臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
内視鏡システムは、管腔臓器(食道・胃・大腸・気管支など)の粘膜表面=表在性病変の観察に優れ、先端の鉗子孔(ワーキングチャネル)から各種処置具を挿入できるため、観察と同時に治療(ポリペクトミー、止血、EMR/ESD 等)が可能である。電子内視鏡では撮像にCCDが広く用いられてきた(近年はCMOS採用機もあるが、CCD使用は正しい)。挿入部は患者の粘膜に接触する半クリティカル器具であり、症例ごとに洗浄・高水準消毒(例:グルタラール、OPA、過酢酸等)が必須である。導光用ファイバは光を伝送するため、石英ガラスなどのグラスファイバ(光ファイバ)が用いられ、炭素繊維は用いられない。
選択肢別解説
誤り。挿入部は患者の粘膜に接触するため交差感染防止の観点から症例ごとに洗浄・高水準消毒が必須である。グルタラールやOPA、過酢酸などを用いた高水準消毒手順がガイドラインで推奨されており、「消毒不要」は不適切。
誤り。導光用ファイバ(ライトガイド)は光を効率よく伝送する目的で石英ガラスなどの光ファイバ(グラスファイバ)が用いられる。炭素繊維は強度・軽量化など構造材として用いられる素材であり、導光用途には適さない。
正しい。内視鏡にはワーキングチャネルがあり、スネア、鉗子、注射針、止血クリップなどの処置具を挿入して、観察下でポリペクトミー、止血、EMR/ESD、異物摘出などの治療を同時に実施できる。
正しい。内視鏡は食道・胃・大腸などの管腔臓器における粘膜表層=表在性病変(ポリープ、早期癌など)の診断に広く用いられる。拡大観察や色素内視鏡、狭帯域光(NBI)等で表在病変の評価能が高い。
正しい。電子内視鏡では先端部に搭載した撮像素子で画像化する方式が主流で、CCD(電荷結合素子)が広く使用されてきた。近年CMOS採用機もあるが、CCDが使用されるという記述は正しい。
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解説
各治療機器が患者に与える主作用エネルギーを対応づける問題。低周波治療器は皮下組織へ低周波電流を流す電気刺激装置であり、音波は用いない。ESWLは体外で発生させた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)を結石に集束させて破砕するため、電磁波ではない。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射する。冷凍手術器は液体窒素や圧縮ガスの断熱膨張などで強い低温を発生させ、熱エネルギーを奪う(熱的作用)。IABPはバルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)で循環補助を行う。したがって正しい組合せは「光線治療器—光」「冷凍手術器—熱」「IABP—圧力」である。
選択肢別解説
誤り。低周波治療器は皮膚電極から低周波電流を流す電気刺激装置であり、主作用エネルギーは電気(電流)。音波は用いない。
誤り。ESWLは結石に焦点を合わせた衝撃波(音響的な圧力波=機械的エネルギー)で破砕する。臓器に入る主作用は電磁波ではない。
正しい。光線治療器は赤外線・可視光などの光(電磁波)を照射し、生体に光・温熱作用を与える。
正しい。冷凍手術器は極低温で患部から熱を奪い凍結壊死を起こす熱的作用(低温)。「熱」のカテゴリに含められる。
正しい。IABPは大動脈内バルーンの拡張・収縮による圧力(機械的エネルギー)変化を利用して冠灌流と後負荷を調節する。
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解説
超音波凝固切開装置は、圧電素子の超音波振動(おおむね45〜55kHz)でブレード先端を微小振幅で往復させ、組織との摩擦で熱を発生させて蛋白凝固と切開を同時に行う機器である。先端振幅はミリメートルではなく数十マイクロメートル(例: 50〜100$\mu$m)と極めて小さい。発生温度は概ね70〜100℃で、電気メス先端で生じやすい150℃以上の高温・炭化に比べ低温で、煙や側方熱損傷が少ないため、内視鏡外科(腹腔鏡下など)で広く用いられる。一方、骨のような硬組織の切開には一般に有効ではない。
