臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波凝固切開装置は電気エネルギーを超音波振動(約数十kHz)に変換し、ブレードの微小振動による圧迫・摩擦で発生する熱と機械的作用でタンパク質を変性させ、切開と同時に凝固(シール)を行う。発生する組織温度は概ね80〜100℃と電気メス(約300℃前後)より低く、炭化や熱損傷が少ない一方、低温ゆえ凝固に要する時間は電気メスより長くなる傾向がある。また、シールの成立はコラーゲン・エラスチン量と血管壁厚に依存するため、壁が厚くコラーゲンに富む動脈の方が静脈より止血(封止)が安定しやすい。以上より、誤りは「2」と「3」である。
選択肢別解説
正しい。ブレード先端の超音波振動により組織と接触部で圧迫・摩擦が生じ、摩擦熱と機械的エネルギーによりタンパク質が変性して凝固・切開が行われる。
誤り。超音波凝固切開装置での組織温度は一般に80〜100℃程度で、約300℃は電気メスにおける高温炭化域の温度目安である。したがって「300℃程度になる」は超音波装置の説明として不適切。
誤り。超音波による血管シールはコラーゲン・エラスチンの変性収縮による封止が主体で、壁が薄くコラーゲン量の少ない静脈はシールが不安定になりやすい。相対的には動脈の方が止血に適するため、「動脈よりも静脈に適する」は不正確。
正しい。超音波振動による機械的作用と発熱により、切開操作と同時にタンパク質変性によるコアギュラム形成が進み、切開と凝固を同時に行える。
正しい。超音波装置は電気メスより低温域で凝固が進むため、同等の止血を得るまでの時間は長くなる傾向がある。結果として電気メスに比べ凝固に時間を要する。
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解説
超音波吸引手術器(CUSA など)は、主に20〜30 kHz程度の超音波振動と100〜300 µm程度の小さな振幅で先端を振動させ、実質性臓器の組織を機械的破砕・乳化しながら灌流液とともに吸引除去する機器である。プローブ内部の振動子(多くは圧電素子)で発生する熱は循環させた蒸留水で冷却する。一方、切除部位の洗浄・組織搬送には滅菌生理食塩水が用いられることが多い。鋭利な切開能力は金属メスに劣り、骨のような硬組織の切離には適さない。以上より、正しい記述は「冷却には蒸留水を用いる」である。
選択肢別解説
誤り。超音波吸引手術器の作動周波数は一般に20〜30 kHz程度であり、100 MHzのような高周波は用いない。100 MHzは桁違いで、本装置の駆動原理から外れる。
誤り。先端振幅はおおよそ100〜300 µm程度であり、1〜2 mmというミリメートルオーダーの大振幅ではない。ミリメートル振幅だと過剰な機械的損傷を招くため、装置仕様とも一致しない。
正しい。プローブ内部の振動子で生じる発熱は、循環させた蒸留水で冷却する運用が一般的である。なお、手術野での洗浄や破砕組織の搬送には滅菌生理食塩水が用いられることが多い。
誤り。本装置は組織を破砕・乳化して吸引することを目的としており、金属メスのように鋭利に切開する器具ではない。弾力に富む血管・神経などは相対的に温存しやすい特性がある。
誤り。適応は脳や肝などの実質性臓器で、骨のような硬組織の切離には適さない。骨切離には専用の器具(ノミ、鋸、ピエゾサージェリー用骨メスなど)を用いるのが一般的である。
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解説
ハイパーサーミア(温熱療法)は腫瘍組織を選択的に約42〜43℃へ加温し、正常組織との熱感受性の差や併用療法(放射線・薬剤)の感受性増強を狙う治療である。加温法には電磁波(RF・マイクロ波)、超音波、組織内(侵襲的)などがあり、それぞれ物理特性に基づく適応と注意点がある。容量結合型は数MHz〜数十MHzのRF電流を用い、表在部の過熱を避けるためボーラス(水バッグ)で皮膚冷却を行う。超音波は空気層で強く反射するため、ゲルや脱気水で密着カップリングが必須。マイクロ波は周波数が高いほど生体内での減衰が増し、浸透深さが浅くなる。組織内加温では腫瘍内に針電極・アプリケータを刺入して内部から加温する。
選択肢別解説
誤り。容量結合型(RF)加温で臨床的に用いられるのは数MHz〜数十MHzのRF帯(例:13.56 MHz、27.12 MHz、40.68 MHz など)であり、記載のkHz帯では適切な深部加温が得にくく、臨床標準ではない。
誤り。超音波は空気と生体の音響インピーダンス差が大きく、空気層を介すると大部分が反射して伝搬しない。実施時は超音波用ゲルや脱気水でプローブを密着させ、空気層を排除する。
正しい。容量結合型やマイクロ波加温などで電極直下・アンテナ近傍の表面過熱(ホットスポット)を防ぐため、ボーラス(水バッグ)を用いて皮膚表面を冷却する。水ボーラスは冷却に加え、電磁界の均一化やインピーダンス整合にも寄与する。
正しい。マイクロ波は周波数が上がるほど生体内での誘電損失が増大し、減衰が大きくなるため、加温可能な浸透深さは周波数の増加に伴って減少する(例:915 MHzの方が2.45 GHzより深部到達性が高い)。
正しい。組織内加温(インタースティシャルハイパーサーミア)は腫瘍内に針状電極やアプリケータを刺入し、RFやマイクロ波などで腫瘍内部から加温する侵襲的手法である。
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