臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
X線による医用画像は、体内を通過したX線の減弱(吸収・散乱)度合いの分布、すなわち線減弱係数の違いを画像化する。したがって反射率を用いる超音波画像とは原理が異なる。X線CTは多数の投影データから断層像を再構成し、得られたボリュームデータに対してMPRや3Dレンダリングを行うことで臓器の立体構造を表現できる。臨床用CTの面内空間分解能は撮影条件や再構成法に依存するが概ね0.5〜1 mm程度が目安である。造影剤(ヨード系、バリウムなど)は高原子番号ゆえにX線吸収が大きく、標的組織と周囲との吸収差を拡大してコントラストを増強する。一方、体表近傍はビームハードニングや部分容積効果などのアーチファクトの影響を受けやすく、一般に「体表面に近い臓器の画像化に適している」とは言えない(体表は超音波が適する場面が多い)。
選択肢別解説
誤り。X線画像は透過してきたX線の減弱(線減弱係数)の分布を画像化するもので、反射率を用いる超音波画像とは原理が異なる。
正しい。臨床用X線CTの面内空間分解能は検出器ピッチ、焦点サイズ、再構成ピクセルサイズやカーネル等に依存するが、一般に約0.5〜1 mm程度が目安である。
正しい。X線CTは多数の断層像からボリュームデータを構築し、MPRや3Dボリュームレンダリングを行うことで臓器の立体構造を可視化できる。
正しい。ヨード造影剤や硫酸バリウムはX線吸収を高め、標的組織と周囲との吸収差を増大させてコントラストを向上させる。
誤り。体表近傍はCTでアーチファクト(ビームハードニング、部分容積効果など)が生じやすく、一般に体表の臓器の画像化に特に適するとはいえない。体表の評価には超音波が適する場面が多い。
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解説
X線撮影は、X線管から照射されたX線が被写体を透過する際の線減弱(主に吸収と散乱)の差を検出器で受け、その強度分布を画像化する方式である。反射波を利用する検査ではない。画像コントラストは組織の線減弱係数(元素・密度・厚み)差を反映し、単純X線像は軟部組織間のコントラストが乏しい。一方、X線透視やシネ撮影を用いれば臓器の動態観察が可能である。造影剤(ヨード・バリウムなど)は吸収係数差を拡大してコントラストを高める目的で用いられ、空間分解能そのものを直接高めるものではない(空間分解能は主に焦点サイズ、検出器特性、幾何学的不鮮鋭、運動ぶれ等に依存する)。
選択肢別解説
誤り。X線撮影は体内を透過してきたX線を検出して画像化する。反射X線を撮影するわけではない(反射を主に利用するのは超音波検査)。
$正しい。X線画像は組織でのX線吸収(線減弱)差を反映した画像である。透過強度は概ね I = I0 \exp(-\mu x) に従い、線減弱係数 \mu の差がコントラストとなる。$
正しい。X線透視(パルス透視を含む)やシネ撮影を用いれば心臓・消化管などの動態をリアルタイムに観察・記録できる。
誤り。造影剤はX線吸収係数の差を大きくしコントラスト(コントラスト分解能)を向上させるために使用する。空間分解能の改善を直接の目的とするものではない。空間分解能は焦点サイズ、検出器ピクセルサイズ、幾何学的不鮮鋭、運動ぶれ等で決まる。
誤り。一般の単純X線撮影は軟部組織間の吸収差が小さくコントラストがつきにくいため適さない。軟部組織評価にはCTやMRI、超音波、あるいは軟X線を用いるマンモグラフィなどの特殊条件が用いられる。
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解説
$正しいのは4。CT値は水を基準(0 HU)として定義され、空気は約-1000 HU、骨は数百HU以上となる。定義式は HU = 1000 \times \frac{\mu - \mu_{water}}{\mu_{water}}(\mu は線減弱係数)であり、骨を基準にはしない。臨床用X線CTのスライス厚は一般に0.5〜10 mm程度で、50 µmのような極薄スライスは臨床CTでは用いない(それは主にマイクロCTの領域)。空間分解能も臨床装置でおおむね0.3〜0.5 mm程度であり、5 mmは粗すぎて不適切。時間差分法はデジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)の時間サブトラクションで、造影前(マスク像)を造影後(ライブ像)から差し引き血管のみを強調する。ヨード系造影剤は原子番号が高くK吸収端(約33 keV)付近でのフォトン吸収が大きく、X線減弱が大きいのでコントラスト増強に用いられる。$
選択肢別解説
$誤り。CT値(HU)は水の線減弱係数を基準(0 HU)として定義される。定義式は HU = 1000 \times \frac{\mu - \mu_{water}}{\mu_{water}}。骨は基準ではなく、結果として数百HU以上の高い値を示す。$
