70歳の男性。3年前に右手の振戦によってParkinson病を発症し、在宅で治療を行っている。ADLは自立していたが、1か月前に風邪をひいてから歩く速さが遅くなり、歩行の際に一歩めが思うように前に出ず、歩き出してからも前方に転びそうになることが多いという。在宅での理学療法における歩行指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 両下肢に弾性包帯を装着する。
2: 足関節に重錘バンドを装着する。
3: 一歩目を小さく前に出すよう指導する。
4: 床にはしご状の目印を付けてまたがせる。
5: かけ声などをかけてもらいながら歩くよう指導する。
75歳の女性。日常の買物は独歩で外出していたが、階段で転倒し歩行不能になった。大腿骨頸部内側骨折と診断され、骨セメントを使用した人工骨頭置換術が施行された。理学療法で誤っているのはどれか。
1: 術直後の関節可動域訓練は股関節内転を避ける。
2: 術翌日から大腿四頭筋の等尺性筋力増強訓練を行う。
3: 合併症がなければ術後1週以内に立位訓練を開始する。
4: 部分荷重1/3開始と同時に階段昇降訓練を開始する。
5: 術前後を通して呼吸機能の維持・向上を図る。
スポーツ傷害と理学療法との組合せで誤っているのはどれか。
1: 膝蓋軟骨軟化症-膝屈曲位での大腿四頭筋強化
2: ハムストリングス断裂予防-ストレッチング
3: 脛骨疲労骨折-PTB免荷装具
4: 野球肩-PNF
5: テニス肘-アイスマッサージ
28歳の男性。脊髄完全損傷。両側に長下肢装具を使用し、平行棒内歩行練習を行っている。歩行パターンを図に示す。機能残存レベルはどれか。
1: Th1
2: Th6
3: Th12
4: L4
5: S1
20歳の女性。高校卒業後、コンビニエンスストアの仕事についた。2年が経過した頃、人手不足もあり業務に追われる状態が続いた。次第に集中困難、頭が回らない感覚、不眠、動悸や呼吸困難感が現れ始め、休職するに至った。約1か月の自宅療養で呼吸困難感は軽減したが、頭痛、めまいによる歩行のふらつき、不眠が出現し、たえず漠然とした不安に襲われ外に出られなくなった。その様子を心配した家族が本人を連れて精神科を受診し、外来作業療法が導入された。導入時の作業療法で最も適切なのはどれか。
1: 全身のストレッチ
2: 高負荷の歩行訓練
3: ワークサンプル法による職業訓練
4: 遂行機能に対する認知リハビリテーション
5: 社会生活技能訓練〈SST〉による接客場面のロールプレイ
59歳の女性。脳梗塞発病後、小梗塞の再発を繰り返し精神症状が前景化したため、精神科病院に転院になった。記銘力障害があるが、理解力や判断力は日によって波がある。言語がやや不明瞭で、移動は小刻み歩行である。この患者の病態で正しいのはどれか。
1: 仮性認知症
2: 早発認知症
3: まだら認知症
4: 全般性認知症
5: 視床性認知症
集中治療室での急性期リハビリテーションに関して正しいのはどれか。
1: 安全面から歩行練習は行わない。
2: squeezingでは呼気時に肺を圧迫する。
3: 頭部挙上位は全身状態が安定してから開始する。
4: 総腓骨神経麻痺の発生予防には踵部の除圧が重要である。
5: 体位排痰法では痰の貯留部位を下にした姿勢を保持する。
45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、ときに転倒することがあるという。この患者に指導する内容として適切なのはどれか。
1: 背臥位でのストレッチ
2: 眼球運動による前庭刺激運動
3: 立位での下肢筋力増強
4: 外的リズムに合わせた平地歩行
5: T字杖を使用した応用歩行
電気刺激療法の適応とならないのはどれか。
1: 脳卒中片麻痺患者の歩行における足背屈補助
2: 変形性膝関節症による疼痛の軽減
3: 末梢性顔面神経麻痺の機能回復
4: 脊髄損傷の起立動作補助
5: 褥瘡の組織修復の促進
39歳の女性。多発性硬化症。発症から4年が経過。寛解と再燃を繰り返している。MMTは両側の上肢・下肢共に4。軽度の両側視神経炎を伴い、疲労の訴えが多い。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1: 陶芸で菊練りを行う。
