理学療法士問題表示
理学療法士国家試験
生理学(筋・感覚・神経系)
解説
骨格筋の収縮に関する知識を確認する問題です。筋小胞体の役割や活動電位の関係、神経筋接合部の構造、刺激と収縮の関係、階段現象について理解しておく必要があります。
選択肢別解説
筋小胞体はCa2+を貯蔵しており、筋収縮時に放出されることで筋収縮が引き起こされます。このため、選択肢1は正しいです。
活動電位は筋収縮に先行して発生し、これによって筋収縮が生じます。選択肢2は正しいです。
神経筋接合部にはニコチン受容体が分布し、神経終末から放出されるアセチルコリンが受容体に結合することで筋収縮が引き起こされます。選択肢3は正しいです。
支配神経に単一の刺激を加えると単収縮が起こりますが、強縮は頻回の刺激が必要です。このため、選択肢4は誤りであり、正解です。
単収縮が連続して起こるように反復刺激を加えると、収縮力は次第に大きくなる現象を階段現象といいます。選択肢5は正しいです。
解説
シナプス前膜の脱分極後、カルシウムイオンが軸索終末に流入し、神経伝達物質が放出される。他の選択肢は、神経伝達物質や他のイオンであり、軸索終末に流入するものではない。
選択肢別解説
カルシウムイオンは正解であり、シナプス前膜の脱分極後に軸索終末に流入し、神経伝達物質の放出を促す。
ガンマアミノ酪酸は抑制性神経伝達物質であり、シナプス後膜でガンマアミノ酪酸受容体に結合する。軸索終末に流入するものではないため、誤りである。
グルタミン酸は興奮性神経伝達物質であり、シナプス後膜でグルタミン酸受容体に結合する。軸索終末に流入するものではないため、誤りである。
ナトリウムイオンは軸索での興奮伝導に関与し、シナプス後膜で働く。軸索終末に流入するものではないため、誤りである。
リン酸イオンは細胞内の小胞体膜のイノシトール1,4,5-酸リン酸受容体に結合し、カルシウムイオンの放出に関与する。軸索終末に流入するものではないため、誤りである。
解説
筋線維には大きく分けてTypeⅠとTypeⅡがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。TypeⅠは疲労耐性が高く、解糖系酵素活性が低い遅筋線維で、ミオグロビンやミトコンドリアが多いのが特徴です。一方、TypeⅡは易疲労性があり、解糖系酵素活性が高く、収縮速度が速い速筋線維で、ミオグロビンやミトコンドリアが少ないのが特徴です。
選択肢別解説
易疲労性はTypeⅡの筋線維の特徴であり、TypeⅠの筋線維ではないため誤りです。TypeⅠは疲労耐性が高い筋線維です。
解糖系酵素活性が低いのはTypeⅠの筋線維の特徴であり、正しいです。TypeⅡの筋線維は解糖系酵素活性が高いため、短時間で大きな力を発揮できます。
収縮速度が速いのはTypeⅡの筋線維の特徴であり、TypeⅠの筋線維ではないため誤りです。TypeⅠは遅筋線維であり、収縮速度が遅いです。
ミオグロビンが少ないのはTypeⅡの筋線維の特徴であり、TypeⅠの筋線維ではないため誤りです。TypeⅠは赤筋であり、ミオグロビンが多く含まれています。
ミトコンドリアが少ないのはTypeⅡの筋線維の特徴であり、TypeⅠの筋線維ではないため誤りです。TypeⅠの筋線維はミトコンドリアが多く、持久力があることが特徴です。
解説
この問題では、心音や心電図波形とそれらが示す心周期の現象との正しい組み合わせを選ぶ必要があります。心音は心臓の弁の開閉による音であり、心電図波形は心臓の電気的活動を示します。
選択肢別解説
心音のⅠ音は、僧帽弁と三尖弁の閉鎖音であり、心房収縮時に起こります。これは正しい組み合わせです。
心音のⅡ音は、肺動脈弁および大動脈弁の閉鎖音であり、心室収縮時に起こります。大動脈弁の開放ではなく、閉鎖が正しいため、この選択肢は誤りです。
心電図のP波は、心房の脱分極(興奮)を示し、心房収縮の開始を示します。His束の伝導はP波とQ波の間で起こるため、この選択肢は誤りです。
心電図のQRS波は、心室中隔と心室筋の脱分極(興奮)を示し、心室収縮の開始を示します。洞房結節の伝導はP波の開始点であるため、この選択肢は誤りです。
心電図のT波は、心室の再分極を示し、心室収縮の終了と心室弛緩の開始を示します。心室筋の脱分極はQRS波で示されるため、この選択肢は誤りです。
解説
深部腱反射は、筋紡錘や腱器官が受容器となり、Ⅰa群求心性線維を介して感覚入力が行われ、α運動神経を介して運動出力が行われる。反射閾値は一定ではなく、環境や筋の状態によって変化する。また、高齢者では深部腱反射は減弱する。
選択肢別解説
選択肢1は誤りです。感覚入力はⅠa群求心性線維を介して行われます。
選択肢2は正しいです。運動出力はα運動神経を介して行われます。
選択肢3は誤りです。受容器は筋紡錘と腱器官です。
選択肢4は誤りです。反射閾値は一定ではなく、環境や筋の状態によって変化します。
選択肢5は誤りです。高齢者では深部腱反射は減弱する。これは加齢による末梢神経の神経変性が関係しているとされています。
解説
自律神経の二重支配を受ける器官は、交感神経と副交感神経の両方の影響を受ける器官である。一方、二重支配を受けない器官は、交感神経または副交感神経のどちらか一方のみの支配を受ける。
選択肢別解説
汗腺は、自律神経の二重支配を受けない器官であり、交感神経の支配のみを受けるため、誤りである。
膵臓は、自律神経の二重支配を受ける器官であり、交感神経と副交感神経の両方の影響を受けるため、正解である。
脾臓は、自律神経の二重支配を受けない器官であり、交感神経の支配のみを受けるため、誤りである。
立毛筋は、自律神経の二重支配を受けない器官であり、交感神経の支配のみを受けるため、誤りである。
副腎髄質は、自律神経の二重支配を受けない器官であり、交感神経の支配のみを受けるため、誤りである。