臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
レーザの医療応用は波長・作用機序(光化学作用、光熱作用、選択的光凝固など)に依存する。ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜実質の分子結合を切断するフォトアブレーションにより角膜形状を精密に変化させ、PRK/LASIK 等の近視矯正に用いられる。半導体レーザ(630〜680 nm)は光増感剤(ポルフィリン系630 nm、タラポルフィン664 nm など)を励起して活性酸素を生じさせる光線力学療法(PDT)に適する。Dye(色素)レーザ(主に585〜595 nm)はオキシヘモグロビンの吸収ピークに合わせ、選択的光凝固で血管性病変の「あざ」を治療する。一方、CO2レーザ(10.6 µm)は水への強吸収により切開・蒸散向けで、尿管結石破砕は主にHo:YAG(約2.1 µm)が標準。Nd:YAG(1.064 µm)は深部まで届き凝固・止血や腫瘍焼灼に用いられ、一般的な疼痛治療の第一選択ではない。
選択肢別解説
正しい。ArFエキシマレーザ(193 nm, 紫外域)は角膜実質のフォトアブレーションにより熱影響を最小限に角膜を精密切除でき、PRK/LASIKなどの近視矯正に用いられる。
誤り。CO2レーザ(10.6 µm)は水への強い吸収により表層で切開・蒸散に適するが、尿路内での結石破砕には適さない。尿管結石破砕には石英ファイバで伝送でき、結石に有効なHo:YAGレーザ(約2.1 µm)が一般的に用いられる。
誤り。Nd:YAGレーザ(1.064 µm)は深達性が高く凝固・止血や内視鏡的腫瘍治療に適する。疼痛治療は主に低出力レーザ(He-Ne 632.8 nmやGaAlAs半導体 780〜830 nm など)が用いられ、Nd:YAGは一般的ではない。
正しい。半導体レーザ(約630〜680 nm)は光増感剤を励起して活性酸素を発生させるPDTに使用される。代表例はポルフィマーナトリウム(約630 nm)やタラポルフィンナトリウム(約664 nm)。
正しい。Dye(色素)レーザ(主に585〜595 nm)はオキシヘモグロビンの吸収に一致し、選択的光凝固でポートワイン母斑などの血管性病変の「あざ」治療に用いられる。波長可変性からPDTに応用される場合もあるが、本組合せは適切である。
解説
医用レーザは波長と組織の光学特性(吸収・散乱・深達度)により適応が決まる。ArFエキシマ(193 nm)は角膜の蛋白・水に強く吸収されるため極めて浅い層を精密にアブレーションでき、PRK/LASIKなど視力矯正に用いられる。Nd:YAG(1064 nm)は深達度が比較的大きく凝固・止血作用が強く、光ファイバで内視鏡下に導光して止血・腫瘍凝固に広く使われる。Ho:YAG(2.1 µm)は水吸収が高く浅い層で切開・蒸散でき、関節鏡視下手術や泌尿器科の結石破砕で用いられる。CO2(10.6 µm)は強い水吸収で表層の切開・蒸散に優れるが眼内透過せず網膜治療には不適。Er:YAG(2.94 µm)も水吸収が極めて高く、歯科硬組織や皮膚表面の蒸散・剥離に適するが、一般に『あざ(色素性・血管性病変)』の治療はQスイッチルビーやアレキサンドライト、Nd:YAGなど色素選択性のある波長が用いられる。
選択肢別解説
正しい。ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜実質の浅層を高精度にアブレーションでき、PRKやLASIKなどの屈折矯正手術で視力矯正に用いられる。熱影響が小さく平滑な切除が可能。
誤り。CO2レーザ(10.6 µm)は水に強く吸収され表層で切開・蒸散に用いられる。眼内透過性が低く網膜に到達しないため網膜剥離治療(網膜光凝固)には不適で、歴史的にはアルゴンや半導体、Nd:YAGの周波数変換(532 nm など)が用いられる。
