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理学療法士国家試験
生理学(筋・感覚・神経系)
解説
骨格筋に関する正しい選択肢は、伸張反射の感覚受容器が筋紡錘であることです。他の選択肢は誤りで、活動電位の発生や筋収縮のメカニズム、神経筋接合部の受容体、筋小胞体から放出されるイオンに関する誤った情報が含まれています。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。活動電位は筋収縮の前に発生し、筋収縮を引き起こすシグナルとなります。
選択肢2は正しいです。伸張反射の感覚受容器は筋紡錘であり、筋が伸ばされると筋紡錘が刺激され、神経信号が発生します。
選択肢3は間違いです。筋に単一刺激を加えるとツイッチが生じます。強縮は筋に反復刺激を加えることで生じる現象です。
選択肢4は間違いです。神経筋接合部にはアセチルコリン受容体が分布し、アセチルコリンが結合することで筋収縮が引き起こされます。アドレナリン受容体は中枢神経系に分布しています。
選択肢5は間違いです。筋小胞体から放出されるのはCa2+であり、これがトロポニンに結合することで筋収縮が引き起こされます。Na+は筋収縮のプロセスには関与していません。
解説
蓄尿時に作用する体性運動神経は陰部神経である。尿の排出および蓄尿時には、神経により筋の収縮と弛緩の調整がされている。関係する末梢神経は、交感神経が下腹神経、副交感神経が骨盤神経、体性神経が陰部神経である。
選択肢別解説
陰部神経は、蓄尿時に関与する外尿道括約筋の体性神経であるため、正しい選択肢です。
下殿神経は、大殿筋に関与する神経であり、蓄尿時に作用する体性運動神経ではないため、間違いです。
下腹神経は、蓄尿時に関与する交感神経であるが、体性運動神経ではないため、間違いです。
骨盤神経は、蓄尿時に関与する副交感神経であるが、体性運動神経ではないため、間違いです。
閉鎖神経は、内転筋群(恥骨筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋、薄筋、外閉鎖筋)に関与する神経であり、蓄尿時に作用する体性運動神経ではないため、間違いです。
解説
三叉神経は顔面の感覚や咀嚼筋の運動を担当しており、角膜反射に関与しています。他の選択肢に挙げられた反射は、それぞれ異なる神経が関与しています。
選択肢別解説
咽頭反射は、舌咽神経と迷走神経が関与しています。舌咽神経は咽頭の感覚を担当し、迷走神経は咽頭の筋肉を制御します。
角膜反射は、三叉神経と顔面神経が関与しています。三叉神経は角膜の感覚を担当し、顔面神経は眼瞼を閉じる筋肉を制御します。この反射は正しい選択肢です。
咳反射は、迷走神経が関与しています。迷走神経は気道の感覚を担当し、咳を引き起こす筋肉を制御します。
前庭眼反射は、前庭神経と動眼神経が関与しています。前庭神経は平衡感覚を担当し、動眼神経は眼球の運動を制御します。
対光反射は、視神経と動眼神経が関与しています。視神経は光の感覚を担当し、動眼神経は瞳孔を狭める筋肉を制御します。
解説
交感神経と副交感神経は、自律神経系の一部であり、体の機能を調節する役割があります。交感神経は興奮状態やストレス時に働き、副交感神経はリラックスや消化時に働きます。この問題では、両方の神経によって促進される機能を求めています。
選択肢別解説
発汗は、交感神経のみの刺激で促進される。交感神経は体温調節のために発汗を促進しますが、副交感神経は発汗に関与していません。
心拍は、交感神経のみの刺激で促進される。交感神経は心拍数を増加させ、副交感神経は心拍数を減少させるため、両方の神経で促進されるわけではありません。
胃の蠕動は、副交感神経のみの刺激で促進される。副交感神経は消化を促進するために胃の蠕動を促しますが、交感神経は胃の蠕動に関与していません。
唾液腺分泌は、交感神経および副交感神経の両方の刺激で促進される。安静状態では副交感神経支配により大量の漿液性唾液が分泌されて消化に役立ちます。運動や興奮、ストレス状態下では交感神経が優位になり、舌下腺、顎下腺、耳下腺を刺激し少量の粘性のある唾液を分泌します。
立毛筋収縮は、交感神経のみの刺激で促進される。立毛筋収縮は、寒さや恐怖などの刺激によって体毛を立てることで保温や警戒を図る機能であり、副交感神経は関与していません。
解説
