65歳の男性。脳卒中左片麻痺発症後3か月経過。ブルンストローム法ステージは上肢II、手指II、下肢II。左肩関節は一横指の亜脱臼があり、肩手症候群を合併している。左肩関節可動域は屈曲80°、外転60°、外旋10° と痛みを伴う制限がある。左半側空間無視があり、座位は患側前方へ傾き自立保持は不可能である。理学療法で適切でないのはどれか。
1: 肩手症候群に対するアームスリング装着
2: 座位での健側上肢体重支持練習
3: 長下肢装具を用いた平行棒内立位訓練
4: 患側下肢の随意運動促通
5: 患側片肘立ちの起き上がり動作練習
55歳の男性。倒れてきた本棚により右肘上部を圧迫され正中神経麻痺を生じた。約1か月経過したが、右上肢の運動障害と感覚障害を認めていることから装具療法を行うことになった。使用する装具で正しいのはどれか。
1: 長対立装具
2: IP伸展補助装具
3: ナックルベンダー
4: Thomas型懸垂装具
5: コックアップ・スプリント
86歳の女性。脳梗塞による左片麻痺、発症後1年半が経過した。ADLは介助すればおかゆなどの調理食を食べる以外は全介助、ドーナツ型の枕を使用してベッド上で臥床している。全身の筋萎縮、筋短縮と関節拘縮を著明に認める。退院時に介護保険を利用してベッドやマットを準備したが、体圧分散マットのような特殊マットは利用していない。作業療法士が自宅訪問したときのベッド上での肢位を示す。褥瘡予防と姿勢保持のために背臥位でポジショニングを行う。クッションを置く部位で正しいのはどれか。
1: 後頸部
2: 肩甲骨背面
3: 腰背部
4: 右大転子部
5: 両大腿内側
17歳の男子。2か月前に外傷性脳損傷。食事はスプーン使用。意識障害を脱して平行棒で歩行練習をしているが両踵が床に着かない。注意障害、発動性減退が目立つ。理学療法で適切でないのはどれか。
1: 両側支柱付短下肢装具を作製する。
2: 日課に従って規則正しい生活を工夫する。
3: 実際的な生活場面を理学療法に取り入れる。
4: 誤りは直ちに大きな声で指摘する。
5: 外泊訓練を試みる。
疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。
1: 解離性健忘――――――――――自律訓練法
2: 身体化障害――――――――――系統的脱感作法
3: 強迫性障害――――――――――曝露反応妨害法
4: PTSD〈外傷後ストレス障害〉―フラッディング
5: 心気障害―――――――――――持続エクスポージャー法
装具の適応で誤っているのはどれか。
1: 上位型腕神経叢麻痺
2: 下垂手
3: 脳血管障害
4: 猿手
5: 手内在筋優位
誤っている組合せはどれか。
1: 先天性股関節脱臼 − リーメンビューゲル装具
2: 特発性側弯症 − ボストン装具
3: 正中神経麻痺 − Thomasスプリント
4: 関節リウマチ − フィラデルフィアカラー
5: Perthes病 − 股関節外転装具
58歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5日経過。理学療法では座位訓練が開始された。評価により意識レベルはJCS(Japan Coma Scale)で1桁、ブルンストローム法ステージは上肢・下肢ともにII、手指はIであった。早期プログラムとして適切でないのはどれか。
1: 座位での上肢帯のポジショニングの指導
2: 麻痺側の自動介助運動の指導
3: 臥位時の三角巾による上肢の固定方法の指導
4: 非麻痺手による物品操作の指導
5: 食事動作の指導
重度の痙直型四肢麻痺児に起こりやすいのはどれか。2つ選べ。
1: 前腕回外拘縮
2: 中手指節間関節伸展拘縮
3: 脊柱側弯変形
4: 股関節外転拘縮
5: 膝関節屈曲拘縮
脳卒中患者の摂食・嚥下障害で誤っているのはどれか。
1: 急性期に高頻度にみられる。
2: 体位調節は誤嚥防止に役立つ。
3: 仮性球麻痺があると生じやすい。
4: 水はペーストよりも誤嚥しやすい。
5: 右側の咽頭麻痺では顔を左に向けて食べさせる。
神経疾患と振戦の組合せで正しいのはどれか。
1: パーキンソン病-姿勢時振戦
2: ウィルソン病-安静時振戦
3: 無酸素性脳症-羽ばたき振戦
4: 脊髄小脳変性症-企図振戦
5: ハンチントン病-運動時振戦
麻痺のない大脳半球損傷患者の病態と検査所見との組合せで適切なのはどれか。
1: 観念運動失行-お茶を入れるまねができない。
2: 観念失行-他者の指の形を模倣できない。
3: 運動維持困難-閉眼で舌を出させると目が開いてしまう。
4: 運動消去現象-感覚刺激に反応して片手を挙上できない。
5: 着衣失行-衣類のボタンやポケットの意味が分からない。
脳卒中患者の嚥下障害について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 片側性大脳病変では発生しない。
2: 延髄病変で生じやすい。
3: 改訂水飲みテストで評価する。
4: むせなければ安全な嚥下と判断する。
5: 飲み物にとろみをつけるとむせやすい。
外傷性脳損傷後の障害と訓練・対応との組合せで適切なのはどれか。
1: 記憶障害 − 作業工程が多い種目とする。
2: 半側空間無視 − 無視側からの刺激を多くする。
3: 注意障害 − 作業工程の展開を速くする。
4: 遂行機能障害 − 毎回新しい作業活動を準備する。
5: 社会的行動障害 − 新しい集団への参加を促す。
右延髄背外側部の脳梗塞による障害で認められるのはどれか。
1: 左内反足
2: 右下垂足
3: 右の痛覚脱失
4: 左の深部感覚障害
5: 右下肢の運動失調
中等度の片麻痺患者に対する前開きカッターシャツの着衣動作指導の導入として正しいのはどれか。
1: 立位保持が可能となってから開始する。
2: ぴったりしたサイズのものを選択する。
3: 非麻痺側の袖から通す。
4: 麻痺側の袖は肩まで引き上げる。
5: ボタンは真ん中から留める。
頸髄損傷の急性期合併症として誤っているのはどれか。
1: 排尿障害
2: 麻痺性イレウス
3: 胃潰瘍
4: 異所性骨化
5: 起立性低血圧
56歳の女性。右利き。脳出血で右片麻痺となり、保存的療法にて発症後7日が経過した。意識は清明。右上肢および手指はBrunnstrom法ステージⅠ。右肩関節に軽度の亜脱臼を認めるが、疼痛や浮腫はない。現時点でこの患者の右上肢に行う治療として最も適切なのはどれか。
1: 筋再教育訓練
2: 利き手交換訓練
3: 間欠的機械圧迫
4: 渦流浴
5: パンケーキ型装具装着
中等度の片麻痺を生じた脳梗塞患者に対する急性期の理学療法で正しいのはどれか。
1: 良肢位保持のため、麻痺側の股関節を外旋位とする。
2: 麻痺側の肩関節に対する関節可動域運動は、早期から全可動範囲で行う。
3: 他動的関節可動域運動では、素早く麻痺肢を動かして伸張反射を誘発する。
4: 覚醒した患者では、麻痺の進行が止まっていれば座位訓練を開始する。
5: 非麻痺側の筋力増強訓練は、麻痺の回復を阻害する。