理学療法士問題表示
理学療法士国家試験
神経・筋系の障害と臨床医学
解説
多発性筋炎は筋肉の炎症性疾患であり、筋力低下や筋痛が主な症状です。血清クレアチンキナーゼ上昇が特徴的な所見です。
選択肢別解説
蝶形紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)の典型的な皮膚症状であり、多発性筋炎とは関係ありません。
多発性筋炎では筋力低下が主な症状であり、深部腱反射は低下や消失することが一般的です。深部腱反射亢進は誤りです。
手袋靴下型感覚障害は末梢性多発性神経障害の典型的な所見であり、多発性筋炎とは関係ありません。
筋電図での高振幅電位波形は多発性筋炎ではなく、筋電図では低振幅電位波形が特徴的です。
多発性筋炎の所見として血清クレアチンキナーゼ上昇が特徴的であり、正解です。また、血清LDH、AST、ALTなども上昇することがあります。
解説
この問題では、痛みとして灼熱感を生じる症状や徴候を選択肢の中から探すことが求められています。正解は視床痛で、脳卒中患者で見られる灼熱感様な疼痛が特徴です。
選択肢別解説
Lhermitte徴候は、多発性硬化症で見られる症状で、頸部前屈により脊椎に沿って下方に放散する電撃痛が生じます。灼熱感とは異なるため、この選択肢は正しくありません。
Morleyテストは、胸郭出口症候群の検査で、鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫することで陽性時に圧痛や前胸部への放散痛が生じます。この選択肢も灼熱感とは関係がないため、正しくありません。
緊張型頭痛は、女性に多く見られる症状で、頭部全体に頭をベルトで締め付けられるような疼痛が生じます。この選択肢も灼熱感とは異なる症状であるため、正しくありません。
Tinel徴候は、末梢神経の損傷部位をたたいたときに、神経の支配領域にチクチク感や蟻走感が生じることを指します。手根管症候群にも同様な症状が出ることからTinel様徴候とも呼ばれます。しかし、これも灼熱感とは異なるため、正しくありません。
視床痛は、脳卒中患者で見られる症状で、灼熱感様な疼痛が特徴です。この選択肢が正解であり、痛みとして灼熱感を生じる症状を表しています。
解説
Tinel徴候は、絞扼部の圧迫によりしびれが誘発される徴候で、手根管症候群の診断に使用されます。他の選択肢はTinel徴候とは関係がありません。
選択肢別解説
視床症候群は、視床膝状体動脈の出血や閉塞が原因で、病巣と反対側の知覚障害や異常な自発痛、不全麻痺、運動失調、片側の舞踏様運動やアテトーゼ様運動が特徴です。Tinel徴候とは関係ありません。
手根管症候群は、手根管内の圧力が高まることで正中神経の絞扼性神経障害が生じる症状で、母指~環指橈側のしびれや知覚低下、猿手、手根管近位のTinel徴候が見られます。このため、Tinel徴候が陽性となる症状は手根管症候群です。
Cushing症候群は、副腎皮質からコルチゾールが過剰に分泌される症状で、満月様顔貌、中心性肥満、皮膚の菲薄化、高血圧、月経異常、多毛、骨粗鬆症などが特徴です。Tinel徴候とは関係ありません。
内側縦束症候群は、多発性硬化症の特徴的な症状で、外転眼の単眼性眼振や内転眼の内転障害、脳幹部の傍正中部病変が見られます。Tinel徴候とは関係ありません。
Shy-Drager症候群は、自律神経症状を初発症状とし、進行すると小脳症状やパーキンソニズムが出現します。主な変性・萎縮部位は自律神経核です。Tinel徴候とは関係ありません。
解説
第7頸髄後根の障害は、上腕三頭筋腱反射の低下を引き起こします。第7頸髄後根は上腕三頭筋に関与しており、その障害により腱反射が低下するためです。
選択肢別解説
下垂手は橈骨神経の障害により生じます。手関節背屈および全指のMP関節伸展が障害されるため、下垂手が生じるのです。
