臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
ICUは重症患者の救命・全身管理を行う部門であり、即時の生命維持・蘇生対応に直結する機器を常時稼働できる状態で備える必要がある。連続心電図監視を含む心電計(心電図モニタ)、人工呼吸器、除細動器、体外式心臓ペースメーカ(経皮・経静脈ペーシング装置を含む)は、心肺蘇生や循環・呼吸管理に不可欠なためICUの常備機器に該当する。一方、脳波計は痙攣評価や鎮静深度の評価などで有用だが、常時全床で使用する機器ではなく、必要時に搬入・共有して運用されることが多いため、ICUに必ずしも常備する必要はない。従って、常備しなくてもよい機器は脳波計である。
選択肢別解説
心電計(心電図モニタを含む)は不整脈や虚血の早期検知に不可欠で、重症患者の連続監視に用いられるためICUの常備機器に該当する。従って「常備しなくてもよい」には当てはまらない。
人工呼吸器は呼吸不全や術後管理、気道確保後の換気補助に必須であり、ICUでは即時使用可能な状態で複数台を常備するのが一般的である。よって常備は必要である。
脳波計は痙攣の診断や非けいれん性てんかん重積の評価、鎮静深度の把握などで有用だが、全患者に常時必要な装置ではない。多くの施設では必要時に搬入・共有して運用するため、ICUに必須の常備機器とはいえない。したがって本設問における『常備しなくてもよい機器』に該当する。
除細動器は心室細動・無脈性心室頻拍への即時対応に不可欠で、ICUでは常備品として配置する必要がある。従って「常備しなくてもよい」には当たらない。
(ここでいう)心臓ペースメーカは体外式ペースメーカを指すのが一般的で、重度徐脈や伝導障害時の緊急ペーシングに必要である。ICUでは経皮・経静脈ペーシングを即時実施できるよう常備すべき装置であるため、常備不要とはいえない。
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解説
ICUで用いられる人工呼吸器は、陽圧換気を安全かつ安定に実施するために、(1)吸気・呼気を切り替え、呼気を外部へ排出しつつPEEPを付与する呼気弁系、(2)換気の安全監視と制御のための気道内圧モニタ(圧センサ・アラーム系)、(3)医療用空気と酸素を所定の比で混合して設定FiO2を供給する酸素濃度調節装置(ブレンダ)などを備える。ICUの人工呼吸器は開放(半開放)回路で再呼吸を前提としないため、麻酔器の循環回路で用いる二酸化炭素吸収装置(ソーダライム等)は構成要素に含まれない。またピンインデックスシステムは小型ガスボンベの誤接続防止規格であり、人工呼吸器本体の構成要素とはいえない。
選択肢別解説
正しい。呼気弁は呼気相に患者回路を大気(排気系)へ開放し、さらにPEEPを精密に制御する中核部品で、現代のICU用人工呼吸器に必須である。
正しい。気道内圧モニタはPIPやプラトー圧、PEEPなどを監視し、過圧や回路異常をアラームで検出する。圧規定・量規定いずれの換気でも安全確保に不可欠である。
正しい。酸素濃度調節装置(酸素・空気ブレンダ)はO2とAirを混合し、設定FiO2の吸入ガスを供給するための基本構成要素である。
誤り。二酸化炭素吸収装置は麻酔器の循環(閉鎖)回路で再呼吸時にCO2を除去するためのもので、ICUの人工呼吸器(開放・半開放回路)には通常用いられない。
誤り。ピンインデックスシステムは小型ガスボンベ用の誤接続防止規格(ヨーク式接続)であり、人工呼吸器本体の構成要素ではない。ICUでは中央配管からガス供給されるのが一般的である。
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解説
人工心肺装置の各回路・機器の主目的に基づく整合性を問う問題。冠灌流回路は心筋保護液(カリウム高濃度の心停止液など)を大動脈基部や冠動脈口、冠静脈洞経由で注入するための回路であり、心腔の減圧は目的としない。一方、ベント回路は左室や心腔内の血液・気泡を吸引して心腔内圧を減少させ、左室過伸展の防止や手術野の安定化を図るもので、心筋保護液の注入は行わない。血液濃縮器は限外濾過により希釈による余剰水分を除去し、動脈フィルタは微小気泡や凝血片などの異物を除去する。血液吸引回路は術野・心腔内の出血を回収して体外循環リザーバに戻す。以上より、誤った組合せは「1: 冠灌流回路—心内圧の減少」と「5: ベント回路—心筋保護液の注入」である。
選択肢別解説
誤りの組合せ。冠灌流回路は心筋保護液(カーディオプレジア)を冠循環へ注入する回路であり、心内圧の減少は目的ではない。心腔の減圧や左室過伸展防止はベント回路が担う。
