みを助長し得る。したがって雑音対策としては適切でない。
正しい。対極板コードは電気メスの高周波大電流が流れるため、モニタのリード線から離して敷設すると電磁誘導・容量結合が減り、ノイズ混入が抑えられる。やむを得ず交差する場合は直角に交差させるのが望ましい。
正しい。絶縁型のトランスデューサやアイソレーションアンプ付き入力を用いると、患者側からモニタ内部への高周波電流の伝導経路を遮断でき、電気メス雑音の侵入を抑制できる。
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