Horner徴候は、第8頸髄レベル~第2胸椎レベルまでの交感神経の障害により生じます。第7頸髄後根の障害とは関係がありません。
腕橈骨筋の萎縮は、第5,6頸椎レベルの障害により生じます。第7頸髄後根の障害とは関係がありません。
上腕三頭筋腱反射の低下は、第7頸髄後根の障害により生じます。第7頸髄後根は上腕三頭筋に関与しており、その障害により腱反射が低下するためです。
上腕二頭筋の線維束性収縮は、第5頸椎レベルの障害により生じます。運動神経や脊髄前角細胞の障害により生じる現象であり、第7頸髄後根の障害とは関係がありません。
解説
視床痛は、脳卒中や脳損傷によって視床が損傷されることで引き起こされる疼痛で、鎮痛剤が効かないことが多い特徴があります。
選択肢別解説
CRPS type Iは視床痛とは別の症状であり、反射性交感神経反射ジストロフィーと呼ばれます。
視床痛の発症頻度は脳卒中患者の約10%程度であり、30%ではありません。
視床痛は脳卒中発症直後から数年経過してまで生じることがありますが、必ずしも直後に生じるわけではありません。
視床痛は鎮痛剤が効かないことが多いため、この選択肢が正しいです。
手部に腫脹を伴うのは肩手症候群であり、視床痛では一般的には見られません。
解説
進行性核上性麻痺は40歳以降に発症する神経変性疾患で、パーキンソニズム、認知症、眼球運動障害が主な症状です。正しい選択肢は垂直方向の眼球運動障害を呈することです。
選択肢別解説
進行性核上性麻痺では延髄は萎縮しません。この選択肢は間違いです。
進行性核上性麻痺では、L-Dopaが著効する場合は除外されます。この選択肢は正しくありません。
進行性核上性麻痺では、頸部のジストニアにより頸部が後屈位となることが一般的です。この選択肢は間違いです。
進行性核上性麻痺では、核上性眼球運動障害により垂直方向の眼球運動障害を呈することが特徴的です。この選択肢が正しいです。
MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下するのはパーキンソン病であり、進行性核上性麻痺では通常正常です。この選択肢は間違いです。
解説
ドケルバン病は狭窄性腱鞘炎で、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の2本の腱が通る腱鞘で炎症が起こり、手関節部に疼痛が出現します。
選択肢別解説
固有示指伸筋腱はドケルバン病とは関係ありません。
尺側手根伸筋腱はドケルバン病とは関係ありません。尺側手根伸筋腱炎はスポーツ選手に多く出現し、過負荷により起こります。
総指伸筋腱はドケルバン病とは関係ありません。上腕骨外側上顆炎に関係し、テニス肘と呼ばれています。
ドケルバン病では長母指外転筋腱に腱鞘炎が起こります。このため、選択肢4が正解です。
長母指伸筋腱はドケルバン病とは関係ありません。
解説
腕神経叢後神経束に関与する筋は、腋窩神経(三角筋, 小円筋)、肩甲下神経(大円筋, 肩甲下筋)、胸背神経(広背筋)、橈骨神経(上腕三頭筋, 肘筋, 腕橈骨筋, 長橈側手根伸筋, 短橈側手根伸筋, 総指伸筋, 小指伸筋, 尺側手根伸筋, 回外筋, 長母指外転筋, 短母指伸筋, 長母指伸筋, 示指伸筋)である。
選択肢別解説
上腕二頭筋は、外側神経束の筋皮神経が支配しているため、腕神経叢後神経束の障害では筋力低下は生じない。
上腕三頭筋は、後神経束の橈骨神経が支配しているため、腕神経叢後神経束の障害で筋力低下が生じる。
大胸筋は、外側神経束の外側胸筋神経が支配しているため、腕神経叢後神経束の障害では筋力低下は生じない。
前鋸筋は、神経叢根の長胸神経が支配しているため、腕神経叢後神経束の障害では筋力低下は生じない。
三角筋は、後神経束の腋窩神経が支配しているため、腕神経叢後神経束の障害で筋力低下が生じる。
解説
ASIAの評価法では、脊髄の髄節とその感覚支配領域検査ポイントの組合せを知ることが重要です。正しい組合せを選ぶことで、脊髄損傷の程度や位置を評価することができます。