誤り。Er:YAG(2.94 µm)は水吸収が非常に高く、歯科硬組織の切削や皮膚表面のアブレーション(リサーフェシング)に適する。一方、『あざ(色素性・血管性病変)』には選択的光熱融解を狙うQスイッチルビー(694 nm)、アレキサンドライト(755 nm)、Nd:YAG(532/1064 nm)などが一般的である。
正しい。Nd:YAG(1064 nm)は深達度が比較的大きく凝固・止血作用が強い。光ファイバで導光できるため内視鏡下での出血点凝固・腫瘍凝固などに広く使用される。
正しい。Ho:YAG(2.1 µm)は水への吸収が高く浅い層で効率よく切開・蒸散できる。関節鏡視下手術での軟部組織処置や整形領域、さらに尿路結石破砕・前立腺手術などで用いられる。
解説
レーザと生体組織の相互作用は主に波長依存の吸収(主吸収体: 水、ヘモグロビン、メラニン)で決まる。Arレーザ(可視域 488/514.5 nm)は眼内媒体を透過して網膜へ到達し、網膜色素や血管(ヘモグロビン)で吸収され光凝固に用いられる。ArFエキシマレーザ(193 nm, 深紫外)は角膜表層で強く吸収され、光化学的アブレーションにより角膜切除(PRK/LASIK)に用いられる。CO2レーザ(10.6 µm, 遠赤外)は水への吸収が極めて大きく侵達が浅いため切開・蒸散に適し、深部凝固には不向き。低出力半導体レーザ(mW級)は創傷治癒促進・鎮痛などの光生体刺激が主体で切開には出力不足。Nd:YAG(1064 nm)は可視より散乱・吸収が小さく相対的に侵達が深く、He-Ne(633 nm)より組織侵達度が大きい。
選択肢別解説
正しい。Arレーザ(主波長 488/514.5 nm)は眼球内媒体を透過し網膜に到達、網膜色素や血管内ヘモグロビンでよく吸収され、網膜光凝固に広く用いられる(糖尿病網膜症など)。
正しい。ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜表層で強く吸収され、光化学的アブレーションにより角膜組織を極めて浅く高精度に除去する。屈折矯正手術(PRK/LASIK)の角膜切除に利用される。
誤り。CO2レーザ(10.6 µm)は水への吸収が極めて大きく、エネルギーはごく表層で吸収される。深部には届きにくいため深部凝固ではなく、主に切開・蒸散用途に適する。
誤り。低出力半導体レーザ(mW〜数百mW級)は光生体刺激(鎮痛、血行改善、創傷治癒促進)を目的とし、組織切開に必要な出力・エネルギー密度を満たさない。精密切開には高出力レーザが必要である。
正しい。Nd:YAGレーザ(1064 nm)は水やヘモグロビンによる吸収が比較的低く散乱も少ないため、可視域のHe-Ne(633 nm)より相対的に深く組織へ侵達する。
解説
レーザーの医療応用は、波長と生体内吸収(主に水・ヘモグロビン・メラニンなど)の違いで用途が決まる。CO2レーザ(10.6 µm)は水への強吸収により表層でエネルギーが熱に変わり、切開・蒸散に適する。Nd:YAGレーザ(1,064 nm)は生体での吸収が比較的低く深達度が高いため、深部の凝固・止血に向く。一方、Arレーザ(488/514 nm)は網膜での吸収が良好で網膜光凝固に用いられ、ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜で強く吸収され角膜実質を精密にアブレーションできるため近視矯正(LASIK等)に用いられる。色素(Dye)レーザ(約585–595 nm)はヘモグロビン選択吸収を利用し血管性病変(あざ・血管腫など)に用いられる。したがって正しい組合せは「CO2レーザ—切開」「Nd:YAGレーザ—凝固止血」である。
選択肢別解説
誤り。Ar(アルゴン)レーザ(488/514 nm)は網膜で吸収されやすく、網膜光凝固(糖尿病網膜症など)に用いられる。近視治療は適応ではない。近視矯正は角膜で吸収されるエキシマレーザ(ArF 193 nm)による角膜アブレーションが代表的。
誤り。ArFエキシマレーザ(193 nm, 紫外)は角膜実質に強く吸収され、角膜形成術(PRK/LASIKなど)で近視矯正に用いられる。紫外は角膜で吸収されるため網膜まで到達せず、網膜光凝固には適さない。