選択肢別解説
誤り。超音波凝固切開装置のブレード先端振幅はおよそ50〜100$\mu$m(0.05〜0.1mm)程度であり、1〜3mmのようなミリメートルオーダーではない。ミリメートル級の振幅は実機仕様とかけ離れており、過大で組織損傷が増大してしまう。
正しい。一般的な装置は約45〜55kHzの周波数帯(“50kHz前後”)で駆動される。この超音波振動が機械的エネルギーを組織に伝達し、摩擦熱と蛋白変性を惹起する。
正しい。超音波凝固切開装置の作用温度はおおむね70〜100℃で、電気メス先端部で生じやすい150〜200℃以上の高温に比べ低温であるため、炭化や煙の発生、側方熱損傷が少ない。
正しい。切開と凝固を同時に行え、発煙や側方熱損傷が少ない特性から、腹腔鏡下などの内視鏡外科手術で頻用される。中小血管(目安として数mm径)までの止血・シールにも適する。
誤り。装置は軟部組織の切開・凝固に適するが、骨のような硬組織の切開には一般に不向きである。骨切開には鋸・ドリルや専用の超音波骨手術装置(別系統の機器)が用いられる。
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解説
治療機器が利用する物理エネルギーの対応関係を問う問題。電気メスは300 kHz〜数MHzの高周波電流を患部に流し、そのジュール熱で切開・凝固を行うため「電気メス―高周波電流」が正しい。心臓ペースメーカは心筋へ低周波の電気刺激(パルス電流)を与える装置であり、マイクロ波(電磁波の一種)は用いない。レーザメスはレーザ光(光エネルギー)を照射して熱作用などを利用するため、電子線ではない。ESWLは体外から音響衝撃波(音波の一種)を結石に収束させて破砕するため、赤外線ではない。IABPはヘリウムなどで駆動するバルーンの拡張・収縮という機械的力(圧補助)を用いるため、音波ではない。
選択肢別解説
誤り。心臓ペースメーカは心筋に低周波の電気刺激(パルス電流)を与えて捕捉・ペーシングを行う装置であり、マイクロ波(電磁波の高周波域)を治療エネルギーとして用いない。
正しい。電気メスは約300 kHz〜5 MHzの高周波電流を組織に流し、ジュール熱により切開・凝固・止血を行う。高周波化により神経・筋刺激を回避しつつ熱作用を得る。
誤り。レーザメスはレーザ光(可視・赤外などの光、電磁波の一部)を照射して熱・光化学作用で切開・凝固する。電子線(荷電粒子線)は放射線治療などで用いられ、レーザメスのエネルギーではない。
誤り。ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は体外で発生させた音響衝撃波(音波)を焦点に収束して結石を破砕する。赤外線(電磁波)は用いない。
誤り。IABP(大動脈内バルーンパンピング)は駆動ガスによりバルーンを拡張・収縮させる機械的圧補助で冠動脈灌流の増加と後負荷軽減を図る。音波は治療エネルギーとして用いない。
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解説
治療機器が用いる物理エネルギーは大きく電磁波(例:$\gamma$線, RF, マイクロ波)、粒子線(例:電子線, 陽子線)、圧力(陽圧)などに分類できる。ガンマナイフは$\gamma$線(電磁波)であり粒子線ではない。温熱治療は通常、RFやマイクロ波などの電磁波や超音波による加温であり、紫外線は主に表在の光化学作用を目的とし深部加温には適さない。マイクロ波治療器は電磁波(マイクロ波)による加温・凝固に用いる。サイクロトロンは荷電粒子を加速する装置で、治療用の電子線や陽子線などの粒子線ビームの源として用いられる。高気圧酸素治療装置は2〜3 ATA程度の陽圧環境を与えて高濃度酸素を吸入させる治療であり、『陽圧』がエネルギー要素である。以上より、正しい組合せは3, 4, 5である。
選択肢別解説
誤り。ガンマナイフは$\gamma$線(電磁波)を収束させて照射する装置であり、陽子線や重粒子線などの『粒子線』ではない。よって『ガンマナイフ ― 粒子線』は不適切。
