66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CTを示す。外科的手術が行われたが、片麻痺を伴う左大脳半球障害を残した。出現しやすい症状はどれか。
1: 右の方ばかりを見る。
2: 家族の顔が認識できない。
3: 服の裏表を間違えて着る。
4: 自分の右手足は動くと言う。
5: スプーンを逆さまに持って使う。
67歳の女性。Alzheimer型認知症。HDS-Rは18点で特に見当識と遅延再生とに低下を認めた。自宅から一人で外出する際に迷って保護されることが多くなり、送迎によって通所リハビリテーションに通っている。作業療法では認知機能のリハビリテーションを実施している。記憶障害を踏まえた対応で最も適切なのはどれか。
1: 「訓練室に行きましょう」と声をかけて訓練室まで先導してもらう。
2: 家族写真を一緒に見ながら「この方は誰ですか」と尋ねる。
3: 作業療法の開始時に「私を覚えていますか」と尋ねる。
4: 「もう〇月の〇日ですね」と伝えて日付を確認する。
5: 「前回の作業療法では何をしましたか」と尋ねる。
38歳の男性。30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた。最近、階段昇降で手すりが必要となり、構音障害と上肢の協調性低下も出現した。症状が徐々に進行し、屋内つたい歩きとなったため入院した。意識は清明。知能は正常である。感覚障害はなく、病的反射も認めない。兄も同様の症状を呈している。MRI(写真①~⑤)を示す。この症例はどれか。
1: ①
2: ②
3: ③
4: ④
5: ⑤
52歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。日常生活上での手関節と手指との痛みを訴えている。観察された動作を図に示す。関節保護の指導をすべき動作はどれか。2つ選べ。
1: カップを持つ
2: 茶碗を持つ
3: ビンの蓋をあける
4: フライパンを持つ
5: ポットでお湯を注ぐ
55歳の女性。慢性関節リウマチ。発症後10年経過。スタインブロッカーのクラスII。この患者のADL指導で適切でないのはどれか。
1: ペットボトルはボトルオープナーで開ける。
2: 爪切りは小型のものを使う。
3: 車のドアロックはリモコン式にする。
4: 洗体に柄付きブラシを使う。
5: 「孫の手」で遠くのものを引き寄せる。
24歳の女性。知的障害。就労継続支援A型事業を利用中。就労意欲は高いが状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強く欠勤が多くなり、作業療法士に相談に来た。この患者で優先して支援すべきなのはどれか。
1: 洞察
2: 職場の変更
3: 作業耐久性の向上
4: 生活リズムの安定
5: 対人関係技能の向上
52歳の女性。関節リウマチ。発症して17年が経過している。手指関節に痛みを訴えており、図のような変形がみられる。手指に対する最も適切な物理療法はどれか。
1: 超音波
2: 遠赤外線
3: 極超短波
4: パラフィン浴
5: ホットパック
17歳の女子。転換性障害。高校1年の2学期終了前にボーイフレンドと別れてから欠席がちとなり、頭痛、肩こり、無気力を訴えた。進級後も欠席が多く大学病院を受診したが、症状の改善がみられず2か月入院した。入院中に手首を切ったことがある。その後、復学したが教室で頻回に倒れ再入院となった。復学を目的に作業療法が処方された。作業療法開始後、1か月経過。作業療法室で突然に転倒することが頻回にあるが、けがはない。転倒時の作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1: 倒れた状態を確認してそのまま観察する。
2: ベルトをゆるめたり、ボタンをはずしたりして呼吸を楽にする。
3: 抱き起こして意識の有無を確認する。
4: すぐに主治医を呼び手当をしてもらう。
5: 周りの患者に手伝ってもらい別室に運び休ませる。
57歳の女性。夫と寝たきりの母親との3人暮らし。編み物を趣味としていた。患者は手の抜けない真面目な性格で、介護が2年続いたころから「体が動かない。死んでしまいたい」と寝込むようになった。夫に連れられ精神科病院を受診し入院。1か月後に作業療法が導入となった。しかし、作業療法士に「母のことが気になるんです。ここにいる自分が情けない」と訴えた。この患者への対応として適切なのはどれか。
1: 主治医に早期の退院を提案する。
2: 他の患者をお世話する役割を提供する。
3: 趣味の編み物をしてみるように提案する。
4: 休むことも大切であることを説明する。
5: 他の患者との会話による気晴らしを促す。