正しい。CO2レーザ(10.6 µm, 遠赤外)は水に強く吸収され、表層での熱作用により組織の切開・蒸散に適する。熱拡散が浅く、止血効果も一定程度得られる。
正しい。Nd:YAGレーザ(1,064 nm, 近赤外)は深達度が高く、組織深部での熱凝固に有効で止血・凝固に適する。内視鏡治療などでも広く用いられる。
誤り。色素(Dye)レーザ(約585–595 nm)はヘモグロビンに選択的に吸収され、血管腫やポートワイン母斑などの血管性病変治療に用いられる。疼痛治療は一般に低出力レーザ(半導体レーザなど)での光生体調節が対象で、Dyeレーザの主適応ではない。
解説
医用レーザは波長と組織の吸収特性により用途が決まる。網膜光凝固は主に可視域のArレーザ(青緑)やKTP(Nd:YAGの第2高調波 532 nm)などが用いられる。一方、Nd:YAG(1064 nm)は深達性が高く凝固・止血や後嚢切開(後発白内障処置)などが代表適応で、網膜光凝固の第一選択ではない。エキシマレーザ(193 nm)は角膜のアブレーション(PRK/LASIK)に用いる。CO₂レーザ(10.6 µm)は水への吸収が極めて高く、皮膚・耳鼻咽喉・消化管内視鏡などで切開・蒸散に用いられる。半導体レーザ(GaAlAsなどの近赤外、低出力)は光生体調節を介した疼痛緩和などに用いられる。以上より「半導体レーザ ― 疼痛治療」が正しい。
選択肢別解説
誤り。Nd:YAG(1064 nm)は深達性が高く、凝固・止血、後嚢切開などに用いられるのが一般的である。網膜光凝固には主に可視域のArレーザ(青緑)やKTPレーザ(Nd:YAGの第2高調波 532 nm)が用いられるため、提示の組合せは適切でない。
誤り。白内障手術の基本は超音波乳化吸引(近年は一部工程でフェムト秒レーザ補助)であり、Arレーザは網膜光凝固など眼底治療に用いられる。したがってArレーザと白内障手術の組合せは不適切。
誤り。エキシマレーザ(主に193 nm)は角膜表面のアブレーション(PRK/LASIKなど)に用いられる。脱毛処理に一般的なのはアレキサンドライト(755 nm)、半導体(約800〜810 nm)、Nd:YAG(1064 nm)などであり、エキシマレーザではない。
誤り。CO₂レーザ(10.6 µm)は水への吸収が非常に大きく、皮膚や粘膜の切開・蒸散に適する。一方、角膜切除術(屈折矯正手術)にはエキシマレーザ(193 nm)が用いられるため、組合せは不適切。
正しい。半導体レーザ(GaAlAsなど、近赤外域)の低出力タイプは光生体調節(photobiomodulation)を介して疼痛緩和・炎症軽減などの目的で広く用いられる。
解説
医用レーザは波長と組織吸収(主に水・ヘモグロビン・メラニン)により適応が異なる。Arレーザは488/514 nmの可視(青~緑)で網膜色素上皮・血管に吸収され網膜光凝固に用いられる。ArFエキシマレーザは193 nmの紫外で角膜実質を高精度に蒸散し近視矯正(PRK/LASIKのアブレーション)に用いる。Nd:YAGレーザ(1,064 nm)は深部まで届き凝固・止血能が高く石英ファイバ伝送が可能で、内視鏡下の腫瘍蒸散・止血などに広く用いられる。CO2レーザ(10.6 µm)は水に強く吸収され表層切開・蒸散向きで鎮痛治療は適切でない。He-Neレーザ(632.8 nm)は低出力で主に不可視レーザのガイド光に用いられ、凝固止血には通常用いない。以上より1・2・5が正しい。
選択肢別解説
正しい。Arレーザは488/514 nm(青・緑)の可視光で、メラニンやヘモグロビンに吸収されやすく網膜光凝固に用いられる(糖尿病網膜症、網膜裂孔など)。
正しい。ArFエキシマレーザは193 nmの紫外光で角膜表面を光化学的に蒸散(アブレーション)し、近視矯正手術(PRK/LASIK)に用いられる。
誤り。CO2レーザ(10.6 µm)は水への吸収が極めて大きく、表層での切開・蒸散・凝固に適する。鎮痛治療の主流は低出力の半導体レーザなどであり、CO2レーザを鎮痛目的で用いるのは不適切。
誤り。He-Neレーザ(632.8 nm)は低出力の赤色光で、CO2レーザなど不可視レーザの照準用ガイド光として用いられる。凝固止血能は乏しく、止血・凝固にはNd:YAGや高出力の可視~近赤外レーザを用いる。
