作業療法士問題表示
作業療法士国家試験
基礎作業療法学・作業療法管理学
解説
ICF(国際生活機能分類)は、健康状態に関連する生活機能と障害を分類するもので、ICD-10(国際疾病分類第10版)と相互補完的な関係がある。ICFは、2001年に世界保健機関で承認され、生活機能の肯定的側面も表すことができる。
選択肢別解説
選択肢1は正しいです。ICFはICD-10と相互補完的な関係があり、健康状態(病気、変調、傷害など)はICD-10によって分類され、それに関連する生活機能と障害はICFによって分類されます。
選択肢2は間違いです。ICFは健康状態に関連する生活機能と障害を分類するものであり、社会経済的要因による健康とは無関係な状況については扱わない。
選択肢3は間違いです。ICFは2001年5月に第54回世界保健機関(WHO)総会で採択されたものであり、2015年ではない。
選択肢4は間違いです。生活機能は、個人因子と環境因子とは別に、心身機能・身体構造、活動、参加の3レベルのうち、活動に分類される。
選択肢5は間違いです。ICFは生活機能の肯定的側面を表すことができる。これにより、健康状態に関連する生活機能の向上や障害の軽減を評価することが可能です。
解説
感度は疾患を持つ人が陽性と判断される割合であり、特異度は健康な人が陰性と判断される割合です。感度が高い検査はスクリーニングに適し、特異度が高い検査は確定検査に適します。
選択肢別解説
血液検査は疾患特有のマーカーが発見されれば感度が高い検査ですが、特異度が高いとは一概には言えません。
感度が高いと、患者を誤って陰性(偽陰性)とすることが減り、見落としが少なくなります。この選択肢は逆の意味になっているため、間違いです。
特異度が高いと、健康な人を患者と誤診することが少なくなり、過剰診断が減ります。この選択肢は正しいです。
信頼区間が広いと、取得されたデータの値がばらついているため、再現性は低くなります。この選択肢は間違いです。
エックス線による肺がんの検査は、健康診断で行われており、1 cm程度の病巣を目視できた場合、感度よりも特異度が高い検査です。この選択肢は感度が高いと誤って記載されているため、間違いです。
解説
作業療法における効果判定は、再評価や自然回復の影響を考慮し、質的・量的データを用いて判断される。また、効果判定の結果はプログラム再検討の判断材料となる。
選択肢別解説
再評価は同一尺度で行い、変化量を前後比較することで効果判定に用いるため、この選択肢は間違いです。
リハビリテーション介入の効果は、自然回復の影響を十分に考慮して検証する必要があるため、この選択肢は間違いです。
質的データも量的データもどちらも重要な指標であり、量的データは質的データよりも再現性が高く、効果判定を客観的に示すため、この選択肢は間違いです。
結果の前後比較と、それに影響を与えたと想定される要因(交絡因子)も考慮して効果は判断されるため、この選択肢は間違いです。
効果判定の結果は、訓練プログラムを継続と終了、継続する場合には修正を要するか、などの判断材料となるため、この選択肢が正しいです。
解説
作業分析は介入計画を立案する工程の1つで、作業の特性や難易度を検討し、対象者のニーズや障害特性に応じて環境調整やマッチングを行います。選択肢の中で適切でないものは、作業の材料や道具を分類することです。
選択肢別解説
選択肢1は正しいです。作業分析は作業を治療手段として用いる際に、工程を含めて体系的に理解することができます。
選択肢2も正しいです。作業分析には、作業の難易度を検討し、介入手段や順序を組立てることで、治療過程を段階づけることができます。
選択肢3は適切でないです。作業に要する材料と道具を分類することは、作業分析の作業環境の調整やマッチングのあとに「計画立案」として行われるもので、作業分析そのものではありません。
選択肢4は正しいですが、作業分析は作業側の特性や難易度を検討するものであり、患者の能力を明確にするのは作業療法評価に含まれます。
選択肢5は正しいです。作業分析の結果、作業実施の環境因子を明確にすることができます。
解説
中央値はデータを小さい順に並べたときに真ん中に位置する値であり、データの中心傾向を示す指標の一つです。
選択肢別解説
データの最大値から最小値を引いた値は「範囲」であり、データのばらつきを示す指標ですが、中央値ではありません。
全データの中で最もデータの数が多い値は「最頻値」であり、データの中心傾向を示す指標の一つですが、中央値ではありません。
データの総和をデータの個数で割った値は「平均値」であり、データの中心傾向を示す指標の一つですが、中央値ではありません。
データの値を小さい順に並べ変えたとき、真ん中に位置する値は「中央値」であり、データの中心傾向を示す指標の一つです。この選択肢が正しい答えです。
各データから平均値を引いたものを2乗した総和をデータの個数で割った値は「分散」であり、データのばらつきを示す指標ですが、中央値ではありません。
解説
個人情報保護の観点から、事例報告においては個人が特定される恐れのある情報は避けるべきです。年齢や職業などの情報は、特定されない範囲で記載することができます。
選択肢別解説
患者氏名のイニシャルでは個人が特定される危険があるため、避けるべきです。また、1人の事例報告の場合は氏名そのものが不要で、複数の患者の場合は匿名化する方法を取るべきです。
生年月日は個人が特定される恐れがあるため、記載しない方が良いです。
年齢は生活年齢を記載してよく、年齢により報告の内容に影響がない場合は年代表記でも問題ありません。この選択肢は正しいです。