誤り。臨床用X線CTのスライス厚は通常0.5〜10 mm程度で設定される。50 µm(0.05 mm)は臨床CTとしては極端に薄く、主にマイクロCTの領域である。
誤り。X線CTの空間分解能は臨床装置でおおむね0.3〜0.5 mm程度(高分解能で約0.3 mm)であり、5 mmという値は粗すぎる。
正しい。時間差分法(DSAの時間サブトラクション)は、造影剤投与前のマスク像を、投与後のライブ像から減算して血管像を強調する手法である。
誤り。ヨード系造影剤は高い原子番号によりX線のフォトエレクトリック効果が増大し、X線減弱(吸収)が大きい。したがってコントラスト増強に用いられる。
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解説
エックス線CTは,被写体内のエックス線減弱係数の分布を再構成して画像化する装置で,画素の明るさはCT値(Hounsfield Unit, HU)で表す。CT値は水を基準0 HU,空気を約−1000 HUとする相対尺度で,定義は $\mathrm{HU}=1000\times\frac{\mu-\mu_{water}}{\mu_{water}}$($\mu$: 画素の減弱係数)である。X線を用いるため放射線被曝という侵襲を伴う点に留意する。デジタル画像でウィンドウ幅・レベルを調整できるため低コントラスト分解能に優れ,単純X線写真より病変コントラストを高くできる。ヘリカル(スパイラル)CTは管球連続回転と寝台連続移動で体積データを短時間に収集でき,逐次(ステップ&シュート)方式より体積あたりの撮影時間が短い。CT単独では形態情報が主体であり,代謝機能の画像化はPET/SPECTなどの核医学に属する。
選択肢別解説
正しい。CT値(HU)は水の減弱係数を基準0とする相対値で定義され,空気は約−1000 HU,骨は正の高い値となる。
誤り。CTは皮膚切開などの侵襲は行わないが,電離放射線を用いるため放射線被曝という生体侵襲を伴う。したがって本試験の文脈では非侵襲とはいえない。
誤り。CT画像はデジタル処理(ウィンドウ幅・レベル調整)により低コントラスト分解能に優れ,単純X線フィルム画像より病変コントラストを良好にできる。
誤り。X線CTは主に形態(減弱係数)を画像化する装置で,代謝機能の直接的な画像化は行わない。代謝機能の画像化はPETやSPECT(必要に応じてCTと融合表示)で実現される。
正しい。ヘリカル方式は管球連続回転と寝台連続移動で連続的にデータ収集でき,逐次スキャンより広範囲を短時間で取得できるため体積あたりの撮影時間が短い。
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解説
X線画像計測は、物質中を通過するX線の強度減衰を測り、減衰度合い(線減弱係数 $\mu$)の空間分布を画像化する。減衰はビール・ランバートの法則に従い、$I=I_0 \\exp(-\\int \\mu(x)\\,dx)$で表される。CTでは物質ごとの相対的な減弱をHUで定義し、$HU=1000 \\frac{\\mu-\\mu_{water}}{\\mu_{water}-\\mu_{air}}$(実用上は \\mu_{air}\\approx0 なので $HU\\approx1000 \\frac{\\mu-\\mu_{water}}{\\mu_{water}}$)を用いる。骨は水よりも強くX線を減弱するため一般にHUは正の高値(しばしば+1000 HU前後)となり、\\mu_{bone}は水の約2倍程度以上である。よって「骨のエックス線吸収係数は水の約0.5倍」は逆の関係を述べており誤り。一方、造影剤(ヨード系など)は光電効果を強めて血管を描出し、空気の減弱はきわめて小さく(ほぼゼロとみなせる)、被写体の体動はモーションアーチファクトを生じるため、これらは正しい記述である。
選択肢別解説
正しい。X線は物質中で指数関数的に減弱し、透過後の線量(強度)を検出器で計測して画像化する。投影像(単純X線)でも、投影データを再構成するCTでも、この透過線量の計測が基盤である。
正しい。ヨード系などのX線不透過性造影剤は原子番号が高く、診断エネルギー域で光電効果が増大するため減弱が増し、血管腔のコントラストが上がって血管が描出される。
誤り。骨の線減弱係数は水より大きく、典型的には水の約2倍程度以上である。CT値でも水は0 HU、骨は概ね+1000 HU前後となるため、水の0.5倍という記述は関係を取り違えている。比は管電圧や骨の組成で変動するが、少なくとも0.5倍ではない。
正しい。空気の線減弱係数は診断エネルギー域で極めて小さく、実用上ほぼゼロとみなされる(CTスケールでは空気は約-1000 HU)。
正しい。撮影中の被写体(患者)体動はモーションアーチファクトを生じ、ぼけや重なり像などの画質低下を招く。
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