誤り。温熱治療器はRF(短波/極超短波)やマイクロ波などの電磁波、あるいは超音波エネルギーで組織を加温する。紫外線は主に光化学作用・表在への作用で深部加温には適さず、温熱治療の主エネルギーではない。
正しい。マイクロ波治療器はマイクロ波(例:2.45 GHz帯など)の電磁波を用いて組織を誘電加熱し、加温や凝固・切開等に利用するため、『マイクロ波治療器 ― 電磁波』は妥当である。
正しい。サイクロトロンは荷電粒子を加速する加速器であり、治療用ビームとしての粒子線(電子線や陽子線など)の発生源となり得る。臨床の電子線治療は直線加速器が一般的だが、機器とエネルギーの対応として『サイクロトロン ― 電子線(粒子線)』は成立する。
正しい。高気圧酸素治療装置は高濃度酸素を2〜3 ATA前後の『陽圧』環境で吸入させる治療であり、エネルギー(物理要因)は陽圧である。従って『高気圧酸素治療装置 ― 陽圧』は適切。
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解説
超音波凝固切開装置は、先端(アクティブブレード)をおよそ45〜55 kHzで機械振動させ、その摩擦熱と機械的作用で組織のタンパク質を変性(およそ70〜100℃)させて凝固しつつ切開する。小血管のシール・止血が可能で、内視鏡外科で広く用いられる。一方、電気メスより低温域で作用するため、一般に凝固・切開の速度は電気メスほど速くない。よって「電気メスに比べて短時間で凝固切開が可能」は不正確であり誤りである。
選択肢別解説
正しい。一般的な超音波凝固切開装置は先端のアクティブブレードを約45〜55 kHzで振動させ、機械エネルギーを熱(摩擦熱)と機械的せん断に変換して切開・凝固を行う。
正しい。摩擦熱により組織温度は概ね70〜100℃に達し、タンパク質が変性・凝固して止血(コアギュラム形成)が得られる。電気メスより低温で作用する点が特徴で、熱障害の広がりが比較的小さい。
正しい。小口径の血管はブレードで把持・圧迫しながらエネルギーを加えることでシールされ、出血を止めることができる(対応可能径は機種・設定に依存するが、一般的に細い血管で有効)。
誤り。超音波凝固切開は電気メスより低温域(約70〜100℃)で作用し、熱の立ち上がりや組織シール形成に要する時間が相対的に長くなる傾向があるため、一般に電気メスの方が切開・凝固は短時間で行える。従って本記述は不適切。
正しい。内視鏡外科手術(腹腔鏡手術など)で広く用いられ、把持・剥離・凝固・切開を同一器具で連続的に行えるため、器具交換の頻度を減らせる利点がある。
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解説
本問は治療機器・治療法とその主たる作用原理の対応を問う。誤りは「光線力学的治療—蒸散」。光線力学的治療(PDT)は光感受性物質を投与し、特定波長の光照射で一重項酸素などの活性酸素種を発生させて腫瘍細胞へ細胞毒性を与える光化学反応が主作用である。蒸散はレーザー熱作用による組織の気化・凝固・炭化といった熱的アブレーションであり、PDTの機序とは異なる。その他の組合せは、ガンマナイフ(放射線:Co-60のγ線を多方向から集中)、新生児黄疸の光療法(ビリルビンの光異性化・光分解=光化学反応)、ジェットネブライザ(ベンチュリー効果で薬液吸引・微粒化)、低圧持続吸引器(ダイアフラム式等の機械ポンプで陰圧発生)として妥当である。
選択肢別解説
正しい組合せ。ガンマナイフは多数のCo-60線源からのγ線(放射線)を定位的に収束させ、標的に高線量を与える定位放射線治療である。作用原理は放射線。
誤っている組合せ。光線力学的治療(PDT)は光感受性物質に光を照射して一重項酸素などの活性酸素を発生させ、腫瘍細胞に細胞毒性を及ぼす光化学反応が主作用である。蒸散はレーザー熱作用による組織の気化・蒸発でありPDTの主機序ではない。
正しい組合せ。新生児黄疸の光療法は、ビリルビンに光を当てて光異性化・光分解を起こし、水溶性の異性体(例:ルミルビリン)へ変換して排泄を促す光化学反応を利用する。
正しい組合せ。ジェットネブライザは高速のジェット気流により狭窄部で圧が低下するベンチュリー効果を用いて薬液を吸い上げ、気流のせん断で微粒化(エアロゾル化)する。