現住所の地番まで記載すると個人を特定することができるため、記載してはいけません。居住地域名は地域により異なる社会資源を得るための情報として必要ならば記載できます。
職業は社会活動の情報として、業種名・業態名を記載してもよいです。ただし、社名は記載しない方が良いです。
解説
ICF(国際生活機能分類)は、健康状態や障害の影響を評価するための分類システムで、「環境因子」はその構成要素の一つです。環境因子の第2レベルには、「資産」と「福祉用具」が含まれます。
選択肢別解説
「コミュニケーション」はICFの構成要素である「活動と参加」の第2レベルに分類されるため、環境因子ではありません。
「資産」はICFの構成要素である「環境因子」の第2レベルに分類されるため、正しい選択肢です。
「住居の入手」はICFの構成要素である「活動と参加」の第2レベルに分類されるため、環境因子ではありません。
「人権」はICFの構成要素である「活動と参加」の第2レベルに分類されるため、環境因子ではありません。
「福祉用具」はICFの構成要素である「環境因子」の第2レベルに分類されるため、正しい選択肢です。
解説
この問題では、健康維持・増進の活動に関する正しい選択肢を選ぶことが求められています。正しい選択肢は2で、保健指導では生活習慣病の改善のために行動変容を促すことが目的です。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。肺がん予防のための禁煙指導は一次予防に分類されます。一次予防は病気や障害の発生を防ぐための活動で、禁煙指導は肺がんのリスクを減らすことを目的としています。
選択肢2は正しいです。保健指導では、生活習慣病の改善のために行動変容を促すことが目的です。具体的には、「健康でいたい理由」「したいこと」「続けたいこと」を明確にし、食生活や運動などの行動目標を設定して、生活習慣改善を促します。
選択肢3は間違いです。健康日本21(第二次)では、心の健康の目標値が設定されています。具体的には、気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少(9.4%)、メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合(100%)が定められています。
選択肢4は間違いです。ポピュレーションアプローチでは、個人への働きかけよりも集団への働きかけに重点が置かれます。これは、集団全体の健康リスクを低減することで、個々人の健康状態も改善されるという考え方に基づいています。
選択肢5は間違いです。ヘルスプロモーションは、誰でも病院に受診することができる過程ではなく、人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善ができるようにするプロセスを指します。これには、健康教育や環境改善などの活動が含まれます。
解説
集団作業療法は、参加者が一緒に活動を行うことで、互いの協力や支援を通じて治療効果を高める方法である。開放集団と閉鎖集団の違いや、どのような状況で集団作業療法が適切かについて理解することが重要である。
選択肢別解説
レクリエーション活動は、開放集団でも実施できる。開放集団では参加者が自由に入れ替わることができるため、オープンな茶話会などの活動が適している。
調理活動は開放集団よりも閉鎖集団の方が実施しやすい。閉鎖集団では参加者が決まっているため、作業分担が明確であり、調理を完遂させることが容易である。このため、選択肢2が正しい。
閉鎖集団の方が参加者の凝集性が高まる。閉鎖集団では参加者が決まっているため、個人と集団としてのスキルが集積し、凝集性が高まりやすい。開放集団では、作業スキルが異なる参加者が入れ替わるため、凝集性は低くなる。
急性期には個人作業療法が優先されることが多い。新しい環境や対人関係が心理的負担となるため、個人作業療法で患者の状態を安定させることが重要である。
集団作業療法では、他者からの賞賛や自らの貢献度などを相対的に受けることがあり、個人療法よりも受容体験を得る機会がある。したがって、選択肢5は誤りである。
解説
障害者総合支援法に基づくサービスの中で、就労後6か月経過後に利用できるサービスは「就労定着支援」です。これは、生活面・就業面の課題がありながら、一般就労から6か月経過後の者を対象とする就労支援制度です。
選択肢別解説
就労移行支援は、障害者が一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通して、適性に合った職場への就労等が見込まれる者が対象です。このサービスは、就労前の段階での支援を目的としているため、正解ではありません。
就労継続支援A型は、雇用契約を結び、働きながら一般就労を目指すサービスです。このサービスは、就労中の障害者を対象としていますが、就労後6か月経過後の支援ではないため、正解ではありません。
就労継続支援B型は、雇用契約は結ばず、就労の機会を得て「A型」や「一般就労」を目指すサービスです。このサービスも、就労中の障害者を対象としていますが、就労後6か月経過後の支援ではないため、正解ではありません。
就労定着支援は、生活面・就業面の課題がありながら、一般就労から6か月経過後の者を対象とする就労支援制度です。このサービスは、就労後6か月経過後に利用できるため、正解です。
生活訓練は、自立した生活を営むための訓練や生活に関する相談・助言などが行われるサービスです。このサービスは、日常生活の支援を目的としていますが、就労後6か月経過後の支援ではないため、正解ではありません。