伸張反射は、筋肉が伸ばされたときに収縮させる反射であり、筋紡錘が筋の長さを検知する役割を果たしています。この反射は単シナプス反射であり、Ia群神経線維がα運動神経に結合しています。また、錘外線維が伸ばされると錘内線維は活動を増すことが知られています。
選択肢別解説
筋紡錘は筋肉の長さを検知する固有受容器であり、伸張反射の働きに関与しているため、この選択肢は正しいです。
痙縮では上位運動ニューロンの損傷により反射回路の興奮性の制御が崩れ、伸張反射が増加するので、この選択肢は誤りです。
伸張反射は単シナプス反射であり、筋紡錘からの情報が直接α運動神経に伝達されるため、この選択肢は正しいです。
Ia群神経線維は求心性線維であり、遠心性神経であるα運動神経に結合することで伸張反射が働くため、この選択肢は正しいです。
錘外線維が伸ばされると、それに伴って錘内線維の活動が増加し、伸張反射が働くため、この選択肢は正しいです。
解説
心筋は横紋筋であり、単収縮が生じる。また、ギャップ結合が存在し、隣接する筋細胞が電気的に繋がっている。心筋の静止張力は骨格筋よりも大きく、活動電位持続時間は細胞によって異なる。
選択肢別解説
心筋は平滑筋ではなく、横紋筋である。
心筋の収縮は常に単収縮であり、この選択肢は誤りである。
心筋はギャップ結合が存在し、隣接する筋細胞が電気的に繋がっているため、この選択肢は誤りである。
心筋の静止張力は骨格筋よりも大きく、この選択肢は正しい。
活動電位持続時間は、洞房結節が100~300 msec、房室結節200~300 msec、心室筋200~400 msecであり、この選択肢は誤りである。
解説
骨格筋の筋収縮では、筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンに結合し、トロポニンの分子構造が変化します。これにより、アクチンとミオシンが相互作用し、筋収縮が起こります。
選択肢別解説
アクチンは筋原線維を構成する細いフィラメントであり、筋収縮の際にミオシンと相互作用しますが、Ca2+と直接結合するのはトロポニンです。
ミオシンは筋原線維を構成する太いフィラメントであり、筋収縮の際にアクチンと相互作用しますが、Ca2+と直接結合するのはトロポニンです。
トロポニンは正解です。筋収縮の開始時に、Ca2+がトロポニンに結合し、トロポニンの分子構造が変化することで、アクチンとミオシンが相互作用し、筋収縮が起こります。
ミオグロビンは酸素結合蛋白であり、筋収縮とは関係がありますが、Ca2+と結合するのはトロポニンです。
トロポミオシンはアクチンフィラメントの二重らせんの溝に乗っており、トロポニンの分子構造の変化に伴って位置がずれることで筋収縮が起こりますが、Ca2+と直接結合するのはトロポニンです。
解説
交感神経は、ストレスや緊張時に働く神経で、身体を活動態勢にする作用があります。主な作用としては、瞳孔の散大、気管支の拡張、心拍数の増加、胃腸運動の抑制、排尿の抑制などがあります。
選択肢別解説
瞳孔を縮小させるのは副交感神経の作用です。交感神経は瞳孔を散大させる作用があります。
排尿を促進させるのは副交感神経の作用です。交感神経は排尿を抑制する作用があります。
正解です。交感神経の作用により、気管支は拡張(気管支平滑筋の弛緩)することで、呼吸がしやすくなります。
心拍数を減少させるのは副交感神経の作用です。交感神経は心拍数を増加させる作用があります。
胃腸の運動を促進させるのは副交感神経の作用です。交感神経は胃腸運動を抑制する作用があります。
解説
神経筋接合部では、神経終末部からアセチルコリンが放出され、筋肉細胞の受容体で受け取られる。これにより脱分極が起こり、活動電位が発生して、筋収縮が出現する。
選択肢別解説
ノルアドレナリンは神経筋接合部の神経伝達物質ではない。中枢神経系では脳幹部に多く存在し、末梢では交感神経節後線維から放出される。覚醒や睡眠、種々の精神症状との関連があると考えられている。
アセチルコリンは神経筋接合部の神経伝達物質であり、正しい答えである。神経終末部から放出され、筋肉細胞の受容体で受け取られることで脱分極が起こり、活動電位が発生し筋収縮が出現する。
アドレナリンは神経筋接合部の神経伝達物質ではない。脳内神経伝達物質であり、血糖の調整、強心作用、気管支拡張などに関わっている。
セロトニンは神経筋接合部の神経伝達物質ではない。脳内神経伝達物質であり、睡眠、疼痛、体温の調整、嘔吐などに関わっている。
ドパミンは神経筋接合部の神経伝達物質ではない。脳内神経伝達物質であり、運動およびホルモン調節、感情、意欲、学習などに関わっている。
