臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
超音波画像計測では、組織間の音響インピーダンス差により反射が生じ画像化される。音響インピーダンスは $Z=\rho c$(密度と音速の積)で表され、一般に脂肪より実質臓器(例:肝臓)の方が大きい。高周波は体内での減衰が大きく到達深度が浅くなるため深部観察には不利で、深部にはより低い周波数を用いる。断層像(二次元画像)はBモードで得られ、Aモードはエコーの振幅を深さ方向に一次元表示する。ドプラ計測では、連続波ドプラは距離分解能がなく位置を特定した速度分布は得られない。一方、超音波造影ではマイクロバブル造影剤が広く用いられている。以上より、1と5が正しい。
選択肢別解説
正しい。音響インピーダンスは $Z=\rho c$ で、肝臓は脂肪より密度・音速ともに大きく、結果として音響インピーダンスも大きい。したがって脂肪—肝境界では反射が生じやすく、画像コントラストの源となる。
誤り。超音波の減衰は周波数に概ね比例して増大するため、高い周波数ほど到達深度が浅くなり深部観察には不向きである。深部臓器の観察には一般により低い周波数プローブを用いる。
誤り。Aモードは反射エコーの振幅を深さ方向に一次元で表示する方式で、断層像(二次元像)は得られない。断層像を得るのはBモードである。
誤り。連続波ドプラは送受信を連続して行うためレンジゲーティングができず、どの深さからの信号かを分離できない。したがって位置を特定した血流の速度分布は得られない(空間分解能なし)。
正しい。超音波造影剤としてマイクロバブル(微小気泡)が用いられる。強い散乱・非線形応答を示し、造影ハーモニック法などで肝腫瘍などの血流評価に用いられる。
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解説
MRIは主として体内に豊富な水素原子核(1H)の核磁気共鳴信号を利用して画像化する装置であり、一般的な臨床MRIは炭素原子そのものの空間分布を直接画像化するものではない。超電導MRIはコイルを超電導状態に保つため極低温が必要で、液化ヘリウムが冷媒として用いられる。静磁場強度(B0)が高いほど核磁化が増し信号雑音比(SNR)が向上するため、原則として画質は向上する。空間位置の符号化には傾斜磁場が必須で、これにより位置依存の周波数・位相変化を与えて画像再構成が可能となる。石灰化病変は水素含有が乏しくMRI信号がほとんど得られないため、描出には適しておらず、評価にはCTが有用である。以上より、誤りは「炭素原子の空間分布を画像化する」と「石灰化病変の描出に適している」である。
選択肢別解説
誤り。臨床MRIは主に水素原子核(1H)由来の信号を用いて、プロトン密度や緩和特性(T1・T2など)の違いを画像化する。13Cなどの異核MRIは研究的・特殊用途に限られ、一般的な臨床装置が炭素原子の空間分布を画像化しているわけではない。
正しい。超電導電磁石を超電導状態(約4 K)に維持するため、液化ヘリウムが冷媒として用いられる。近年の“ドライ”システムでもヘリウムを閉サイクルで用いて冷却している。
正しい。静磁場強度が上がると核磁化が増加しSNRが向上するため、一般に画質(分解能や撮像時間の選択自由度)は向上する。高磁場ではサセプティビリティアーチファクトやSAR増加などの制約はあるが、原則として画質向上は妥当である。
正しい。傾斜磁場は位置ごとに磁場強度(ひいては共鳴周波数・位相)を変化させることで空間符号化を行うため、画像化に不可欠である。傾斜磁場がないと信号の発生位置を特定できず画像再構成ができない。
誤り。石灰化は水素含有が極めて少なくMRI信号が乏しいため描出に不向きで、評価には高コントラストで描出可能なCTが適している。特殊な撮像(UTEやSWIなど)で検出可能な場合はあるが、一般論としてMRIは適していない。
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解説
PETは陽電子放出核種(11C, 13N, 15O, 18F など)を用い、放出された陽電子が体内の電子と対消滅して生じる2本の511 keVの$\gamma$線を、リング状に配置したシンチレータ検出器で同時(同時計数)に捉える。同時計数で得られた検出器対を結ぶ線(Line of Response; LOR)上に放射能が存在するとみなして投影データを集め、画像再構成により断層像を得る。PETでは幾何学的選別にコリメータを用いず、同時計数で指向性を担保する。一方、SPECTはコリメータで入射方向を選別する。PET核種は半減期が概して短く(例: 11C 約20分、18F 約110分)、一般的なSPECT核種(例: 99mTc 約6時間、123I 約13時間など)より短い。空間分解能はPETで数mm(おおむね3〜5 mm)とされ、サブミリ級のX線CTに比べて低い。
選択肢別解説
誤り。PETで画像化に用いるのは陽電子と電子の対消滅で生じる2本の511 keVの$\gamma$線であり、互いにほぼ180°反対方向に放出される。「1個のガンマ線が出る」はPETの原理と合致しない。