選択肢別解説
C5レベルは肘窩外側であり、鎖骨上窩はC3レベルであるため、この組合せは正しくありません。
T4レベルは乳頭(第4肋間)であるため、この組合せは正しいです。
T12レベルは鼠径靱帯の中点であり、臍はT10レベルであるため、この組合せは正しくありません。
L3レベルは大腿骨内側上窩であり、鼠径靱帯はT12レベルであるため、この組合せは正しくありません。
S4レベルは肛門周囲であり、膝窩はS2レベルであるため、この組合せは正しくありません。
解説
多発性硬化症は、中枢神経系における自己免疫疾患であり、神経線維の髄鞘が破壊されることによって神経伝達が障害される。女性に多く、20~30歳代で発症することが多い。
選択肢別解説
正解。多発性硬化症は女性に多く、20~30歳代で発症することが多い。
間違い。実際には、体温が上昇することで神経症状が悪化するUhthoff(ウートフ)徴候が現れる。
間違い。疫学的には高緯度地域で有病率が高く、低緯度地域では有病率が低い。
間違い。Phalenテストは手根管症候群の誘発試験であり、多発性硬化症では陽性とはならない。
間違い。多発性硬化症は自己免疫が原因とされており、免疫不全状態では発症しにくい。

解説
この問題では、疾患と症状の正しい組み合わせを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは血管性認知症と情動失禁です。
選択肢別解説
Alzheimer型認知症ではパーキンソニズムは見られません。パーキンソニズムはLewy小体型認知症で見られる症状です。
血管性認知症では情動失禁が見られます。これは正しい組み合わせです。
進行性核上性麻痺では他人の手徴候は見られません。他人の手徴候は大脳皮質基底核変性症の症状です。
大脳皮質基底核変性症では幻視は見られません。幻視はLewy小体型認知症の初期で見られる症状です。
Lewy小体型認知症ではアテトーゼは見られません。パーキンソニズムや幻視の症状が見られます。アテトーゼは脳性麻痺などが原因で見られる不随意運動です。
解説
この問題では、脳の病変部位とそれに関連する症状を正しく組み合わせることが求められています。正しい組み合わせは、線条体と不随意運動です。
選択肢別解説
黒質は中脳被蓋の最腹側部に位置し、大脳基底核と結合して運動制御に関与します。感覚障害とは直接関係がないため、この選択肢は正しくありません。
視床は特殊核と非特殊核があり、体性感覚に関与します。嗅覚障害とは関係がないため、この選択肢は正しくありません。
赤核は中脳上丘レベルに位置し、運動制御に関わります。摂食嚥下障害とは直接関係がないため、この選択肢は正しくありません。
線条体は尾状核と被殻を合わせたもので、錐体外路に含まれます。障害されると不随意運動や筋緊張の異常を生じるため、この選択肢が正しいです。
扁桃体は側頭葉の前内側に位置し、生物学的価値判断や本能行動の調節に関与します。筋緊張異常とは直接関係がないため、この選択肢は正しくありません。
解説
視床痛は、正常では痛みを引き起こさない非侵害刺激であっても疼痛を感じる状態です。脳卒中や脳損傷後に発症することが多く、他の症状とは区別されます。
選択肢別解説
CRPS(複合性局所疼痛症候群)は視床痛とは別の症状であり、神経損傷の有無によってタイプIとタイプIIに分類されます。視床痛はCRPSには含まれません。
視床痛は脳卒中発症直後から出現するのではなく、損傷から数週間後に発症することが多いため、選択肢2は正しくありません。
視床痛は聴覚刺激で疼痛が緩和するという特徴はありません。むしろ、さまざまな刺激で疼痛が増強することが一般的です。
視床痛は正常では痛みを引き起こさない非侵害刺激であっても疼痛を感じるという特徴があります。これが正しい選択肢です。