正しい組合せ。低圧持続吸引器はダイアフラム式やロータリーベーン式などの機械ポンプで安定した低陰圧を発生させ、持続吸引を行う。
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解説
各医用機器が取り扱う物理エネルギーの組合せを吟味する問題。超短波治療器は高周波電磁波(短波:おおむね30〜300 MHz、代表周波数27.12 MHzなど)を用いて深部加温するため「高周波」で適合。筋刺激装置は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり「光」は不適合。X線装置が出力するX線は電磁波であって粒子線ではないため「粒子線」は不適合。ネブライザは方式により圧縮空気(ジェット)または超音波を利用し、超音波ネブライザという分類が確立しているので「超音波」は適合。除細動器は単相性または二相性の高電圧パルス(短時間の電流パルス波形)を出力するため「パルス波」で適合。したがって誤っている組合せは2と3である。
選択肢別解説
適切。超短波治療器(短波・極超短波治療器)は高周波の電磁波を用いて生体組織を加温する。代表周波数として27.12 MHzなどが用いられ、高周波電磁エネルギーに分類される。
不適切。筋刺激装置(TENS、NMESなど)は電気刺激(電流パルス)で神経・筋を興奮させる機器であり、用いるエネルギーは電気である。光エネルギーは光線療法やレーザ治療器に該当し、筋刺激装置の原理とは一致しない。
不適切。X線装置が患者に照射するのはX線(電磁波)であり粒子線ではない。X線は管内で加速した電子(粒子)をターゲットに衝突させて二次的に発生させるが、患者に与えるエネルギーは電磁波である。粒子線治療は陽子線・炭素イオン線など別種の装置に該当する。
適切。ネブライザは薬液を微粒化して吸入させる機器で、方式としてジェット(圧縮空気)と超音波があり、超音波ネブライザは実在する分類であるため「超音波」の組合せは妥当。
適切。除細動器は致死性不整脈に対し、単相性または二相性の短時間高電圧パルス(パルス波形)を出力して心筋を同時再分極させる機器であり、「パルス波」の組合せは妥当である。
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解説
超音波凝固切開装置は、数十kHz(代表例として約45〜55kHz)で振動するブレードの機械的振動エネルギーを組織に直接伝え、主に摩擦・せん断作用で組織タンパク質を変性・凝固させつつ切開する機器である。発生する組織温度は一般に約70〜100℃と比較的低く、高周波電気メスに比べて炭化や周辺組織への熱損傷が少ないことが特徴である。したがって「組織温度は800℃前後になる」は機器の実際と乖離しており誤りである。他の選択肢は本装置の基本的特性を正しく述べている。
選択肢別解説
正しい。超音波凝固切開装置は超音波振動するブレードを組織に当て、機械的振動エネルギーを直接組織へ伝達して作用する。これにより組織のせん断・圧縮と摩擦が生じ、切開と凝固が得られる。
正しい。振動ブレードと組織の相対運動により摩擦熱が生じ、局所のタンパク質が変性・凝固して止血が得られる。熱発生は高周波メスより低温域で制御されることが多く、熱損傷が少ない。
誤り。超音波凝固切開装置で上昇する組織温度は一般に約70〜100℃であり、800℃前後に達することは想定されない。比較的低温で凝固・切開が可能な点が本装置の特徴である。
正しい。超音波振動による機械的作用と摩擦熱により、切開と同時に凝固(止血)効果が得られるため、出血を抑えつつ切開を進められる。
正しい。周辺組織への熱拡散が比較的少なく、煙や炭化も抑えられるため、腹腔鏡などの内視鏡手術で広く用いられている。
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解説
超音波凝固切開装置(例:ハーモニックスカルペルなど)は、金属ブレードを数十kHz帯で機械的に振動させ、組織との微小な摺動により発生する摩擦熱と機械エネルギーで蛋白を変性・凝固させつつ切開する。電気メスのように高周波電流を組織へ流さないため発煙や熱拡散が比較的少なく、止血と切開を同時に行える。腹腔鏡手術を含む一般外科で、血管・神経近傍の剥離や小血管(おおむね数mm径)の凝固切離に広く用いられる。