誤り。PETではコリメータは使用せず、シンチレータ(BGO、LSO、GSO など)と光検出器で$\gamma$線を検出し、対向検出器ペアの同時計数により方向情報を得る。コリメータを用いて入射方向を選別するのはSPECTである。
正しい。被検体周囲の検出器で、同時刻(時間窓内)に検出された2本の$\gamma$線の検出位置を結ぶLOR上に放射能が存在するとして投影データを収集し、再構成して断層像を得る(同時計数法)。
正しい。PET核種(例: $^{11}$C 約20分、$^{18}$F 約110分、$^{13}$N 約10分、$^{15}$O 約2分)は、一般的なSPECT核種(例: $^{99\mathrm{m}}$Tc 約6時間、$^{123}$I 約13時間、$^{201}$Tl 約73時間など)に比べ半減期が短い。
正しい。PETの空間分解能はおおむね3〜5 mm程度で、X線CTのサブミリ(約0.3〜0.6 mm程度)と比べて低い。したがって記述は正しい。
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解説
誤っているのは選択肢3。超音波診断は、組織間の音響インピーダンス差による反射エコーを受信し、往復時間(飛行時間)から深さ情報(距離)を求めて断層像を描出する。軸方向(距離)分解能はパルス幅・波長に依存し、周波数が高いほど波長が短くパルス長が短くなるため向上する。一方、軟部組織中の減衰係数は周波数にほぼ比例(約0.5 dB/cm/MHz 程度)し、低周波ほど減衰は小さい。方位(横方向)分解能はビーム幅に依存し、ビームが狭いほど高い。
選択肢別解説
正しい。反射エコーの受信時刻から深さを算出する飛行時間法を用いる。音速を一定(例:軟部組織で約1,540 m/s)と仮定し、往復時間から深さ d を推定する(概念的に $t \approx 2d/c$)。これにより各走査線上の画素位置が決まる。
正しい。距離(軸方向)分解能は空間パルス長 SPL に依存し、概ね 1本のパルスに含まれるサイクル数 n と波長 $\lambda$ に対し $\mathrm{SPL}=n\lambda$、軸方向分解能は $\mathrm{SPL}/2$ 程度。周波数上昇で $\lambda$ が短くなり SPL が短縮するため分解能が向上する。
誤り。軟部組織での超音波減衰は周波数にほぼ比例し、低周波ほど減衰は小さく深部まで到達しやすい。したがって「周波数が低いほど減衰が大きい」は逆の記述。
正しい。超音波は音響インピーダンス $Z=\rho c$ の異なる境界で反射し、その反射波を画像化に利用する。平面境界の正入射での反射係数は $R=\left(\frac{Z_2-Z_1}{Z_2+Z_1}\right)^2$ で表され、インピーダンス差が大きいほど反射が強い。
正しい。方位(横方向)分解能はビーム幅に依存し、ビームを狭く(集束させて)指向性を高めるほど、隣接構造を分離して描出できる。ただし焦点深度などとのトレードオフは存在する。
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解説
$CT値(HU:Hounsfield unit)は物質のエックス線線減弱係数(線吸収係数)を水と空気を基準に正規化した相対値で、一般に HU = 1000 \times \frac{\mu - \mu_{water}}{\mu_{water}} と定義される。したがって、選択肢1は正しい。肺は空気を多く含み実効的な線減弱が小さいためHUは負(典型的におよそ -500〜-900HU)で、水(0HU)より小さく、選択肢2は誤り。マルチスライスCTや心電図同期(ECG-gating)により冠動脈CTや心機能評価(収縮 \cdot 拡張相の評価)が可能で、選択肢3は誤り。脳出血は急性期(発症直後〜数日)に高吸収域(白)として描出され、選択肢4は誤り。乳癌に対してCTは一次スクリーニングの主役ではないが、病期診断(胸壁浸潤、リンパ節、肺 \cdot 肝転移など)や術前評価に広く用いられ、選択肢5は正しい。$
選択肢別解説
$正しい。CT値はエックス線の線減弱係数の相対値で、水(0HU)と空気(-1000HU)を基準に定義される。式は HU = 1000 \times \frac{\mu - \mu_{water}}{\mu_{water}}。相対化により装置間の比較や組織識別が容易になる。$
誤り。肺は空気を多く含み線減弱が小さいためCT値は負(例:およそ −500〜−900HU)で、水(0HU)より小さい。よって「水より大きい」は不正確。
誤り。マルチスライスCTと高速回転、ECG同期(前向き・後向きゲーティング)により心位相を分離でき、冠動脈CTや収縮・拡張の機能評価(容積・駆出率推定)など心臓の動きを評価可能。
誤り。急性期脳出血は凝血塊の高い線減弱により高吸収域(白)として描出される(概ね +60〜+80HU 程度)。慢性化すると低吸収に近づくが急性期は黒くならない。
正しい。乳癌の一次検査は主にマンモグラフィや超音波、MRIだが、CTは病期診断・転移検索(肺・肝・骨の一部)や胸壁浸潤評価などで日常的に用いられる。
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