臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
麻酔中に呼吸回路が脱離すると、患者に機械換気が伝わらず、回路内の圧と流量・換気量が直ちに低下あるいは消失し、呼気終末二酸化炭素分圧(EtCO2)も急速に低下してカプノグラムが平坦化する。これらは脱離の早期発見に直結する指標である。パルスオキシメータのSpO2低下は体内酸素貯蔵(肺内・血液内)の消費を経るため遅れて現れやすいが、異常の検出自体には有用である。心電図モニタは回路脱離そのものの直接指標ではなく、低酸素血症や循環変動が進行した後に二次的なリズム変化として現れるため、早期発見には有用でない。
選択肢別解説
換気量計は回路脱離で吸気・呼気の流量が途絶し、1回換気量/分時換気量が急減するため早期発見に有用である。したがって「有用でない」には該当しない。
気道内圧計は回路が外れると圧が大気圧近傍まで急減し、低圧アラームも作動するため、脱離の早期発見に有用である。よって「有用でない」には該当しない。
カプノメータでは回路脱離により肺胞換気が保てず、EtCO2が急速に低下しカプノグラムが平坦化するため、早期発見に極めて有用である。従って「有用でない」には該当しない。
パルスオキシメータはSpO2低下で異常を検出できるが、FiO2や体内酸素貯蔵量によって低下が数分遅れ得る。それでも脱離検出には一定の有用性があるため、「有用でない」には該当しない。
心電図モニタはリズムや心拍数の監視が主目的で、呼吸回路脱離の直接指標ではない。変化が出るとしても低酸素血症や循環不全が進行した後の二次的所見であり、早期発見には有用でないため設問の該当肢である。
解説
ICUでは急性期管理に直結する指標を連続的または高頻度で監視する。代表例は心電図、血圧(観血的・非観血的)、体温、尿量、SpO2、EtCO2、必要に応じて動脈血ガスなどである。肺活量はスパイロメータによる呼吸機能検査で、患者の協力を要し連続監視には向かないため、ICUの常時モニタリング項目には含まれない。したがって「モニタリングしない生体情報」は肺活量である。
選択肢別解説
心電図は不整脈や虚血の早期検出のためICUで連続モニタリングされる。よって「モニタリングしない生体情報」には該当しない。
肺活量は呼吸機能検査(スパイロメトリ)で測定する指標で、患者の自発的努力を要し連続監視はできない。ICUの常時モニタリング対象ではないため設問の該当である。
体温は感染・炎症や体温管理(低体温療法等)に関わる重要指標で、ICUで継続的または高頻度に測定・記録される。したがって「しない」には当たらない。
尿量は腎機能や循環動態の指標であり、導尿と尿量計で時間尿量としてICUで継続的に監視する。したがって「しない」には当たらない。
血圧は循環動態の中核指標で、観血的動脈圧での連続監視または非観血的反復測定を行う。よって「モニタリングしない」には該当しない。