解説
Brodmannによって決定された皮質領野の中で、一次運動野に相当するのは4野です。一次運動野は、運動中枢として反対側の骨格筋の運動を支配します。
選択肢別解説
1野はBrodmannの1~3野に含まれ、一次体性感覚野と呼ばれます。これは頭頂葉の最も前側に位置し、運動野ではありません。
4野は一次運動野で、前頭葉の最も後側に位置します。これは運動中枢として反対側の骨格筋の運動を支配するため、正しい答えです。
17野は一次視覚野で、後頭葉内側面の鳥距溝周囲の皮質に位置します。これは視覚情報の処理に関与しており、運動野ではありません。
22野はWernicke野と呼ばれ、側頭葉の上側頭回の後上部とその付近を占めます。これは言語理解に関与しており、運動野ではありません。
44野はBroca野に含まれ、前頭葉の下前頭回の後部に位置します。これは言語の発話に関与しており、運動野ではありません。
解説
筋紡錘の感覚神経線維は、筋紡錘の一次終末(環らせん終末)から出るⅠa群線維と、筋紡錘の二次終末(散形終末)から出るⅡ群線維が正しいです。
選択肢別解説
Ⅰa群線維は筋紡錘の一次終末(環らせん終末)から出る線維で、筋紡錘の求心性神経線維(感覚神経線維)であるため、正しい選択肢です。
Ⅰb群線維は腱紡錘から出る求心性神経線維であり、筋紡錘の感覚神経線維ではないため、間違いです。
Ⅱ群線維は筋紡錘の二次終末(散形終末)から出る線維で、筋紡錘の求心性神経線維(感覚神経線維)であるため、正しい選択肢です。
α線維は骨格筋への運動ニューロンであり、筋紡錘の感覚神経線維ではないため、間違いです。
γ線維は筋紡錘への運動線維であり、筋紡錘の感覚神経線維ではないため、間違いです。
解説
この問題では、脳神経とその働きの正しい組み合わせを選ぶ必要があります。脳神経は、脳から出ている神経のことで、それぞれ異なる機能を持っています。
選択肢別解説
顔面神経は、顔面の表情筋を支配する運動神経、舌前2/3の味覚を伝える感覚神経、舌下腺を支配する副交感神経からなります。軟口蓋の挙上には、三叉神経、舌咽神経、迷走神経などが関与するため、この選択肢は間違いです。
三叉神経は、顔面の体性感覚を伝える感覚神経、咀嚼筋を支配する運動神経からなります。下顎の運動は、三叉神経の第3枝である下顎神経によって行われるため、この選択肢は正しいです。
舌咽神経は、舌後1/3の味覚と咽頭の感覚を伝える感覚神経、咽頭の嚥下運動を起こす運動神経、耳下腺を支配する副交感神経からなります。舌の運動は舌下神経によって行われるため、この選択肢は間違いです。
舌下神経は、舌筋を支配する運動神経からなります。唾液分泌は、顔面神経、舌咽神経によって行われるため、この選択肢は間違いです。
迷走神経は、咽頭・喉頭を支配する感覚神経と運動神経、胸腹部内臓を支配する副交感神経からなります。口唇閉鎖は顔面神経によって行われるため、この選択肢は間違いです。
解説
交感神経は、ストレスや緊張時に働く神経で、体を活性化させる働きがあります。この問題では、交感神経の機能に関する正しい選択肢を選ぶことが求められています。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。交感神経の作用により、膵液の分泌は減少します。逆に副交感神経が働くと、膵液分泌が促進されます。
選択肢2は間違いです。交感神経の作用により、心収縮力は増加します。これにより、血流が増加し、体全体に酸素や栄養が届くようになります。
選択肢3は間違いです。交感神経の作用により、直腸平滑筋の運動は減少します。一方、括約筋は収縮するため、便通が抑制されます。
選択肢4は正しいです。交感神経の作用により、毛様体筋は弛緩し、水晶体の厚さが減少します。これにより、遠方にピントを合わせるようになります。これは、遠くのものを見る際に必要な調節機能です。
選択肢5は間違いです。交感神経の作用により、肝臓ではグリコーゲン分解(糖新生)が行われます。これにより、血糖値が上昇し、エネルギーが供給されます。
解説
心筋の再分極に最も影響するのはK+電流です。心筋細胞では、プラトーと再分極が200 msec以上続く特徴があります。再分極の際には、電位依存性K+電流が増大し、活動電位の再分極に関与します。
選択肢別解説
Ca2+電流は心筋細胞特有のプラトーをゆっくりと開始させる役割がありますが、再分極には直接関与していません。