68歳の女性。関節リウマチ。右利き。夫との2人暮らし。肩関節と肘関節に可動域制限はない。膝関節痛の鎮痛のために坐薬を用いている。手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。手指の写真(A)とエックス線写真(B)とを示す。この患者に対する自助具で適切なのはどれか。2つ選べ。
神経・筋変性疾患のリハビリテーションで誤っているのはどれか。
1: Guillain–Barré 症候群では訓練中の不整脈に注意する。
2: Parkinson病では視覚刺激を運動発動に利用する。
3: 脊髄小脳変性症では早期から補助具を導入する。
4: 筋萎縮性側索硬化症の車椅子利用者では褥瘡の発生に注意する。
5: 筋ジストロフィーの運動訓練では過負荷に注意する。
74歳の女性。アルツハイマー型老年認知症。約6年前から、朝食の内容を昼には忘れてしまう。最近、貯金通帳の置き場所を忘れ、長女夫婦が盗んだと非難することが多くなり、「他人が勝手に玄関から入ってくる」と訴え入院となった。入院後は落ち着き、作業療法を実施することになった。この患者に作業療法を実施する際の留意点で誤っているのはどれか。
1: 身体機能の評価を行う。
2: 意欲低下がみられる場合は励ます。
3: 言い間違いは指摘する。
4: 単純な作業から始める。
5: 過去に行った作業を適用する。
32歳の女性。右利き。診断名は右乳がん(ステージⅡ)。右乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術施行目的で入院となった。夫と2歳の子どもとの3人暮らし。職業は保育士。術前の右上肢機能は良好であり、セルフケアや家事動作は自立していた。術後作業療法について正しいのはどれか。
1: 日光浴を勧める。
2: 術側の上肢は固定する。
3: 事務職への転職を勧める。
4: 重量物を持たないように指導する。
5: 3か月間物干し動作は行わないよう指導する。
62歳の女性。約半年前から歩行中にふらつき、しゃべりにくいことに気付いていたが、最近これらの症状が悪化してきた。その他、四肢協調運動障害、頭部CTで小脳および脳幹萎縮を指摘されている。この症例の評価指標として適切でないのはどれか。
1: FBS
2: 踵膝試験
3: 鼻指鼻試験
4: FMA〈Fugl-Meyer assessment〉
5: SARA〈scale for the assessment and rating test〉
55歳の女性。慢性関節リウマチ。発症後10年経過。スタインブロッカーのクラスII。作業療法評価で適切でないのはどれか。
1: 総自動運動(TAM)
2: ブレークテスト
3: 簡易上肢機能テスト(STEF)
4: リーチテスト
5: FIM
パーキンソン病患者の理学療法でメトロノームを用いて改善が期待されるのはどれか。
1: 振戦
2: 構音障害
3: 書字障害
4: 平衡機能障害
5: 小刻み歩行
75歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。右短下肢装具を装着し四脚杖を使用して介助なく20 mまでの歩行が可能である。食事は左手で普通のスプーンやフォークを使用して介助なく可能だが箸は使えない。歩行と食事のFIMの点数の組合せで正しいのはどれか。
1: 歩行6点 ― 食事5点
2: 歩行6点 ― 食事6点
3: 歩行5点 ― 食事6点
4: 歩行5点 ― 食事7点
5: 歩行4点 ― 食事7点
70歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢、手指、下肢ともにIII。AFOとT字杖とで屋内歩行が自立した。ADL指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 自宅室内ではAFOを使用しない。
2: 浴槽への出入りは座位移動で行う。
3: セーターは座位で着脱する。
4: ズボンは立位で着脱する。
5: 洗顔は立位で行う。
60歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。狭心症の既往がある。運動療法で誤っているのはどれか。
1: 訓練中は心電図をモニターする。
2: 運動負荷テストによって許容される最大心拍数を決定する。
3: 冷汗、顔面蒼白があれば訓練を中止する。
4: 訓練中に胸骨下部の痛みを訴えたら狭心痛を疑う。
5: 左肩他動運動は狭心痛を誘発する。
70歳の女性。左変形性膝関節症に対する人工関節置換術後2週経過時、手術側下肢に深部静脈血栓症が発症した。理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 右膝関節の自動屈伸訓練
2: 左膝関節の他動屈伸訓練
3: 両足関節の自動底背屈訓練
4: 右大腿四頭筋の等張性収縮訓練
5: 左下肢伸展位挙上訓練(SLR訓練)