選択肢別解説
正しい。超音波凝固切開装置は数十kHz帯の機械振動を用いる(代表的には約55 kHz)。本選択肢の「20〜200 kHz」は装置間の幅を含めた表現として妥当範囲に含まれ、原理に合致する。
正しい。プローブ先端の機械的振動により組織との間に摩擦熱が生じ、蛋白変性による凝固と同時に切開が進む。電流を流してジュール熱を得る電気メスとは原理が異なる。
誤り。超音波凝固切開装置は体腔内外の外科手術で組織へ外科器具として直接当てて使用するもので、カテーテルとして血管内に挿入するデバイスではない。
誤り。側方熱損傷が比較的少なく、血管・神経近傍の繊細な層を意識した剥離操作に適しているため、「適さない」は不適切。
誤り。小口径血管の封止(凝固)と切離を同時に行えるのが本装置の特長であり、止血能を活かして血管の凝固切離が可能である。
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解説
超音波凝固切開装置(いわゆるハーモニックスカルペル等)は、おおむね45〜55 kHz程度の機械的超音波振動をブレードに与え、組織との摩擦・圧縮によりコラーゲンなどのタンパク質を変性・収縮させてシール(凝固)しつつ切開する装置である。電気メスのように患者体内へ高周波電流を流さないため対極板は不要であり、基本的に洗浄液の持続灌流も必要としない(灌流を要するのは超音波吸引装置など別装置)。本装置は安定した止血能により比較的太い血管(一般的に数mm径まで)をシールしながら切離できる。一方、作動時の組織温度は概ね60〜100℃程度で、レーザメスが生体内で発生し得る温度(条件により高温化し得る)と比較して常に高温というわけではない。
選択肢別解説
誤り。超音波凝固切開装置の作動周波数は通常おおむね45〜55 kHz(数十kHz帯)であり、1 MHz(=1,000 kHz)は桁違いに高い。
誤り。高周波電流を患者に流して加熱する電気メスと異なり、機械的振動による摩擦・圧縮熱で凝固切開するため対極板は不要である。
誤り。超音波凝固切開装置は原理上、持続的な洗浄液灌流は必要としない。生理食塩液の灌流を用いるのは主に超音波吸引(粉砕・吸引)装置である。灌流はむしろ熱を奪いシール性能を阻害し得る。
正しい。ブレード振動による摩擦・圧縮でコラーゲンが変性・収縮し、凝固塊が形成されて血管断端がシールされるため、比較的太い血管(一般に数mm径まで)の凝固切開が可能である。ただし非常に大きな動脈にはクリップ・結紮・ステープル等が選択される。
誤り。超音波凝固切開装置の作動時温度は概ね60〜100℃程度で、レーザメスの組織加熱(条件により高温化)より常に高いとはいえない。凝固はどちらもおおむね60〜70℃付近から生じるため、「超音波の方が高温」と断定はできない。
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解説
マイクロ波手術装置は、主にISM帯の2.45GHz(2,450MHz)のマイクロ波をマグネトロンで発生させ、電極周囲の組織中の水分子の誘電加熱によって凝固・止血を行う機器である。高周波電気メスのように患者体内を流れる電流回路で熱を発生させる方式ではないため、電流を回収するための大きな対極板は不要である。また切開能より凝固・止血能を重視する設計であり、鋭利な切開には適さない。さらに、凝固による組織の付着対策として、機種により直流電流を用いる組織解離装置を併用し、付着組織を解離させる運用がある。以上より、誤りは「対極板が必要」と「鋭利な切開に適する」の記述である。
選択肢別解説
正しい。医療用マイクロ波手術装置では、家庭用電子レンジと同じISM帯の2.45GHz(2,450MHz)が一般的に用いられる。これは誘電加熱効率と法規制(ISM帯)に適合するためである。
正しい。マイクロ波の発生源としてマグネトロンが広く用いられてきた。近年は半導体発振器の例もあるが、装置としてマグネトロン採用は妥当な記述である。
正しい。強い凝固作用により電極へ組織が付着しやすいため、機種によっては直流電流を利用する組織解離装置を併用して付着組織を解離・剥離する運用があると説明される。記述は適切である(採用の有無は機種差あり)。