正しい。Nd:YAGレーザ(1,064 nm)は組織深達性があり強力な凝固・止血能を持つ。石英ファイバで伝送できるため、内視鏡下での腫瘍蒸散・止血などのがん治療に用いられる。
解説
誤りは「Nd:YAGレーザ ― 除痛治療」。Nd:YAGレーザ(1064 nm)は主に組織凝固・切開・止血、眼科の後嚢切開、内視鏡治療など高出力用途で用いられる。一般に疼痛緩和の低出力レーザ治療(LLLT)ではHe-Neレーザ(632.8 nm)や半導体レーザ(GaAlAsなど、可視〜近赤外の低出力)が標準的に使われ、Nd:YAGとの組合せは不適切である。その他の組合せは、波長と標的色素(メラニン・ヘモグロビン)や光反応機序に適合しており妥当である。ArFエキシマ(193 nm)は角膜実質の光化学的アブレーションにより屈折矯正の角膜切除に用いられ、ルビー(694 nm)はメラニン選択で黒あざ等の色素性病変に、Ar(488/514 nm)はヘモグロビン吸収を利用した網膜光凝固に、アレキサンドライト(755 nm)はメラニン選択により脱毛に用いられる。
選択肢別解説
正しい。ArFエキシマレーザ(193 nm, 深紫外)は角膜実質に対し光化学的アブレーションを起こし、屈折矯正手術(PRK/LASIK等)の角膜切除に用いられる。熱的損傷が少なく高精度な切除が可能。
誤り。Nd:YAGレーザ(1064 nm)は高出力での組織凝固・切開、眼科の後嚢切開、内視鏡的止血などに用いられるのが一般的で、除痛を目的とする低出力レーザ治療の主流ではない。疼痛緩和にはHe-NeレーザやGaAlAs半導体レーザなど低出力機器が標準的に用いられる。
正しい。ルビーレーザ(694 nm)はメラニンに選択的に吸収され、黒あざ(太田母斑など)や刺青などの色素性病変の治療に用いられる。Qスイッチで選択的光熱融解を狙う。
正しい。Ar(アルゴン)ガスレーザ(488/514.5 nm, 青〜緑)はヘモグロビン吸収が強く、網膜血管の凝固・止血に適しており、網膜光凝固に広く用いられてきた(現在は半導体等も使用)。
正しい。アレキサンドライトレーザ(755 nm)はメラニン選択性が高く、毛包のメラニンに吸収させて選択的に障害を与えるため、医療脱毛に広く用いられる。
解説
医療用レーザは波長と組織吸収特性により適応が異なる。CO₂レーザ(10,600 nm, 遠赤外)は水に強く吸収され浅層でエネルギーが留まるため切開・蒸散に適し、眼底の網膜凝固には用いない。Dye(色素)レーザは波長可変で、光感受性物質(例:フォトフリン)を630 nm付近で励起する光線力学療法(PDT)に用いられる。ArFエキシマレーザ(193 nm, 紫外)は光化学的アブレーションで熱影響が小さく、角膜表面の精密切除(PRK/LASIK)に用いられる。Nd:YAGレーザ(1,064 nm, 近赤外)は深達性が高く凝固・止血に有効で内視鏡治療などで用いられる。Ar(アルゴン)レーザ(488/514 nm, 青緑)はメラニンやヘモグロビンに吸収され、眼科での網膜光凝固が主用途で切開には用いない。ゆえに正しい組合せは2, 3, 4である。
選択肢別解説
誤り。CO₂レーザ(10,600 nm)は水に強く吸収され表層でエネルギーが消費されるため、組織の切開・蒸散に適する。一方、網膜凝固は可視域(緑~青緑)を用いるArレーザなどが適応であり、CO₂レーザは網膜凝固には用いない。
正しい。Dye(色素)レーザは波長可変で、光感受性物質を特定波長で励起して細胞傷害を起こす光線力学療法(PDT)に用いられる。代表例としてフォトフリンを630 nm付近で励起して腫瘍や新生血管を選択的に治療する。
正しい。ArFエキシマレーザ(193 nm)は紫外光による光化学的アブレーションで熱影響が小さく、角膜表面をミクロン単位で整形する角膜切除(PRK/LASIK)に用いられる。
正しい。Nd:YAGレーザ(1,064 nm)は組織深部への透過性が高く、強力な凝固・止血効果を示すため、内視鏡的止血などで広く用いられる(適応は凝固・止血)。