2: 木工作業で椅子を作る。
3: ビーズ細工でピアスを作る。
4: 卓上編み機でマフラーを編む。
5: 細かいタイルモザイクのコースターを作る。
8歳の男児。デュシェンヌ型筋ジストロフィー。動揺性歩行を呈し、手すり使用で階段昇降可能。床からの立ち上がりでは登はん性起立がみられる。この時期の理学療法で正しいのはどれか。2つ選べ。 ア.車椅子駆動練習イ.大腿四頭筋の筋力維持訓練ウ.傾斜台での下腿三頭筋の持続伸張エ.シューホーンブレース装着での歩行オ.ナイト型装具装着での立位バランス訓練
1: ア
2: イ
3: ウ
4: エ
5: オ
22歳の男性。外傷性頸髄損傷後6か月経過。ダニエルスらの徒手筋テストは、肘関節屈曲5、肘関節伸展2、手関節屈曲1、手関節伸展4、手内筋0、下肢0。ベッドへの移乗が自立したので、図の車椅子に患者を座らせて、屋内で使用する車椅子を検討した。適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 背もたれを肘台と同じ高さまで低くした。
2: 駆動輪の車軸を20 cm後方に移した。
3: 駆動輪を14インチに変更した。
4: 足台をスウィングアウト式に変更した。
5: ブレーキをトグル式に変更した。
70歳の男性。2年前に脳卒中による左片麻痺を発症した。Brunnstrom法ステージは上肢と手指はⅡで、下肢はⅢである。左半側空間無視を認める。FIMでは、セルフケアの6項目と移乗の3項目は4点で、車椅子での移動項目は3点である。自宅でのリハビリテーションに際し優先されるべき目標はどれか。
1: 移乗動作の向上
2: 屋内杖歩行の自立
3: 左手指機能の向上
4: 車椅子駆動操作の自立
5: 左半側空間無視の改善
25歳の男性。頸髄完全損傷。手指屈曲拘縮以外の関節可動域制限はない。書字の際のボールペンを把持した場面を示す。片手では困難で、両手でボールペンを保持する動作が観察された。このような動作を行う頸髄損傷患者のZancolliの四肢麻痺上肢機能分類の最上位レベルはどれか。
1: C5A
2: C6A
3: C6B3
4: C7A
5: C8B
深部腱反射の亢進がみられるのはどれか。2つ選べ。
1: 重症筋無力症
2: 多発性硬化症
3: 筋萎縮性側索硬化症
4: 筋強直性ジストロフィー
5: Duchenne型筋ジストロフィー
疾患と術後理学療法との組合せで誤っているのはどれか。
1: 頸椎椎間板ヘルニア-頸椎モビライゼーション
2: 反復性肩関節前方脱臼-肩甲下筋ストレッチング
3: 肘部管症候群-手内筋筋力強化
4: コーレス骨折-自己他動的手関節伸展運動
5: 上腕骨頸部(近位部)骨折-コッドマン体操
87歳の女性。転倒による大腿骨近位部骨折に対する手術後。理学療法を行っているが、筋力増強の効果が不十分で全身の持久性も低下している。下肢の浮腫を認めたため主治医へ報告したところ、栄養障害はあるが内科的な併存症はないといわれた。理学療法を行う上で、特に参考となる血液検査所見はどれか。
1: アルカリフォスファターゼ
2: クレアチニン
3: 空腹時血糖
4: アルブミン
5: 赤血球
70歳の男性。パーキンソン病。ヤールの重症度分類ステージIII。理学療法で誤っているのはどれか。
1: 関節可動域運動を行う。
2: 呼吸訓練を行う。
3: 背中を押して歩行を介助する。
4: メトロノームを利用して歩行練習を行う。
5: マット上で起き上がり練習を行う。
腕神経叢麻痺全型損傷(完全麻痺)に対する肋間神経の筋皮神経移行術後における作業療法で誤っているのはどれか。
1: 術直後から肩関節をゼロポジションに保つ。
2: 拘縮予防のための手スプリントを作製する。
3: 呼吸に合わせて、肘関節の屈曲訓練を行う。
4: 入浴時に肘関節の屈曲伸展運動を指導する。
5: 腋窩(上腕と体幹)で物をはさむ訓練を行う。
急性心筋梗塞患者の自宅療養期の運動療法で正しいのはどれか。
1: 心筋負荷量設定には拡張期血圧が良い指標となる。
2: この時期の運動療法によって壊死部の再生が期待できる。
3: 運動強度は最大心拍数のおよそ30%が適している。
4: 下肢の筋力強化は静的収縮の多い種目を選ぶ。
5: 散歩は時間と速度とを決めて行う。