Lhermitte徴候は、頭部を前屈した時に四肢や体幹に電気様の放散痛が起こる徴候であり、多発性硬化症にみられる症状です。視床痛とは関係ありません。
解説
この問題では、脳血管障害とそれに対する適切な治療法を組み合わせた選択肢の中から正しいものを選ぶ必要があります。正しい組み合わせは、くも膜下出血とクリッピング手術です。
選択肢別解説
ラクナ梗塞は脳深部に生じる小さな脳組織の壊死で、動脈硬化が原因となります。頸動脈血栓内膜剝離術は頸部内頸動脈狭窄症に適応される治療法であり、ラクナ梗塞には適用されません。
くも膜下出血は脳動脈瘤や動静脈奇形によって生じることが多く、再出血予防のためにクリッピング手術が適応されます。この組み合わせは正しいです。
心原性脳塞栓症は心内血栓形成が原因となる疾患で、血栓溶解療法やカテーテルによる血栓回収療法が適応されます。頸動脈ステント留置術は頸部内頸動脈狭窄症に適応される治療法であり、心原性脳塞栓症には適用されません。
一過性脳虚血発作は短期間で完全に回復する脳虚血症状で、脳梗塞に準じた入院加療が行われます。コイル塞栓術は破裂動脈瘤の治療に適応される方法であり、一過性脳虚血発作には適用されません。
アテローム血栓性脳梗塞は動脈硬化による大血管の狭窄・閉塞が原因で、血栓溶解療法や抗血小板薬が適応されます。アブレーション手術は頻脈性不整脈に適応される治療法であり、アテローム血栓性脳梗塞には適用されません。
解説
Brown-Séquard症候群は脊髄半側の損傷によって引き起こされる症候群で、損傷髄節よりも下位の反対側では痛覚障害と温度覚障害が現れます。
選択肢別解説
運動麻痺は、損傷側の損傷レベル以下に現れるため、反対側ではなく損傷側に現れる症状です。
触覚障害は、損傷側の損傷レベル以下に現れるため、反対側ではなく損傷側に現れる症状です。
痛覚障害は、損傷側の反対側の損傷レベル以下に現れるため、正しい選択肢です。
温度覚障害は、損傷側の反対側の損傷レベル以下に現れるため、正しい選択肢です。
深部覚障害は、損傷側の損傷レベル以下に現れるため、反対側ではなく損傷側に現れる症状です。
解説
脊髄損傷によって生じる排尿障害は、損傷の位置によって核上型神経因性膀胱と核・核下型神経因性膀胱に分類される。核上型では反射性排尿が可能であり、トリガーポイントの叩打による反射性排尿を試みることが適切である。
選択肢別解説
受傷直後は脊髄ショックの状態となり、排尿反射が消失し、尿閉の状態となるため、この選択肢は間違いです。
脊髄損傷によって排尿筋と括約筋の協調が正常に作用しなくなるため、排尿筋括約筋協調不全は生じることがあります。この選択肢は間違いです。
残尿は概ね50 mL以下が理想であり、残尿が150 mLでは導尿が必要となることがあるため、この選択肢は間違いです。
核・核下型神経因性膀胱では導尿が必要となるが、尿道カテーテルの長期留置は慢性の尿路感染症を生じるため、望ましくない。この選択肢は間違いです。
核上型神経因性膀胱では、膀胱にある程度尿が溜まると反射的に排尿筋の収縮が起こり、排尿する状態である。この場合、トリガーポイントの叩打により、体性膀胱反射を利用して反射性排尿を試みるとよい。この選択肢が正しいです。
解説
視神経脊髄炎は、多発性硬化症と同様に、症状の寛解と増悪を繰り返す(時間的多発)疾患である。
選択肢別解説
視神経脊髄炎は再発と寛解を繰り返すことが特徴であり、正しい選択肢です。
レム睡眠行動異常は視神経脊髄炎とは関係がなく、パーキンソン病やLewy小体型認知症などが原因となることが多いため、間違いです。
視神経脊髄炎は免疫不全状態との関連はなく、進行性多巣性白質脳症などが免疫不全状態で罹患しやすい疾患です。
JCウイルス感染は視神経脊髄炎の原因ではなく、進行性多巣性白質脳症の原因となるため、間違いです。
抗コリンエステラーゼ薬は重症筋無力症の対症療法として使用される薬であり、視神経脊髄炎の治療には血液浄化療法などが有用であるため、間違いです。