誤り。マイクロ波手術装置は電極周囲の組織を誘電加熱する方式で、電気メスのように患者を介して電流を回収する回路を必要としない。そのため大きな面積の対極板(分散電極)は不要である。
誤り。マイクロ波手術装置は凝固・止血作用を主目的としており、鋭利な切開には適さない。切開能を重視するなら電気メスの切開モード等が適する。
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解説
本問は生体と光の相互作用に関する基礎知識を問う。誤りは3と4である。血液(ヘモグロビン)は可視域で強い波長依存性の吸収を示すため透過率は一定ではない(3は誤り)。また近赤外域(約700〜1000 nm)はヘモグロビンと水の吸収が比較的弱く、生体透過性が高い「光の窓」であり、ヘモグロビンが“よく吸収する”とはいえない(4は誤り)。一方、紫外線は長波長(UVA)ほど皮膚深部に到達しやすく(1は正しい)、生体高分子(核酸・タンパク質)は紫外域に強い吸収を示す(2は正しい)。遠赤外線は主として水に吸収され熱として作用するため、生体作用は熱的作用が主体である(5は正しい)。
選択肢別解説
正しい。紫外線の中では波長が長いUVA(約320〜400 nm)が皮膚への深達度が高く、真皮まで到達しうる。短波長のUVB・UVCは表層で強く吸収・散乱され深達しにくい。
正しい。生体高分子は紫外域に強い吸収を示す。核酸は約260 nm、タンパク質(芳香族アミノ酸を含む)は約280 nm付近に吸収極大をもつ。
誤り。血液中のヘモグロビンは可視域に顕著な吸収帯をもち(例:青紫域の強い吸収、緑〜黄域の吸収帯)、吸収係数は波長で大きく変化するため、可視域での血液の光透過率は一定ではない。
誤り。近赤外域(おおむね700〜1000 nm)はヘモグロビンや水の吸収が相対的に弱く、生体透過性が高い“光の窓”として利用される。したがってヘモグロビンが近赤外線を“よく吸収する”とはいえない。
正しい。遠赤外線は水によく吸収され分子振動を介して熱に変換されるため、生体作用は主として熱的作用となる。
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解説
ISM周波数帯は、産業・科学・医療機器が通信以外の目的(加熱・誘電加熱・照射など)で高周波エネルギーを用いることを前提に各国で許容された周波数帯で、代表例に13.56MHz、27.12MHz、2.45GHz、5.8GHzなどがある。医療ではマイクロ波手術器(マイクロ波凝固・止血装置)が2.45GHz帯などのISMバンドを用い、組織の誘電損失加熱によって凝固・止血を行う。一方、超音波吸引装置は機械的超音波、除細動器は主に大電流の直流パルス、レーザ治療装置は光(光周波数帯)、心電図テレメータは通信のための割当周波数を用いるため、いずれもISMバンドの高周波エネルギーを治療エネルギーとして用いる装置ではない。以上より該当するのはマイクロ波手術器である。
選択肢別解説
誤り。超音波吸引装置は圧電素子の逆圧電効果で数十kHz程度の機械的超音波振動を発生させて乳化・吸引する。用いているのは機械的(音響)エネルギーであり、ISM周波数帯の電磁波エネルギーではない。
誤り。除細動器はコンデンサに蓄えた電荷を短時間に放電して心筋に大電流のパルス(実質的に直流)を与える装置であり、ISMバンドの高周波電磁エネルギーは用いない。
誤り。レーザ治療装置は光学域(可視・赤外など)の電磁波を用いる。ISM周波数帯は無線周波(RF〜マイクロ波)に関する帯域であり、光学的レーザは該当しない。
正しい。マイクロ波手術器は通常2.45GHzなどのISMバンドを用いる。組織内で誘電損失による加熱(誘電加熱)を生じさせて凝固・止血を行う、典型的なISM帯エネルギー利用機器である。
誤り。心電図テレメータは生体情報を無線で送る通信機器で、国内では医用テレメータ用に割り当てられた周波数帯(主に400MHz帯など)を用いるのが一般的であり、治療用としてISMバンドの高周波エネルギーを利用する装置ではない。
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