50歳の女性。球麻痺症状で発症した筋萎縮性側索硬化症。発症後1年経過。自営業世帯の主婦で、病前は家業の経理を行っていた。現在、筋力は上肢近位筋群3(Fair)、上肢遠位筋群2(Poor)、下肢筋群4(Good)である。最近、肺炎を2回起こしている。この患者への対応で緊急度が低いのはどれか。
1: コミュニケーションエイドの検討
2: 呼吸体操の指導
3: 飲み込みやすい食品の紹介
4: 不安や恐れへの相談
5: 移乗介助用リフターの導入
29歳の女性。歩行困難を主訴に整形外科外来を受診したが器質的問題が認められなかったため、紹介によって精神科外来を受診し入院することとなった。手足が震え、軽い麻痺のような脱力があり、自立歩行ができないため車椅子を使用している。立位保持や移乗に介助を必要とし、ADLはほぼ全介助である。この時点の患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 自己洞察を促す。
2: 自己表現の機会を増やす。
3: 集団活動で役割を担わせる。
4: 自己中心的な依存は受け入れない。
5: 身体機能に対する治療的な介入を行う。
67歳の女性。認知症。2年前ごろから身だしなみに気を遣わずに出かけるようになった。次第に同じ食事メニューを繰り返し作る、日常会話で相手の言葉をオウム返しにする、買い物をしても代金を払わず、とがめられても気にしないといったことが多くなったため、家族に付き添われて精神科を受診し入院した。作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1: 転倒しやすい。
2: 情動失禁がみられる。
3: 手続き記憶が損なわれる。
4: 時刻表的生活パターンがみられる。
5: 「部屋にヘビがいる」といった言動がある。
42歳の女性。多発性硬化症。両側視神経萎縮を伴う四肢麻痺で移動は車椅子レベル。筋力低下が強く徒手筋力テストで上肢近位部は3+、遠位部は4。有痛性けいれんがある。作業療法で実施困難なのはどれか。 ア.七宝焼きでピアスを作る。イ.刻印面の小さな刻印で小銭入れの模様をつける。ウ.卓上織機でミニマフラーを作る。エ.ひも作りで小皿を作る。オ.ざる編みで籐カゴを作る。
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
65歳の男性。脳梗塞で左片麻痺となり1か月が経過した。Brunnstrom法ステージで上肢Ⅳ、手指Ⅳ、下肢Ⅳ。認知機能と感覚とに障害はない。非麻痺側上肢に機能的な問題はない。短下肢装具を用いて屋内歩行が可能。作業療法で適切でないのはどれか。
1: 両手で用いたループ付きタオルによる洗体
2: 立位で左手を用いたズボンの引き上げ
3: 両手で頭上の高さの棚に衣類を収納
4: 左手を用いたテーブルの雑巾がけ
5: 両手を用いたタオルたたみ
75歳の女性。1か月前に脳梗塞右片麻痺を発症した。ブルンストローム法ステージは上肢II・手指II・下肢III。現在のADLは次のとおりである。整容は自立。食事、着替え、車椅子・ベッド間の移乗、トイレ動作、歩行は部分介助。排便、排尿とも失禁はない。階段昇降と入浴は全介助である。Barthel indexは何点か。
1: 15点
2: 30点
3: 45点
4: 60点
5: 75点
60歳の独居女性。慢性関節リウマチを発症し15年経過。両股関節は人工関節置換術を行っているが屋内歩行は自立している。手指の変形が著しく、関節痛が強い。在宅における日常生活・環境整備の指導で適切でないのはどれか。
1: ドアノブ用自助具を利用する。
2: 居室の段差を解消する。
3: 自動洗浄便座を設置する。
4: 買い物に電動車椅子を利用する。
5: 浴室にリフターを設置する。
6歳の女児。脳性麻痺痙直型両麻痺。手指の巧緻動作は拙劣だが上肢・体幹の機能障害は比較的軽度で、座位バランスは良好である。両手で平行棒につかまれば椅子から立ち上がることができ、平行棒内立位は片手支持でも安定して保持できる。歩き出そうとすると支持脚股関節・膝関節の屈曲が生じ、尻もちをつきそうになり歩けない。この患者の歩き出しの問題への対処として行う理学療法で適切なのはどれか。
1: バルーン上座位保持練習
2: バルーン上腹臥位での体幹伸展練習
3: 台上座位からの立ち上がり練習
4: 壁にお尻で寄りかかった立位での風船遊び
5: 低い台に片足を乗せるステップ動作の練習
64歳の女性。右利き。脳梗塞。約1か月前に左大脳に発症。現在は聴覚理解に問題はないが、発語は非流暢かつ緩徐である。話す言葉の量は少なく、発語の際には多大な努力を要している。四肢の麻痺はみられない。この患者への対応として正しいのはどれか。
1: 患者の話す内容が文法的に誤っていれば医療者が即座に細かく修正する。
2: 患者が「はい」「いいえ」で答えることができるように質問する。
3: 医療者が口頭で説明をするときにはジェスチャーを交える。
4: コミュニケーションエイドを導入する。
5: 患者にメモをとるように指導する。
