臨床工学技士問題表示
臨床工学技士国家試験
解説
医用材料・医療機器の安全性評価は、わが国では(出題当時)薬事法を根拠とし、JIS/ISO 等の規格に基づく生物学的安全性評価(ISO 10993 シリーズ)や物性・化学的評価等を総合して行う。生物学的試験は接触部位・接触時間に応じて選択され、血液適合性は血液接触機器に限って必要である。一方、細胞毒性試験(ISO 10993-5)は生体接触がある医療機器では基本的に必須とされる。よって、薬事法による取り決め(当時)と、表面接触機器における細胞毒性試験の必須性は正しい。粘膜接触機器に埋植試験は原則不要であり、化学的試験か生物学的試験の二者択一でもない。
選択肢別解説
正しい。出題当時、医療機器の安全性に関する規制の基本枠組みは薬事法に基づき、JIS や ISO 等の規格を適用して評価されていた(現行は薬機法)。安全性評価はこれらの法規・規格に則って実施される。
誤り。粘膜に長期接触する表面接触機器では、細胞毒性・感作性・刺激性(粘膜刺激)などが主な評価項目であり、埋植試験(ISO 10993-6)は主として組織・骨などへの埋入材料や長期植込み機器の局所反応評価に用いられる。粘膜接触で直ちに埋植試験が必須とはならない。
誤り。安全性評価は二者択一ではなく、物性・化学的評価(例:抽出物・溶出物の同定、ISO 10993-18 等)と生物学的試験(ISO 10993-1 のマトリクスに基づく選択)を含め、リスクに応じて必要な複数項目を総合的に行う。
誤り。血液適合性(ISO 10993-4)は血液と接触する機器(体外循環回路や血管内留置機器など)で必要となる評価であり、すべての表面接触機器に必須ではない。皮膚・粘膜のみの接触機器では通常必須とならない。
正しい。細胞毒性試験(ISO 10993-5)は、生体接触のある医療機器では基本的に実施が求められる基礎的な生物学的試験であり、表面接触機器でも必須とされる。
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解説
医療機器の生物学的安全性評価は ISO 10993-1 に基づき、接触部位(表面接触機器/体外と体内を連結する機器/体内植込み機器)と接触時間で必要試験が決まる。最低限、細胞毒性・感作性・刺激性は多くの接触機器で必須とされる。一方、血液適合性(ヘモコンパチビリティ)は血液と直接または血液流路に間接接触する機器で必要であり、皮膚・粘膜などの表面接触機器には通常求められない。したがって「表面接触機器—血液適合性試験」は不適切であり、誤りは選択肢2である。
選択肢別解説
表面接触機器(皮膚・粘膜・損傷皮膚などに接触)は、基本的評価として細胞毒性試験が要求されるため妥当であり、誤りではない。
表面接触機器は血液と接触しない前提の分類であり、血液適合性試験は通常不要である。血液適合性は血液流路に接触する機器(外部連結機器の血液路など)で評価する。よって本記載は不適切で、この選択肢が誤り。
体内と体外を連結する機器(例:カテーテル、透析回路など)は、基本評価として感作性試験が必要であるため妥当であり、誤りではない。
体内植込み機器は組織長期接触のため、刺激性(局所反応)評価が必要である。よって妥当で、誤りではない。
体内植込み機器では細胞毒性評価は基本要件である。したがって妥当で、誤りではない。
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解説
創傷治癒は概ね「止血(血栓形成)→炎症期→増殖期(肉芽形成・上皮化)→成熟・再構築期」と進む。炎症期の開始時にはヒスタミンやブラジキニン、プロスタグランジンなどの炎症性メディエーターにより細小血管で透過性が亢進し、血漿成分が漏出して浮腫をきたす。一方、出血の初期対応は血小板の粘着・凝集と凝固カスケードによるフィブリン血栓形成であり、好中球は止血ではなく創部の細菌や壊死組織の処理に関わる。肉芽組織は線維芽細胞、新生毛細血管(内皮細胞由来)、炎症細胞、基質(膠原など)から構成され、赤血球は構成要素ではない。壊死組織の貪食は主に好中球とマクロファージが担い、内皮細胞は主として血管新生を担う。上皮化は創縁からの角化細胞の移動・増殖によって進み、受傷直後に創面を覆い尽くすことはない。
選択肢別解説
正しい。炎症反応の初期には、ヒスタミンやブラジキニンなどのメディエーターにより血管拡張と毛細血管の透過性亢進が起こり、血漿蛋白の漏出と浮腫が生じる。これは白血球遊走や病原体排除の前提となる過程である。
誤り。出血に対する一次止血は血小板の粘着・活性化・凝集(vWFやADP、トロンボキサンA2などが関与)で始まり、続いて凝固カスケードによりフィブリン網が形成されて血餅が強化される。好中球は炎症期に侵入微生物や壊死組織を処理する役割で、止血を担わない。
誤り。上皮化(再上皮化)は増殖期に創縁や付属器由来の角化細胞が扁平化・遊走・増殖して進み、通常は受傷直後には完了しない。受傷直後は止血・炎症反応が主で、上皮が創面を覆い尽くすには時間を要する。
誤り。肉芽組織は線維芽細胞、新生毛細血管(内皮細胞)、炎症細胞、膠原線維や基質から構成される。赤血球は出血時に存在し得るが、肉芽の構成要素ではない。
誤り。壊死組織の貪食・除去は主に好中球とマクロファージが担う。血管内皮細胞は血管新生により新生毛細血管を形成する役割が中心で、貪食細胞ではない。
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