誤り。Arレーザ(488/514 nm)はメラニンやヘモグロビンに吸収され、眼科での網膜光凝固が主用途である。切開用途には一般に適さない。
解説
医用レーザの適応は主に波長と生体側の主吸収体(水・ヘモグロビン・メラニンなど)の吸収特性で決まる。ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜のアブレーション(PRK/LASIK)に用いられ、冠動脈形成術(ELCA)に用いられるエキシマはXeCl(308 nm)である。Ar(アルゴン)レーザ(488/514 nm)は網膜光凝固に用いられ、Ruby(694 nm)はメラニン吸収が強く、しみ・あざ・刺青など色素性病変治療が主。Nd:YAG(1,064 nm)は近赤外で深達性が比較的大きく、内視鏡下での腫瘍の凝固・蒸散・止血などが可能でがん治療に用いられる。CO2レーザ(10.6 µm, 遠赤外)は水への吸収が極めて高く、ごく浅層にエネルギーが集中するため、切開・蒸散に適する。以上より、正しい組合せは「Nd:YAGレーザ—がん治療」「CO2レーザ—切開」である。
選択肢別解説
誤り。ArFエキシマレーザ(193 nm)は角膜切除術(PRK/LASIK)に用いられる。冠動脈形成術(ELCA)で主に使われるのはXeClエキシマレーザ(308 nm)であり、ArFではない。
誤り。Ar(アルゴン)レーザは主に網膜光凝固(糖尿病網膜症など)に用いられる。あざ(色素性病変)の治療にはメラニン吸収の強いRubyレーザやアレキサンドライトレーザなどが適する。
誤り。Rubyレーザ(694 nm)はメラニンに強く吸収され、しみ・あざ・刺青除去などの色素性病変治療に用いられる。一方、網膜凝固はアルゴンレーザ(緑〜青緑)などが適応となる。
正しい。Nd:YAGレーザ(1,064 nm)は近赤外で生体深部まで比較的到達し、凝固・止血・蒸散に優れることから、内視鏡的腫瘍治療(気道・消化管など)や出血制御などのがん治療に用いられる。
正しい。CO2レーザ(10.6 µm, 遠赤外)は水への吸収が非常に高く、表層に作用が集中して熱拡散が浅いため、外科での切開・蒸散に広く用いられる。
a. 光線力学的治療 — 半導体レーザ
b. 角膜形成術 — ArF エキシマレーザ
c. 網膜光凝固 — CO₂レーザ
d. 内視鏡的癌治療 — Arレーザ
e. 尿路結石破砕 — Ho:YAGレーザ
解説
医用レーザは作用機序と組織光学特性に応じて使い分ける。光線力学的治療(PDT)は光化学作用をねらい、赤色域(約630〜665 nm)の半導体レーザを用いるのが標準で適切。角膜形成術(PRK/LASIKの角膜表面蒸散)には、極浅い侵達で精密に角膜をアブレーションできるArFエキシマレーザ(193 nm)が適切。網膜光凝固は主に可視域のアルゴンレーザ(488/514 nm)や周波数変換Nd:YAG(532 nm)などを用い、強い水吸収で眼内伝播しないCO2レーザ(10.6 µm)は不適切。内視鏡的癌治療はPDT(半導体/色素)や凝固・蒸散目的のNd:YAG/半導体レーザが主流で、Arレーザの使用は一般的ではない。尿路結石破砕にはHo:YAGレーザ(2.1 µm)が標準で、パルス照射により結石を微細破砕できる。したがって誤った組合せは「網膜光凝固—CO2レーザ」と「内視鏡的癌治療—Arレーザ」。
選択肢別解説
正しい組合せ。光線力学的治療(PDT)は腫瘍親和性の光感受性物質を投与し、赤色域(約630〜665 nm)の半導体レーザで励起して活性酸素を発生させ腫瘍を障害する。臨床では半導体レーザ(例: 630–664 nm)が広く用いられる。
正しい組合せ。角膜形成術(PRK/LASIK)ではArFエキシマレーザ(193 nm)の光解離(フォトアブレーション)作用で角膜実質をサブミクロン精度で蒸散し屈折矯正する。水への強い吸収と極浅い侵達が利点で、角膜表層のみを精密加工できる。
誤った組合せ。網膜光凝固は主にアルゴンレーザ(488/514 nm)やKTP/SHG Nd:YAG(532 nm)など可視域のレーザを用いて網膜色素・血色素で吸収させ熱凝固する。CO2レーザ(10.6 µm)は水吸収が極めて強く眼内へ到達せず、切開・蒸散向けで網膜光凝固には不適。
