臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
JIS T 0601-1:2014(IEC 60601-1)では、B/BF/CFといった患者装着部の形別分類が関与するのは、患者装着部を介して患者に流れ得る電流(患者漏れ電流、患者測定電流、SIP/SOPに外部電圧を印加した際に患者経路へ生じ得る電流)である。CF形はミクロショック対策のため許容値がより厳しく、B/BF形と許容値が異なる。一方、外装などに触れた人に流れる接触電流や、保護接地系に流れる接地漏れ電流は患者装着部を介さないため、形別分類(B/BF/CF)に依存せず許容値は共通である。よって、分類によって許容値が変わらないのは接触電流と接地漏れ電流である。
選択肢別解説
誤り。患者接続部(患者装着部)から大地への漏れ電流は患者漏れ電流に該当し、患者装着部を介して患者に流れ得る電流であるため、形別分類(B/BF/CF)によって許容値が異なる(CF形はより厳しい)。
誤り。SIP/SOP(信号入出力部)に外部電圧を印加した場合に評価する電流には、患者経路に関係する条件があり、患者装着部を介して患者に流れ得るため、形別分類(B/BF/CF)により許容値が異なる(CF形はより厳しい)。
正しい。接触電流は装置外装などに触れた操作者・第三者に流れる電流で、患者装着部を介さない。したがってB/BF/CFといった患者装着部の形別分類には依存せず、許容値は分類に関わらず同一である。
正しい。接地漏れ電流は保護接地導体に流れる漏れ電流であり、患者装着部を介さない電流である。そのためB/BF/CFの形別分類に依存せず、許容値は分類に関わらず同一である。
誤り。患者測定電流(患者補助電流)は患者装着部を介して患者に印加され得る電流であり、ミクロショック対策が必要なCF形ではB/BF形より許容値が厳しく、形別分類によって許容値が変わる。
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解説
図記号(枠内の黒いハート)はCF形装着部(心臓に直接適用可能な最も厳格なカテゴリー)を示す。JIS T 0601-1/IEC 60601-1におけるCF形装着部の『合計患者漏れ電流』の許容値は、正常状態(NC)で50 μA、単一故障状態(SFC)で100 μAである。よって設問の「正常状態における合計患者漏れ電流」は50 μAが正しい。比較として、B形・BF形では合計患者漏れ電流の許容値がNCで500 μA、SFCで1000 μAと緩い基準になる。
選択肢別解説
誤り。10 μAは別の項目(例:患者補助電流や特定条件の患者漏れ電流など)で用いられる値であり、CF形装着部の『合計患者漏れ電流』の正常状態(NC)の許容値ではない。合計患者漏れ電流(NC)は50 μAである。
正しい。CF形装着部の『合計患者漏れ電流』の許容値は、正常状態(NC)で50 μA(交流・直流とも)である(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)。
誤り。100 μAはCF形装着部の『合計患者漏れ電流』に関する単一故障状態(SFC)の許容値であり、正常状態(NC)の値ではない。
誤り。500 μAはB形またはBF形装着部の『合計患者漏れ電流』の正常状態(NC)の許容値であり、CF形には適用されない。
誤り。1000 μAはB形またはBF形装着部の『合計患者漏れ電流』の単一故障状態(SFC)の許容値であり、CF形ではない。
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解説
JIS T 0601-1-2(IEC 60601-1-2 と整合)は、医用電気機器の電磁両立性(EMC)に関する基本規格であり、医療環境で現実的に遭遇する電磁妨害に対するイミュニティ(耐性)試験を規定している。代表的な妨害は、静電気放電(IEC 61000-4-2)、無線周波の放射電磁界(IEC 61000-4-3)、開閉アーク等による電気的ファストトランジェント/バースト(IEC 61000-4-4)、雷や開閉サージに起因するサージ(IEC 61000-4-5)などである。一方、電離放射線(X線・γ線など)は材料劣化やセンサ感度への影響といった放射線耐性の領域であり、EMCイミュニティ試験の想定妨害には含まれない。したがって、想定されていない妨害は電離放射線である。
選択肢別解説
静電気放電(ESD)はIEC 61000-4-2に基づくイミュニティ試験項目としてJIS T 0601-1-2で想定される代表的妨害である。よって「想定されていない妨害」には該当せず不正解。
無線電波による放射電磁界(Radiated RF)はIEC 61000-4-3に基づく試験項目として想定される。したがって本問の「想定されていない妨害」ではなく不正解。
火花放電に代表される開閉アーク等が生む高速過渡現象は、電気的ファストトランジェント/バースト(IEC 61000-4-4)の想定妨害として試験される。よって想定外ではなく不正解。
雷誘導電圧はサージ(IEC 61000-4-5)の想定妨害として規定され、医療機器も該当試験を受ける。よって想定外ではなく不正解。
電離放射線(X線・γ線など)はEMC規格における電磁妨害の想定から外れており、JIS T 0601-1-2のイミュニティ試験項目には含まれない。そのため本問で問う「想定されていない妨害」に該当し正解。
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解説