55歳の女性。乳癌。ステージⅣ。今回、両下肢の脱力を認めて受診した。腰椎と肋骨の多発病的骨折と診断された。L2以下の不全対麻痺を認め、放射線治療終了後に作業療法開始となった。ベッド上生活で食事以外には介助を要していた。Performance Statusは4である。患者は「足が動かないが、家族と暮らしたい」、家族は「できれば家につれて帰りたい」と希望した。この患者への作業療法について適切なのはどれか。
1: 退院の時期を決定する。
2: 下肢機能訓練は行わない。
3: 福祉用具の適応を検討する。
4: 現時点から積極的な離床を図る。
5: ADL訓練時にはコルセットは装着しない。
65歳の女性。右利き。脳出血による左片麻痺。発症後6か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢IV、手指IV、下肢V。感覚障害と高次脳機能障害とはない。屋内は独歩可能である。日常生活で実用可能な両手動作はどれか。2つ選べ。
1: 財布から硬貨を出す。
2: ズボンを引き上げる。
3: りんごの皮をナイフでむく。
4: 荷物を頭上の棚の上に載せる。
5: 首の後ろでネックレスを留める。
68歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後3か月時、腰掛座位において図のように右上下肢で接触面を強く押して左側に転倒する現象を認めた。座位バランス獲得のための理学療法で適切でないのはどれか。
1: 鏡で姿勢の傾きを認知させる。
2: 座面を上げて両下肢を浮かせる。
3: 治療者が左側から繰り返し押し返す。
4: 右上肢を前方のテーブルに載せる。
5: 点滴棒など垂直指標に体幹を合わせる。
40歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。上肢筋力はMMTで近位筋4、遠位筋3である。下肢は内反尖足位であるが歩行可能。最近、手指の疲労があり食事がしにくくなったと訴えている。この患者の食事での対応で適切なのはどれか。
1: 吸口付コップを用いる。
2: 食事支援ロボットを用いる。
3: ユニバーサルカフを用いる。
4: 食器をターンテーブルに置く。
5: ポータブルスプリングバランサーを用いる。
Parkinson病のすくみ足への対処法で誤っているのはどれか。
1: 常に同じ側の足から踏み出させる。
2: 一旦、足を後ろへ引いてから踏み出させる。
3: 「いち、に」などの声を出しながら踏み出させる。
4: 床にはしご状の目印を付けてまたがせる。
5: 目標物を注視させて歩かせる。
40歳の男性。筋萎縮性側索硬化症。発症から2年で、下肢には軽度の痙性麻痺が認められ、膝折れやつまずきなどの歩行障害が出現している。上肢は筋萎縮が著明で食事や衣服着脱は全介助。構音障害も出現している。この時期の理学療法で適切でないのはどれか。
1: 呼吸訓練
2: 上肢のROM訓練
3: 上肢の抵抗運動訓練
4: 立位バランス訓練
5: 短下肢装具での歩行訓練
52歳の女性。右手根管症候群。右上肢に感覚障害と運動麻痺を認める。感覚障害の領域で正しいのはどれか。
75歳の女性。突然の意識障害で搬入された。発症当日の頭部CTを示す。発症3日目のJCS(Japan coma scale)は10点であった。この時点での理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 体位変換
2: 座位訓練
3: 移乗訓練
4: 腹筋強化
5: 関節可動域訓練
65歳の男性。4歳時に急性灰白髄炎に罹患し右下肢麻痺となった。歩行時には右膝を右手で押さえながら歩いていた。55歳ころから腰痛を自覚するようになり、最近は歩行時の疲労が増し下肢の冷感が強くなってきたため受診した。身長160 cm、体重75 kg(30歳時と比較して20 kg増加)。筋力はMMTで、右大腿四頭筋と右前脛骨筋は段階1である。ポリオ後症候群と診断され、理学療法を行うことになった。理学療法として適切なのはどれか。
1: 自転車エルゴメーターによる有酸素運動
2: 右下肢装具を装着しての歩行練習
3: 右大腿四頭筋の筋力増強運動
4: 四つ這いでの移動練習
5: 車椅子による移動
65歳の女性。アルツハイマー型認知症。2年前から物忘れがひどくなった。散歩に行って自宅に帰れなくなってから、抑うつ的となり自宅から出たがらなくなった。日中の臥床傾向が強く、夜中に徘徊するようになったため入院となった。この患者の作業療法の目的で適切でないのはどれか。 ア.生活リズムの改善イ.身辺処理能力の改善ウ.対人関係能力の改善エ.作業遂行能力の改善オ.安心感の提供
1: ア、イ
2: ア、オ
3: イ、ウ
4: ウ、エ
5: エ、オ
発症早期の重度左片麻痺患者の歩行訓練における理学療法士の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 患者の左側から左上肢を抱え込む。
2: 患者の右前方から右上肢を持つ。
3: 患者の前方から両上肢を引く。
4: 患者の後方から両腋窩を支える。
5: 患者の正面から両肩を持つ。