誤った組合せ。内視鏡的癌治療はPDT(半導体/色素レーザ)や熱凝固・蒸散目的のNd:YAG(1064 nm)・半導体レーザが標準である。Arレーザ(アルゴンイオン: 488/514 nm)は主に眼科の網膜光凝固に用いられ、内視鏡的腫瘍治療としては一般的でない。
正しい組合せ。Ho:YAGレーザ(2.1 µm)は水・組織での吸収が強いパルスレーザで、光音響・熱的作用により尿路結石を効率的に破砕する。現在の内視鏡的砕石の標準機種である。
解説
CO2レーザは気体レーザで、一般に放電(直流・高周波・パルス放電)励起で発振する。医用の代表波長は $10.6\mu\text{m}$(遠赤外)で、水に極めて強く吸収されるため、組織表面でエネルギーが急峻に減衰し、切開・蒸散に優れる一方、深部への凝固は弱い。シリカ系光ファイバはこの波長をほぼ透過できないため、導光は多関節ミラーアーム(マニピュレータ)が基本である。従って波長・吸収特性・伝送方式に関する選択肢は正しいが、太い動脈(内径2 mm)レベルの出血制御は困難であり不適切である。
選択肢別解説
誤り。CO2レーザは気体レーザで、一般に放電励起(直流・高周波・パルス放電)を用いる。フラッシュランプ励起は主として固体レーザ(例:Nd:YAG)で用いられる方式であり、CO2レーザの標準的励起法ではない。
正しい。医用CO2レーザの主発振線は $10.6\mu\text{m}$(遠赤外)である(他に $9.6\mu\text{m}$ 付近の遷移もあるが、一般的臨床機は $10.6\mu\text{m}$ を用いる)。
正しい。CO2レーザ光は水分(液体水・組織内水分)に強く吸収され、吸収係数が大きいため表層で急速に減衰する。その結果、表面選択的に加熱・蒸散・切開作用が得られる。
正しい。 $10.6\mu\text{m}$ はシリカガラスや水で強く吸収されるため一般的な光ファイバ伝送はできず、手術装置では多関節ミラーアーム(マニピュレータ)で導光するのが基本である(特殊な中空導波路等もあるが標準ではない)。
誤り。CO2レーザは切開・蒸散に優れるが深部凝固は弱く、太い動脈(内径2 mm)の拍動性出血を確実に止血するのは困難である。一般にこのレベルの動脈出血には結紮・クリップや凝固作用の強い他レーザ(Nd:YAG 等)・電気メスなどが適する。
解説
誤っているのは選択肢3。半導体レーザの出射光は発散が大きく、受け入れ角の大きい(開口数が大きい)光ファイバで効率よく導光できるため、高NA(おおむね0.37〜0.45程度)のファイバが用いられる。開口数の小さいファイバでは結合効率が低下し実用的でない。その他の記述は、CO2レーザがCO2を含む混合ガスの放電励起で発振すること、Nd:YAGレーザがYAG結晶中のNd3+イオンの遷移で発振すること、不可視レーザの照準に可視のHe-Neレーザをガイド光として用いること、ArFエキシマレーザに腐食性のフッ素ガスが含まれることのいずれも正しい。
選択肢別解説
正しい。CO2レーザはCO2を含む混合ガス(一般にCO2・N2・Heなど)に放電(DCやRF)を加えて励起し、10.6 µmを中心とする赤外線を発振する。医療では切開・蒸散などに用いられる。
正しい。Nd:YAGレーザはYAG結晶のYサイトをNd3+でドープした固体レーザで、Nd3+イオンのエネルギー準位遷移により1064 nmなどで発振する(励起はフラッシュランプや半導体レーザ)。
誤り。半導体レーザの出射は数値開口が大きく発散も大きいため、導光には大きな開口数(高NA)の光ファイバを用いるのが適切である。開口数の小さなファイバでは受け入れ角が小さく、結合効率が悪化する。
正しい。Nd:YAG(1064 nm)など不可視のレーザ照射位置を視認するため、可視赤色のHe-Neレーザ(632.8 nm)をガイド光(エイミングビーム)として重ねて用いる。
正しい。ArFエキシマレーザはArとF2などの混合ガスを用いる。フッ素は強い酸化性・腐食性を有するため、装置材質や取扱いに配慮が必要である。