正しい組合せ。血液濃縮器(ヘモコンセントレーター)は限外濾過により余剰水分や一部溶質を除去し、希釈是正や水分バランス調整を行う(ECUM/UF)。
正しい組合せ。動脈フィルタは送血ラインに設置され、微小気泡や微小凝血塊などの異物を捕捉・除去し、塞栓リスクを低減する。
正しい組合せ。血液吸引回路(サクション/カーディオトミーサクション)は術野や心腔内に出た血液を吸引・回収し、貯血槽へ戻す目的で用いられる。
誤りの組合せ。ベント回路は心腔内(とくに左室や左房など)を吸引して減圧・脱気し、左室過伸展を防止するのが主目的。心筋保護液の注入は冠灌流回路(大動脈基部・冠動脈口・冠静脈洞経由)で行う。
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解説
テスト肺は人工呼吸器の患者側に接続して用いる模擬肺で、換気動作が設定どおりに出力されているか(圧・流量・回数・トリガ応答など)を負荷をかけた状態で確認するための道具である。したがって、患者回路側で観察できる回路内圧、換気回数、トリガ感度はテスト肺で確認できる。一方、電源電圧や医療ガス供給圧は供給側(入力側)の点検項目であり、内蔵計や外部計測器で確認すべき内容で、テスト肺の接続は前提でも必須でもない。以上より、回路内圧・換気回数・トリガ感度が該当する。
選択肢別解説
電源電圧は人工呼吸器の電源・電気系統の点検項目であり、テスト肺(患者側負荷)を接続しても評価対象とはならない。電圧は内蔵監視やテスター等で確認する。したがってテスト肺でチェックできる項目ではない。
医療ガス供給圧は供給源(ボンベ・中央配管)からの入力圧で、圧力計や人工呼吸器の供給圧表示で確認する。これは供給側の点検であり、テスト肺(患者側負荷)の有無に依存しないため、テスト肺でチェックする項目ではない。
回路内圧(ピーク圧、プラトー圧、PEEP など)は、テスト肺を接続して換気させることで実測・表示により確認できる。設定と表示が整合するか、過圧やリークの有無も併せて評価可能である。
換気回数(RR)は、テスト肺を接続して実際に換気させ、表示・波形や動作音などで1分当たりの回数が設定値と一致するかを確認できる。
トリガ感度は、テスト肺側で陰圧や流量変化を与える(テスト肺を軽く引く、回路を一時的に開放して負圧を作る等)ことで、設定感度で確実に呼吸器がトリガされるかを確認できる。
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解説
各機器と代表的な副作用・障害の対応関係を問う問題。輸液ポンプではセット不良などによりポンプ停止中でも重力で液が流出するフリーフローが起こり得る。電気メスは高周波電流を用いるため周辺機器や植込みデバイスへの電磁障害を惹起することがある。人工呼吸器は過大な気道内圧や過換気により肺の圧損傷(気胸等)を生じ得る。IABPは大動脈疾患や挿入操作を契機に大動脈解離のリスクがある。一方、超音波凝固切開装置は超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で切開・凝固を行い、患者体内に高周波電流を流さず対極板を使用しないため、対極板装着部での熱傷という事象は成立しない。ゆえに5が誤った組合せである。
選択肢別解説
輸液ポンプ — フリーフローは妥当。輸液チューブの固定不良やアンチフリーフローデバイスの不作動などで、ポンプ停止時でもバッグと患者の落差により重力で液が流れる現象が起こり得る。重大な過量投与につながるため、セット手順の確認と装置側の防止機構が重要。
電気メス — 電磁障害は妥当。電気メスは高周波電流を使用し、リード線等を介して周辺機器に電磁ノイズが混入することで、モニタのアーチファクトやペースメーカ等の誤作動を生じ得る。適切なアース、配線取り回し、間欠使用などで低減を図る。
人工呼吸器 — 圧損傷は妥当。過大な気道内圧や過膨張により肺胞破裂、縦隔気腫、気胸などのバー外傷(圧損傷)が発生し得る。適切なPplatの管理、低一回換気量戦略、PEEP最適化などで予防する。
IABP — 大動脈解離は妥当。大動脈病変の存在や不適切な挿入・留置により内膜損傷を契機として解離を生じるリスクがある。適応選択、挿入前の画像評価、抵抗感がある場合の無理な進行回避が重要。
超音波凝固切開装置 — 対極板装着部の熱傷は誤り。超音波凝固切開装置は45–55 kHz程度の超音波振動による機械的エネルギーと摩擦熱で組織を切開・凝固し、高周波電流の回路を形成しないため対極板を使用しない。よって対極板装着部での熱傷という事象は起こり得ない(熱傷はあっても先端部の熱など局所に限られる)。
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