K+電流は正解です。電位依存性K+電流は脱分極で増大し、活動電位の再分極に関与します。また、内向き整流性K+電流は心室筋とPurkinje線維で静止電位の形成に寄与し、活動電位再分極の最終相を促進します。
Na+電流は心筋細胞でも骨格筋と同様に、Na+透過性の急速な増大により最初の脱分極と活動電位を生じさせる役割がありますが、再分極には直接関与していません。
細胞外電流は心筋の脱分極・再分極にどちらにも影響しますが、再分極の際にはK+電流の影響が大きいため、最も影響する要素とは言えません。
ペースメーカー電流は過分極で活性化しますが、心筋の再分極に直接影響を与える要素ではありません。
解説
頸動脈洞反射は、血圧の変化を感知し、交感神経・副交感神経を介して血圧を元のレベルに戻す反射である。求心路は舌咽神経を介し、遠心路は迷走神経を介する。
選択肢別解説
選択肢1は間違いです。頸動脈洞反射により血圧は低下する。呼吸抑制も生じる。
選択肢2は間違いです。頸動脈洞反射により心拍数は減少する。
選択肢3は間違いです。求心路は舌咽神経を介する。
選択肢4は正しいです。遠心路は迷走神経を介する。頸動脈洞の感受性が亢進すると、迷走神経の過剰な反射により、頸動脈洞失神を起こす。
選択肢5は間違いです。頸動脈洞反射は、頸動脈洞に存在する動脈圧受容器が血圧の変化を感知することで生じる。一方、頸動脈小体は、血液の酸素分圧の低下を感受する。
解説
皮膚の侵害受容器は自由神経終末である。これは機械的、熱的、化学的刺激や鈍痛などに応答する受容器があり、痛みを感じるための受容器である。
選択肢別解説
毛包受容体は皮膚の侵害受容器ではなく、触覚に関与し、毛幹の傾きの変化をとらえる。
Pacini小体は皮膚の侵害受容器ではなく、触覚に関与し、高頻度の振動に関与する。
Ruffini終末は皮膚の侵害受容器ではなく、触覚および圧覚に関与し、持続的な皮膚変化で順応は遅い。
自由神経終末は侵害受容器であり、機械的侵害受容器であるAδ線維や、機械的、熱的、化学的刺激、鈍痛などに応答するC線維の末端がある。これが正しい答えである。
Meissner小体は皮膚の侵害受容器ではなく、粗振動、触覚に関与し、数十Hz以下の振動刺激による感覚を受容する。
解説
心臓の刺激伝導系は特殊心筋が構成し、興奮の生成と伝導を担当します。刺激伝導系には洞房結節、房室結節、His束(房室束)、Purkinje線維が含まれます。
選択肢別解説
固有心筋は刺激伝導系ではなく、興奮させられることで収縮する筋肉であり、作業筋とも呼ばれます。これが正解です。
洞房結節は心臓の刺激伝導系の一部であり、心臓の拍動が起こる部位で歩調を取る役割を持っています。この選択肢は間違いです。
Purkinje線維は心臓の刺激伝導系の一部であり、右脚・左脚から続き、心室壁の一般筋線維に移行します。この選択肢は間違いです。
房室結節は心臓の刺激伝導系の一部であり、右心房の下面に位置し、His束に移行します。この選択肢は間違いです。
房室束は心臓の刺激伝導系の一部であり、房室結節から伸びる心房と心室の筋の唯一の連結部です。この選択肢は間違いです。
解説
線維素溶解は、損傷部位の修復が進んだ際に、血栓中のフィブリンがプラスミンなどの作用で分解され、凝結も分解されて除去される現象です。これは止血の機序における血栓の除去に関与しています。
選択肢別解説
アルブミンは血漿蛋白質の一種で、肝臓で合成され、血漿膠質浸透圧を保つ働きがあります。また、pH緩衝作用や組織に対するアミノ酸供給源としての機能も持っていますが、線維素溶解には関与していません。
グロブリンは血漿蛋白質の一種で、α1、α2、β、γの4種類があります。γグロブリンは免疫グロブリンで、リンパ節で産生されますが、その他は基本的に肝臓で生成されます。しかし、線維素溶解には関与していません。
トロンビンは、止血反応が進んだ際に、内因性・外因性要因により形成される酵素です。トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに変換する働きがありますが、線維素溶解には関与していません。
フィブリンは、血小板血栓を網目状に包むことにより、血栓をさらに強固にする働きがあります(血液凝固)。しかし、線維素溶解には関与していません。
プラスミンは、損傷部位の修復が進んだ際に、血栓中のフィブリンを分解する働きがあります。これにより、凝結が分解されて除去されるため、線維素溶解に関与しています。正解はプラスミンです。