JIS T 0601-1-2:2012(IEC 60601-1-2 第3版に相当)は、医用電気機器のイミュニティ試験として、静電気放電(ESD)、放射RF電磁界、伝導RF、電気的ファストトランジェント/バースト(EFT/B)、サージ、電源入力ラインに対する電圧ディップ・短時間停電・電圧変動、電源周波数(50/60 Hz)磁界などを規定する。一方で“静磁界”に対するイミュニティは項目として規定されていない。したがって、選択肢のうちイミュニティ試験の項目でないのは静磁界である。なお、同規格で扱う磁界試験は交流(50/60 Hz)の電源周波数磁界であり、直流の静磁界とは異なる。
選択肢別解説
静電気放電(ESD)試験はJIS T 0601-1-2で必須のイミュニティ試験項目。IEC 61000-4-2に基づき、人体に類似した放電による影響に対する耐性を評価するため、項目として含まれる。よって「項目でない」には該当しない。
放射RF電磁界に対するイミュニティ試験はJIS T 0601-1-2で規定される主要項目。IEC 61000-4-3に基づき、外部の無線周波電磁界に対する機器の耐性を評価する。したがって試験項目に含まれる。
電気的ファスト(ファスト)トランジェント/バースト(EFT/B)試験はJIS T 0601-1-2で規定される。IEC 61000-4-4に基づき、開閉動作などに伴う高速過渡ノイズに対する耐性をみる。よって試験項目に含まれる。
電源入力ラインに対する電圧ディップ、短時間停電、電圧変動はJIS T 0601-1-2のイミュニティ試験項目であり、IEC 61000-4-11に基づいて評価される。したがって試験項目に含まれる。
静磁界(直流磁界)に対するイミュニティはJIS T 0601-1-2:2012の試験項目として規定されていない。同規格で扱う磁界試験は電源周波数(50/60 Hz)の交流磁界(IEC 61000-4-8)であり、静磁界とは別物である。よって本設問で問う「項目でない」に該当する。
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解説
接触電流(外装漏れ電流)は、機器の外装などの可触導電部から大地へ流れうる電流を、人体を模擬した測定用器具(MD)で評価する。JIS T 0601-1(IEC 60601-1)では、単一故障状態として保護接地線断線を想定した場合、外装と大地(施設の保護接地端子)間にMDを介在させて測る。図記号の対応より、外装はE、壁面接地端子(大地)はAであるため、MDを入れる正しい位置はE−A間となる。A−B間は接地漏れ電流の測定位置であり、外装漏れ電流の測定位置ではない。
選択肢別解説
A(壁面接地端子)−B(3P-2P変換アダプタの接地線)間は、保護接地回路に流れる接地漏れ電流の測定位置であり、外装漏れ電流(接触電流)を評価する位置ではない。
B(3P-2P変換アダプタの接地線)−C(機器の保護接地端子)間は、保護接地導体の区間であり、外装漏れ電流の測定位置として規定されていない。ここにMDを入れても外装から大地へ流れる接触電流は評価できない。
C(機器の保護接地端子)−D(患者誘導コード)間は、外装漏れ電流の測定位置ではない。患者関連電流(患者漏れ電流・患者補助電流)は適用部(患者回路)と大地または他の回路間で評価するが、本区間はその測定配置とも一致しない。
D(患者誘導コード)−E(機器外装)間は、外装漏れ電流(接触電流)の測定位置ではない。患者関連電流の一部として評価される組合せはあるが、外装から大地へ流れる接触電流を求める配置ではない。
E(機器外装)−A(壁面接地端子=大地)間が、接触電流(外装漏れ電流)の測定位置である。単一故障状態(保護接地線断線)を仮定し、外装と大地の間にMDを介在させて測定するのが規定。
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解説
ME機器の安全規格(JIS T 0601-1/IEC 60601-1)では、電撃保護の観点から電源方式等によるクラス分類(クラスI=基礎絶縁+追加保護として保護接地、クラスII=二重または強化絶縁で接地不要、内部電源=内蔵電池など商用電源から隔離)と、患者に接続される装着部(B形・BF形・CF形)の分類がある。装着部のFはフローティング(BF・CF)を意味し、装着部が保護接地系から絶縁され外部電圧の影響を受けにくい構造である。B形はFではないため外部電圧印加に対する特別な保護はない。CF形は心内適用が想定され、最も厳しい漏れ電流管理が求められ、接地ではなくフローティングである。追加保護手段は、クラスIで保護接地、クラスIIで二重・強化絶縁、内部電源機器では電源を内部に持つこと自体と主電源からの隔離で確保される。以上から、設問の正答は4と5である。
選択肢別解説
誤り。B形装着部はF(フローティング)ではなく、装着部が保護接地系から絶縁される構造は求められない。外部電圧印加(外部からの電流流入)に対する特別な保護は付与されていないため、この記述は不正確。外部電圧の影響を受けにくいのはBF形・CF形(F形装着部)である。
誤り。CF形装着部は心内適用を想定し、最も厳しい漏れ電流管理が必要なため、装着部はフローティング(F形)であり接地されない。接地されていると患者回路に不要な漏れ電流経路が形成され得るため、規格の設計意図に反する。
誤り。内部電源ME機器は内蔵電池等で駆動し、商用電源からの隔離により電撃リスクを低減する分類である。追加保護手段として求められるのは補強絶縁ではなく、主電源からの電気的分離(内部電源であること)である。補強(強化)絶縁はクラスII機器の追加保護手段である。
正しい。クラスI機器は基礎絶縁に加え、追加保護手段として保護接地を用いる(保護導体付き電源プラグ)。保護接地により外装等に万一漏れた電流を大地へ逃し、感電を防止する設計である。
正しい。クラスII機器は二重または強化絶縁により感電保護を確保し、保護接地を必要としない。したがって接地設備が不十分な一般家庭や在宅医療環境での使用に適している(用途・適用規格の要件を満たすことが前提)。
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